遊戯王において知識不足はプレミ
from初見のデッキに負け続けるデュエリスト
2セット目の後、私はサイドチェンジをしながらのふと疑問に思ったことを口にした。
「そういえばシェパードさんはサイバー流なのにサイコ流のカードも使うんですね。仲悪くありませんでした?」
「《人造人間サイコショッカー》は三次予選の最終戦で対戦したサイコ流の方から託されたんですよ。流派の方針とは少し異なりますが、私は他流派もリスペクトできるデュエリストでありたいと思っています。ここ半年ほどは他流派との交流を積極的に行い、この日のために切磋琢磨して来たんですよ」
それでいいのかサイバー流師範。しかし、予選で戦った相手から《人造人間サイコショッカー》を託されるとは、託す側もバレたらタダじゃ済まないよね。
「それは叔父さんの影響ですか?」
「そうですね。以前の私はあまりにも流派の理念に盲目的であったと今は思います」
アニメ遊戯王GXに登場する鮫島校長は『勝敗を軽視する対戦内容至上主義者』だ。他流派に対するスタンスまでは覚えていないけど、サイバー流はサイコ流とは不倶戴天と言ってもいいほど犬猿の仲だったはずだ。ここまで鮫島校長の性質が変容してしまって、遊戯王GXの原作は崩壊しないのか心配*1になってきた。
しかし、そんなことより目の前の3セット目に集中しなければシェパードたちに失礼だろう。集中しないと。
(とは言ってもサイドチェンジするカードは決まっているんだよね)
相手が墓地利用してくると分かれば《次元の裂け目》と《霊滅術師カイクウ》の採用はマストだろう。特に前者は先に発動してしまえば《大寒波》を使われても機能する点と永続魔法だから《人造人間サイコショッカー》で無効にされないところがいい。サイドデッキからは《次元の裂け目》と《霊滅術師カイクウ》をそれぞれ2枚と《奈落の落とし穴》を1枚入れることにした。メインデッキから抜くカードは《キラートマト》3枚と《強制転移》2枚でいいだろう。
(うおっ、眩しっ! いや、確かにお前を入れることも考えたよ? でも《次元の裂け目》と相性クソ悪いじゃん。それにモブに過ぎない私がお前みたいな規制経験カードをエースにするのは解釈違──分かった、分かったから目潰しはやめてっ)
というわけで
「ドロー、スタンバイ、メインフェイズ。モンスターをセット。カードを3枚セットしてターンエンドです」
「ドローフェイズからスタンバイフェイズ。メインフェイズまでに発動するカードはありますか?」
「ありません」
「《サイバー・ドラゴン》を特殊召喚します。何かありますか?」
「ちょっと考えさせてください」
「いいですよ」
まずは《大寒波》を使われなかったことに安堵する。そして《サイバー・ドラゴン》を特殊召喚した後のパターンとして考えられるのは『下級モンスターを召喚する』『上級モンスターを生け贄召喚する』『《未来融合-フューチャー・フュージョン》を発動する』『このままバトルフェイズに入る』の4パターン。
私のセットカードは《クリッター》《死のデッキ破壊ウイルス》《サンダーブレイク》《奈落の落とし穴》の4枚。ここは《奈落の落とし穴》か《死のデッキ破壊ウイルス》を使いたい場面だ。問題はどちらを使うか。
ここは《人造人間サイコショッカー》を警戒してピーピングハンデスをするべきかな。《未来融合-フューチャー・フュージョン》+《オーバーロード・フュージョン》のコンボは《未来融合-フューチャー・フュージョン》を《サンダー・ブレイク》で除去すればいいだろう。
「《クリッター》を生け贄に《死のデッキ破壊ウイルス》を発動します」
「チェーンはありません。フィールドの《サイバー・ドラゴン》は破壊されます。手札は《増援》《未来融合-フューチャー・フュージョン》《氷帝メビウス》《オーバーロード・フュージョン》《サイバーオーガ》です。《氷帝メビウス》と《サイバーオーガ》が破壊されますね」
これはマズいかも知れない。《未来融合-フューチャー・フュージョン》と《オーバーロード・フュージョン》が手札にあるだけでも厄介なのに《未来融合-フューチャー・フュージョン》を発動せずとも《オーバーロード・フュージョン》が使えるようになってしまった。それに加えて《増援》まである。今の私のセットカードで全てに対応するのは無理だ。
「効果解決後に《クリッター》の効果を発動します。デッキから《幻影の壁》を手札に加えます」
「効果を確認させてもらっていいかな?」
「もちろんです。どうぞ」
《幻影の壁》の守備力は1850ある。《死のデッキ破壊ウイルス》の適用下で戦闘破壊するのは難しいカードだ。また相手から攻撃された時に戦闘を行なった相手モンスターを手札に戻す効果も持っている。これで《キメラテック・オーバー・ドラゴン》は出しにくくなったはずだ。
