幼馴染たちが美しく歌う中、俺は哭き叫び狂い堕ちる   作:零城

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ようやくプロムン要素を本格的に入れられる・・・

てか8000文字超えたんだが?


第九話 月は堕ちる

「人類は呪われているー!」

 

真昼の中庭。

ベンチを占拠して弁当を広げる一同の中で、響だけは今日締切のレポートに走り書き中だ。ペン先が紙を削る勢い。

 

「むしろ、私が呪われている!!」

 

叫びながらも、友人に箸で口へ放り込まれつつ筆は止めない。

 

「ほら、おバカなことをやってないで締切は今日の放課後でしょ?」

 

「だから限界に挑んでるの!」

 

モシャモシャ→カリカリ。

……ただし字は壊滅的。

 

「まー、アニメじゃあるまいしこんなことをして捗るわけないけどねぇー」

 

「え!?手伝ってくれてたんじゃないの!?」

 

友人三人が立ち上がり、弁当を手早く片づける。

 

「これ以上、邪魔するのは忍びないし屋上でバトミントンしに行ってきますわ」

 

「お、いいね。未来はどうする?」

 

「私は響の手伝いをする。今日一日、レポートの手伝いをするって約束したし」

 

「・・・はぁぁ♡未来!!」

 

響の目が一瞬でフルチャージ。

 

「まぁ、仲がよろしいことで!こんなんじゃ不倫相手()くんが嫉妬しちゃいますよ?」

 

「だからぁ!昇をそんな不倫関係みたいに言わないでよ!!」

 

ぷんすこ。可愛く怒ったところで――

 

――夕方。職員室前。

未来のサポートもあって、滑り込み提出に成功する。

 

「はぁ・・・壮絶に字が汚いって言われたー」

 

「そうじゃなくて、時間過ぎてたけど受け取ってもらえた?」

 

「・・・今回だけは特別だって!!イェーイ!!」

 

「・・・よかった」

 

「これで三人で流れ星を見れるね!!」

 

「響はここで待っておいて。荷物取ってくるから」

 

「うん!」

 

未来は嬉しそうに駆けていく。

響は「頑張ったご褒美」と言われ、大人しくベンチで待つことにした。

 

ピリリピリリ――。

 

中庭の空気を切る着信音。画面に表示される送信者は、見慣れた《二課》。

短い文面は、短いほどに重い。

 

至急 中央棟へ

 

響は一度だけ空を見上げ、立ち上がった。

 

――

 

「・・・響?」

 

戻ってきた未来の視界に、響の姿はない。

廊下は夕日の色で静まり返り、教室を覗いてもベンチを見ても、影すら見当たらない。

 

ポケットのスマホが震えた。表示は「響」。

 

「響!あなた!」

 

「ごめん未来。急な用事が出来ちゃった。今晩の流れ星、三人で見に行けないかも」

 

「・・・ッ」

 

未来は一度だけ深呼吸。耳へ戻す。

 

「・・・また、大事な用なの?」

 

「・・・うん」

 

「・・・わかった。なら、仕方ないよね。部屋の鍵は開けておくから遅くならないようにね」

 

「・・・ありがとう、ごめんね」

 

通話が切れる。

夕日はほとんど沈み、群青がにじむ。雲は薄く、夜には晴れる――はずだった。

 

だが、背後で空気がひやりと痩せた。

 

――無数のノイズが、音もなく街路に立ち上がる。

 

 

『Balwisyall Nescell gungnir tron〜♪』

 

 

響は駆ける。

歌が胸の奥から立ち上がり、ガングニールが残光を描く。

拳が、群れの中心へ――。

 

『その先に一際大きな反応がある。くれぐれも無茶はするなよ』

 

通信機越しの弦十郎。

 

「わかってます!私は・・・私にできることをやるだけです!」

 

響の声は迷いがなく、夜風だけが返事をした。

 

 

 

 

 

 

 

「響ったら・・・ほんと、お人好しね」

 

通話が切れたあと、未来は響の分の荷物をベンチに置き、スマホをもう一度開く。

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()?」

 

発信ボタンを押しても、返ってくるのは無機質な案内だけ。

留守番電話へと繋がる画面に、夕焼けの光が小さく映り込んだ。

 

 

________________________________________________

 

 

 

 

それは、響たちがレポートを提出するさらに数時間前のこと。

 

カシャ、カシャ――

キィィィィィッ!!

