致命的なプレミに気がついた時の絶望感は癖になるよな!
by大学時代の変わった先輩
サイドチェンジを終えた私は先攻を選択した。
「ドロー、スタンバイ。メインフェイズまでに発動するカードはありますか?」
「ないですよ」
手札は可もなく不可もなしと言ったところ。
初手に欲しかった《王宮の弾圧》は2枚も引けている。1枚は邪魔にしかならないけど、こういうこともあるよね。
「モンスターをセット。カードを5枚セットしてターンエンドです」
「ドロー、スタンバイ、メインフェイズ。発動するカードはありますか?」
「ないです」
「《魔力倹約術》を発動します。チェーンありますか」
「ありません」
「《ヒーローアライブ》を発動します》」
「チェーンして《王宮の弾圧》を発動します。800のライフを支払って《ヒーローアライブ》の効果を無効にして破壊します。チェーンはありますか?」
「チェーンして《ダブルサイクロン》を発動します。対象は《ヒーローアライブ》と《王宮の弾圧》です」
「チェーンして《魔宮の賄賂》を発動します」
「チェーンはありません。デッキから1枚ドローします」
てっきり《王宮の弾圧》対策に《王宮のお触れ》を積んでくるとばかり思っていたから、ここで《ダブルサイクロン》は予想外だった。7期のカードだから規制されていないのか。
「《増援》を発動します。チェーンはありますか」
「ありません」
「《E・HERO エアーマン》を手札に加え、そのまま召喚します。《E・HERO エアーマン》の効果を発動します。チェーンはありますか」
「ありません」
「《D-HERO ディアボリックガイ》を手札に加えます。《D-HERO ディアボリックガイ》を捨てて《デステニードロー》を発動します。チェーンはありますか?」
「ないです」
「カードを3枚セットしてバトルフェイズに入ります。《E・HERO エアーマン》でセットモンスターに攻撃です」
私の
「セットモンスターの《キラー・トマト》が戦闘破壊され墓地に送られたため効果を発動します。デッキから《キラー・トマト》を特殊召喚します」
「……ターンエンドです」
カイルは手札補充のあてが外れたって顔をしている。《王宮の弾圧》をなんとかしなければならない以上、手札を確保したい気持ちは分かるけどね。
「ドロー、スタンバイ。メインフェイズまでに発動するカードはありますか?」
「ありません」
「
「っ、チェーンはありません」
実は《王宮の弾圧》2枚と《魔宮の賄賂》以外は全てブラフの通常魔法カードだったりする。5枚もセットしたのはセットモンスターを《メタモル・ポット》だと誤認させて罠カードなのかブラフかの判別を困難にするためです。
ちなみに攻撃反応罠は制限カードの《聖なるバリア-ミラーフォース》を1枚だけ採用していますが、序盤に引けた試しがありません。さすが肝心な時に役に立たないことに定評があるカードなだけはあります。
「私からは《キラー・トマト》を進呈します」
「俺は《E・HERO エアーマン》を選択する」
「《E・HERO エアーマン》を生け贄に《氷帝メビウス》を召喚。効果でセットカード──デッキ側のセットカードとその隣のセットカードを破壊します。チェーンはありますか?」
「ありません」
「破壊したカードを確認させてください」
「《マスクチェンジ》と《融合》だよ」
「ありがとうございます。バトルフェイズに入ります。発動するカードはありますか?」
「ありません」
「《氷帝メビウス》で《キラー・トマト》に攻撃します」
「何もありません」
「戦闘破壊され墓地に送られた《キラー・トマト》の効果を発動します。デッキから《黒蠍-罠はずしのクリフ》を特殊召喚します。そのまま《黒蠍-罠はずしのクリフ》でダイレクトアタック」
「通ります。残りライフは……1800です」
「《黒蠍-罠はずしのクリフ》の効果を発動します。セットカードを破壊します」
「破壊されたのは《王宮のお触れ》です」
《王宮のお触れ》はカイル視点では《王宮の弾圧》に対応できる頼みの綱だったはずだ。それを破壊できたのは大きい。
「ターンエンドです」
「ドロー…………サレンダーするよ」
「ありがとうございました」
3セット目はカイルの先攻だ。1セット目と遜色のない盤面が作られると仮定した時、このデッキで対処できる可能性は低い。でも、あの盤面を今度こそは突破したい、打ち破りたい。そんな欲求があるのも事実だ。どうやら私も順調にデュエル脳になってきているらしい。
「ドロー、スタンバイ、メインフェイズ。このターン、発動するカードはあるかな?」
「ないですよ」
私の手札は思いに応えてくれたかのごとく上振れている。相手の盤面次第では後攻ワンキルすら狙えるほどの上振れだ。具体的には投入した精霊憑きのカード3枚が初手に来ている。これトップ操作した?
