試合中に大きな音を立ててはいけません
from大会会場で防犯ブザーを鳴らされたデュエリスト
※迷子の子に声を掛けただけです。
「
わかりやすいように墓地のカードを広げて墓地の闇属性モンスターが3枚であることを示す。《死のデッキ破壊ウイルス》のコストとして生け贄になってた《クリッター》と《サンダー・ブレイク》のコストとして手札から捨てられた《黒蠍-罠はずしのクリフ》と《異次元の女戦士》に戦闘破壊された《闇の仮面》の3枚。
「この条件を満たしたことで私は手札から《ダーク・アームド・ドラゴン》を特殊召喚します」
『GRAAAAAAAAAR』
普段はサイドデッキで留守番しているから、こうして出番が来たことでテンションが上がってるんだろう。フィールドにはカードの上からはみ出ない程度まで小さくなった《ダーク・アームド・ドラゴン》の精霊がパタパタと翼をはためかせている。デフォルメ化されてて可愛い。
でも人によっては原因不明の恐慌状態を引き起こしたりするんだから咆哮なんてせず静かにしててね。対戦中の過度な威嚇行為は反則負けの可能性だってあるんだよ。
『うん。ごめんなさい』
よろしい。
「効果を確認しても、いいかな?」
「もちろんです」
シェパードには《ダーク・アームド・ドラゴン》の姿は見えていないようだ。しかし、彼の放つ圧力は感じている様子。もしかしたら遊戯王GXが始まる頃には精霊が見えるようになっているかもしれない。
「ボードアドバンテージを得る能力とフィニッシャーに相応しい攻撃力を兼ね備えたモンスターですか。まさにチャンピオンのエースに相応しいモンスターですね」
「ありがとうございます。では墓地の《闇の仮面》を除外して《ダーク・アームド・ドラゴン》の効果を発動します。対象は《異次元の女戦士》です」
「チェーンはありません」
『ばーんっ!』
ここで攻撃力1300以上のモンスターを召喚できれば私の勝ちなのだけど、残念ながら私の手札にあるカードは攻撃力1000の《幻影の壁》と《闇の仮面》の効果で回収した《奈落の落とし穴》と今のターンにドローした《月の書》だ。トドメは刺せない。
「《幻影の壁》を召喚。バトルフェイズに入ります」
「どうぞ」
「《幻影の壁》《ダーク・アームド・ドラゴン》の順でダイレクトアタック」
『ちゅどーん!』
「どちらも受けます。残りライフは300です」
攻撃力の低い《幻影の壁》を召喚した理由は次のターンに《ダーク・アームド・ドラゴン》が処理された場合に備えてのものだ。特に《破壊輪》をドローされた場合、この勝利がほぼ確定した盤面を引き分けにされてしまう。
「メインフェイズ2。カードを2枚セットしてターンエンドです」
今更だけど《闇の仮面》の効果で《奈落の落とし穴》を選んだのは失敗だったかもしれない。手札コストを嫌ったわけだけど、シェパードがトップ解決した場合の対応力を考えると《サンダー・ブレイク》の方が優れている。
「ドローフェイズ、スタンバイフェイズ。メインフェイズまでに発動するカードはありますか?」
「ありません」
「手札から《死者蘇生》を発動します。対象は墓地の《異次元の女戦士》です」
「チェーンはありません」
「守備表示で特殊召喚します。特殊召喚に成功したときに発動するカードはありますか?」
「《奈落の落とし穴》を発動します」
「チェーンはありません」
「カードを1枚セットしてターンエンドです」
シェパードの眼はまだ死んでいない。ここからでも逆転できる可能性があると本気で信じている眼だ。
「ドロー、スタンバイ、メインフェイズまでに発動するカードはありますか?」
「ありません」
シェパードの場にはセットカードが1枚あるのみ。まだ勝負を諦めていない様子から逆転の一手となるカードか攻撃を凌ぐカードだろう。最も警戒しなければならない《破壊輪》は《月の書》で対応できるけれど、ここで除去しない選択肢はない。
「墓地の《黒蠍-罠はずしのクリフ》を除外して《ダーク・アームド・ドラゴン》の効果を発動します。対象はセットカードです。チェーンはありますか?」
「チェーンします。ライフを半分支払って《異次元からの帰還》を発動します。チェーンはありますか?」
「ありません」
「《サイバー・ドラゴン》《サイバーオーガ》《異次元の女戦士》を守備表示で特殊召喚します」
『ばーんっ!』
前のターンに《死者蘇生》で《異次元の女戦士》を特殊召喚したのは私に《奈落の落とし穴》を使わせるためだったようだ。もし《奈落の落とし穴》を使わなかった場合も今と大差ない盤面になっていただろうことを考えると《奈落の落とし穴》を使ったのは私のミスだと言える。
