幼馴染たちが美しく歌う中、俺は哭き叫び狂い堕ちる   作:零城

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前回の魔弾の射手が合流するまでの流れですが

ピアニスト?、特殊部隊を殲滅する

一時的に元に戻る

意識が朦朧とくる中、地上へ出て歩き回る

ノイズの警報が鳴り、装者の残った自我にあったノイズを殺すという考えの元、向かう

響たちと遭遇

って感じです


第十一話 魔弾の射手

月が雲に隠れ、地上は闇に沈む。

魔弾の射手は、ゆっくりと狙撃銃を肩へと上げた。息は浅く、照準だけが冷たい。

 

「何者だテメェ? 部外者は引っ込んでろ!!」

 

さきほどの弾丸で影縫いが解けた白装の少女が、杖を突き出す。緑の線が地表に焼きつき、そこからノイズが芽吹くように湧いた。

前後から挟み撃ち――数も形も多種多様、波のように迫る。

 

射手はコッキング。片手で構え直し、ためらいなく引き金。

 

 

【魔弾 二発目】

 

 

「っへ! 一発しか撃たねぇ銃なんざ、当たるかよ!!」

 

少女は跳躍、上から紫晶の鞭を振り下ろす。

正面ではノイズの波が押し寄せ――だが、展開された魔法陣が射手の周囲に瞬き、二条の軌跡が群れを貫通した。

 

「……は?」

 

一回しか撃っていない。なのに二発が敵を穿つ。

少女は目を瞬かせ、すぐに口角を吊り上げる。

 

「はは! さっきのやつより歯ごたえあるじゃねぇか!!」

 

鞭を暴風のように回し、距離を詰める。

男は狙撃銃を逆手に握り、棍棒のように捌いた。

 

「おらぁ! 黙ってねぇで何か言えよ!」

 

「…………」

 

銃床で受け、軸で払う。

少女は蹴り、拳、鞭を混ぜて畳みかけるが、男は何も言わずに受け、躱し、崩れない。

 

「しゃらくせぇなぁ!!」

 

苛立ちが閃く。鞭の先に白い球――縁を黒い電撃が走る。それを投げ放つ。

 

 

【NIRVANA GEDON】

 

 

男はバク転で射線を外す――同時に空中で銃を構え、再び引き金。

 

 

【魔弾 三発目】

 

 

銃口からの発射音。

だが弾丸は正面からではない。少女の足元に魔法陣が咲き、そこから逆打ちの一弾が突き上がる。

三発は、白い球、杖、そして腹部へ直撃。

球は爆ぜ、杖は弾かれ落ちる。だがネフシュタンの装甲が受け止め、ひびだけに留めた。

 

「ぐぅっ!?」

 

男は間を逃さない。着地の反動でコッキング、即座に照準、発射。

 

 

【魔弾 四発目】

 

 

「ッ!?」

 

少女の目前に四枚の魔法陣が連鎖し、すべての口径が彼女一人へ絞られる。

避け切れないと悟り、腕をクロスして防御姿勢――

 

「っがぁ!?」

 

放たれた四発は先ほどより強い光を帯び、直撃と同時に装甲を砕く。

ネフシュタンの白が剥がれ、素肌が月影に晒された。

 

(コイツ……撃つたびに威力が上がってやがる!?)

 

この調子で次を許せば、装甲を越えて本体まで抜かれる――。

少女は地を蹴る。前へ。

次弾が落ちる前に、終わらせるために。

男もコッキングして次弾へ――だが、鞭が銃身に巻きつく。

 

「これで撃てねぇだろ!!」

 

引き剥がそうと男が腕を引くが、ネフシュタンの出力が勝る。

銃はザリザリと引き寄せられ、距離が詰まる。

 

なら――と、男が選んだのは。

 

ぱし。

 

「はぁ!?」

 

自分の獲物を、手放した。

勢いのまま鞭は銃ごと跳ね上がる。

空いた間合いに、男は一歩で踏み込み、少女の顔面を掴んで大地へ叩きつけた。

土がえぐれ、頭部が地面にめり込む。

 

「くそ! 離せ!!」

 

抵抗。だが男は問答無用――拳を落とす。

それはただの殴打ではない。拳に黒い炎が絡み、淡々と同じ箇所を叩き続ける。

 

