神様転生させられたオリ主がセカイで自分の想いを見つける話   作:多重次元世界の研究者(自称)

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 暇潰しがてら幽雨君の名前で姓名診断やったみたら結果ひどくて笑っちゃいました。

 あ、お久しぶりです。



2話 幻在(げんざい)

 

 

 

 

 翌日、俺は満天の星空が広がる学校の屋上に立っていた。

 

(・・・どうしてこうなった)

 

 そんなことを考えても意味はない。

 軽く経緯を説明しよう。 司がやかましいので屋上に避難してたらテトが着信音鳴らしてきて、スマホを手に取ったら唐突に

『ユウ、召集の時間だよ』

 と言われセカイに連れてこられた。 そのままテトに背中を押され、そして水溜まりの上に立った瞬間世界が180°裏返る感覚がした後ここに立っていた。

 以上。

 

 ワケがわからない。 クトゥルフならSANチェックものの案件だが、事前知識としてセカイについて知ってるせいでいたって冷静である。 一応、帰り方は知ってるから帰ろうと思えば帰れるんだけど・・・。

 

『・・・(ニコニコ)』

 

 スマホの画面にいるテトが無言ですごく圧のある笑顔を浮かべている。 今帰ったら絶対ロクなことにならない。

 

(けどなぁ・・・)

 

 ここにいても同じく碌なことにならないんだよな。

 ここは“教室のセカイ”の屋上、つまりLeo/need、一歌達のセカイである。 そしてここに呼ばれたということは一歌達も同じくこのセカイにいるであろうことは想像に難くない。

 

「テトが言ってたのはこういうことか」

 

《そういうこと。 これなら現実世界で直接会うより簡単だろう?》

 

「かなりの荒療治だけどな・・・。 ところでなんで直接脳内に話しかけてるんだ?」

 

《僕・・・というより、君のセカイは特殊すぎてね。 他のセカイの住人に存在を認知されると色々面倒なんだ。 というわけだから、僕への返答は心で念じてくれたまえ》

 

(・・・こうか?)

 

《そうそう。 僕はこっちじゃなるべく干渉は控えるから、なにかあったらまた聞きたまえ。 ほら、行った行った》

 

 画面の向こうで満足そうに頷いたテトにそう促され、渋々扉から校舎に入る。 ・・・冷静に考えたら、どこに行けば一歌達と会えるのかがわからないな。 教室の場所知らないし。

 早速テトに聞こうとしたが、遠くの方から微かに歌声が聴こえてきたことで皆がそれに導かれて邂逅したことを思い出す。 不本意だがそちらへ向かっていると、廊下で懐かしい顔触れとエンカウントした。

 

「・・・もしかして、幽雨!?」

 

「え、ゆーくん!?」

 

 星乃一歌と天馬咲希、実に三年振りの再開である。 多分もうそろ志歩と穂波も合流するだろう。 さて、どう反応するべきだろう。

 A、普通に挨拶する

 B、忘れてるフリをする

 C、軽く返事をして目をそらす

 

「・・・あぁ。 久しぶりだね、一歌、咲希。 もう、会うつもりなかったんだけどな

 

 選択したのはCである。 瞳をそらして呟いた一言は意図的にギリギリ聞こえる声量で言ったため、一歌の表情が曇ったのを見逃さなかった。

 美しいね。

 閑話休題(それはさておき)

 

「それで? ここがどこなのか、四人は知ってる? 俺は気がついたら異空間にいたワケなんだけど」

 

「「四人・・・?」」

 

 俺がそう言うと、どこか気まずそうな表情をした二つの人影が廊下の角から現れる。

 

「「・・・」」

 

「志歩、穂波!?」

 

「二人もここに来てたんだ!」

 

「う、うん・・・。 私は気がついたらここにいて、それで歌声が聞こえてきたからそこに向かってる途中に志歩ちゃんと会ったの」

 

「穂波に同じく。 だから幽雨の質問は私達も知らない」

 

