幼馴染たちが美しく歌う中、俺は哭き叫び狂い堕ちる   作:零城

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作者、シンフォギア第5話観ているけどさ・・・フィーネさんってスタイルめっちゃ良いんやな
それはそれとして、なんで全裸に黒のストッキングだけって格好で彷徨いてるのこの人?


第四話 『未来へ進む二人、過去を引きずる一人』

ツヴァイウィングのノイズ襲撃事件から数週間が過ぎた

死者数十万人という大災害に加え、ツヴァイウィングの()()()()()()()により幕を下ろした

俺と響は助け出され、響は手術。どちらも命に別状はない――はずだったが、生活は別問題だった。

 

家の前に立つだけで、インクと糊の匂いが鼻を刺す。

壁、扉、窓。隙間なく貼りついた紙の白が、陽の光を鈍く弾いている。殴り書きの黒い文字は、見る者の胸の奥をわざと殴る角度で置かれていた。

 

「・・・またかよ」

 

ため息で呟き、端を摘んで剥がす。糊が乾いて、指先に紙の繊維がざらつく。

俺は頭の治療だけで済んだ。響は胸の手術。病室で再会した日に、未来と響は抱き合って泣いた。そこまではきっと幸福なほうだ。

問題は、その先。生き残ったこと自体が、誰かにとっての“加害”に化けた。

 

「・・・俺たちを責めたい理由は分かるが、理不尽すぎるだろ」

 

独り言のように吐いて、手を止めない。

響の家のほうにも回って、同じように剥がしていくのが、もう毎日の流れになっていた。慣れた、という言葉を使いたくはないが、身体は勝手に手順を覚える。

一度だけ、貼っている連中を捕まえようとした。数で囲まれて、俺が殴られた。左頬と腹と足。痛みは、ときどきまだ鈍く灯る。警察にも相談したが、前向きとは言いづらい。

 

(響パパにはだいぶお世話になったんだがなぁ・・・)

家を出てしまったらしい。今、響の家にいるのは母ちゃんとおばあちゃんと、響だけだ。

 

「自分の身は自分で・・・か」

 

無意識に漏らして、また一枚、角をめくる。紙の下から出てくるガラス面には、指の跡と、乾いた糊の曇り。雑巾で拭えば、やっと家の色が戻る。

 

そんなときだった。

 

「昇!」

 

振り返ると、通学鞄を肩にかけた未来が、響の手を引いていた。

響は未来の後ろに半歩隠れるみたいにして、視線が下へ落ちている。あの事件以降、肩の位置が少しだけ内側に寄った。明るさは、声を出す前に喉でためらうようになった。

 

「・・・また、貼り紙?」

 

「おう、どうせ今日も貼ってんだろと思って先に帰った甲斐があったな」

 

丸めた紙を袋に押し込み、口を縛る。

未来は状況を一目で理解して、黙って反対側の窓に回った。彼女は現場にいなかったから、直接の矛先は向かない。けれど、手の動きは静かで速い。

 

「・・・・・・」

 

「響?大丈夫か?」

 

「っあ、だ、大丈夫だよ!」

 

空気の軽さと、声の震えは両立する。俺はそれを何度も見てきた。

 

「・・・嘘つけ、知ってんだぞ。学校でいじめられているの」

 

呆れ気味に言いながら、これ以上追い詰めないように声量だけ落とす。

 

「意味はないかもしれないな先生に言えよ。言わなかったらアイツらさらに過激になるぞ」

 

「・・・なんで、私たちがこんな目に遭わないといけないんだろ」

 

ぽた、ぽた、と音がする気がした。響の睫毛の先から、透明な粒が落ちる。

未来が慌ててハンカチを出し、そっと抑える。二人の距離は、ずっと近い。

 

「・・・辛かったら俺たちに頼って良いんだぞ?」

 

「昇はさぁ・・・嫌にならないの?」

 

俺も標的にされる側だ。だが、そこで止まっていたら、何も前に進まない。

 

「嫌にはなるが無視するしかないからなぁ」

 

昨夜のことを思い出す。夜の散歩で絡んできた中年女性二人を、淡々と捌いた。ここで話すようなことではないから、胸の内にしまう。

 

「・・・すごいね昇は。私なんて、バカで何も考えずに行動するのに」

 

「その代わりに響は誰よりも正義感があるだろ?」

 

軽く笑って返す。笑いは、折れた背骨に添える添木みたいなものだ。

 

「そうだよ!響はかっこいいし優しいじゃない」

 

未来の言葉が追い風になる。

響の視線が少しだけ上を向く。頬に残った涙の跡が、風で乾いていく。

 

「・・・ありがとう二人とも」

 

小さく、でも確かな声。

その笑顔は、向日葵の咲き初めみたいに弱々しいのに、まっすぐだった。

 

