次回からはちゃんと昇主体で物語を進めます
ノイズを殲滅した道路にて翼は刀を響に向けていた
「何をやっているんだあの二人は!?」
「いいじゃなーい、青春って感じで」
「司令?どちらへ?」
「あのバカ二人を止めないといけないだろ!?」
これを果たして青春と言って良いのか疑問ができるが弦十郎は早足でエレベーターに乗り込み二人を止めるべく現場へと向かう
「い、いや、私、そういう意味で言ったわけでは」
ノイズ殲滅後、響は翼と力を合わせたいからとお願いしたのに急に翼から自分と戦えと言われ困惑する
「翼さんとは力を合わせて・・・」
「わかっているわそんなこと」
「だ、だったらどうして」
「私はあなたを受け入れなれない。あなたと力を合わせて戦うなんて【風鳴翼】が許さない。あなたが【ガングニール】を継承するならアームドギアを構えて覚悟を決めなさい!」
翼は剣先を響に向け続け叫ぶ
「か、覚悟なんて・・・私、アームドギアなんて分かりません・・・分かってないのに構えろなんて余計分かりません!?」
「覚悟を持たずに遊び感覚で戦場に立つ貴方に・・・
その言葉に響は固まってしまう中、翼は空中に飛び上がり刀を投げる
刀は空中で巨大な大剣となり翼は後ろからブースターをつけ響へと迫る
【天ノ逆鱗】
「おらぁ!!」
しかし、すんのところで弦十郎が割り込み素手で翼の攻撃を防いだ
防がれた衝撃で翼は吹き飛ばされたが弦十郎は靴が破けただけで終わった
「全く・・・何をやってんだか。この靴、高かったんだぞ?」
やれやれと防いだ衝撃で出来たクレーターの真ん中で呆れる
道路は完全に破壊されパイプが破壊されたのか水が噴水のように溢れて雨のように降り注いでいる
「らしくないぞ翼。ろくな狙いもつけないでぶっ放したのか・・・・・・お前、泣いているのか?」
「泣いてなんかありません!!」
雨のように降っている水のせいで分かりずらいが翼の目から確かに涙が流れていた
「風鳴翼は・・・戦士として育てられた者。感情など必要ありません・・・」
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その後、響はリディアンの寮に戻った
しかし、ノイズの対処などのせいで出席の代わりにレポートをまとめることになった
こくり、こくり。首が前へ折れる。
同室の未来はタブレットで資料を開きながら、眉だけで苦笑した。
「響?寝たら間に合わないよ?そのレポートを出せば追試は免除なんだよ?」
度重なるノイズ出撃の疲労が骨の奥に溜まっている。響は机に突っ伏す勢いで目を閉じかけ――
「寝ちゃダメだよ?」
「寝てないよー、少し目を瞑るだけ・・・」
『いや、それ寝るやんけ』
二人の間に置かれたスマホが震え、スピーカーの向こうから昇の声がした。
『にしても、響?最近、どうしたんだ?未来によればいなくなることが多いらしいが?』
「へいきー、へっちゃらー」
眠気で舌が回らない返答に、未来が即ツッコミを入れる。
「へっちゃらじゃないでしょ?」
『ったく、響は昔からお人好しだったが・・・ここまでくると心配になるぞ?』
響は一瞬だけ瞼を上げる。
脳裏に浮かぶのは、道路で翼と対峙した日。
「奏の代わりになる」と口走ってしまい、翼に頬を打たれた。
あのときの翼の目は、怒りよりも哀しみで濡れていた――大粒の涙まで、はっきり見えた。
「・・・・・・」
『なぁ、響?』
「っあ、な、なに?昇?」
『・・・本当に最近どうしたんだ?』
「な、なんでもないよ?あはは」
笑って誤魔化しても、電話口の昇は気づく。
声の温度で、隠し事の影はだいたいわかる。
『いじめか?』
「ち、違うよ!?」
『・・・ま、いいさ』
追及の刃は引っ込める昇。代わりに、いつもの調子で揶揄う。
『にしても、最近響たちと会ってないから寂しいもんだな。今日なんて響のクラスメイトたちが【ふらわー】に来たんだけどよ?いやー、俺、オシャレとか興味なかったけど
空気が――変わった。
寮室の蛍光灯は同じ明度なのに、色温度だけが一段下がったように感じる。
「……そうなんだ。誰が来たの?」
響の声は眠気を脱ぎ捨てている。
抑揚は穏やか、けれど質問が具体だ。
「名前、わかる? 席はどこ? 何を頼んで、何時までいたの?」