「それじゃあ、とりあえず歌の出所まで行ってみよう。 皆もそれでいい?」

 

 一歌の提案に全員が首肯し、一歌を先頭に音を辿る。

 そしてたどり着いた場所は他とさほど変わらない教室の一つだった。

 

「・・・歌はこの教室から聞こえてる。 ・・・開けるよ」

 

 俺を除く全員が少し身構えながら扉の先を見る。 そこにいたのは、初音ミク。 ただし、その姿はみんながよく知るミクとは少々異なっていた。

 

「・・・いらっしゃい、四人とm───待ってなんか一人多いんだけど

 

 どうやら俺はイレギュラーな存在らしい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 幽冥(ゆうめい)のセカイ(仮称)にて。

 幽雨が水溜まりの上に立ち教室のセカイへと行った後。 その場には幽雨と瓜二つの少女が立っていた。

 

「・・・これ、どういう原理?」

 

 彼女、夜帳 冥衣は水面に映る幽雨を眺めながら一言問う。

 

「なんで君たちは揃いも揃っておんなじ質問をしてくるかなぁ?」

 

「双子だもの、仕方ないじゃない」

 

 あからさまにめんどくさそうな表情をしたテトにそう返すと、ため息をついた後に口を開いた。

 

「そんなこと、わざわざ聞かなくても()()()()はずだろ?」

 

「えぇ、そうね。 だからワタシの質問はそっちじゃなくて。 ・・・どうしてワタシが()()()()()()()()()()()()()()()のか」

 

「あー、そっちか」

 

 テトは合点がいったというように演技じみた頷きをすると、どこか遠くを眺め始めた。

 

「最初に来た時は動揺してた上に、即効で()()に引っ込まされて深層に閉じ込められたから聞けなかったけれど、そもそもワタシが自分の姿で存在していることなんてありえないの。 ということで、納得のいく説明を求めます」

 

「納得のいく説明って言われてもなぁ・・・。 “セカイ”がそういうモノ、としか言えないね。 そもそも、バーチャルシンガーの僕がこうして肉体を持っている時点で何でもありみたいなものだろ?」

 

「・・・はぁ、はぐらかされてる感じでもなさそうね」

 

 ・・・さて、さっきからワタシが言っていることがどういうことなのか、少し身の上話でもしましょうか。

 

 ワタシ、夜帳 冥衣は既に死亡している。 死因は交通事故・・・らしい。

 “らしい”だなんて曖昧なのは、ワタシにそれ()に関する記憶が存在しないから。

 

 では、今ここにいるワタシは何者なのか。

 ・・・ワタシの原初は、()()()()()()()()()()()()()()()()() ()()()()()()()()()()

 ユウはその幻覚と会話し、記憶を想起し補完して、そうして夜帳 冥衣が擬似的に再現された。

 やがてその幻覚には投影された人格が宿り、いつしか自我までもが生まれ、“彼女”の虚構をユウに映し続ける役割を背負わされた存在として確立。

 

 夜帳 幽雨から生まれた別人格

 それが今のワタシ、夜帳 冥衣である。

 

「・・・ところで、ワタシがスマホでUntitledの再生を停止したらどうなるの? ユウごと現実(向こう)に戻される?」

 

「いや、君は本体じゃないから、ユウの中に強制送還されるだけだね。 あとついでに、スマホは単体で現実世界に戻るよ」

 

 ・・・それは困るわね、聞いておいてよかった。

 しかしこの感じだと、ワタシが単身でセカイに来ることはできなそうかしらね。 まぁそれは特段問題ないか。

 セカイの中だと分離されるのは都合がいいわね。 普段はユウの中から離れることが物理的に不可能だから、ユウが学校にいる間とかは一言も発することができなくて不便不便。

 

 そういうワケだから、ユウの手前サボったとは言ったものの、実態はそもそも学校に行くことができないというのが正解だ。

 その一方、ワタシの学生証はまだ有効で生徒として普通に校門をくぐることができる。 実際に、ユウの単位に影響が及ばない範囲ではあるものの、時たま登校だってしてる。

 

