踏み台になりたい転生者のお話   作:一 八重

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前話の誤字報告が過去最多となりました。
誤字報告くださった皆さんありがとうございます。




vsカイル・ジャブルズ(1/2)

 

 準決勝で対戦する相手はカイル・ジャブルズという若干15歳という若さでプロデュエリストになった天才少年だ。ちなみに私はスポンサーがおらず、資金援助なども受けていないためアマチュアという扱いになる。

 

 カイル・ジャブルズの使用デッキは【HERO】だ。ペガサスミニオンではないけれど《D-HERO デストロイフェニックスガイ》などの未来のカードを使う。聞いた話によるとパックを剥いたら封入されていないはずのカードたちが出てきたのだとか。

 

 私と彼は今までに2回、公式大会で対戦したことがある。どうやらカイルは私と対戦するためだけにラスベガスからニューヨークに引っ越してきたらしい。素で『俺より強いデュエリストに会いに行く』をやってるヤベー奴である。

 

 私が知らない原作キャラクターの若い頃なのか、私と同じ転生者なのか、それとも原作とは何の関わりのないマークの同類なのか。これに関して私は未だに判別がついていないが、シェパードと同レベルの実力者なのは確かだ。

 

 

「お久しぶりです」

 

「2ヶ月振りくらい? ニューヨークの一次予選会場にはいなかったようだけど、どの会場から出てたの?」

 

「ラスベガスですよ。インダストリアル・イリュージョン社のある州の予選なだけあって、皆さんハイレベルなデュエリストでした」

 

「ラスベガスはインダストリアル・イリュージョン社のお膝元だもんね」

 

「ああ、いえ、ハイレベルだったのはジョークのセンスですよ。実力はニューヨークとあまり変わりませんでした」

 

 

 ちなみに彼がラスベガス州の一次予選から勝ち上がって来た理由は『予選でマリア・ハワードと対戦するのを回避してくれ』とスポンサーからお願いされていたかららしい。私としても彼と予選で潰し合わうことがなくてよかった。

 

 

「僕の先攻ですね。ドロー、スタンバイ、メインフェイズ。()()()()()()()発動するカードはありますか?」

 

「ありませんよ」

 

 

 この時代に後攻が妨害カードを手札から発動できるデッキはほぼない。本大会に出場した中では1回戦で敗退した【ティアラメンツ】とアイカワが使っていたらしい《無幻抱影》くらいだろう。

 

 

「《増援》を発動。デッキから《E・HERO エアーマン》を手札に加えます。その《E・HERO エアーマン》を通常召喚して効果(エフェクト)を発動。デッキから《D-HERO ディアボリックガイ》を手札に加え、コストとして捨てて《デステニードロー》を発動。デッキから2枚ドローする」

 

 

 ドローしたタイミングで動きが止まった。どうやら何かしら展開に寄与するカードを引いたようだ。

 

 

「《E エマージェンシーコール》を発動。デッキから《E・HERO シャドーミスト》を手札に加えます。《融合》を発動し、手札の《E・シャドーミスト》とフィールドの《E・HERO エアーマン》を墓地に送って《E・HERO エスクリダオ》を守備表示で融合召喚」

 

 

 これは《D-HERO デストロイフェニックスガイ》が出てくる流れかな。今の手札だと破壊までは可能だ。しかし、それでは意味がない。何故なら《D-HERO デストロイフェニックスガイ》は破壊され墓地に送られたタイミングで『次のスタンバイフェイズに墓地の「D-HERO モンスター」を選んで特殊召喚する』という効果を持っているからだ。

 

 

「墓地に送られた《E・HERO シャドーミスト》の効果でデッキから《D・HERO ディビジョンガイ》を手札に加える。《融合回収》を発動し、墓地の《E・HERO エアーマン》と《融合》を手札に加える。墓地の《D-HERO ディアボリックガイ》を除外して効果を発動。デッキから《D-HERO ディアボリックガイ》を特殊召喚。《融合》を発動。手札の《D-HERO ディビジョンガイ》とフィールドの《D-HERO ディアボリックガイ》を墓地に送り《D-HERO デストロイフェニックスガイ》を守備表示で融合召喚」

 

 

 知ってた。《D-HERO デストロイフェニックスガイ》はカイルのエースモンスターだ。初めて対戦した際、思わずブチ切れそうになったくらい驚いた。これを【ミーネウイルス】で完全に対処するのは非常に難しい。

 

 

「墓地の《D-HERO ディアボリックガイ》を除外して効果を発動。デッキから《D-HERO ディアボリックガイ》を特殊召喚。《D-HERO ディアボリックガイ》を対象に《マスクチェンジ》を発動。融合デッキから《M・HERO ダークロウ》を攻撃表示で特殊召喚。《神剣-フェニックスブレード》を発動、対象は《M・HERO ダークロウ》。これでターンエンドだよ」

 

 