 

駅前通りを駆け抜けた自転車が、店先で半ばドリフトしながら停まる。

ブレーキ痕の先で、影が跳ねるように降りた。

 

「おばちゃん!3丁目の山田さんへの宅配終わったよ!!」

 

勢いよく【ふらわー】の扉が開く。宅配帰りの昇だ。

 

「昇君!ごめんけど、また宅配の依頼が入ったわ!」

 

「あいよ!!」

 

【ふらわー】は駅前のお好み焼き屋。

リディアン女子の口コミで火がつき、客足が途切れない。

店主の“おばちゃん”とバイトの昇は、フロアと厨房と宅配を目まぐるしく回していた。

 

「だぁ!忙しすぎて笑っちゃいますねぇ!!」

 

――実際、笑うしかない忙しさだ。

おばちゃんには「歳だから客を別の意味で減らしたい」と、軽い気持ちで始めた『30分以内に届かなかったら半額』キャンペーンを今さら後悔している。

昇は中学時代からここで働き、バイト代で自転車を買い足してきたが――荒すぎる運転で二台ほどお釈迦にしたのはここだけの話。

 

注文票を腰に差し込み、袋詰めをリュックに入れて肩にかける。

 

キコ、キコ――。

 

なけなしの資金で買い直した中古のMTBに跨がり、昇は再び爆走する。

ハンドルの先、夕方前の街が流れる鉄板みたいに熱を帯びていた。

 

「……今日は良い流れ星が見えそうだな」

 

今夜は、前々から未来と響と約束していた“流れ星の日”。

本当は早く合流したい。けれど、店じまいまで手伝う――それが俺とおばちゃんの取り決めだ。

 

「早く行って二人に会わないとな」

 

昨夜の通話を思い出す。

響のクラスメイトが店に来て、保護者みたいな質問を矢継ぎ早に浴びせられた。

『元気にしてる?』『相変わらずお人好し?』――うん、全部その通り。

そのあと俺の凶悪走法を目撃して、ドン引きされたのはオマケだ。

 

「……にしても、なんで二人はあんなに殺意こもった声をしてたんだ?」

 

思い返すたびに背筋がぞわっとする。

どんよりした空気を変えたくて軽口を叩いただけなのに、体感温度が氷点下まで下がったのは何故だ。

 

「……なんで怒ってたんだろ」

 

この男、二人の好意にまったく気づいていないのである。

いつか背中を刺されそうな男、昇――俺は、再び宅配の袋を担いでMTBに跨る。

 

キコ、キコ。

ペダルのリズムに街の景色が流れる。

 

 

 

 

 

「んな、通行止めだと?」

 

えっちらおっちら数十分。

次の届け先は、街の端っこの公園。部活あがりの子たちが夕飯にするらしい。

大通りを行けばギリギリ。だから裏道でショートカット……の計画は、工事用フェンスと三角コーンであっさり潰えた。

 

アスファルトの匂い。黄色い看板に太字で通行止。

重機のアームがゆっくり首を振り、警備員が申し訳なさそうに腕を交差する。

 

「さて、どうしたものか……」

 

脳内MAPを広げる。

いま引き返して大通りに戻れば、間に合わない。

一本南の細道は階段、北側は線路沿いで遠回り。

残るは――

 

風が一度、背中を押した。

ハンドルを握り直し、俺は視線を路地の奥へ滑らせる。

間に合う道は、まだどこかにある

 

「・・・あ、そういやこの先の建設地帯って目的地に繋がってるんだっけ?」

 

以前、ノイズの襲来で自衛隊が交戦した時に建物が壊れてしまったので建設が行われているのを思い出す(正確には響たち二課が交戦したからである)

 

「確か、トンネルの横を通りすがれば・・・」

 

前に見た地図を思い出しルートを考える

太陽を落ちかけ夕日が街を照らし始めている。急がなくては

 

「響たちと流れ星を見るためには危険を犯さないとな!」

 

昇はMTBの前輪を上げ後輪を軸にして進行方向を変え全速力で漕ぎ始めた

・・・それが最悪の出会いの始まりとは露にも知らずに

 

