踏み台になりたい転生者のお話   作:一 八重

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誤字報告ならび対戦描写の間違いの指摘ありがとうございます

鮫島校長の英語名を間違えていた(ジャンはナポレオン教頭の英語名)ため適時修正しています。直っていない箇所があれば脳内変換してください。

評価が赤くなってて驚きました。
高評価ありがとうございます!


vs シェパード(2/4)

 

 1セット目の余韻も束の間、2セット目に向けてサイドチェンジを考える時間だ。

 

 

(相手デッキの性質的に腐りやすい《抹殺の使徒》2枚と《ミスティック・ソードマンLv2》は抜くべきだ。代わりに入れるカードは何がいいだろうか。そして最大の問題は《冥府の使者ゴーズ》に有効なカードがサイドデッキにないことだ)

 

 

 私の【ミーネウイルス】のサイドデッキは《奈落の落とし穴》《王宮の弾圧》が各3枚に《幻影の壁》と《次元の裂け目》《霊滅術師カイクウ》が各2枚。そして()()()()からメインデッキに入れていない厄ネタ(精霊憑き)カードが3枚だ。

 

 厄ネタを除けば私のサイドデッキのカードは【次元斬】【アビスコントロール】【変異カオス】*1のような予選までに使い手の多かったデッキ──前世で言うところの環境デッキ──への対策カードが大半だ。ぶっちゃけてしまうと未来のカードは想定すらしてなかった。

 

 

(《冥府の使者ゴーズ》に関してはプレイングで何とかカバーして、2セット目は役に立たないカードと入れ替えるだけにしておこう。《幻影の壁》を2枚と……《奈落の落とし穴》でいいかな)

 

 

 2セット目は1セット目で負けているシェパードに先攻後攻の選択権がある。彼は先攻を選択した。【サイバー】で先攻を選択したのは、単に私に先攻を渡したくないからだろうか。

 

 

「ドローフェイズからスタンバイフェイズ。何もないかな?」

 

「ないですね」

 

「ではメインフェイズ開始時に《大寒波》を発動。ターンエンドです」

 

 

 《大寒波》だけ使ってターンエンドしたと言うことは1セット目同様に《冥府の使者ゴーズ》を引いているのだろうか。

 

 今が令和の時代ならモンスター効果やダメージステップ時の特殊召喚を無効にできる効果を持ったモンスターを出して殴ればいいだけなのだが、この時代にそんな都合の良いモンスターは《死霊の騎士デスカリバー・ナイト》くらいだ。私のデッキには入っていない。

 

 

「ドロー、スタンバイ。メインフェイズに入ります。ここまで何かありますか?」

 

「ありませんよ」

 

 

 私の初手は《死のデッキ破壊ウイルス》《幻影の壁》《地砕き》《キラー・トマト》《破壊輪》だった。ドローしたのは《魂を削る死霊》という戦闘破壊されない効果と戦闘ダメージを与えた時にハンデスする効果を持った下級モンスター。

 

 このターンは《大寒波》の効果で魔法と罠を使えず、セットも出来ない。だから今のターンで出来ることは『モンスターを召喚して直接攻撃』か『モンスターをセットしてターンエンド』か『何もせずにターンエンド』の3択になる。

 

 

(アドバンテージだけを考えるなら《魂を削る死霊》で直接攻撃するのが最有力だ。ただシェパードの手札に《冥府の使者ゴーズ》があった場合は次のターンで最低でも2700の戦闘ダメージが確定する。もし手札に上級モンスターも持っているようならトークンを生け贄にして出されて負ける)

 

 

 前のターンに制限カードの《氷帝メビウス》と《人造人間サイコショッカー》を採用しているのを確認している。《サイバー・ドラゴン》は3枚

入っているだろうから、初手+1ターン目のドローで手札に《冥府の使者ゴーズ》と上級モンスター1枚以上を抱える確率は約22.7%以上だ。いくらハンデス効果でアドバンテージを稼げるとは言っても《魂を削る死霊》で直接攻撃するのはリスクが高い。

 

 

(直接攻撃するなら戦闘破壊された時に後続をリクルートできる《キラー・トマト》はどうだろうか。いや、これも相手の手札に《冥府の使者ゴーズ》と《異次元の女戦士》《異次元の戦士》《死霊騎士デスカリバー・ナイト》のいずれかがあったら負けてしまう)

