比較的ワンキルする主人公とかなりワンキルされるヒロインたち 作:偽馬鹿
そう言えば遊里に部活に顔を出すようにって言うのを忘れていた。
まあいいか。
恐らく今回の招集は大会用にチームを組むからだろう。
どうせ遊里は公式戦に出たがらないしな。
CCは基本的にスリーワンセル。
先鋒・中堅・大将でそれぞれが戦う形が主になっている。
理由としては「ひとりだけ強いチームって歪んでない?」というCCを作った社長が呟いたから……らしい。
真偽は定かではない。
「―――――と、いうわけで!」
「部長が大将やらないならチーム組みませんよ?」
「……………私が大将! 道さんが先鋒であと一人ですわ!!!」
顔とウェスト以外わがままボディの部長がずびしぃ! とこちらに指を向けたので釘を刺しておく。
部長は3年生であり、俺は2年生。
普通に考えたら3年生である部長が大将を張り、相手を蹴散らして優勝するのが進学に有利になる要素になるだろう。
CCの公式大会に出て優勝する。
それが進学にとって最優先事項になっているほどだ。
ルーが言っていることが事実であれば、CCを作った
もしかしたら精霊と全面決戦をするときの戦力を探しているのでは……なんて考えたが、俺としてはそんなことになる前に仲直りしてほしい。
「それでは中堅! 中堅に立候補する方いらっしゃいませんこと!」
「……」
部長が手に持った謎の棒をぺしぺししながら周囲を見渡すが、誰も目を合わせようとしない。
それもそのはず。
部長はガンメタ張られなければ滅茶苦茶強いのだ。
ガンメタ張られなければ。
そしてそんなことをする、またはできるプレイヤーは俺くらい。
つまりは大将として十分な素質があるということだ。
そして俺は先鋒。
最初に当たって相手の心を折るのであれば適任だろう。
しかし、そうなると中堅を担うプレッシャーが半端ない。
俺はともかく、部長の出番が来ると後がないわけだ。
そんな状況を生み出せる神経の図太い奴が果たしているかと言うと……。
「んあー……やぁっぱり部長が持ってきたお菓子は美味しぃですねぇー」
言うと……。
「え、いらないぃ? じゃあアタシが食べちゃいますよぉー? へへへ、もう返さないですよぉー」
いたわ。
「天空。中堅任せた」
「え? はいぃ?」
「で、もう大会ですかぁ!? 急すぎませんかぁー?」
チーム結成から3日後、今日はスリーマンセル方式の大会当日である。
部長はまた謎の棒をぺちぺちやりながらふんぞり返っている。
あの棒は一体何なのだろうか。
CC棒じゃないのだけは確実なんだが……。
「大丈夫ですわ! 実力は保証済みですもの! 道さんが!!」
「うぇー……。まあ、ほどほどに活躍してほどほどに負けますよぉ」
気負っている様子はない。
こういうときは本当に頼りになる奴である。
後は俺が躓かなければ大丈夫だろう。
「……」
「げぇ!?《
「……………」
そうして先鋒戦。
どうやら俺のことを知っている奴が相手のようだ。
しかもちょっと新しい二つ名が浸透してる。
「……だが、悪いな! この
「ふぅん……?」
自信満々に言い切る風馬とやら。
それならまあ、ちょっとくらい全力を出してもいいだろうか。
大会用にプレイヤーの間に設置されているCC棒にカードをセット。
ギュイーンともキィーンとも言えない独特な音を響かせながら、CC棒からプレイヤーの目前にカードの立体映像を映し出した。
「それでは……」
審判の声が聞こえる。
審判と言ってもカードの効果の裁定のためにいるわけではなく、プレイヤーが違反行為をしていないかを見るために存在している。
鏡を使ったピーピングとか遠隔音声での情報交換などだ。
審判にはそういったものを見抜くためのアイテムが支給されているとか。
準備は万端。
特に何か特別なことはしない。
手札を見て、どう回すかを考えるだけだ。
「「エンゲージ!!」」
掛け声とともにCC棒の上部から小さな黄色いボールが飛び出す。
それはふわりと浮かんで、俺の方へと落ちてきた。
地面に落ちて弾け、俺の方のエリアが黄色く染まった。
俺が先行だ。
お互いのHPを確認する。
こちらは+10、相手は-10だ。
このHPの±はプレイヤーが任意で選ぶことができる。
選択タイミングは手札展開から先攻後攻を決めるまでの間。
プレイヤー同士が値を決定し、この段階になるまで相手には知られることはない。
±10のHPを最初に獲得するCCの勝利条件は3つ。
①相手プレイヤーのHPの絶対値を20以上にすること。
つまりは-20以下、もしくは+20以上になったプレイヤーの負けである。
②相手プレイヤーのHPを0にすること。
この場合、HPをピッタリ0にする必要がある。
HPが+1の相手に+2ダメージを与えたとき、HPは0にならずに-1になるのだ。
③相手プレイヤーがデッキからカードを引けなくなったとき。
つまるところライブラリアウト。
デッキからカードをドローしなければならない時にドローができなくなった時、初めてこの条件での敗北になる。
デッキが0になっただけでは負けにならないということだ。
「じゃあ1ターン生き残れよ」
「え……?」
というわけでワンキル開始である。
「手札からコスト:1/正 を支払い《
デッキからカードを1枚ドローし、その後《
俺は《
更に《
コスト:1/正 はHPから+1点支払うことを指す。
俺のHPは+10だったので、そこから+1点引くことで、残り+9になった。
コストの支払いで0の値をまたぐことはできるが、自分の手番でなくても使えるクイックスペルやモンスターの効果で妨害されるとうっかり0になって敗北するので注意が必要だ。
相手がカウンターを仕掛けてくる様子がないので続ける。
「《
《
更に《
そして設置している《
今引いたカードは《
このカードはデッキから手札に加わったときに相手に見せ、コストを支払わずに発動できる。
相手プレイヤーに1/正 ダメージを与える。
《
俺はコストを支払ってその効果を発動(HP+13)し。《
《
更に《
そして設置している《
そして―――――」
―――――俺が4回目の《
《
ノーマルスペル
コスト:1/正
①デッキからカードを1枚ドローする。
その後《
《
ノーマルスペル
コスト:2/正
①相手プレイヤーに1/正 ダメージを与える。
②このカードがデッキから手札に加わったとき、相手プレイヤーに見せることでコストを支払わずに①の効果を発動できる。
③このカードの①の効果を発動した時、コスト:2/正 を支払うことでこのカードをデッキの一番上に戻すことができる。