比較的ワンキルする主人公とかなりワンキルされるヒロインたち 作:偽馬鹿
さて、第四試合。
どうやら俺たちは優勝候補とぶつかるらしい。
「勝てますかねぇ……?」
「楽勝かはどうかわらないけど、大丈夫」
前回までの試合を見返してみると、先鋒中堅でワンキルを通して勝っている様子だった。
「再現度は高そうだけど、まあ勝てる。」
「そうですか……? 道さんが言うのであればそうなのでしょうが……」
不安そうな2人。
見た限り、ワンキルは上手いが
下手すれば部長に手番が回るかも怪しい。
「まあ、俺を見てたらわかるよ」
という感じでバトルフィールドに上がる。
相手は腕を組んで仁王立ちだ。
小さいが。
「ふぅん。わたしのことが怖くなって逃げだしたかと思ったよ!」
そう言って小さな身長で腕を大きく動かす。
見た目を大きく見せたい感じのようだ。
髪の色は薄い紫だろうか。
それをポニーテイルにまとめている。
瞳の色はとても発色のいい赤。
そして全体的に小さい。
130cm前後か。
小さい。
あまりにも。
「もうちょっと遠慮をしろっ!!」
「ごめん小さくて聞こえない」
「声は小さくないだろ!!」
煽りに弱過ぎる。
あまりにも対面ゲーに向いていない。
「とにかくっ! わたしたちに勝てるとは思わないことだ!」
「すみません見つからないんで手を上げてもらっていいですか?」
「目の前に立ってるだろっ!!」
もう少し遊んでおきたいところだが、時間が押している。
とはいえワンキル使い。
バトル自体が短く終わる可能性が高いだろう。
「許さないぞ……この
そうしてエンゲージ。
そして決着。
俺のターンまで回ることなく、勝敗は決したのだった。
俺の勝ちで。
「は……?」
相手は唖然としている。
そうだろう。
自分がワンキルのコンボ中に、敗北した。
経験がなければ驚くの無理はない。
とはいえこのまま帰ってしまうのも不親切。
理由くらい教えておこう。
「君もプロのバトルを見たことあるだろ?」
「そ……そりゃあある! もちろんだ!!」
「じゃあ、
「……っ!?」
彼女が見ている範囲では、恐らくないだろう。
それくらい珍しいことだ。
「実のところ、油断したら君みたいに即死するんだ。でもプロはコンボ中も油断しない。コンボが通るか通らないか、常に警戒してるんだ」
「そ、それがどうしたっていうんだ!」
強がっている様子だが、俺のセリフに合点がいっていないようだ。
動揺しているようだから、まだ理解が追い付いていないのだろう。
「実は、
「は……?」
「それを
そう言いながら、俺は今使ったカードを見せる。
《
「君のHPが+2になった瞬間、このクイックスペルで2/正 ダメージを与える。それだけで俺の勝ちだ」
「つまり……狙っていたっていうのか!? その瞬間を!?」
「その通り。そしてプロたちは互いにそれを狙っている」
ワンキルコンボは大抵のデッキで行える。
しかし、それを行っている際にHPは変動し、少なからず0もしくは±20に近付く。
そこにHPを増減させるクイックスペルなどで妨害し、撃破する。
それをお互いに狙っているからこそ、常に互いのHPを安定させているのだ。
「じゃ、じゃあわたしがワンキルを通すことができたのは……っ!」
「偶然ワンキル対策してない相手と当たってたんだろうね」
というわけで授業は終了。
この大会で、彼女は新たな一歩を踏み出しただろう。
CCのプロに向かうか、それとも他の道か。
個人的にはワンキルの精度が高かったので何度か一緒に遊んでみたいのだが。
「お前……! 名前は覚えたからな……!」
最後にそんな捨て台詞を残して、瞳ちゃんは走ってフィールドを去った。
まあそんなわけで。
このゲームはワンキルができるようになって初級、それを返せるようになって中級なんじゃないかと思っている。
上級に辿り着くのにはどうすればいいのか。
流石にそこまではわかっていないが。
そんなことを考えながら、ワンキル中に妨害を決めて勝った天空を見ていた。
ピースサインとなんかちょっと強張ったような笑顔が実に天空だった。