 

 

________________________________

 

 

 

――同時刻。

 

建設地帯を、数台の黒塗りが隊列で抜けていく。

前後左右を一台ずつで囲み、中央のセダンと装甲車を護る形。

 

中央車両の後席には、広木防衛大臣と秘書官。

 

「旧陸軍由来の特務機関とはいえ、いささか自由すぎるのではありませんか?」

 

秘書官が、不満を隠さず低く言う。

 

「それでも、特異災害に対する唯一の切り札だ。私の役目は、連中を余計な手から守ることだけだ」

 

広木は短くため息を吐く。

彼は、二課のために無数の圧力を受け止めてきた。

情報隠蔽と迅速な現場判断――その“無茶”を通す盾として。米国やEUからの開示要求を退け、二課の現場意見を通したのも大臣の政治力による。

 

「だからといって……UNKNOWNと同護送は危険では?」

 

「分割すれば二正面になる。襲撃を同時に受ければ対応が散る。ひとつにまとめ、警備を集中させる。計画も一昨日に前倒しにした。知っているのは我々と二課だけだ」

 

広木は視線で後方の装甲車を示した。

――護衛隊には「あれにUNKNOWNがある」と説明している。実際は囮だ。

本物は、広木が座るシート下の隠しケースに収納。秘書官の膝には極秘資料のブリーフケース。

 

「UNKNOWNも重要だが、この資料も二課へ必達だな」

 

そう呟いた直後、車列はトンネルへ。出口の光が近づき――

 

キィィィィィィ!!

 

大型トラックが横滑りで出口を塞ぐ。

先頭車が急制動。直後、背後から二台目の大型が突っ込み、車列はトンネル内で押し固められた。

装甲車が横転し、護衛車の数台が押し潰される。

 

荷台が開く。

無言の男たちが次々と飛び降り、アサルトライフルと防弾シールドで前進。

護衛隊は拳銃で応戦するが、火力と布陣で劣勢。次々と沈黙していく。

 

「く、くそ!」

 

弾幕がはじき返される。

銃声に混じってガラスの砕ける音。秘書官が崩れ、ブリーフケースが座面に転がった。

 

広木はそれに手を伸ばす。

窓が割れ、狙い澄ました一発が手首を撃つ。指先から力が抜ける。

 

「き、貴様ら――」

 

ズドドドドドドドドド!!

 

短い連射。

広木の身体がシートに沈み、呼吸の音が止まる。

 

襲撃者は無線で短く確認を交わし、ブリーフケースを回収。

動きは早く、無駄がない。

後に判明するが正体は米国の特殊部隊――目的は、大臣の排除、資料の奪取、そしてUNKNOWNの回収。

 

Okay, now all we have to do is retrieve [UNKNOWN].(よし、あとは【UNKNOWN】の回収だけだ)

 

トンネル内。

隊長格の男が英語で短く指示を飛ばし、極秘資料のブリーフケースを片手で掲げる。

部下たちは「UNKNOWNは装甲車にある」と信じ切っており、防弾シールドを前に出して横転車両へ雪崩れ込んだ。

 

後席では、広木防衛大臣が血に濡れた指先でシート下の隠しロックを外す。

引き寄せたのは――黒いスーツケース。

最後の力でドアを押し開けようとした、そのときだった。

 

「おい、おっさん、大丈夫か!?」

 

車窓の割れ目から、昇が覗き込む。慌てた顔、肩で息。

(彼がここに来るまでの数分前――)

 

――――

 

キコ、キコ。

MTBで路肩を走っていた昇の耳に、乾いた連発音が刺さった。

 

「……なんだ?」

 

日常では聞かない音。

嫌な予感が背中を押し、MTBを降りてトンネルへ走る。

 

鉄の匂い。火薬の匂い。

二年前の記憶が、喉の奥を冷たくなるほどに甦る。

 

「な、なんだよこれ……」

 

視界に転がる防弾シールド、砕けたガラス、沈黙。

中央車両だけが辛うじて原形を留め、中の影が動いた。

 

「ッ!? おい、大丈夫か!?」

 

駆け寄ると、男(広木)は昇の顔を見て、何かを決したようにスーツケースを押し付けた。

 