未来は微笑んだまま、スマホへ少し身を寄せる。
声色は柔らかい。しかし、言葉は線を引く。
「昇。……そういうの、無闇に言わないほうがいいよ。『可愛い』って、軽くないから」
沈黙。スピーカー越しに、昇の喉がごくりと鳴る気配。
『え、えっと、いや、その……褒め言葉としてだな――』
「褒めるのはいいの」
未来の笑顔は崩れない。けれど、目が笑っていない。
「ただ、『可愛い』って言葉は、私と響の前で節約して。ね?」
響が追い打ちをかけるように、明るい声で重ねる。
電話口の昇は、完全に調子を崩した。
『ど、どうしたの二人とも?』
子犬みたいな声。
寮室では、二人の視線がスマホの黒い画面に同じ角度で落ちる。
「なにもしないよ。ただ、知っておきたいだけ」
未来は柔らかく言い切る。
「昇が、どこで、誰に、どんな風に優しいのか」
「それと――」
響はいつもの調子で、けれど指先だけがぎゅっとシーツをつまむ。
「『可愛い』って言葉、私にも言ってね?」
一拍。沈黙。
スピーカーから、情けない笑い声が漏れた。
『・・・ウス、リョウカイシマシタ』
「よろしい」
未来の声がふっと和らぐ。
響も「じゃ、レポートがんばるからね!」と明るく締めた。
通話を切る。
静けさが戻る。けれど、さっきより空気はあたたかい。
未来が囁くように言った。
「……本当に、無闇に可愛いって言わないで。誰かの心が痛むから」
響はこくりと頷く。
さっきまで舟を漕いでいた瞳に、火が戻っている。
ピロリン♪
いつもの空気に戻った部屋に響のスマホにアラームが鳴る
そこには【二課で定例ミーティング17:30〜】と出ていた
「なに?まさか朝と夜で間違えてアラームをつけたの?」
こんな時間に用事?と未来は呆れる
あははっと苦笑いで誤魔化し立ち上がって着替え始める
「まったく・・・、ほら万歳して」
未来も立ち上がり響の着替えを手伝う
「私ってしっかりしないといけないよね・・・今よりもっと・・・」
「しっかりするのはいいけど、真面目すぎると昇がまためんどくさい人になっちゃうでしょ」
「・・・ごめんね、未来」
「その代わり、三人で流れ星を見に行くの守ってよ?」
未来の手伝いもあって着替え終わった響がそういえばと思い出す
数日後に流れ星が見える日があり、三人で見に行こうと約束していたのだ(昇はバイト終わりで自転車で遅れて追いかけるらしい)
「うん!三人で!」
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「遅くなりました!」
リディアン地下、二課本部。管制室と会議室が一体化したフロアに、制服姿の響が駆け込む。
楕円の卓には既に了子、弦十郎、翼が着席していた。壁面の機器は低く唸り、空調の風だけが一定のリズムで流れている。
「それじゃ、揃ったところで仲良しミーティングを始めましょう♪」
了子がスイッチを弾く。ウィン、と音を立てて大型ディスプレイが点灯し、都市地図上に無数の光点が現れた。二課の所在地を中心に、同心円状へ点滅が広がっている。
「これを見てどう思う?」
「・・・すごくいっぱいですね!!」
「これはここ一ヶ月によるノイズの発生地点だ」
弦十郎が短く言う。
了子は腕を組み、画面の分布を指先でなぞった。
「ノイズの発生率は決して高くないんだけど・・・これは誰が見ても異常なことね。だとするとこれは何らかの作為が働いていると考えるべきね」
「作為って・・・誰かの手によるものなのですか?」
静かにしていた翼が、淡々と補足する。
「中心点はここ、私立リディアン学院高等科。我々の真上です。サクリストD…【デュランダル】を狙って何らかの意思がこの地に向けられている証左となります」
「あの・・・デュランダルって?」
響の問いに、了子が視線を落として端末をタップする。別画面にアビスの断面図と厳重な保管区画が表示された。
デュランダルとは――この本部よりさらに深層、「アビス」に封印・保管された、日本政府管理下で二課が研究中の完全聖遺物。
「完全聖遺物とは!翼ちゃんや響ちゃんの【天羽々斬】や【ガングニール】のような欠片にエネルギーを送って起動するようなものではなく、起動してしまえば常時100%の力を発動できて装者以外の者でも使用できるの♪それが私の提唱した『サクライ理論』なの!でも起動するためには
