【桜羽エマ】裁判:オペラ座館の○人【人形劇】_2
157:桜羽エマ【配信主/弁護人】
……『人形劇』?
158:蓮見レイア【被害者】
整理しよう。
つまり、そこはある種の仮想空間――
君が言う『人形劇』の舞台で、
現実ではないんだね?
159:月代ユキ
そうです。
エマ、袖をめくって手首を見せてください
160:桜羽エマ【配信主/弁護人】
え、うん。
……うわ、手首が人形みたいになってる
161:宝生マーゴ
まあ、球体関節ね
エマちゃん、本当にお人形さんになっちゃったわね♡
162:沢渡ココ
おー。なんか特殊な癖の奴にはウケそ~
163:黒部ナノカ
なるほどね。そこにいるのは全員人形で、
桜羽エマたちは意識だけ人形に乗り移っている、ということね
164:桜羽エマ【配信主/弁護人】
……ユキちゃん、どうしてボクの手首を撫でてるの?
165:月代ユキ
いやですか?
166:桜羽エマ【配信主/弁護人】
い、いやじゃないけど、
普段の体と違うせいか、すごくくすぐったい……
167:宝生マーゴ
でも、どうしていきなりこんな事に?
原因は分かるかしら
168:月代ユキ
『日常の魔法』の副作用です
169:桜羽エマ【配信主/弁護人】
……『日常の魔法』の、副作用?
170:月代ユキ
あれはもともと、複数の願いによって結実した特殊な魔法です
171:月代ユキ
ココの魔法で繋がった異世界の人間たち――
それと、あの場にいた13人のうちの誰かが、
改めて願ったのでしょう
172:月代ユキ
魔法少女としての日常……
「不思議でわくわくする体験がしたい」という願いを。
それを『日常の魔法』が叶えてしまった
173:名無しの傍聴人
えーと、つまり……?
174:名無しの傍聴人
13少女:ミステリやりたい!
日常さん:いいよ♡(裁判所にょきにょき)
こうか
175:名無しの傍聴人
サンガツ
176:名無しの傍聴人
はえー日常さん仕事早いンゴねぇ
177:名無しの傍聴人
ありがた迷惑ぅー!
178:月代ユキ
『人形劇』に意識を取り込まれた者は、
それぞれ、その劇にふさわしい『役割』を割り振られます
エマの場合は、主観視点である【配信主】と、【弁護人】ですね
179:蓮見レイア【被害者】
そして私は【被害者】。
劇の中での役割を終えたから、一足先に現実世界に戻ってきた、
ということだね
180:紫藤アリサ
蓮見、お前は大丈夫なのかよ
人形とは言え、自分と同じ顔が死んでるんだぞ
181:蓮見レイア【被害者】
痛みは特になかったからね
せっかくの劇なのに、これから私のセリフがないのは残念だけど
182:蓮見レイア【被害者】
しかし! 死体役といえばある意味事件の主役じゃないか!
これからエマくんが証拠品を確認するたびに、
何度も私のピンナップを目にすることになるんだよ!?
183:紫藤アリサ
現場写真のことピンナップって言うんじゃねーよ!?
184:蓮見レイア【被害者】
それに……この殺され方は良い
185:蓮見レイア【被害者】
オペラ座館、舞台の中央! 劇的な死!
シャンデリアの破片が星々のように煌いて、
まるで私を飾り付けているようじゃないか!
186:蓮見レイア【被害者】
ああ、美しい……!
さすが私……思ったより死体役も様になっているじゃないか!
文句なんてあろうはずもないよ!
187:紫藤アリサ
……分かんねー
188:紫藤アリサ
あー、あと。こっちにいないメンバーが分かった
桜羽、二階堂、夏目、佐伯、橘、遠野の6人だ
189:城ケ崎ノア
どうすればみんなはこっちに戻ってこれるのかな
190:沢渡ココ
レイアっちみたいに死ねばいいんじゃね?
191:黒部ナノカ
それは最終手段にするべきね
これが人形劇だというのなら、劇をまっとうすれば、おそらくは
192:宝生マーゴ
まずは裁判を終わらせる
頑張って、エマちゃん
大丈夫よ、あなたなら
193:桜羽エマ【配信主/弁護人】
裁判を、終わらせる……
194:システム
〇月△日 午前 9時 30分
地方裁判所 第1法廷
195:遠野ハンナ【裁判長】
ではこれより、ミリアさんの法廷を開廷しますわ!
