白銀の鎧とハイスクールd×d   作:Ks5118

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第五話 カミングアウトll これまでの道筋

 練矢side

 

 バイザーを斬り伏せると、ヤツの身体は黒い霧となって消滅した。

 

 俺はゆっくりとガルルセイバーを下ろし、そのままロードキバの変身を解除する。

 

 銀と青の鎧は光に包まれ、砕けるように消えていき、元の制服姿へ戻った。

 

 その瞬間、辺りは静まり返った。

 

 リアス達は全員、まるで時間が止まったように俺を見つめている。

 

 誰一人として口を開かない。

 

 その様子を見た俺は小さくため息をついた。

 

 [……またかよ。しばらく放っておいた方が良さそうだな]

 

 そう思っていると、一番最初に口を開いたのは兵藤だった。

 

「先輩、助けて頂きありがとうございます。それで、あの姿は一体何なんですか?」

 

 兵藤の声で、ようやくリアス達も我に返る。

 

 リアスは一歩前へ出ると、真っ直ぐ俺を見つめて言った。

 

「練矢君、あの姿について何か私達に説明することがあるんじゃないかしら?」

 

 周囲を見ると、木場も姫島も塔城も真剣な表情をしている。

 

 隠し通せる空気じゃない。

 

「はぁ……全く面倒だ」

 

 小さく息を吐き、一度呼吸を整える。

 

 そして全員を見渡しながら口を開いた。

 

「改めまして、俺の名前は白鉄練矢。種族は魔人。そして最後の魔人だ」

 

 一瞬で空気が変わる。

 

「さらに皇帝の駒を持つ者であり、今代のキバを纏う者でもある」

 

 その言葉を聞いた瞬間、リアスの目が大きく見開かれた。

 

「あ……貴方が、あの二天龍の戦いを終わらせた戦士なの?」

 

「まぁな」

 

 短く答える。

 

 それ以上語るつもりはなかった。

 

 だが、リアス達はその一言だけで十分だったらしい。

 

 魔人。

 

 キバ。

 

 二天龍の戦い。

 

 その三つの単語だけで、俺が何者なのかを理解したようだった。

 

 俺は静かに全員を見回す。

 

「それで?」

 

 視線をリアスへ向ける。

 

「俺の正体を知って、お前達に何が出来る?」

 

 その言葉と同時に、ガルルは俺の隣へ歩み寄り、剣形態から実体化する。

 

 リアス達は一斉に身構えた。

 

 するとリアスは真っ直ぐ俺を見据えながら答える。

 

「確かに貴方に勝てるかは分からないわ。でも、この町はグレモリー家が管理している町よ。だから貴方の好き勝手にはさせられないの」

 

 その言葉に木場が剣を構え、朱乃は雷を纏い、子猫も静かに拳を握る。

 

 戦う気だ。

 

 その空気を感じ取った兵藤が慌てて二人の間へ入ってくる。

 

「ちょ、ちょっと待って下さい! 先輩も部長も何で戦おうとしてるんですか!」

 

 兵藤だけは状況が理解できていない。

 

 俺は兵藤へ視線を向けた。

 

「兵藤、お前にとってこの町は誰のものだ?」

 

「えっと……町長のもの?」

 

 兵藤らしい答えだった。

 

 するとリアスがすぐに口を開く。

 

「それは表向きよ。今は私の一族が管理しているわ」

 

 その言葉に俺は眉をひそめる。

 

「まだそんなことを言うのか」

 

 一歩前へ出る。

 

「前にも言っただろ。この町どころか、この国は日本の神々が管理している国だ」

 

 さらに続ける。

 

「そしてこの町は天照大神から正式に譲り受けた、俺の町だ」

 

 少しだけ声が強くなる。

 

 だがリアスは引かなかった。

 

「ええ、この国は日本の神様の国。それは認めるわ」

 

 一度頷いた後、真っ直ぐ俺を見る。

 

「でも今、この町を管理しているのはグレモリー家よ。だから貴方も従ってもらうわ」

 

 その言葉で、俺の中の何かが切れた。

 

 何度説明しても理解しない。

 

 いや、理解していて認めないだけか。

 

「……そうか」

 

 腰へ手を伸ばす。

 

 取り出したのは四色のフエッスル。

 

 青。

 

 緑。

 

 紫。

 

 そして白。

 

 一本ずつキバットへ咥えさせ、顎を二度押す。

 

『ガルル、召喚だっ!』

 

『バッシャー、召喚だっ!』

 

『ドッカ、召喚だっ!』

 

『レイ、召喚だっ!』

 

 キバットの声が廃墟へ響く。

 

 次の瞬間、ガルルセイバーが青い光へ包まれ、人狼の姿へ戻った。

 