弦十郎が頷き、視線を翼へ送る。
「・・・今の翼なら起動はできるはずだ」
しかし、と低く続けた。
「日本政府がデュランダルの起動実験の許可をおろしてくれないだろう」
オペレーターが淡々と情勢を重ねる。
「確か、安保を理由にアメリカ側が再三によるデュランダル引き渡しを要求していると聞きました」
もう一人のオペレーターは肩をすくめた。
「扱いには慎重になるしかありませんね。下手をすれば国際問題ですし」
弦十郎は小さく息を吐く
「ここ数ヶ月によるここへのハッキング攻撃が後を経たない。追跡は頼んでいるが・・・おそらくだろうが、それを米国政府のせいとは断言できないがな」
会議室に、短い沈黙が落ちる。
地上の静けさとは別種の、作為の匂いだけが濃くなる。
画面の光点は、なおも規則を装って、中心へと寄り続けていた。
翼がCD関連の打ち合わせで部屋を出る。
残ったのは、響と弦十郎、了子、それに数名のオペレーター。
「・・・あ、そういえば了子さん。質問いいでしょうか?」
「まあ♡ とうとう響ちゃんが私に質問だなんてぇ〜、どうぞ?」
「さっき、デュランダル起動の説明で『例外を除いて』って言いましたよね。他にも“例外”があるんですか?」
「…………」
「……あ」
「あちゃー」
空気が、コトンと重心を変える。
オペレーターは苦笑、弦十郎は目を伏せ、了子は天井の一点を見つめたまま沈黙。
「わ、私、不味いこと聞きました?」
弦十郎が短く息を吐く
「不味いというより――重い話だ」
了子がタブレットを操作し、一枚の写真を映す。台座に鎮座する、一冊の分厚い“本”。
「二課はデュランダルとは別に、もう一つ“完全聖遺物”を保有してるの。仮称、【UNKNOWN】。――響ちゃん、これ見てどう思う?」
「・・・本ですね!」
「だよねぇ・・・」
椅子に背を沈め、了子が盛大にため息をつく。
「“アンノウン”って、デュランダル以上に危険な聖遺物なんですか?」
「逆なの。どの聖遺物より“わからない”。起動条件、反応、材質的挙動――二年間、測っても解析しても無。唯一確認できたのは
「不明って・・・・・・何も、ですか?」
「そー。ゼ〜ンブ、霧。だから日本政府が痺れを切らしてね、半ば強制的に“UNKNOWN”を回収。向こうで独自に研究……のはずが、そっちも空振り。で、明日。広木防衛大臣の視察に合わせて“UNKNOWN”は護送で二課に返ってくる」
弦十郎が腕を組む
「表向きの日程は偽情報を流してある。本隊は前倒しで到着予定だ。内通者がいても、昨日決定の案件だ。襲撃側の準備は間に合わん……はずだが、警戒は解かん」
響が不安そうに眉を寄せる
「……大丈夫なんでしょうか?」
「大丈夫に“する”。そのために我々がいる」
了子が立ち上がり、白衣の裾を払う。
「私は明日、政府側の会合に出て、二課の防衛システムと“UNKNOWN”の報告をするわ。――だから、その間の現場はお願いね♡」
「え、了子さんも行っちゃうんですか?」
「こればっかりはね。急な前倒しに付き合ってる私たちの身にもなって欲しいけど〜・・・・・・仕事は仕事」
苦笑を浮かべ、了子は資料を抱えて扉へ向かう。
この本部のシステム周りは彼女の管轄だ。安全性の証明は彼女にしかできない。
「……“UNKNOWN”は、そろそろ最終判断が下されると思うわ。向こうは“完全聖遺物”じゃなくて“聖遺物“類似物”ってラベルを貼りたいはず。――よくわからない物に予算はつけたくない、って理屈ね」
皮肉をひとつ残し、了子は部屋を出た。
静けさ。エアダクトの低い風音だけが残る。
壁のモニターには、さっきの“本”――表紙のセフィロト、それを覆う門が黙ってこちらを見返しているように映った。
この場にいる誰も、まだ知らない。
昇がその“本”と出会うとき、止まっていた歯車が噛み合い、
――最悪が静かに、回り始めることを。
どうも作者です
皆様に今後の方針についてをば
幻想体とねじれって有名なやつから知名度の低いやつまでいっぱいあるじゃないですか
なので、今回から『感想に書かれた奴から積極的に出す』ということにしようかなって思ってます
なので、ドシドシと感想に書いていってください