月行vsペガサス編は本話で決着となります。
過去一短くなってしまったので、しばらくしたら前話と統合するかもしれません
「私のターン、ドロー!」
ドローしたのは《一時休戦》でした。お互いにデッキから1枚ドローし、次の相手のターン終了時までお互いが受ける戦闘ダメージと効果ダメージを0にする効果を持った通常魔法です。
「スタンバイフェイズ、メインフェイズまでに発動するカードはありますか?」
「ありません」
「手札から《一時休戦》を発動します。お互いにデッキから1枚ドローし、次の相手のターン終了時までお互いが受けるダメージを0にしマース。チェーンはありますか?」
「ありません」
「では1ドローして、ターンを終了します」
次のターンのドローフェイズで月行の残りデッキ枚数は8枚。場に残っている《魔導騎士フォルス》の効果で墓地の「魔導書」魔法カードをデッキに戻すことを計算に入れると9枚です。サーチやドローソースでデッキを更に削ってくれることを期待しましょう。
「ドローフェイズからメインフェイズまで進めます。墓地の《ルドラの魔導書》《セフェルの魔導書》《魔導書庫クレッセン》を除外して《魔導鬼士ディアール》を攻撃表示で特殊召喚します。そして除外ゾーンの《ルドラの魔導書》を対象に《アルマの魔導書》を発動して手札に加えます」
コストさえ用意できれば何度でも蘇生できる《魔導鬼士ディアール》はなかなかユニークなモンスターです。種族以外のステータスは《デーモンの召喚》と同じなのはテーマのパックストーリーで繋がりがあるのでしょうか。
「《グリモの魔導書》を発動します。デッキから《アルマの魔導書》を手札に加えます。《ルドラの魔導書》を発動します。手札の《ヒュグロの魔導書》を墓地に送って2枚ドローします」
これで月行のデッキ枚数は5枚になりました。わざわざ《ルドラの魔導書》でドローしたということは「魔導書」ではないカードを探しているようですね。
「墓地の《ルドラの魔導書》を対象にして手札の《アルマの魔導書》を公開してセットカードから《セフェルの魔導書》を発動します。手札の《アルマの魔導書》を墓地に送って2枚ドローします」
前のターンに伏せた3枚のうち1枚は《セフェルの魔導書》でした。そうなると残り2枚もブラフかもしれません。しかし、これで月行のデッキ枚数は彼のデッキが40枚構築ならば残り3枚になったはずです。
「《魔導書院ラメイソン》を発動します。墓地の《セフェルの魔導書》をデッキに戻して《魔導騎士フォルス》の効果を発動します。《魔導鬼士ディアール》のレベルを1攻撃力を500ポイントアップします。《昇霊術師ジョウゲン》を召喚。カードを3枚セットしてターンエンドです」
《魔導書廊エトワール》の魔力カウンターは5つ増えて16個になりました。ソリッド・ビジョンとして中空に映し出された攻撃力3600の《魔導騎士フォルス》と攻撃力4600の《魔導鬼士ディアール》から感じるプレッシャーはなかなかのものです。
そして《昇霊術師ジョウゲン》はお互いの特殊召喚を封じる永続効果を持ったなかなか厄介なモンスターです。《ラストバトル!》と併用して特殊勝利を狙うデッキが流行ったため、どちらも制限カードに指定されています。
「ドローフェイズ、スタンバイフェイズ、メインフェイズまでに発動するカードはありますか?」
「ありません」
「月行、デッキの残り枚数を教えてください」
「3枚です」
月行の手札は4枚。たった今ドローした《手札抹殺》を発動した場合、チェーンがなければ私の勝ちが確定します。なので月行はチェーンして《ラストバトル!》を発動するでしょう。今の私の手札にそれを回避出来るカードはありません。
「手札から《手札抹殺》を発動しマース!」
「っ!?」
「チェーンはありますか?」
「……月行?」
「チェーンは、ありません」
「《ラストバトル!》をセットしていたのではなかったのですか?」
「引ければ良かったのですけどね。どうやらカードに嫌われてしまっていたようです。これも自分で蒔いた種なのでしょう*1」
「……手札を2枚捨ててドローします」
「手札を4枚捨てて4枚ドローします。4枚目をドロー出来なかったため私の負けです。ありがとうございました」
「ええ、ありがとうございました」
月行の敗因は言うまでもなく勝ちを焦ったことです。おそらく前のターン、月行が《ルドラの魔導書》を使わなければ私に勝機はありませんでした。
「月行は分かっていると思いますが、罰ゲームを受けてもらいマース」
「はい、ペガサス様」
「……罰ゲーム!!」
ミレニアムアイの力で月行に与える罰ゲームは一時的な心神喪失状態です。この状況で病院に運ばれれば、大会運営業務を放棄した言い訳として通用するでしょう。私は信頼のおける部下を呼び寄せて月行を病院へと運ばせました。
(あとは月行の代わりに大会運営業務を遂行できる者を派遣すれば良いでしょう。月行が貸金庫から持ち出したカードは現在の所有者にエージェントを派遣して回収。拒否するようならば司法に手を回しましょう)
パラディウス社と繋がっている役員たちは私を排除しようと躍起になるでしょうが、彼らのウィークポイントは押さえてあります。不穏分子を排除するだけでなく、パラディウス社に対しても相応の出血をしいることも出来るでしょう。
「オーマイガー! 決闘盤にキズが!?」
月行から回収した決闘盤には小さなキズが付いていました。おそらく倒れたときに地面と接触したことでついたものでしょう。この程度の衝撃で壊れる心配がないことは聞かされていますが、これで動作不良が見つかれば相当額の賠償金を支払わなければなりません。
(しかし、ここまで私と月行が動いているというのにパラディウス社がこれといった妨害をしてこないのは気になります。彼らがインダストリアル・イリュージョン社の経営に干渉している理由も分かっていません。ただ善意だけでないことは確かですが……)
決闘盤という未来のテクノロジーを餌にして、隠れてコソコソと謀略を巡らせている彼らを炙り出す作戦。上手くハマればいいのですが……
天馬月行
バーンなどに負け筋があるのは分かっていたため《ラストバトル!》による早期決着を狙ったが、肝心のキーカードがデッキボトムから2枚目にあったため敗北した。《ラストバトル!》が引けていた場合は勝てていたため状況判断は悪くなかった。当初のプロットでは勝つ予定だったのにダイスの愉悦神に指差して笑われた男。
ペガサス
深読みしてセットカードを外すことに定評のある創造主。月行が《ラストバトル!》を引きに行かなかった場合は《手札抹殺》で引いた《御隠居の猛毒薬》を発動して勝てた。
月光に罰ゲームを与えた際にはめちゃくちゃ心が痛かった。よく考えたら罰ゲームせず一緒に会場に向かっても良かったことに気がつくまであと5分。
秘密結社D
デュエル・モンスターズが世界的に流行らないと困るからインダストリアル・イリュージョン社に出資している。乗っ取っる気はまだない。決闘盤からは金の匂いがするが、同時に厄介ごとの匂いもするので静観する。
秘密結社I
将来的に海馬コーポレーションが苦労することになるだけで、自分たちにはそこまで害はないことに気がついた。未来に対する重大な改変は今のところ見当たらないため静観の構え。