 《マスクチェンジ》は2ヶ月前の対戦では使っていなかった。最近手に入れたのか、実は引けていなかったのか。《E・HERO シャドーミスト》はその頃にはデッキに入っていたから後者かな。

 

 

「ドロー」

 

 

 私の手札は《異次元の女戦士》《破壊輪》《ミスティック・ソードマンLv2》《黒蠍-棘のミーネ》《同族感染ウイルス》そしてドローした《激流葬》だ。私が先攻ならまだ何とかなったかもしれないけれど、はっきり言って勝てる道筋が見えない。

 

 

(今更だけどさ、なんで規制を受けた3期のデッキで、規制されてない未来のデッキと戦わなくちゃいけないんだろうね)

 

 私が未来のカードに頼らなかったのは、あれらのカードパワーが市販のパックから排出されるカードと比較して破格だからだ。彼らを操るのは不遜だと、反則だと考えたからだ。他の出場者に失礼だと思ったからだ。

 

 しかし、目の前に並べられたHEROたちはどうだ。カード・プロフェッサーたちがペガサスから盗み出したカードは? ふざけるのも良い加減にしろと言いたくなるほどカードパワーの差はなんだ?

 

 

『おちついてえー』

 

 

 ありがとう。ちょっとイラッとしちゃっただけだから大丈夫だよ。

 

 

『だいじょーぶー?』

 

 

 大丈夫だよ。

 

 

『よかったー』

 

 

 《ダーク・アームド・ドラゴン》のおかげで少し落ち着けた。ひとまず足掻けるだけ足掻いてみよう。

 

 

「スタンバイ、メインフェイズ。発動するカードはありますか?」

 

「ありません」

 

「《異次元の女戦士》を召喚。バトルフェイズに入りますが、発動するカードはありますか?」

 

「《D-HERO デストロイフェニックスガイ》の効果を発動します」

 

「チェーンはありません」

 

「《神剣-フェニックスブレード》と《異次元の女戦士》を破壊します」

 

「メインフェイズ2。カードを2枚セットしてターンエンドです」

 

「ドロー、スタンバイ、メインフェイズ。何か発動するカードはある?」

 

「ありません」

 

「墓地の《神剣-フェニックスブレード》の効果。墓地の《E・HERO エアーマン》と《E・HERO シャドーミスト》を除外して手札に戻す。チェーンはあるかな?」

 

「ありません」

 

「カードを1枚セットして《D-HERO デストロイフェニックスガイ》の効果を発動します。チェーンはありますか?」

 

「ありません」

 

「《神剣-フェニックスブレード》とデッキ側のセットカードを破壊します」

 

「《破壊輪》が破壊されました」

 

あれ《聖なるバリア-ミラーフォース》って規制されていたっけ?

 

 

 役に立たないことに定評のある《聖なるバリア-ミラーフォース》だが、この世界では制限カードに指定されている。禁止カードの多くは墓地肥やしやドローソース、セットカード破壊やバーンカード関係だ。攻撃反応系のカードに対する規制は少ない。というか《火炎地獄》や《革命》を禁止カードにしてるのに《破壊輪》や《停戦協定》を禁止カードにしてないのはなんでですか?

 

 

「《D-HERO デストロイフェニックスガイ》を攻撃表示に変更してバトルフェイズに入ります」

 

「何もありません」

 

「《M・HERO ダークロウ》でダイレクトアタック」

 

「ライフで受けます」

 

「《D-HERO デストロイフェニックスガイ》でダイレクトアタック」

 

「ありがとうございました」

 

「ありがとうございます。セットカードはなんだったんですか?」

 

「教えませんよ。まだ諦めてませんからね」

 

 

 マッチ戦で1セット目を落としたのは去年の天馬太陽戦以来になるけど、前世からストレート負けしたことがないのが密かな自慢なんだ。目にもの見せてやる。




マリア・ハワード
初手で敗北がほぼ確定していたチャンピオン。未来のカードを使う相手とばかり対戦していることに不満が爆発しかけたが、外付け精神安定装置DAMUDOのおかげで持ち直した。

カイル・ジャブルズ
アニメ遊戯王GXでそこそこ重要な立ち位置にいるのにデュエル描写が1回しかない人。使用カードが2枚しかOCG化されておらず、そのうち1枚は時系列的に使うわけにいかないため、デッキは完全にオリジナルのものになった。実は先攻ワンキルギミックが内蔵されている。
彼が誰か分かったら相当コアな遊戯王GXファンと言える。

ペガサス・J・クロフォード
大会開始前にマリアが自重を捨てていた場合の未来を聞かされていた男。シンクロの使用によって今以上に面倒な状況になることは何としても回避したかった。闇のゲームなう。

天馬夜行
自分がペガサスからカードを盗んだことになっているとマイコ・カトウから聞かされたラフ・ダイヤモンド。準決勝は優勢だが精神状態は最悪。ちなみに1セット目は落とした。

天馬太陽が使用したデッキは?

  • 【トゥーン】
  • 【サクリファイス】
  • マリアのコピーデッキ
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