82:かわいい字幕の魔法少女
――新入生代表、二階堂ヒロさん。
83:かわいい字幕の魔法少女
くるくると日常が回る。
ぐるぐると思考を回す。
84:かわいい字幕の魔法少女
エマ。
85:かわいい字幕の魔法少女
あの火事の中、彼女を見たのは、きっと偶然じゃない。
86:かわいい字幕の魔法少女
そもそも、始まりからしておかしかった。あれほどの火事が起きたというのに、周囲の民家はあまりにも静かすぎた。緊急通報があそこまでつながらないことがあるか?
誰も近づかせないように、何らかの仕掛けが施されていたとしか思えない。
この分では警察に通報したところで、まともに受け取られることはないだろう。
87:かわいい字幕の魔法少女
牛の怪物。
私の死。
あれは何だ? あんなもの、日常生活の中に我が物顔で登場していいものではない。ましてや一般家庭のリビングになど。悪い冗談だ。私のこの【死に戻り】と同様、あってはならない異物だろう。だいたいあの図体だ。どうやってあの家に入ったんだ、入らんだろう。
88:かわいい字幕の魔法少女
それに死体……少女が二人。
あの化け物は、私以外にも少なくとも二人殺している。
89:かわいい字幕の魔法少女
どう考えても近づくべきではない。
せっかく死ぬ前に戻れたのなら、知らぬふりをして距離を置くのが賢い選択というものだ。
だが……それは。
90:かわいい字幕の魔法少女
(ようやく掴んだエマの手がかりを、みすみす逃してなるものか。それは正しくない行いだ)
91:かわいい字幕の魔法少女
自分でも訳の分からない怒りが、あの死の恐怖を塗りつぶす。
92:かわいい字幕の魔法少女
同級生の少女が楽し気に、何かを話しかけてきた。
笑顔で返答できたと思う。できただろうか。なぜか少女はおびえたように、曖昧に笑って逃げてしまった。
私は軽く首を傾げた。
93:かわいい字幕の魔法少女
下校後、私はホームセンターに寄ることにした。
なにも無手で行くことはない。障害が分かっているのならば、対策を用意するのは至極当然というものだ。
94:かわいい字幕の魔法少女
……もっとも、あの化け物に有効な対策など、まるで思いつきはしないのだが。
95:かわいい字幕の魔法少女
不審火の報道を受けて商機とみたのか、防災コーナーが設けられていたのは幸運だった。
96:かわいい字幕の魔法少女
消火器……は、さすがに持ち運べない。妥協して簡易消火スプレーをカートに入れる。
バール、金槌、ヘッドライト。目を守る防塵ゴーグル。ケブラー繊維の防火手袋。耐熱性の安全靴に、燃えにくい素材の防災リュック。防毒マスクなんてものも棚に見つけて、次々カートに放り込む。
97:かわいい字幕の魔法少女
……さて。
早めに行こうか。