「ふぅ、ようやく外へ出られたぜ」

 

 ガルルは肩を回しながら笑う。

 

 続いて三つの光球が空から飛来する。

 

 光は地面へ降り立つと、それぞれの姿へ変わっていく。

 

 魚人の姿をしたバッシャー。

 

 巨体のドッガ。

 

 そして白い装甲を纏い、鋭い爪を持つレイ。

 

「わぁ、召喚してくれてありがとね、キング!」

 

 バッシャーは元気よく手を振る。

 

「……ん」

 

 ドッガは短く頷くだけだった。

 

 レイだけは肩をすくめながら笑う。

 

「で、俺はいつ自由にさせてもらえるんだ?」

 

 軽口だった。

 

 だが俺は真顔で返す。

 

「お前は、どうして今も生きているか分かってないようだな」

 

 レイの笑みが少し消える。

 

「何?」

 

「お前が今ここに立っていられるのは、俺の眷属だからだ」

 

 静かに続ける。

 

「もし眷属を辞めると言うなら、氷鬼の同族殺しとして俺がお前を斬る」

 

 レイは数秒黙った後、苦笑する。

 

「……相変わらず厳しいキングだ」

 

 そう言うと肩をすくめ、リアス達へ向き直った。

 

 ガルルも笑みを浮かべながら拳を鳴らす。

 

「久々の実戦だ。暴れさせてもらうぜ」

 

 バッシャーは楽しそうに笑い、ドッガは静かに拳を握る。

 

 四人の視線がリアス達へ向けられる。

 

 リアス達も戦闘態勢を崩さない。

 

 空気が張り詰める。

 

 その中で兵藤だけが戸惑った表情のまま俺を見る。

 

「先輩……本当に戦うんですか?」

 

 俺は兵藤へ視線を向け、静かに答えた。

 

「兵藤、これはリアスが始めたことだ」

 

 一拍置く。

 

「お前が関わりたいと言うなら、リアス側へ行け」

 

 兵藤は何も言えなかった。

 

 ただその場に立ち尽くし、拳を握り締めることしか出来ない。

 

 その姿を見て俺は心の中で呟く。

 

 [それでいい。お前は巻き込まれただけなんだからな]

 

 そして四人へ静かに命じた。

 

「……行け」

 

 練矢side out

 

 リアスside

 

 練矢君の命令が静かに響く。

 

「……行け」

 

 その一言だけで四人は一斉に動いた。

 

 ガルルは祐斗へ。

 

 ドッガは子猫へ。

 

 バッシャーは朱乃へ。

 

 そしてレイは真っ直ぐ私の前へ歩み出る。

 

 誰一人として迷いがない。

 

 長年主に仕えてきた眷属だからこその連携だった。

 

「祐斗!」

 

「はい!」

 

 祐斗は魔剣を抜き放ち、一気にガルルとの間合いを詰める。

 

 鋭い斬撃が放たれる。

 

 けれどガルルは身体を僅かに傾けるだけで避けると、そのまま懐へ潜り込んだ。

 

「遅ぇな!」

 

 鋭い爪が祐斗の制服を裂く。

 

「くっ!」

 

 祐斗は距離を取りながら再び剣を振るう。

 

 しかしガルルは笑いながら跳び回り、一撃もまともに受けようとしない。

 

「その程度で俺を捉えられると思うな!」

 

 速度が違う。

 

 祐斗が剣を振るう頃には、ガルルはもう別の場所へ移動している。

 

 完全に翻弄されていた。

 

 一方、子猫はドッガへ向かって一直線に飛び込む。

 

「はぁっ!」

 

 全力の拳。

 

 それをドッガは片手で受け止めた。

 

「……ん」

 

 そのまま軽く腕を振るだけで、子猫の身体が数メートル吹き飛ぶ。

 

「っ!」

 

 壁へぶつかる寸前で体勢を立て直し、再び拳を構える子猫。

 

 しかしドッガは微動だにしない。

 

 まるで巨大な山を相手にしているようだった。

 

「……もっと来い」

 

 低い声だけが響く。

 

 朱乃も負けてはいない。

 

「あらあら、雷はお好きかしら?」

 

 無数の雷撃がバッシャーへ降り注ぐ。

 

 しかしバッシャーは楽しそうに笑った。

 

「ボク、水の方が得意なんだ!」

 

 巨大な水流が渦を巻き、雷を飲み込んでいく。

 

 さらに朱乃の周囲を水球が包み込み、その動きを封じる。

 

「あら……」

 

 朱乃は雷で水を吹き飛ばそうとするが、次々と新しい水流が現れる。

 

「遊ぼうよ!」

 