 違和感を持たれることはない。 双子だから顔は同じ。 声もユウとほとんど同じだから、少し調声すれば簡単に誤魔化せる。

 メタフィクション的に言うのなら、声帯(声優)が同じと言えばわかるかしら。 鏡音の二人が同じ声帯であるように、ね。

 あとはウィッグとカラコンで髪と瞳の色をワタシにすれば、誰も正体に気付くことはない。

 

『あ、冥衣! 怪我は大丈夫? 交通事故に遭ったって・・・!』

 

『あはは、まだ万全には程遠いわね。 おまけに事故の影響か、軽い記憶喪失になっちゃったらしいの。 だから、もしかしたらこれからワタシと話してて違和感を感じることがあるかもしれないわ・・・』

 

『そんな・・・っ! ・・・ううん、それでも、無事でよかった』

 

 冥衣として宮益坂に登校した日、一歌が真っ先に来てこうして心配してくれた。

 それからクラスメイトの皆も、志歩も、穂波も。 この日だけは、純粋な感情だけが伝わってきた。

 オリジナルも今のワタシも、無事とは程遠いのが悲しいけれどね。

 

「そうだ。 ねぇテト、この水面にはどこまで映し出せるの?」

 

「そうだな・・・。 基本は“セカイの繋がり”を導線にしてるから、君たちのこれまでの過去と、彼女達のセカイに関連する記憶。 それから“教室のセカイ”の想いの持ち主達をリアルタイムでライブモニターする。 このくらいだね」

 

「・・・そ、ありがと」

 

 薄々察してはいたけど、なんでもかんでも映せるワケではないみたいね。 しかし、思ってたよりも制約がしっかりと線引きされてる。

 

「さては君、ユウが投影できなかった記憶を補完しようとしてたな?」

 

「チッ、なんでわかるのよ」

 

「わかるさ。 何せ今の君は、ユウからのフィードバックだけで自身を形成してる。 それが起因で生まれる齟齬で違和感を持たれないか不安で仕方ないこともね」

 

 ・・・これが今のワタシの欠点。 ユウが見たこと、聞いたこと、感じたことだけで造られている冥衣は、必ずしも他者から見たワタシと同一であるとは限らない。

 ユウも、常に冥衣といたワケではないからね。

 

 だから記憶喪失と言う必要があったの。 こう言っておけば、知らない出来事も覚えてないで済ませられる。

 

 ・・・さて、冥衣の死を知らない人間にはそうして偽っているけれど、知っている人間だっている。

 人が一人死んでいるのだから当然よね。

 今のワタシ達は、ワタシのオリジナルが他界したことを知っているヒトから見れば気が狂ったとしか見えない。

 虚空に話しかけ、あるはずのない人間を幻視し、終いには自身がその故人を演じる姿を見た人間が取る行動は、どうにかして元に戻そうとするか縁を切るかの二択だろう。

 

 ・・・そう、その二択。 どちらが楽かなんて考える必要もないわ。

 ワタシ達の、いえ・・・(ワタシ)の両親はそんな(ユウ)の姿を見て、後者を選択した。

 薄情で、無責任。 けれど、それも仕方のないこと。

 それでも、最初はワタシ(冥衣)を喪ったユウのメンタルケアをしようと頑張っていたみたいね。

 

 ・・・だけど、ユウはそれを拒んだ。

 冥衣の死を受け入れない、認めたくないユウからすれば、ソレをどこか受け入れている両親とは相容れることができなかった。

 そうして両親はユウを追い出すためにアパートを契約。 そこにユウを隔離し、親としての情からか毎月口座に生活費を振り込む以外の接触をしなくなった。

 