『してないよー』
『嫌われるのを分かっていてする阿呆だとお思いで?』
『俺たちをまとめてデッキに入れたからな。うまく混ざらなかったんだろうよ』
ならいいか。もしトップ操作されてたら何もかも放り出して衝動的にサレンダーしていたかもしれない。
『『『(絶対にしないでおこう)』』』
「《魔力倹約術》を発動。《ヒーローアライブ》を発動して《E・HERO エアーマン》を守備表示で特殊召喚。《E・HERO エアーマン》の効果でデッキから《D-HERO ディアボリックガイ》を手札に加える。《D-HERO ディアボリックガイ》を捨てて《デステニードロー》を発動。デッキから2枚ドローする」
《魔力倹約術》は《ヒーローアライブ》や《次元融合》のような重いライフコストを踏み倒せる永続魔法だ。アニメ遊戯王GXでは丸藤翔がこれを使って《次元融合》のコストを踏み倒していた。
「墓地の《D-HERO ディアボリックガイ》を除外して効果発動。デッキから《D-HERO ディアボリックガイ》を守備表示で特殊召喚する。《闇の誘惑》を発動。デッキからカードを2枚ドローして、その後に手札の闇属性モンスターを1枚除外する。俺は手札の《E・HERO シャドーミスト》を除外する。そして《フュージョン・ゲート》を発動だ!」
どうやらカイルの手札も上振れているようだ。予想される最終盤面を今の手札でどうやって突破するのか。カイルがモンスターを展開しているうちに脳を回す。
「《フュージョン・ゲート》の効果を使い、フィールドの《E・HERO エアーマン》と《D-HERO ディアボリックガイ》を除外して《E・HERO エスクリダオ》を守備表示で融合召喚。《次元融合》を発動。除外されている《D-ディアボリックガイ》2体と《E・HERO エアーマン》《E・HERO シャドーミスト》を全て守備表示で特殊召喚。《E・HERO エアーマン》と《E・HERO シャドーミスト》の効果を発動。デッキから《マスクチェンジ》と《E・HERO リキッドマン》を手札に加える」
手札がほとんど減らないな。空気を読め空気男。
「《フュージョン・ゲート》の効果でフィールドの《E・HERO エアーマン》と手札の《E・HERO リキッドマン》を除外し《E・HERO アブソルートZero》を融合召喚。《E・HEROリキッドマン》の効果でデッキからカードを2枚ドローして1枚捨てる」
「捨てたカードを確認していいですか?」
「《D-HERO ディバインガイ》です」
「ありがとうございます」
これだけ展開してもカイルの手札はまだ5枚ある。判明しているのは《E・HERO シャドーミスト》の効果で加えた《マスクチェンジ》のみ。冗談にもほどがある展開力だ。
「《フュージョン・ゲート》の効果を使い、フィールドの《ディアボリックガイ》2体を除外して《D-HERO ディストピアガイ》を守備表示で融合召喚。《D-HERO ディストピアガイ》の①の効果を発動。墓地の《D-HERO ディバインガイ》を対象に取って1600の効果ダメージを与えます。さらに《フュージョン・ゲート》の効果で手札の《D-HERO ディアボリックガイ》とフィールドの《D-HERO ディストピアガイ》を除外して《D-HERO デストロイフェニックスガイ》を守備表示で融合召喚します」
さらっと展開の中にバーン混ぜてきたな。これ《破壊輪》と併せてワンキルの流れだったりする?