「これを……私立リディアン音楽院高等科まで……運べ」

 

「は? リディアンって――おい、おっさん!? どういう――」

 

問いは最後まで届かない。

男の瞳から光が抜け、重みだけが腕に残った。

 

「Hey, you.」

 

背中から英語。

振り向けば、ライフルを構えた男たちが半円を描いて取り囲んでいた。

 

「な、なんだよお前ら」

 

「Put the case down. それを置け」

 

隊長格が無表情で顎をしゃくる。

昇の背筋を、理由のない悪寒が走った――置いても殺される。

(鍛錬の勘か、ただの勘違いかは分からない。だが、足がそう告げる)

 

「わーった、わーった。置くから落ち着け……よっ!」

 

昇は置くふりをして、背負っていたリュックを隊長の顔面へ投げつけた。

鈍い音。シールドが揺れる。

その瞬間にケースを持ち直し、反転ダッシュ。

 

「Shit!」

 

特殊部隊の動きは速い。

体勢を立て直した一人が、無造作に引き金を絞る。

 

――ズシュ。

 

「ッう……!」

 

一発が肩を貫き、熱が弾ける。

花みたいに広がる温度。けれど、足は止まらない。

 

「ノイズに殺されるより――人間に殺されるなんて、まっぴらだ!」

 

右手で肩を押さえ、左腕でケースを抱える。

コンクリの反響が、足音と心拍を倍にして返してくる。

背後で怒号。前方で非常灯が点滅。

出口は、一つ。

昇は、走った。

 

「Go after him! Orders have come from the higher-ups to kill all witnesses!(アイツを追え!目撃者は全員殺せと上層部から通達があった!)」

 

だがここで天が味方をしてくれた

 

 

 

ズドォォォォォォォォォォォォン!!

 

 

 

横転した装甲車がトンネル内で大爆発を起こした

炎と爆音はトンネルを大きく揺さぶり特殊部隊は巻き込まれはしなかったが立て直しに時間がかかってしまい昇から距離を取られてしまう

 

(ごめんおばちゃん!宅配物、紛失しちまった!)

 

それに土地勘は昇の方にあるおかげで昇は負傷しながらもスイスイと建設途中の土地まで逃げることに成功した

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・はあ、はあ、はあ」

 

建設途中の建物の物陰に隠れることに成功した

が走った影響か肩から滝のように血が流れていく

 

「何もんだ・・・アイツら?」

 

血を失ったせいか貧血気味になって意識が朦朧としてきた

建物の壁に寄りかかりながら一旦休憩する

 

「あの装備・・・明らかに強盗とかじゃねぇよな・・・」

 

とりあえずスマホを取り出して警察に連絡しようとするが

 

「・・・圏外・・・だと」

 

周囲が分厚い建物に覆われているせいか電波が安定せず圏外になったりならなかったりと不安定だった

 

「・・・くそ」

 

昇はふらつく体に鞭を打って立ち上がる

ここで死ぬわけにはいかない。

 

「三人で・・・流れ星を・・・」

 

と一歩踏み出そうとした時だった

 

 

 

パァァァァァン

ズシュッ

 

 

 

 

「コフッ」

 

昇の腹部を一発の銃弾が貫いた

 

『target hit』

 

その弾丸は付近で昇を捜索していた特殊部隊の狙撃手の弾丸だった

弾丸は昇の肝臓を貫き致命的な一撃を与えた

昇は撃たれた反動で地面に叩きつけられる

 

「がはっ!?ガッ!?」

 

口から大量の血が出てくる

どこを撃たれた?と腹部を触るとぬめりとした温かい感触

血が流れた、あとどれくらい流れたら死ぬ?、撃たれた箇所は?肝臓か?・・・と地面に倒れながらなんとかして起き上がる

地面には血の海が出来上がっていた。そしてフラッシュバックする

2年前の悲劇・・・人が死に、炭になり、幼馴染が血の海に沈んでいく光景を

 

「死にたくない・・・まだ・・・死なない・・・・・・」

 

昇は這いずりながら近くにあったマンホールに指をかけ持ち上げる

指が擦りむき血が滲み出るがマンホールの中へと逃げ込む。男から託されたケースを大事に抱えて

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

パシャパシャ

 

