モンスターハンター トラという猫   作:ガノトトスの炭火焼き

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第3話 ユクモでいっぷく

 

 クロトビのアオアシラ初討伐の宴から翌日の早朝。トラはユクモ村の農場に来ていた。ここは大きな湖に面しており、いい桟橋もある。トラはそこで釣り糸を垂れていた。

 現在この農場はユクモ村に所属するハンターたちの共有の場所となっていて、そのハンターたちのオトモアイルーもここで自主練習をしたりしている。

 

 そんなトラの後ろに「えっほえっほ」とランニングするアイルーが一匹。トラに気づくと「ふいー…」と休憩がてらに近づいてくる。

 

「あ、誰かと思ったら『釣り猫』さんニャ!おはようございますニャ」

「ニャァ、おはようございますニャ…まだこんな朝早くに…自主練ニャ?」

「ンニャ!ボク、もっともっとご主人のお役に立ちたいんニャ!だから頑張るニャ!」

「それはいいことニャァ…ニャ!かかった…けど…これは…」

 

 水中に引かれる釣り竿に力を込めて引き上げてやると、そこにはヨロイイシダイがかかっていた。

 

「ニャァ…ま、とりあえず魚籠に入れとくニャァ…」

 

 他の魚が元気よくビチビチ動く魚籠にヨロイイシダイを入れるトラを見ていたアイルーは「ニャニャ」とトラの肩をポンポンと叩く。

 

「その魚籠、どうなってるニャ?」

「ニャ?」

「今は湖に魚籠を浸してないのに、お魚が元気なの不思議だニャ」

「ニャァ、そういう事かニャ。水も入れてるけど…これは冷やした流水草のおかげニャ」

「リュウスイソウ…???」

「水分を多く含んでる葉っぱニャ…ユクモ方面じゃ珍しいかもニャ…でもこの葉っぱをいっぱい入れてるおかげで魚籠の中に水分を確保できるニャ」

「でもそれだとお水がこぼれないニャ?」

「それも大丈夫ニャ…魚籠の内側はこんな感じでズワロポスの皮でコーティングしてるニャ。しかも簡単に取り外せるから川や湖の水に浸したいときはこの皮だけを取るニャ」

「すごいニャ…!全部トラさんが考えたのニャ?」

「ニャハハ…その…オイラとオイラのご主人で考えたのニャ…」

「へぇ!そうなのニャ!?ていうかトラさんもオトモアイルーニャ???」

 

 そう言われてトラはヒゲをピクリと動かす。少しの間が空き、目の前のアイルーが「ニャ?」と不思議そうに首をかしげる。

 

「…そうニャ、でもオトモアイルーは引退したニャ」

「…ニャ……!ご、ごめんニャ…聞いちゃいけない事だったみたいニャ…」

「いんや、気にしなくていいニャ。もう、過去の事ニャ」

 

 そう言って空を見上げたトラの目はどこか遠い場所を見ているように見えた。

 

「…あ、そうだ、これ持ってくニャ」

 

 そう言ってトラが魚籠から取り出したのはさっき釣ったヨロイイシダイや、武具などでも使える魚たちであった。

 

「え……そんな、いいのニャ?」

「ニャァ、ホントは大食いマグロを釣りたいんだけど…今日は中々かからなくってニャァ…気づいたら狙ってない魚がこんなに…だから貰ってくれると嬉しいニャ」

「あ、ありがとうニャ!ご主人も喜ぶニャ!」

「ンニャ、そういえば君の名前は?」

「ニャ!僕はルークっていうニャ!」

「ニャァ、いい名前ニャァ…ルーク、ご主人を大事にニャ」

「……ニャ!」

 

 その後大手を振って感謝しながら去っていくルークを見送った後、再びトラは桟橋で釣り針に釣りミミズを付けて糸を水面に垂れた。

 

「はぁぁぁ…こうして釣りをしているときは…平和を感じるニャァ…」

 

 山から覗く朝日がトラを照らし、一日の始まりを告げる。

 

「…いい朝日ニャ……………ニャ…」

 

 うつらうつらと釣り糸を垂れる後姿が揺れ動き、やがて…

 

◆◆◆

 

『トラ!これはな、釣り竿っていうんだ!』

 

『じゃーん!どーよ?お前専用の釣り竿だぜ!ほらよ!今から釣りに行こうぜ!』

 

『あん?バッカ、オメー、どんな奴が獲物でもエサは釣りミミズ一択だっての!腕の見せ所だぜ!』

 

『おお!やったなトラ!サシミウオだ!早速焼いて食おうぜ!いい食べ方があってなぁ…』

 

◆◆◆

 

 

「………ニャ…夢かニャ…」

 

 遠くなってしまった思い出を夢見た一匹のアイルーはグシグシといつの間にかこぼれていた涙をぬぐった後、釣り竿を引き上げようとする。

 

「…朝はこのくらいにしようかニャ………ニャ?ニャニャ!?」

 

 と、思っていた矢先、糸がググイっと引っ張られ、獲物の当たりを知らせる。

 

「…!この重さ!来たニャ!!」

 

 糸を引いたり緩めたり、少し遊ばせてから一気に引き上げると、トラが狙っていた大食いマグロが水中から空へと引き上げられる。

 

「大食いマグロニャ!最後の最後でやったニャァ!ドス…とはいかないけどデカイニャァ!」

 

 桟橋に打ち上げた大きな大食いマグロを見て、トラの脳裏にある思い出がよみがえる。

 

◆◆◆

 

『トラ、ユクモの農場でドドーンと大物を釣り上げたらさ、その後温泉に入ってサンダー・サイダーを一気にこう…グーッて飲んで、それからザブンと湯に浸かってみな?…へへっ、飛ぶぜ?』

 

◆◆◆

 

「…ニャハハ…そうニャね…このマグロをシメたあと、そうしてみるかニャ」

 

 その後、ユクモの村の集会場にある温泉で「…飛ぶニャァ…」と温泉にプカプカと浮かびながらいっぷくするトラが目撃された。

 

 

 




次回あたりにお料理描写を入れたいのですが、モンハンの世界観を崩さない程度のオリジナル食材(調味料含む)を出すかもしれません。
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