「くそがぁ!!」

 

少女は鞭を引き戻し、男の首へ巻き付けて絞め上げる――が、男は肩をすくめて外し、そのまま蹴りで顔面をはじいた。

少女の身体が地面を擦りながら離れ、空中で、鞭から解放された狙撃銃が落下。

男はそれを片手で受け止め、即座に構える。

 

「ッ!!」

 

少女は転がりながら射線を切ろうと視線を走らせ――見つける。

絶唱の予備動作で動けなくなった翼。

 

少女は一直線に跳び、翼を引き寄せて盾にした。

 

「な!? 貴様!」

 

「どーだ! 撃てるもんなら撃ってみな!!」

 

翼の首を片腕で抱え込み、前面に突き出したまま射手へ迫る。

だが、魔弾の射手は――迷わない。ただ引き金を絞る。

 

 

【魔弾 五発目】

 

 

二人の足元に巨大な魔法陣が展開。

青い弾丸が下から突き上がり、二人を撃ち抜く。

()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「っく!!」

 

「ああああぁぁぁぁぁぁ!?」

 

翼は身を捻って直撃を外すも、皮膚が裂け熱が走る。

一方、少女には肩・脚・腹部へと多重ヒット。

白い装甲に罅が走り、地面へ転がる。

 

「う、あ、ああ……!」

 

出血を伴う痛み。だが、ネフシュタンの鎧には治癒効果があり、すぐに治癒は始まる――はずだった。

弾丸に付与された黒い炎が燻り続け、塞がりかけた傷を焼き戻す。

治っては焼ける、終わらない往復。

息が浅くなり、少女の視界が滲む。

射手は無言のまま、次弾のコッキングへ。

 

「っく、あっ……が!?」

 

白装の少女は身をよじりながらも立ち上がる。

ネフシュタンの治癒が暴走し、内側から疼く――それでも顔を上げた。

 

「……あ」

 

闇の中、魔弾の射手が狙撃銃を片手に静止している。

ゆっくりと構え直し、銃口が少女の額へ――背後には、倒れ伏した翼。

 

(コイツ……私ごと撃つ気か!?)

 

【魔弾 六発目】

 

引き金が――落ちる直前。

 

「ダメーーー!!」

 

その狭間へ、響が飛び込んだ。

狙撃銃に両手でしがみつき、銃口を逸らす。

邪魔をされた射手は、響の腹部へ蹴り。

彼女は地面を転がり――しかし、受け身で即座に立ち直る。

 

「……なんでなの」

 

響の拳が震える。

頬を伝う涙が、床にひとつ落ちた。

 

「なんで! そんなに簡単に!!」

 

「……」

 

「人を傷つけられるの!!」

 

声が割れ、拳に怒りが宿る。

三人で流れ星を見られなくなった悔しさ。

“なんでもない日常”をノイズが壊す憤り。

そして――無感動に人を撃つ存在への拒絶。

 

響は握り締めた拳のまま、一直線に射手へ突進する。

回避もしない。真っ直ぐ、ただ真っ直ぐ。

 

射手は無言で銃口を彼女へ。

この距離。この角度。あとは引き金を引くだけ――心臓を捉えられる、はずだった。

 

「……?」

 

――指が動かなかった。

 

理由は分からない。

筋が切れたわけでも、外から押さえられたわけでもない。

ただ、胸のどこかが叫ぶ。

 

『彼女を――傷つけるな』

 

その声は、命令でも理屈でもない。

魂のほうが、先に――止めた

その間にも響の拳は魔弾の射手へと迫る

感情のこもった拳・・・見てから避けられるはずだ。しかし、体も動かない

 

「はぁぁぁぁぁぁぁぁあ!!」

 

響の全力がこもった拳が、ゆっくり――しかし確実に――魔弾の射手の顔面へ沈む。

乾いた音。狙撃銃がカランと落ちた。

 

響はそのまま馬乗りになり、襟元を掴んで地面に押し倒す。

 

「私は――あなたを許さない!

あの子も、翼さんも――“人間”なのに!!