「優秀な壁モンスターだね。《死のデッキ破壊ウイルス》のコストにもなる攻撃力なのも良い。これは困ったな。少し考える時間をくれるかい?」
「もちろんです」
シェパードの手札は《増援》《未来融合-フューチャー・フュージョン》《オーバーロード・フュージョン》の3枚。私のセットカードは《奈落の落とし穴》《サンダー・ブレイク》の2枚。
ポーカーフェイスを心掛けてはいるけれど《サイバー・ドラゴン》を出された時に長考してしまったのは失敗だった。前もって対応を決めておくべきだったのだ。おそらく召喚反応系またはフリーチェーンのカードがあることはバレているだろう。
「《オーバーロード・フュージョン》を発動します。チェーンはありますか?」
「ありません」
「墓地の《サイバー・ドラゴン》《サイバーオーガ》を除外して《キメラテック・オーバー・ドラゴン》を特殊召喚します。特殊召喚に成功した時に発動するカードはありますか?」
「《奈落の落とし穴》を発動します」
「チェーンはありません。《未来融合-フューチャー・フュージョン》を発動します。チェーンはありますか?」
「チェーンして《サンダー・ブレイク》を発動。コストとして《黒蠍-罠はずしのクリフ》を捨てます」
これでシェパードの残る手札は《増援》のみ。《DDアサイラント》では《幻影の壁》を突破できない。サーチされるのは《幻影の壁》を処理できる《異次元の女戦士》のはずだ。いくら裏側守備表示モンスターを処理できる効果を持っていても、手札が《増援》だけで相手の場が空な状況では低攻撃力の《ミスティック・ソードマンLv2》はサーチしづらいだろう。
「《増援》を発動するよ。チェーンはあるかな?」
「ありません」
「《異次元の女戦士》を手札に加えます。そのまま召喚。バトルフェイズに入ります。何か発動するカードはありますか?」
「ないです」
「《異次元の女戦士》でダイレクトアタック」
「1500受けて残りライフは2500です」
「ターンエンドです」
「ドロー、スタンバイ、メインフェイズ」
私の手札は3枚。《死のデッキ破壊ウイルス》と《クリッター》のおかげでアドバンテージは稼げている。ドローしたカードも決して弱くはない。
「モンスターをセットしてターンエンドです」
次のターン。《異次元の女戦士》が効果を使うかどうかが勝敗の分水嶺になりそうだ。
「ドローフェイズ。私がドローしたのは《死者蘇生》です。スタンバイフェイズ。メインフェイズまでに発動するカードはあるかな?」
「ありません」
「バトルフェイズに入ります」
シェパードの墓地には攻撃力2400の《氷帝メビウス》がいるが《死者蘇生》は使わないようだ。《氷帝メビウス》を特殊召喚してもトドメを刺さないからだろう。
「《異次元の女戦士》でセットモンスターに攻撃」
「セットモンスターは《闇の仮面》です。リバース効果を発動します。対象は墓地の《奈落の落とし穴》です」
「《異次元の女戦士》の効果は使いません。ターンエンドです」
このプレイングミスは責められない。このターン、シェパードは《異次元の女戦士》の効果を使うか《死者蘇生》で《黒蠍-罠はずしのクリフ》を特殊召喚するべきだった。
「ドロー、スタンバイ、メインフェイズまでに発動するカードはありますか?
「ないよ」
「
3500文字前後に収められなかったので区切りました。
墓地闇3体くん
マリア・ハワードに憑いた最初の精霊。マリアがモブを自称して強力なエースと呼べるモンスターや未来のカードを使用することを躊躇っているため普段はサイドデッキでお留守番している。
シェパード
サイコ流だけでなく、他流派にも一定の敬意を払っているリスペクトの化身。それもあって他流派からも彼を慕うデュエリストは多い。墓地闇3体くんの存在を知らない。精霊は
マリア
自分をモブだと認識している全米チャンピオン。モブは精霊憑きのカードなんて使わないし、未来のカードも使わない。だから自分もそれらは使うべきではないと戒めている。精霊を認識できる時点でモブじゃないということに気がついていない。
マーク
背後から撃ち込まれた銃弾6発を摘出するための手術を受けている。
ペガサス
マリアの事情を全て把握している人。軟禁先から抜け出し大会会場に向かっている。
キースside(vsイリアステル編)の話は──
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要る。
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要らない。