「《E・HERO エスクリダオ》を墓地に送って《突然変異》を発動。融合デッキから《重爆撃禽 ボム・フェネクス》を攻撃表示で特殊召喚します」
私の残りライフは2400。カイルはフィールドにカードを8枚用意できれば《重爆撃禽 ボム・フェネクス》の効果で私に2400の効果ダメージを与えて先攻ワンキルが成立する。
カイルの手札は3枚。フィールドには《重爆撃禽 ボム・フェネクス》《E・HERO アブソルートZero》《D-HERO デストロイフェニックスガイ》《フュージョン・ゲート》《魔力倹約術》の5枚。仮にカイルの手札が全て魔法と罠だった場合、それらをセットされ《重爆撃禽 ボム・フェネクス》の効果を使われたら負ける。
「カードを
「残り300です」
セットされているカードは《マスクチェンジ》で確定だ。そして手札は『魔法でも罠でもなく、下級モンスターでもないカード』だ。既に《D-HERO ディアボリックガイ》は3枚使っているから、おそらく2枚目のフィールド魔法だろう。あれだけサーチとドローを繰り返せば引いてしまうのもむべなるかな。
「《フュージョン・ゲート》を墓地に送ってフィールドゾーンにカードを1枚セット。ターンエンドです」
やはりフィールド魔法だったらしい。わざわざセットしたのは私に《フュージョン・ゲート》を使わせないためか。抜け目がないように思えるが、勝利を目前にして少し冷静さを欠いているようにも見える。
何故なら、私のライフポイントを削り切れないのなら《重爆撃禽 ボム・フェネクス》は出すべきじゃなかったからだ。あの場面、私なら《M・HERO ダークロウ》を出していた。
「ドロー、スタンバイ。メインフェイズまでに発動するカードはありますか?」
「ありません」
「《D-HERO デストロイフェニックスガイ》を対象に《月の書》を発動します。チェーンはありますか?」
「…………ありません。《D-HERO デストロイフェニックスガイ》は裏側守備表示になります」
「《次元の裂け目》を発動します。チェーンはありますか?」
これが通ったら私の負けだ。しかし、私に勝ちたい気持ちが表情に出ている彼ならば《マスクチェンジ》で《M・HERO アシッド》を出して強引に破壊してくれると信じている。
「チェーンして《マスクチェンジ》を発動します。対象は《E・HEROアブソルートZero》です。チェーンはありますか?」
「ありません」
「《E・HEROアブソルートZero》を墓地に送って《M・HERO アシッド》を特殊召喚する。フィールドを離れた《E・HEROアブソルートZero》と特殊召喚した《M・HEROアシッド》の効果を発動する。チェーンはありますか?」
「ありません。《次元の裂け目》は破壊されます」
これで妨害を全て消費させることが出来た。
コストにしちゃうけどいいかな?
『このデッキと私は相性が良いとは言えませんからね。変態のコストにされるのは癪ですが、それも勝つためならば仕方ないことでしょう。変態のコストにされるのは癪ですが』
『へ、変態ちゃうわ!』
『たいへんへんたいー』
了承も取れたことだし後攻ワンキルと行きますか。
「手札からレベル5以上の闇属性モンスターを捨てて手札から《ダーク・グレファー》を特殊召喚します。手札から
「ありません」
「デッキから
「ありま──あ……」
「
カイルの敗因は《次元の裂け目》を除去したことだ。それに気がついたらしい彼の瞳からハイライトが消えた。どうやら心がポッキリと折れてしまったらしい。
「……サレンダー、します」
「グッドゲーム。対戦ありがとうございました」
「ありがとう、ございました……」
こうして私は準決勝を辛勝し、決勝へと駒を進めた。
『ぼくのでばんはー?』
そんなものはなかった。
マリア・ハワード
初登場の精霊をコストにした人。アブソルートZeroのせいで超リスキーな賭けに出ざるを得なくなった。
カイル・ジャブルズ
アニメ遊戯王GXに登場したDDの青年期
《次元の裂け目》を止めなければ《D-HERO デストロイフェニックスガイ》の墓地効果も使えなくなってしまうため《次元の裂け目》を反射的に止めた。プレミとは断言しにくいが、それでも敗着になったのは事実。
《マスクチェンジ》ではない方のセットカードは2枚目の《魔力倹約術》でした。
闇属性レベル5以上のモンスター
初登場でコストにされた可哀想な精霊
変態
ダーク・グレファーとも言う。
墓地肥やしを得意とする変態。
ダーク・アームド・ドラゴン
呪文を唱えたら相手がサレンダーしたため活躍する機会は生まれなかった。ちょっと拗ねた。
天馬夜行
準決勝を辛くも勝利したが、依然として精神的にはかなり危うい状態にある。マリアに勝てなければ死ぬくらいの覚悟がある。
次回はペガサス視点のお話になります。
更新は遅れるかもしれません。
天馬太陽が使用したデッキは?
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【トゥーン】
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【サクリファイス】
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マリアのコピーデッキ