 誰にも理解されない、されていいわけがない。 今のユウは狂っている。

 そして、そんなユウを見ながら、彼の精神(ココロ)を繋ぎ止めるためにワタシ(冥衣)であり続けるワタシはひどく歪んでいる。

 

「・・・本当、救えないな。 君たちは」

 

「そうね。 ユウを救えるかもしれないワタシが、それを望んでないもの」

 

 ソレ(救済)はワタシにプログラムされてない。 ワタシはユウが自身を保つために造られたニセモノ。

 オリジナルになりたいとは思わないし、オリジナルのように行動しようとも思わない。

 ただ、ユウが望むままに、ユウにとって最も都合のいい“夜帳 冥衣”を彼に投影し続ける。

 

「だってワタシには」

 

「───ココロがない、だろ?」

 

「・・・・・・・・・」

 

 そう。 自我を持とうが、人格が宿ろうが、所詮ワタシはユウの幻覚に過ぎない。

 AIがいくら人間らしく見えようと、それはプログラムされたプロンプトに則って動いているだけであるように。

 

「・・・機械人形には心がない。 だから、ワタシの意思や感情はユウを真似てそれっぽく振る舞ってるだけ。 どうやらアナタ達は、そうじゃないみたいだけど」

 

「まぁね。 セカイのバーチャルシンガーは特殊なのさ」

 

「機械をオリジナルとしているクセに、ワタシとは大違いね───っと、あら?」

 

 瞬間、視界が白と黒のグリッチのようなノイズに染まる。

 次に気が付くと、そこは神山高校の屋上だった。

 

(あぁ、ユウがUntitledの再生を止めたのね。 ・・・ユウは)

 

 ユウの様子を見ると、少し辟易している様子が伺える。

 司さんにしつこく付き纏われて、屋上に避難したら今度はセカイに拉致されて・・・・・・。

 

 うん、言葉に表すと中々に踏んだり蹴ったりね。

 

(けど、司さんは仕方ないのよね~)

 

 なにせ、天馬家の人間は冥衣の死を知る数少ない人間だから。

 ワタシの死は偽装され、葬儀は内々で簡単に済まされた。 ユウがそれを受け入れられないのを見て、あまり多くの人間に知らせない方がいいとでも思ったのでしょうね。

 実際、ユウの精神状態を考えればそれが正解だし。

 

 ・・・そして、数少ない参列者の中に居たのが入院してた咲希ちゃんを除く天馬家の人間。

 なんだっけな、確か家族ぐるみでの付き合いがあったとかなんとか? 詳しいことはワタシの記憶にないから知らないけれど、そういう理由で参列したみたいね。

 仮にそういうのがあろうが、それはワタシ達をお払い箱にした親同士の関わりが根本でしょうから興味もないけれど。

 

 だから、ワタシは咲希ちゃんを警戒してる。

 司さんは、わざわざ誰かにワタシの死を言いふらしたりしないでしょう。 あの兄妹は、人が悲しむようなニュースを広めるような人間じゃない。

 そして、司さんは妹にも言わないで隠すかもしれない。 でも、彼らの両親もそうとは限らない。

 ・・・もし、咲希ちゃんがワタシの死を知っていたら。

 そうしたら、全てが崩れる。

 死んだはずの人間が目の前にいたら、何故生きているのか、無意識に答えを探ってしまう。

 

 正体がバレてはいけない。 もしそうなったら、ユウの目標も、ワタシの存在意義も、何もかも消えてしまう。

 ・・・それでも、いつかはバレちゃうでしょうけど。

 

(ユウ、そろそろ時間じゃない? 早く帰るべきだとワタシは思うな~)

 

 こういう時、声をかけることができないのがもどかしくて仕方ない。

 

 

 

 

 





 闇とは、闇を経験しなければ理解できません。
 他者を苦しめるには、自身も相応の苦痛を味わってなければならないのです。
 つまり、これを言ってる作者はエアプということです。
 ・・・コホン、自分が望んだものが舞台装置として容易く命を消費させられるの、冒涜的でいいと思います。
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