 

「はぁはぁ・・・・・・ごほごほ!?」

 

逃げた先は下水道であった。ハシゴを使って降りるが腹部を撃たれたせいで力が入らず中腹あたりで足を滑らせて落ちてしまう

受け身を取らずに落ちたため全身に痛みが走る

 

「逃げな・・・きゃ」

 

立ちあがろうするが力が入らない。そして、瞼が重くなってきた

 

「嫌だ・・・死にたくない・・・・・・死にたくないよぉ・・・」

 

昇は子供みたいに泣き始めた

涙が目から落ち血の海へと混ざっていく

 

「なんで・・・なんで俺が・・・こんな目に・・・・・・」

 

そして、後悔に包まれる

ああ、あの時渡しておけばーーー

ああ、あの時近道なんかせずに行けばーー

ああ、バイトなんかせずに家で待っていればーー

 

「俺・・・死んじまうのかな・・・・・・」

 

昇の脳内は走馬灯が走り始めた

 

(ごめん響、未来・・・俺、なんかアニメみたいなありえない死に様を見せそうだわ)

 

指が動かなくなる

呼吸も深くなっていく

だが・・・それでも昇は抗い続ける

 

 

「く・・・そ・・・・・・がぁ!!俺はぁ!!響を幸せにするまでぇ!!死ねねぇんだよぉ!!」

 

 

その時であった

昇が託されたケースの中から光が溢れ出した

 

「この光って!?」

 

目を覆いたくなるほどの光・・・と()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

昇は知っている・・・それも2年前に。

それは2年前、奏が謎の鎧を出した時に見せた光と酷似していた

 

「俺に・・・力を・・・貸してくれるのか?」

 

昇はスッとケースを開く

そこには【一冊の本】が収まっていた

仮称:完全聖遺物【UNKNOWN】。ただそれは昇の問いに答えず優しく光っているだけだった

 

「・・・だけど、これで・・・響たちを守れる!もう二度と・・・響が泣かなくていいように!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ザシュ

 

 

 

 

 

 

 

「・・・え?」

 

だが、昇が次に見えた光景は・・・()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()であった

 

・・・う、うぁぁぁぁぁぁぁぁ!?

 

UNKNOWNはいつのまにかケースから出ており空中に浮かんでいる

そして、了子たちでさえ開くことのなかったページが開かれており、そこから黒い触手が現れ、切り落とした昇の手足を本の中へ取り込んでいく

 

「ち、違う・・・俺は・・・あの人みたいな・・・・・・」

 

ダルマにされた昇は最後の力を振り絞り芋虫のように這って逃げる

UNKNOWNから逃れても特殊部隊に見つかって殺されるか出血死でいなくなるかのどちらかしかないのにそれでも逃げる

 

 

 

『ヨウヤクヒトツニ・・・・・・』

 

UNKNOWNは黒い触手を伸ばし逃げる昇の背中を貫き・・・流し込む

 

「あ、ァァァァァァああああああアアアア!?」

 

耳の内側で、未裁断の頁がぱきと割れた。

その裂け目から、黒い水が音を立てて落ちてくる。

 

憤怒、憎悪、絶望、恐怖、不安、嫉妬、嫌悪、虚無、孤独、悲哀、悲嘆、悔恨、後悔、自責、罪悪、屈辱、恥辱、羞恥、劣等、憂鬱、鬱屈、厭世、倦怠、退廃、破滅、狂気、狂乱、混乱、焦燥、不信、懐疑、疑心、怨恨、怨嗟、憎恨、憤慨、哀愁、悲痛、苦痛、苦悩、迷妄、妄執、執着、嫌忌、嫌気、無念、無力、諦念、自棄、自嘲、自罰、独善、冷笑、侮蔑、軽蔑、嫌厭、厭悪、不快、不満、悲観、恐慌、怯懦、怯弱、猜疑、孤寂、空虚、喪失、背徳、罪責、懊悩、怨念、憔悴、放心、茫然――。

 

息を吸うたび、胸骨の裏側に注釈番号が増えていく。

数える間もなく、次の頁が開く。

 