(響を泣かせる奴は許さない。二度と泣かせるものか)

 

胸の内側で、ゆっくりと固く結ぶ。言葉にしない誓いは、いちばん長く残る。

 

――――――――――

 

それからというもの、俺は響とほぼ一緒に動いた。

未来ほどべったりではないが、登下校の導線は常に誰かが隣にいる形に整える。人が溜まる場所は避け、曲がり角の死角を減らし、帰りは明るい通りを選ぶ。

嫌がらせは消えない。けれど、頻度は目に見えて落ちた。単純で、効果のある方法だ。

 

「響、帰るぞ」

 

「う、うん」

 

自然に、手を差し出していた。昇は無意識で手を半ば無理やり掴むような感じだが響の指先がそっと触れて、絡む。体温が、皮膚を通して確かめ合うみたいに伝わる。

 

(昇の手・・・温かいなぁ)

 

俯いた横顔が、少しだけ赤い。

人混みのざわめきが遠のいて、靴音だけが並んで続いていく。指先の力は弱くも強くもなく、離れない程度にぎゅっと。

その小さな圧で、彼女がやっと一息つけているのがわかる。

俺は、前を見て歩く。離すつもりはない

 

「・・・ねぇ、昇」

 

「なんだ?紅茶の素晴らしさを語ってやろうか?」

 

「・・・それは別に良いかな」

 

少しでも励まそうと紅茶について話そうとするが断られた。解せぬ

 

「んで?なんだ?」

 

「私ね・・・私立リディアン音楽院に進学しようと思うの」

 

「リディアン・・・あぁ、あの女子学園か。けど、なんでだ?」

 

「私ね、翼さんにお礼を言えてないの」

 

そして、響は空を見上げて微笑んだ

 

「あの時、私たちを助けてくれたのは翼さんだって聞いてお礼をしたかったけど会えてないし翼さんは翼さんで忙しいし・・・だから、あそこに入学しようと思うの」

 

響の目はいつもの暗い瞳などではなく、決意に固められた燃えている瞳であった

昇は小さい頃から見たことがある。そのほとんどが誰かを助ける時にするような眼だ。こうなったら響を止めることは出来ないなどわかっている

ま、俺は俺で止める気などサラサラ無いけどな

 

「・・・そうか、いいじゃねぇか?俺、響が歌う姿、好きだし」

 

「す、好き!?」

 

響は驚いた顔でこちらを振り向く

 

「いや、何驚いた顔をしてんだ」

 

お世辞とかではなく本当に響は歌うのが上手い

ワンチャン、翼のような歌手にでもなれるのでは?と思ってしまうほど

 

「幼馴染が褒めてんだぞ?喜べよ」

 

「あ、い、あ、あ、ありがとう・・・」

 

にへらと笑い照れる響

 

「でもリディアンかぁ・・・あそこって寮生活するところだったよな?響に会えなくなるのかぁ・・・」

 

「別に二度と会えなくなるわけじゃないでしょ?」

 

「・・・響が寮生活出来る想像が出来ないことについて」

 

「出来るって!?昇の家に泊まるようになってから家事とか出来るようになったんだから!!」

 

今更の情報だが、あの日から響は俺の家に泊まる頻度が多くなった

俺も俺で断るのを控えるようになったら週四で来ることもあった。いや、泊まり過ぎでは?

もうね、俺の家に泊まるたびに置いて行かれる響の私物とついでに泊まるようになった未来の私物がね少しずつ多くなってんのよ。

いや、冗談抜きで多いんだなこれが。もう、俺の家に響の部屋と未来の部屋が出来てるもん

 

「それに!未来もリディアンに行くみたいだからだいじょーぶ!!」

 

「あ、未来もなのか」

 

幼馴染二人が同じ学園に進学を決意する中、昇は考え込む

 

(俺もリディアンに行けたらなぁ)

 

昇は男なので、そもそも無理な話だが二人とも同じところに行くのに一人だけ別の道は少し寂しくなる

 

「・・・でも、昇とは会えなくなる」

 

響が子犬のようにしょんぼりとする

 

「・・・毎晩、電話かけても良いぞ」

 

「いいの!?」

 

うーん、犬

なんか尻尾の振る幻影が見えてくる

 

「それはそれとして、俺は・・・どうしたものかね」

 

「昇はどうするの?」

 

「俺は・・・通信制に行くかなぁ」

 

学校は二人が居たからこそ行っていたようなものなので二人が居ないなら別に普通の高校に行く気はない。てか、行ってそこで同じ中学の奴と一緒になりたくない

 

「ま、俺は【ふらわー】にでもバイトとして続ける予定さ。いつでも帰ってこい」

 

ケラケラと笑いながら帰っていると響の家に到着する

 

「・・・今日も泊まって良い?」

 

「おぉ、一昨日泊まったくせに?」

 

「・・・ダメ?」

 