196:桜羽エマ【配信主/弁護人】
ハンナちゃん!? ハンナちゃんが裁判長になってる……!
197:名無しの傍聴人
ハンナちゃんきた!
198:名無しの傍聴人
心なし胸張ってて可愛い
199:桜羽エマ【配信主/弁護人】
ハンナちゃんも記憶をなくしているのかな……
200:遠野ハンナ【裁判長】
ふっふっふっふ……
201:遠野ハンナ【裁判長】
思えばわたくし、毎回毎回、いつもいつもどこぞの探偵娘に
雑に犯人呼ばわりされておりましたが……
202:遠野ハンナ【裁判長】
今のわたくしは裁判長!
もうこれで、わたくしが容疑者になって疑われることはありませんわ!
203:桜羽エマ【配信主/弁護人】
あ、いつものハンナちゃんだ
204:遠野ハンナ【裁判長】
エマさん! なるほど、弁護人はエマさんですのね
205:遠野ハンナ【裁判長】
なんだか事態はよく分かっておりませんが、
【裁判長】の役割が、
わたくしに事件の知識と、するべきことを教えてくれます
206:遠野ハンナ【裁判長】
ミリアさんのことは心配ですけれど……
今は無性に、この小槌を叩いて『有罪!』と叫びたくてたまりませんの!
207:桜羽エマ【配信主/弁護人】
落ち着いてハンナちゃん!?
208:紫藤アリサ
これ「役に飲まれてる」のか、「疑われるストレスから解放されてハイになってる」のか、どっちだ……?
209:宝生マーゴ
どっちも、かしら
210:遠野ハンナ【裁判長】
ともかく!
検事側、準備はよろしいですか?
211:名無しの傍聴人
検事は……あー
212:名無しの傍聴人
キャーヒロちゃーん!
213:名無しの傍聴人
予想通りヒロちゃんだった
214:名無しの傍聴人
これ一筋縄ではいかないぞ……
215:二階堂ヒロ【検事】
…………。
216:名無しの傍聴人
?
217:名無しの傍聴人
ヒロちゃん腕組んで黙ってる?
218:桜羽エマ【配信主/弁護人】
ヒロちゃん……?
219:二階堂ヒロ【検事】
…………。
……新鮮な感覚だ。
220:二階堂ヒロ【検事】
事前に十分に証拠を確認し、十分に余裕をもって裁判に臨むのは。
221:名無しの傍聴人
笑うんだが
222:名無しの傍聴人
さすが全部の魔女裁判をぶっつけ本番で乗り切った女だ
面構えが違う
223:二階堂ヒロ【検事】
おおよその事情は先程スマホのやりとりを見て確認した。
それでも私は戦おう。
224:二階堂ヒロ【検事】
今の私は【検事】だ。
ならば正しくその役割を果たそう。
225:二階堂ヒロ【検事】
検察側、準備完了している。
手加減はしないぞ、エマ。
226:桜羽エマ【配信主/弁護人】
……!
227:遠野ハンナ【裁判長】
結構ですわ!
では弁護人、準備はよろしいですか?
228:桜羽エマ【配信主/弁護人】
えっと、できてない……って言っていい?
229:遠野ハンナ【裁判長】
ダメです。
230:二階堂ヒロ【検事】
ダメだ。
231:月代ユキ
ダメですよ、エマ
232:桜羽エマ【配信主/弁護人】
味方がいない……!
うう……準備、できてないけどできてます
233:遠野ハンナ【裁判長】
ではヒロさん、さっそく最初の証人を呼んでくださいますこと?
234:二階堂ヒロ【検事】
承知した。
事件の初動捜査を担当した刑事を入廷させる。
235:二階堂ヒロ【検事】
シェリー、入ってきてくれるかな。
236:名無しの傍聴人
シェリーちゃん!?
237:名無しの傍聴人
かわいいゴリラ妖精!
238:二階堂ヒロ【検事】
証人、名前と職業を。
239:橘シェリー【刑事】
ふっふっふー!
難事件の匂い! 高まりますねー!
240:橘シェリー【刑事】
この名探偵シェリーちゃんにお任せあれ!
241:二階堂ヒロ【検事】
シェリー、今の君は【刑事】だ。
証言をお願いするよ。
242:橘シェリー【刑事】
レストレード警部役ですね、了解です!
ユキさんのお話は聞いてました。
今度は命の危険なく、みんなでミステリが楽しめますね! やったー!