平然と殺そうとする、あなたが!!」

 

拳が落ちる。

 

「ッ!!」

 

射手も反射的に抗おうとする――が、身体が動かない。

(……稼働限界か)と、どこか他人事のように理解する。

まとう黒い燐火がふっと痩せ、形が崩れ、仮面めいた影が剝がれていく。

 

露わになった素顔を見た瞬間、響の瞳が大きく揺れた。

 

「……え?」

 

 

 

 

 

 

「ひ……び……き」

 

 

 

 

そこにあったのは――昇。

響にとって、かけがえのない幼馴染の顔だった。

 

嘘だ。どうして。なぜこんな姿に。

どうして私と翼さんを撃とうとしたの。

どうして、ここに――。

 

「の……ぼ…… な、なんで」

 

衝撃に、響は馬乗りを解いて後ずさる。

昇はゆっくりと手を伸ばし、落ちた狙撃銃を拾い上げた。

 

二人は見つめ合う。

一秒が、一時間に伸びる。

響の顔は今にも泣き崩れそうなのに、昇の瞳は――温度のない、屍のように感情の死んだ冷たい眼。

 

「響君!!」

 

弦十郎が隊員を率いて駆け込んでくる。

その瞬間、昇は情勢不利と見て、狙撃銃の銃口を地面へ――黒い炎を噴き上げた。

 

「待って! 昇!!」

 

響が手を伸ばす。

しかし、黒炎のカーテンが風に散った時には、昇の姿はもうどこにもない。

 

「……くそ、覚えてろよ」

 

白装の少女――ネフシュタンの装者も、よろめきながら立ち上がり、杖を回収。

翼へと一瞥を投げ、跳躍して暗がりへ消えた。

 

 

 

________________________________________________

 

 

 

重傷の翼は、その後ただちに回収され病院へ搬送された。

医師の診立ては簡潔だ。「意識は明瞭。ただし銃創と、原因不明の炎による熱傷が重い。しばらくは絶対安静」と。

 

「……」

 

「……」

 

二課の会議室。待機を命じられた面々に、葬式めいた静けさが落ちていた。

とりわけ響は深い。椅子の上で膝を抱え、俯いたまま一言も発さない。

 

「ネフシュタンの鎧と、その装者の行方は不明……UNKNOWNの装者も、だ」

 

弦十郎が低く状況を整理する。返事はない。

 

「君のせいではないぞ、響君。翼は自ら望んだ結果だ」

 

励ましは届かない。響の肩は微動だにしない。

 

「翼は……二年前、奏を失ってから独りで走り続けた」

 

弦十郎はぽつり、ぽつりと語りだす。

幼い奏が発掘現場でノイズに襲われ、ただ一人生き残ったこと。

復讐心からガングニールの装者となったこと。

戦いの中で「歌が誰かを救える」と気づき、ツヴァイウィングを組んだこと。

翼にとって奏が唯一無二の相棒だったこと。

二年前、響を守るために奏が“絶唱”を使い、命ごと消えたこと――

それから翼は、青春も恋も置いて【刃】として生きる道を選んだこと。

すべてを、ゆっくりと。

 

「翼は不器用なんだ。刃として生きると決めてしまったからな。だから……嫌いにならないでやってくれ」

 

「わたし……翼さんのこと、何も知らないのに。いっしょに戦いたいからって……奏さんの代わりになる、なんて……」

 

ぽたり、ぽたり。響の瞳から涙が零れた。

 

「誰も“奏の代わり”なんて望んじゃいない。君は――立花響として、生きてくれ」

 

「……ありがとうございます」

 

その一言で、響の表情がわずかに緩む。

 

「――よし、情報を整理しよう。ネフシュタンの少女は響君を狙った。なぜだ?」

 

「それが何を意味するか、見当がつかないわね」

 

扉が開き、了子が入ってくる。

 

「了子君!? 無事だったのか。広木防衛大臣が殺害された件で何度も連絡したが、繋がらなくてな」

 

「ごめーん、携帯がお亡くなりに。……でも安心して。()()()()()()()()()()()()()()

 

「そうか。なら、俺たちはあの人の意思を継がねばならん」

 

了子は頷き、すぐ本題に戻す。

 

「で、あの子が響ちゃんを狙う理由は依然として不明」

 

「……いや、個人を特定できているなら、二課の存在にも気づいているはずだ」

 

「「「……」」」

 

