比較的ワンキルする主人公とかなりワンキルされるヒロインたち   作:偽馬鹿

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遅れ始めているので、気合を入れなおしていきたいところです。


陽光ダブルピース

実のところ、部長が普通にバトルするのを初めて見る。

いつもであればモンスターの展開をさせる前に潰したりするからね。

 

『悪趣味だわ』

「長く拘束するよりはいいと思ってるよ」

 

まあそれはともかく。

特にしっかりデッキの初動を見たわけではないけど、部長のデッキはそこそこ時間をかけてモンスターを強化して殴るタイプだと見ている。

大量展開からの並列強化の可能性もなくはないけれど、それにしては初動のモンスター展開が少なかった気がしたのである。

 

というわけで、初めて見る部長のバトルになる。

どんな動きをするんだろうか……?

 

「私のターンですわね。私はコスト3/正 を支払い、手札から《陽光を受ける者》を召喚しますわ。

このモンスターは《陽光》と名の付くスペルを使用するごとに、戦闘力を+1するモンスターです。

私は更に《陽光の調べ》を発動しますわ。

コスト:3/正 を支払い、《陽光を受ける者》の戦闘力を+4しますわ。

そして自身の効果で+1。

現在の戦闘力は7/正 となりましたわ」

 

部長の動きを見ると、どうやら効率よくモンスターにバフを乗せて殴るデッキのようだ。

それも単体に重ねていくタイプ。

戦闘力を削るタイプの除去や、特定値以下の戦闘力を持つモンスターを除去するタイプの効果に強い。

堅実なデッキタイプだろう。

 

「―――――更に! 私はコスト3/正 を支払って《再びの陽光》を発動します!」

 

と思ったところで、更なる追加。

部長のHPは+1になっている。

手札に1点ダメージを与えるスペルがあったら負けてしまうところだ。

 

しかし、相手がスペルを使う気配はない。

ひとまず安心すると同時に、部長がどうして危険を冒してまでスペルを使ったのか疑問に思うのだった。

 

「《再びの陽光》はこのターン中に戦闘力が変動したモンスターを対象に発動します。

その変動した値を更に加算します。

そして、ターンの終わり。

指定したモンスターの変動した合計の戦闘力分、あなたにダメージを与えますわ!」

 

相手のHPは-10。

そして《陽光を受ける者》の戦闘力変動は+10点。

10/正 ダメージを与えると、相手のHPは-20になり、部長の勝利だ。

 

相手は「バカな……!?」とか「こんなはずは……!?」とか「精霊の力がぁ!」とか言っているが、特に対抗札がないようだ。

別に思い入れのある相手でもない。

部長がフィニッシュを決めるのを見ながら、俺はオレンジジュースをストローで啜った。

 

 

 

「勝っちましたわっ! 初めて決めたワンターンキルコンボですわ!!」

 

ぴょんぴょん跳ねる部長。

身長170cm超えの女性が飛ぶと、地面がちょっと揺れる。

あといろんなものが揺れることが分かった。

 

「あーやりましたねぇ部長。部長が勝ったんでトトカルチョはぼろ儲けでしたよぉ」

「まぁ! 賭け事はご法度ですのよ!」

 

ぴょんぴょん跳ねていたと思ったら、ぷんぷんと怒り始める部長。

感情豊かで見ていて楽しい。

あと持っている謎の棒もくるくる回っている。

 

「大丈夫ですよぉ。食券しかかけてないですからぁ。お金は流石に、ねぇ?」

「こっちに話を振るな」

 

いやまあ、俺もトトカルチョには参加したが。

1か月分、全部部長の勝利に賭けた。

向こう2か月はお昼に困らない。

 

 

 

「まあいいですわ。……ですがほら! 何か言うことがありませんこと?」

 

そう言って、部長はこちらに向かって《陽光を受ける者》と《再びの陽光》を見せびらかしていた。

何が言いたいのか。

 

「あー……部長、兄貴に褒めてほしいとか、そう言う感じですかねぇ?」

「そういうことは部外者が指摘しないでいただけます!?」

 

天空が口を滑らせたことで、漸く合点がいった。

なるほど、俺の真似というか、コンボで一気に仕留めるところを見せたかったのか。

 

「なるほどなるほど……再現性も高そうだし、強い動きだったと思う」

「え、ええ。……つまり?」

「部長は凄いですね」

 

部長、ガッツポーズ。

年下の男子に褒められるのが、そんなに喜ぶことなのだろうか。

 

「兄貴はいつか部長に殴り飛ばされますよぉ」

「……?」

「あとアタシも刺します」

「物騒だな!?」

 

 

 

わいわいと、俺たちは喋り倒しながら控え室を後にした。

第3回戦も特に問題なく勝利したのであった。

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