 バッシャーは嬉しそうに笑いながら魔法を放ち続けていた。

 

 そして私の前にはレイ。

 

 白い装甲を纏い、鋭い爪を持つ男。

 

 どこか余裕を感じさせる笑みを浮かべている。

 

「お前が王か」

 

「そうよ」

 

「なら少しは楽しませてくれ」

 

 その瞬間、辺り一帯が凍り始めた。

 

 地面も壁も、一瞬で氷に覆われていく。

 

「滅びの魔力!」

 

 私は紅い魔力を放つ。

 

 氷を砕きながらレイへ攻撃する。

 

 しかしレイの姿は消えていた。

 

「どこ……!」

 

「後ろだ」

 

 声が聞こえた瞬間、私は反射的に振り返る。

 

 鋭い爪が目の前まで迫っていた。

 

 咄嗟に魔力障壁を展開する。

 

 爪は障壁へ触れた瞬間に止まり、レイは軽く笑った。

 

「反応は悪くない」

 

 そう言って後ろへ跳ぶ。

 

 私は思わず息を呑んだ。

 

 速い。

 

 祐斗以上の速度。

 

 それでいて無駄が一切ない。

 

 これが練矢君の眷属……。

 

 視線を周囲へ向ける。

 

 祐斗はガルルに押され続けている。

 

 子猫もドッガの怪力に歯が立たない。

 

 朱乃もバッシャーの魔法を突破出来ない。

 

 誰一人として優勢ではなかった。

 

 その時だった。

 

「そこまでだ」

 

 練矢君の静かな声が響く。

 

 四人は同時に動きを止めると、一斉に私達から距離を取った。

 

 その統率力に思わず驚く。

 

 まるで身体の一部のように主の命令へ従っていた。

 

 私は息を整えながら練矢君を見る。

 

「……なぜ、倒さないの?」

 

 練矢君は小さくため息を吐き、私達を真っ直ぐ見据えた。

 

「今、お前達と事を構えたくないんでね。それに、これで分かっただろ。俺の眷属の実力を」

 

 私は悔しさを押し殺しながら頷く。

 

「えぇ……同じ駒でも、ここまで違うとは思わなかったわ」

 

 すると練矢君は首を横へ振る。

 

「勘違いするな」

 

 その一言で私達は息を呑む。

 

「こいつらは皇帝の駒で眷属にしたわけじゃない」

 

 ガルル達は腕を組んだり肩をすくめたりしながら静かに聞いている。

 

「俺と契約を交わした眷属だ」

 

 そしてガルル達を見渡しながら続けた。

 

「強いてお前達の駒で例えるなら、全員兵士(ポーン)くらいの立ち位置だな」

 

「えっ……」

 

 思わず声が漏れた。

 

「あれで……ポーン位なの?」

 

 朱乃も祐斗も子猫も驚きを隠せない。

 

 駒ではない。

 

 それでも戦力として見ればポーン相当。

 

 それほどまでに、練矢君の下には実力者が揃っているということだった。

 

 練矢君はそんな私達を見て静かに言う。

 

「それじゃあ、お疲れ」

 

 そして四人へ視線を向けた。

 

「お前ら、帰るぞ」

 

 金色のゲートフエッスルを取り出し、キバットへ咥えさせる。

 

 顎を二度押す。

 

『ゲートアップ・ツー』

 

 キバットの声と共に、白く輝く巨大な門が目の前へ現れた。

 

「ほら、繋げたぞ。また助けが必要になったら呼ぶから」

 

「おう!」

 

 ガルルは笑いながら門へ向かう。

 

「次はもっと暴れさせろよ!」

 

「もちろん!」

 

 バッシャーも元気よく手を振る。

 

「またね、キング!」

 

 ドッガは静かに頷いた。

 

「……ん」

 

 そのままゆっくり門をくぐっていく。

 

 最後にレイだけが立ち止まり、こちらを見て口元を緩めた。

 

「悪魔の王族か。次はもう少し本気で来い」

 

 軽口を叩くと、肩をすくめながら門へ歩き出す。

 

 練矢君はそんなレイを見て苦笑した。

 

「お前もほどほどにな」

 

「善処するさ」

 

 そう言い残し、レイも白い門の向こうへ消えた。

 

 全員を見送ると、練矢君はもう一本のフエッスルをキバットへ咥えさせ、軽く顎を押す。

 

 それから私達へ振り返った。

 

「じゃあな」

 

 短くそれだけ言うと、白い門をくぐって姿を消す。

 

 門は静かに光となり、何事もなかったかのように消滅した。

 

 その場に残った私達は、しばらく誰一人として言葉を発することが出来なかった。

 

 リアスside out

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