憤怒、憎悪、絶望、恐怖、不安、嫉妬、嫌悪、虚無、孤独、悲哀、悲嘆、悔恨、後悔、自責、罪悪、屈辱、恥辱、羞恥、劣等、憂鬱、鬱屈、厭世、倦怠、退廃、破滅、狂気、狂乱、混乱、焦燥、不信、懐疑、疑心、怨恨、怨嗟、憎恨、憤慨、哀愁、悲痛、苦痛、苦悩、迷妄、妄執、執着、嫌忌、嫌気、無念、無力、諦念、自棄、自嘲、自罰、独善、冷笑、侮蔑、軽蔑、嫌厭、厭悪、不快、不満、悲観、恐慌、怯懦、怯弱、猜疑、孤寂、空虚、喪失、背徳、罪責、懊悩、怨念、憔悴、放心、茫然――。

 

言葉は冷たく、体温だけが足元から抜けていく。

掌が震えるのは恐怖ではない。震えですら、たぶん症状だ。

 

憤怒、憎悪、絶望、恐怖、不安、嫉妬、嫌悪、虚無、孤独、悲哀、悲嘆、悔恨、後悔、自責、罪悪、屈辱、恥辱、羞恥、劣等、憂鬱、鬱屈、厭世、倦怠、退廃、破滅、狂気、狂乱、混乱、焦燥、不信、懐疑、疑心、怨恨、怨嗟、憎恨、憤慨、哀愁、悲痛、苦痛、苦悩、迷妄、妄執、執着、嫌忌、嫌気、無念、無力、諦念、自棄、自嘲、自罰、独善、冷笑、侮蔑、軽蔑、嫌厭、厭悪、不快、不満、悲観、恐慌、怯懦、怯弱、猜疑、孤寂、空虚、喪失、背徳、罪責、懊悩、怨念、憔悴、放心、茫然――。

 

繰り返しは呪いではない。規則だ。

規則は効率で、効率は刃だ。

刃は静かに、内側から頁を裁つ。

 

最後に残るのは、自分の声ではない。

口が動かなくても、頭の中で朗読は続く。

そして、どの行にも余白がない。

 

「嫌だぁ!!死にたくない!死にたくないよぉ!!」

 

背中を貫かれた昇はズルズルとUNKNOWNに引き寄せられ

 

 

 

 

とぷん

 

 

 

 

 

昇の体はUNKNOWNの本の中に取り込まれるように・・・背中の骨は折られ、内臓は引き裂かれ、本の中へ消えていった

 

「たす・・・け・・・て・・・ひび・・・き」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、昇を探していた特殊部隊は・・・()()()()()()()()()()

生き残った隊員は震えながら何があったのか小声で何かに怯えて説明した

 

曰く、血がマンホール下に続いていたため降りて少年を探したと

曰く、そこにいたのは()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

曰く、すぐさま発砲したがどこからか精製した大剣と黒い剣で全て打ち落とされたっと

曰く、現場に異変が起き、()()()()()()()()()()()()()()()()()()

曰く、対象は目にも止まらぬ速さで迫り大剣を振れば隊員三人をまとめて叩き殺し黒い剣を振れば隊員の首が美しく飛んだっと

曰く、音は無くなったが()()()()()()()()()()()()()っと

 

そして自分を除いたすべての隊員が()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

曰く、その少年はもはや怪物であったと・・・

 

 

その後、その最後に生き残った隊員は回収した機密情報を残して三日後、自殺した




どうも作者です
また新しいアンケートを取らせてもらいます
今回は【物語のテンポ、丁度いいか?】についてです
作者、一話四千字以上を心がけていますがちょうど良いのか気になってアンケートを出しました
この結果を元に改善するのでよろしくお願いします

あと、察しがいい人ならラストに出てきたのはとあるねじれと特色を混ぜたものだとわかりましたよね?
いやー、作者一度やってみたかったんですよね。かつての敵と主人公がタッグを組む的なやつ
おや?どうしたんですか?ローラン?誰もあなたのことなんて言ってませんよ^^

ストーリーのテンポと文字数どう思う?

  • テンポ良いし、文字数も文句なし
  • ストーリーテンポが早い又は遅い
  • 文字数が多い
  • 文字数が少ない
  • オマケみたいな閑話休題の話を入れて欲しい
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