 

 

 それぞれが3枚ずつ採用されていたら、返しのターンで負ける確率は《魂を削る死霊》で直接攻撃するよりも高い。だから《キラー・トマト》で直接攻撃するのもなしだ。ちなみに《幻影の壁》で直接攻撃する選択肢はそもそもない。

 

 

(あとはモンスターをセットする何もしないか。前のターンは《サイバー・ドラゴン》の特殊召喚を許してしまうから何もせずにターンを返した。今回は《サイバー・ドラゴン》だけなら問題ないモンスターを引けている)

 

 

 《キラー・トマト》と《幻影の壁》は《異次元の女戦士》《異次元の戦士》《死霊騎士デスカリバー・ナイト》を出されると1:1交換されてしまう。《魂を削る死霊》は《異次元の女戦士》《異次元の戦士》を出されると1:1交換されてしまう。そして《ミスティック・ソードマンLv2》を出されると一方的に効果破壊されてしまう。

 

 

(《ミスティック・ソードマンLv2》は3枚採用するようなカードじゃない。サイドチェンジで増やしたとしても2枚までだろう。そこに《増援》によるサーチも含めたとしても生き残る確率が最も高いのは《魂を削る死霊》だ)

 

 

 モンスターをセットする以上は《抹殺の使徒》を使われる可能性もあるけれど、それはどれをセットしても同じだ。

 

 

(前のターンの成功体験に引きずられて、何もせずにターンを返すのは相手の思う壺である可能性がある。5期のカードである《冥府の使者ゴーズ》が採用されているということは5期の環境デッキだった【未来オーバー】のギミックが採用されていても不思議じゃないんだ)

 

 

 前のセットで《サイバー・ドラゴン》を警戒して何もせずターンを返したのは《サイバー・ドラゴン》を出されると困る手札だったからだ。今とは似ているようで状況が異なる。

 

 

「モンスターをセットしてターンエンドです」

 

「今度はドローゴーしてくれないんだね。ドローフェイズからスタンバイフェイズ。メインフェィズまでに発動するカードはありますか?」

 

「ありません」

 

 

 おそらくセットモンスターが《サイバー・ドラゴン》を出すだけでは明確な有力を取れないモンスターであることはバレている。私がシェパードの立場なら、前のセットで見た《異次元の女戦士》を警戒する。

 

 

「《未来融合》を発動します。何かありますか?」

 

「ありません」

 

「融合デッキの《キメラテック・オーバー・ドラゴン》を公開して、デッキから《キメラテック・オーバー・ドラゴン》の融合素材に指定されているモンスターを墓地に送ります」

 

「墓地に送ったカードを確認させてください」

 

「どうぞ」

 

「ありがとうございます」

 

 

 《未来融合》の効果で墓地に送られたのは《サイバー・ドラゴン》が2枚と《サイバーオーガ》3枚の計5枚だった。《サイバーオーガ》は決して強いカードではないがアニメGXで鮫島校長が使用していたカードだ。何か思い入れのある特別なカードなのかもしれない。

 

 

「《オーバー・ロード・フュージョン》を発動。墓地の《サイバー・ドラゴン》2枚と《サイバーオーガ》3枚を除外して《キメラテック・オーバー・ドラゴン》を特殊召喚します。まずは特殊召喚に成功した時の効果を発動。《キメラテック・オーバー・ドラゴン》以外の私のフィールドのカードを全て破壊します。チェーンはありますか?」

 

「ありません」

 

 

 《キメラテック・オーバー・ドラゴン》はアニメ遊戯王GXで彼の弟子であるヘルカイザーが使用したカードだ。ヘルカイザーを止めようと戦った鮫島校長がこのカードを使うのは若干の違和感(解釈違い)を覚えるが、あれはヘルカイザーのデュエルに対する姿勢を矯正しようとしたのであって、使用するカードは関係なかったということなのだろうか。

 

 

「2000ポイントのライフを支払い《次元融合》を発動します。お互いに除外されているモンスターを可能な限り特殊召喚します」

 

「なっ」

 

「私は《サイバー・ドラゴン》2体と《サイバーオーガ》2体を特殊召喚します」

 

「……除去されているモンスターはいません」

 

 