あ、だから狡いって

んな、美少女フェイスでお願いされたらイエスとしか言えなくなるって

 

「・・・未来がOK出したらいいぞ」

 

「あ、未来は今日泊まるって言ってたよ」

 

「…ウソン」

 

知らないところで勝手に話が進む中、家主だけ置いてけぼりにされている問題

 

「・・・ま、いつものこと(?)だからいいか」

 

昇は細かいことを追求するのは面倒く感じた

 

「また、3人で一緒に寝よ?」

 

「寝るのは良いけどよ、なんで毎度俺にひっついてくるんだよ。暑いんだけど」

 

「だって寝てる時の昇って湯たんぽみたいに暖かいんだもん」

 

「俺は犬か」

 

なんやかんや勝手に進められたお泊まり計画は置いておいて、その後響とは別れ自宅に帰った昇

昇や未来の介護やメンタルケアもあって少しずつあの時の響に戻りつつある

 

(・・・今度、響と未来を誘ってどっかに行こうかな)

 

今も響の笑顔が頭に張り付いて忘れることが出来ないが同時に安心感も出てくる

玄関の靴箱の上には小学生時代に撮った三人の集合写真が写っておりみんな笑っている

 

「・・・少しずつでいい。あの時みたいな笑顔が響には一番似合うさ」

 

誰も居ない家で一人呟く

目を閉じる。

そこで止めればよかったのに、まぶたの裏が勝手に開く。

 

――粉塵の匂い。

熱で焦げた布と、金属が焼ける甘い匂いが鼻に戻ってくる。

胸の奥がきゅっと縮んで、背筋に冷たい汗が走る。

 

指先が震える。

握っていた鍵がカチカチ鳴る。合わない音程だ。

呼吸が速くなる。浅い。肺の半分から先に空気が入っていかない。

 

台所まで歩く。歩幅が揃わない。

蛇口をひねって水を飲む。胃が受けつけない。

喉が勝手に波打って、シンクに身を屈めた。

 

えずく。

胃液の酸っぱい味と、金属の味が混ざる。

さっきまでの会話の名残――“また三人で”――が、吐瀉の波で遠ざかる。背中の筋肉が痙攣して、視界の縁がちらついた。

 

手を見た。

何も掴んでいないのに、あの日の「重さ」が戻ってくる。

瓦礫の角。指先に乗る粉のざりざり。血が乾き始めるときの、表面だけがぺたぺた貼りつく感じ。

俺の脳はそれを“今”として再生する。

だから、蛇口の水で何度も手を洗う。手のひらを擦って、指の間をこすって、爪の隙間をブラシで掻き出す。

落ちないものを、落とそうとする儀式だ。十分やっても、感触は消えない。

 

鏡を見ない。

顔色が悪いことは知っている。

代わりに、冷蔵庫の小さな磁石時計を見て、頭の中で数える。

四つ吸って、四つ止めて、八つ吐く。

これでどうにか、呼吸の形だけ戻る。

 

シャツを着替えて、汗を拭く。

袖を長めにして、手首の擦り傷を隠す。

明日の朝、響と未来に会うときは「寝不足」と笑っておけばいい。

彼女たちの前では、俺は湯たんぽで、段取りお兄ちゃんで、いつも通りでいなきゃならない。

 

スマホが震えた。

画面には“今日も電話していい?”の通知。響。

通話ボタンを押す前に、指の震えが出ないように、机の角で手を軽く押さえる。声の高さも一段下げる。いつものトーンに合わせる。

大丈夫だ、と言える声帯の位置を、喉の中で探す。

 

本当は大丈夫じゃない。

夜道でマンホールの蓋が鳴るだけで肩が跳ねる。

人混みで誰かの肘が胸に当たると、反射的に息が止まる。

線香の匂い、花屋のスプレー、夏のアスファルトの熱気――それら全部が、あの日の匂いに繋がる。

眠れば、断面が出てくる。

眠らなければ、音が来る。

どっちにしても、朝には「大丈夫」な顔を作る手順だけが上手くなっていく。

 

それでも。

三人で撮った写真の笑顔は、捨てる理由にはならない。

あのとき掴んだ冷たい手の感触が、今の俺の手を温かくしていることも、たしかだ。

 

通話の発信音。

一回、二回。

息を整える。

口角を上げる。

“いつもの昇”を顔に張ってから、声を出す準備をする。

 

――大丈夫だよ、って。

嘘をつくためじゃない。

本当に大丈夫にするための、最初の一言として。




今、リンバスのイベントやってんだけど良秀さん?。子供相手にママ部分で出ますよね?絶対次の章の伏線ですよね?

多分、あと四話くらいで本格的に幻想体達を出す予定です(本当に多分)
なので、次回までどの幻想体やねじれを出して欲しいか募集します(その後、一回だけアンケートを取る予定)
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