『そんなことないよー』
ありがとう。でも効果の発動や攻撃のたびに擬音語でそれっぽいこと言うのやめようね。その度にシェパードがビクッとしてるじゃん。たぶん彼は精霊の姿は見えないけど何かいることは感じ取れるタイプの人だよ。
『(怒った時のマリアの殺気よりマシだよー)』
「(無視)《幻影の壁》を守備表示に変更します。ターンエンドです」
「《サイバー・ドラゴン》《サイバーオーガ》《異次元の女戦士》はエンドフェイズに除外されます」
ちなみに今のターンに引いたのは《月読命》だ。召喚する意味もセットする必要性もないから場には出さない。せっかくなら《キメラテック・オーバー・ドラゴン》を出された3ターン目に引きたかった。
「ドローフェイズからスタンバイフェイズ。メインフェィズまでに発動するカードはありますか?」
「ありません」
「カードを1枚セットしてターンエンドです」
シェパードの目は死んでいない。それどころか気を抜いたら気圧されそうなプレッシャーさえ感じる。逆転の一手となるカードを引いたんだろう。おそらくは《破壊輪》だ。この時代にそれ以外の逆転の一手となるようなカードは思いつかない。
「ふぅ……ドロー、スタンバイ、メインフェィズまで」
「ドローフェイズに《ダーク・アームド・ドラゴン》を対象に《破壊輪》を発動します。チェーンは……《月の書》はありますか?」
「あります。チェーンして《ダーク・アームド・ドラゴン》を対象に《月の書》を発動します」
「はは、伏せてありましたか。《破壊輪》は不発になります」
『こ、怖かったぁ……』
「メインフェィズ。《ダーク・アームド・ドラゴン》を反転召喚してバトルフェイズに入ります。《ダーク・アームド・ドラゴン》でダイレクトアタックです」
「……対戦、ありがとうございました」
「ありがとうございました」
『ありがとうございました!』
これほど心の底から嬉しく思う勝利はいつ振りだろうか。反則級の切り札である《ダーク・アームド・ドラゴン》を使っても、どこかで歯車がズレていたら負けていた可能性もあった試合。
原作キャラクターの強さはこうでなくちゃ!*1
「敗着となったのは《異次元の女戦士》で《闇の仮面》を除外しなかったことでしょうか」
「確かに敗着はそれですね。でも私が公式戦で《ダーク・アームド・ドラゴン》を使うのは今回か初めてなので、警戒しろというのも無理な話だと思います」
「《ダーク・アームド・ドラゴン》はとんでもない隠し玉でしたね。あれが場に出た瞬間、まるで目の前に本物のドラゴンが現れたかのようなプレッシャーを感じましたよ」
「は、ははは……キノセイデスヨ」
『気のせいじゃないよ?』
試合中に何を考えていたかや、気になったプレイングについて互いに意見を交わしながらステージを降りた私たちの元に1人の大会スタッフが駆け寄って来た。
「すいません、少々問題が発生しまして。この後に行われる予定だった
「問題? 何かトラブルがあったんですか?」
「マーク選手とアイカワ選手が何者かに襲われました。両名とも重傷を負って緊急搬送、2回戦は不戦敗となりました」
「なんだって!?」
私の3回戦の相手はアイカワ選手と【剣闘獣】を使うマイコ・カトウのそっくりさんの勝者になる予定だった。アイカワ選手はシェパードと同じサイバー流のデュエリストだ。彼が不戦敗というのとはマイコ・カトウのそっくりさんが次の相手になるのだろう。
「私は2人の様子を見に病院に行くけど、マリアちゃんはどうする?」
「私もマークの様子を見ておきたいのでご一緒させてください」
「もちろんだとも」
そんなわけで私たちは2人が搬送された病院へと移動した。
天馬某
難敵が不戦敗になったことに歓喜している。
ふふはははははっ! 天は私に味方している!
マイコ・カトウ
アイカワに勝てないと思われてたってことかい?
ふざけんじゃないよ!
この後で天馬某の控え室に押しかける。
マーク
手術は無事に終了。現在は麻酔で眠っている。
デッキは襲撃者に奪われたため棄権せざるを得ない。
アイカワ
何者かに襲われ骨折と全身打撲を負った。
使用デッキは【マシンナーズ】+【未来オーバー】
デッキは襲撃者に奪われたため棄権せざるを得ない。
ペガサス
現在は移動中。その懐には彼女が前世で使用していたデッキと同じものが入っている。
キースside(vsイリアステル編)の話は──
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要る。
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要らない。