 この世界だと《次元融合》のライフポイント2000のコストは採用を躊躇うくらい重い。だから3枚採用するなら《魔力倹約術》の採用が前提になる。シェパードのデッキはサイドデッキのことを考えたとしてもデッキ枠に《魔力倹約術》を入れる余裕はないだろう。だから《次元融合》の採用枚数は1枚ということになる。

 

 その虎の子を使ったということは勝負を決めに来ているということだ。つまりまだ何かある。

 

 

「《サイバー・ドラゴン》と《サイバーオーガ》を墓地に送ることで《キメラティック・フォートレス・ドラゴン》を融合召喚します。そして《キメラテック・フォートレス・ドラゴン》を生け贄に《突然変異》を発動するよ。何か発動するカードはあるかな?」

 

「ありません」

 

 

 《突然変異》はコストで生け贄にしたモンスターと同じレベルの融合モンスターをエクストラデッキ(融合デッキ)から特殊召喚する魔法カードだ。《サイバー・ドラゴン》をコストにすれば魔法無効効果を内臓した《魔人ダーク・バルター》やリバースモンスターに強い《デス・デーモン・ドラゴン》を出せる。

 

 生け贄された《キメラテック・フォートレス・ドラゴン》のレベルは8だから特殊召喚されるのは《サイバー・ツイン・ドラゴン》だろうか。

 

 

「《ガトリング・ドラゴン》を特殊召喚する!」

 

「えっ、それは──」

 

「ああ、元はキースさんのカードだよ。効果はもちろん知っているね?」

 

 

 《ガトリング・ドラゴン》はコイントスを3回行い、表の出た回数フィールドのモンスターを破壊する効果を持っている。全て裏で1枚も破壊出来ない可能性もあれば、相手フィールドのモンスターの枚数を超える回数の表が出て自分のモンスターを破壊しなければならなくなる可能性もあるギャンブル性の高いカードだ。

 

 ちなみに破壊するのが確定ではないため《我が身を盾に》のような破壊する効果をトリガーにするカードはチェーンできない。この世界には存在しないけど前世では《スターダスト・ドラゴン》の効果で無効に出来ないことでも知られていた。

 

 

「表、裏、表。セットモンスターと《サイバー・ドラゴン》を破壊してバトルフェイズに入ります。何か発動するカードはありますか?」

 

「ありません」

 

「《キメラテック・オーバー・ドラゴン》でダイレクトアタック」

 

 

 《キメラテック・オーバー・ドラゴン》の攻撃力は融合素材になったモンスター×800だから4000だ。私のライフポイントは一撃で吹き飛んだ。

 

 

「ありがとうございました」

 

「こちらこそ。3セット目も負けないよ?」

 

「返り討ちにしてみせます」

 

 

 《大寒波》《未来融合》《次元融合》《突然変異》と前世で禁止カードになったカードたち。それを操るのは今生で出会ったデュエリストの中で最上位クラスの使い手シェパード(鮫島校長)

 

 もはや解釈違いなどと言っている余裕はないのかもしれない。

*1
開闢と帝龍は禁止カード。《カオスソーサラー》は無制限。《サウザンド・サクリファイス》は普通にパックから出る。




シェパード
サイドチェンジで【アサイカリバー】+【未来オーバー】から【変異カオス】+【未来オーバー】にスイッチした。《サイバーオーガ》はお気に入りのカード。
本作のシェパード(鮫島校長)の実力はその気になればアニメ遊戯王GXの各シーズンのボスを倒せるくらいです。これはクロノス教諭が「校長は肝心な時にいないノーネ」と愚痴を溢していたシーンを『鮫島校長がいれば十代たちは必要ないくらい強い』とこじつけレベルの解釈をしてみたからです。
その結果「対戦相手も勝利も全力でリスペクトする。それが私のリスペクトデュエルです」とか言い出しそうな人になりました。
《ガトリング・ドラゴン》はキースとのトレードで手に入れたカード。シェパードからは《サイバー・ツイン・ドラゴン》をトレードに出しています。

マリア・ハワード
叔父さんのカードを出されて脳破壊(微)された。
自分が負けたら世界が崩壊すると本気で思っているので、追い込まれたことで信念を曲げることを決意した。

マーク
意識不明の重体で救急搬送された。2回戦は不戦敗。
このことをマリアはまだ知らない。

キースside(vsイリアステル編)の話は──

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