言葉が途切れる。全員の胸中に、同じ疑念がよぎった――【内通者】。

 

「内通者の線も、ネフシュタンの件も気掛かりだけど……一番の問題は別にある」

 

了子が椅子に腰を下ろし、眼鏡を押し上げる。

 

「……UNKNOWNか」

 

その名に、響の顔がまた歪む。

見間違いではない。あれは――昇だった。

どうか嘘であって、と心の底で願う自分がいる。

 

「広木防衛大臣の殺害現場に残っていた自転車とリュック、そして血痕の照合結果――『蒼月 昇』に一致」

 

「ッ……!」

 

容赦のない現実に、響は息を呑む。

 

「昇は……私の幼馴染です」

 

その静かな告白に、室内の空気が固まる。

 

「……そうか」

 

弦十郎だけが目を伏せ、重く頷いた。

 

「『蒼月 昇』。通信制高校に通い、駅前のお好み焼き屋【ふらわー】でバイト。ごく普通の少年――」

 

オペレーターが報告書を読み上げる。

 

「本日夕方、宅配に出たのを店側が目撃。裏道で工事封鎖に遭い、進路を変えて大臣護衛車列の方向へ向かった模様」

 

「……偶然、現場に居合わせた。そこで負傷し、UNKNOWNと接触――そう考えるのが妥当だな」

 

誰も反論しない。

ただ、静かに、現実だけが積み上がっていく

 

「響ちゃんたちの戦闘映像、全部確認したけど……彼、制御できてないわね」

 

「制御……ですか?」

 

「ええ。完全聖遺物クラスは“起動できる”だけじゃダメ。出力管理と意志の主導権を握る訓練が要るの。

しかも彼は、さっきまで普通の民間人――UNKNOWN側の“同調”に引っ張られてる可能性が高い」

 

 “昇が自分の意思で撃ったわけじゃないかもしれない”

その一点で、響の胸がほんの少しだけ軽くなる。

 

「……だが、ここからが問題だ」

 

弦十郎の声が低く落ちる。

 

「問題って……?」

 

「聖遺物は各国が喉から手が出るほどの戦略資産だ。完全聖遺物ならなおさら。

そして蒼月 昇は、どの国・どの組織にも所属していない」

 

了子が肩をすくめる。

 

「アメリカ、EU、中国、ロシア――総出で“確保”に動くでしょうね。最悪、日本政府も別動で」

 

「ああ。今度は水面下じゃない。正面から出てくる」

 

 響は唇を噛み、拳を握りしめた。

昇が――誰かに連れ去られる。それだけは、絶対に嫌だ。

 

「だからこそ、我々が先に彼を保護する」

 

了子が渋い顔をする。

 

「でも翼ちゃんは重傷で動けない。……響ちゃん一人でやるつもり?」

 

「……やります」

 

即答だった。迷いの無い声。

 

「やります! 昇を守るために、私が行きます!!」

 

弦十郎は短く頷く。

 

「わかった。居場所を掴み次第、保護作戦に移る」

 

「その――こう言うのは変かもしれませんが……風鳴弦十郎さん! 私に“戦い方”を教えてください!!」

 

「と、突然だな」

 

「今のままじゃ“守れない”って痛感したんです!」

 

 響の瞳は、これまでで一番、火が入っていた。

 

「……ふっ、いい心がけだ! 教えてやる。ただし厳しいぞ!!」

 

「ありがとうございます!!」

 

弦十郎がそこで、なぜか真顔で身を乗り出す。

 

「では一つ質問だ、響君!」

 

「はい! なんでしょう!?」

 

「君は――アクション映画を観るか!?」

 

「……はい?」

 

 こうして、響は鍛錬を開始し、昇の再出現に備えることになった。

保護、隔離、そしてUNKNOWNの干渉を断つ方法を探すために。




先日公開されたアークナイツのコラボPV見ましたか?
アーミヤが日本語ボイスでアナウンサー実装が一番驚いたわ


アンケートです
今回のお題は【魔法少女などの女性型アブノマの場合、昇の性別はどうなるか?】です!!

女性アブノマの場合、昇の性別はどうする?

  • 男のまま(女装で恥ずかしがるルート)
  • 昇、TSしろ(俺は魔法少女だ!!ルート)
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