243:二階堂ヒロ【検事】
シェリー、証言を。
244:桜羽エマ【配信主/弁護人】
(いつものシェリーちゃんだ、安心した)
245:橘シェリー【刑事】
この難事件、スピード解決してみせましょう!
決定的な証拠をお見せします!
246:橘シェリー【刑事】
犯人はミリアさんです、間違いありません!!
247:システム
~決定的証拠~
248:橘シェリー【刑事】
事件現場を捜査したところ、死体のすぐそばにハンカチが落ちていました
249:橘シェリー【刑事】
実はー、このハンカチはミリアさんのものだったんです!
250:橘シェリー【刑事】
血痕もべったり! この血は被害者であるレイアさんのものです!
251:橘シェリー【刑事】
犯行の瞬間に落としたのに違いありません。うっかりさんですね
252:橘シェリー【刑事】
つまり、犯人はミリアさんです!
253:橘シェリー【刑事】
これが動かぬ証拠って奴ですね!
254:桜羽エマ【配信主/弁護人】
いきなり決定的な証拠で大ピンチになっちゃった……!
255:月代ユキ
シェリーは慌てん坊ですね
256:桜羽エマ【配信主/弁護人】
ど、どうしよう。
このままだとすぐに有罪になっちゃう
257:月代ユキ
いつもと同じですよ、エマ。
《法廷記録》を確認して、矛盾を指摘していきましょう
258:桜羽エマ【配信主/弁護人】
うーん……。
あ、そうだ。あのハンカチは、実はミリアちゃんのものじゃないとか……?
259:佐伯ミリア【被告人】
あれは間違いなく私のだよ
260:桜羽エマ【配信主/弁護人】
ミリアちゃん……まだ、ボクのこと思い出せない?
261:佐伯ミリア【被告人】
うん、ごめんね。
なんとなく、ここにいるみんなも見覚えはある気がするんだけど……
262:城ケ崎ノア
ミリアちゃん、大丈夫かな?
263:名無しの傍聴人
おじさん心配……
264:月代ユキ
ミリアは【入れ替わり】の魔法の影響か、
他の人より【役】に入り込んでいるみたいですね
265:月代ユキ
現実世界に戻れば、夢から覚めるように思い出すと思いますが……
266:佐伯ミリア【被告人】
私が……レイアちゃんを……
267:桜羽エマ【配信主/弁護人】
(……これがたとえ仮初の人形劇で、
【被告人】の役割が押し付けたものなのだとしても)
268:桜羽エマ【配信主/弁護人】
(いま、ミリアちゃんが怯えているのは、本当なんだ)
269:桜羽エマ【配信主/弁護人】
(ボクが、守ってあげないと)
270:桜羽エマ【配信主/弁護人】
(きっとミリアちゃんは犯人じゃない
なら、なにかあるはず
シェリーちゃんの証言を崩す矛盾が)
271:月代ユキ
ふふ、覚悟が決まったみたいですね、エマ
272:月代ユキ
見せてください。あなたたちの裁判を
あなたの隣で
273:システム
《蓮見レイアの検死結果》
死亡推定時刻は〇月×日19時50分。
死因はシャンデリアの落下による圧死。
274:桜羽エマ【配信主/弁護人】
――ちょっと待って!
シェリーちゃん、ハンカチは『犯行の瞬間に落とした』って言った?
275:橘シェリー【刑事】
そうです、レイアさんの死体のそばに落ちてました!
決定的な証拠ですね!
276:桜羽エマ【配信主/弁護人】
それは、違うと思う。
レイアちゃんの検死結果を見てほしいんだけど……
死因は、シャンデリアの落下なんだ
277:桜羽エマ【配信主/弁護人】
もし犯行の瞬間に現場にいたのなら、
ミリアちゃんも同じく下敷きになっていたはずだよ
278:橘シェリー【刑事】
……おおー、なるほど!
279:遠野ハンナ【裁判長】
たしかにその通りですわ
280:桜羽エマ【配信主/弁護人】
(……よし、これでいきなり有罪にされることはなくなったはず)
281:桜羽エマ【配信主/弁護人】
(でも、ヒロちゃんの表情……全然余裕そうだなぁ)
282:二階堂ヒロ【検事】
シェリー、証拠を出す順番を間違ったみたいだね。
まずは事件概要を説明してくれるかな。
283:橘シェリー【刑事】
むー、仕方ありません。
では、改めて説明しますね。
この――オペラ座館の殺人事件を!