不知火のフルタイムゲーム   作:甲子園のバックネット裏にいたおじさん(偽


原作:ブルーアーカイブ
タグ:オリ主 転生 野球 RABBIT小隊
 オリ主がRABBIT小隊に世話になって、球技大会に出ようとする話。

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 1年ぶりの夏の甲子園が面白かったので初投稿です。


第1話

 ブルーアーカイブというゲームをご存じだろうか

 日常で奇跡を見つけるRPGという触れ込みでリリースされた、女学生とキャッキャウフフできるよくあるソーシャルゲームである。半分くらい嘘です。よくあるだけならあんな人気コンテンツにはなりませんし、二次創作界隈も盛り上がったりしません。

 ブルーアーカイブと言いながら、赤そうな記憶が多いし、汗より硝煙の匂いが気になるストーリーが多いです。生徒たち全員に頭に天使だか悪魔の環が付いていたり、登場する大人達がまともに人間の姿をしていなかったりで、一度やると何となく頭に残ってしまう。そんなゲームだ。ただ特別やりこんだわけではないので詳しくは知らない。好みのキャラや無料ガチャ期間にちょこちょこやる程度だった。

 だが転生だかトリップした自覚は早かった。サンクトゥムタワーが見えた瞬間「あ……」となった。夢かどうかの確認に2時間くらい費やしたが。

 さーてここに来てしまった以上、暴力は日常沙汰、代金を銃弾で払うレベルの治安だ。一般的な日本人は抽選で漏れなく死ねる。描写を見るに、下手な昼食より弾丸のが安いんじゃないかと思うほど引き金が軽い。どうやって生き残ろうかと考えると

 

「あれ? そもそもギヴォトスって日本円使えんの?」

 

 

 

 結論。無理でした。現金も電子マネーもダメでした。スマホも光るおもちゃになってた。ニチアサのヒーローグッズにも劣る仕様だよ。

 ということで、今日は最低限の安全を確保した寝床で寝ようと決意した自分は、RABBIT小隊のいる公園へ行き、一晩だけ近くで寝させてくれと頭を下げた。そしたら寝床どころか夕飯までくれた。神はいる。そう思った。

 翌日からはハロワである。

 

 

 当然、全滅した。仕方がないから空き缶拾いと自販機の下の小銭拾いをした。世間の冷たい視線も日が暮れるころには心地よくなっていた。嘘です。通報されそうになったら場所を変えるを繰り返したせいで、空き缶と併せて500円位しか稼げなかった。辛いです。

 だから夕方にもう一度、500円と共に頭を下げた。握り飯に汁物が付いた。今まで宗教を馬鹿にしていたが、今日から自分もしがない信者だ。世間の冷たい風に晒された身に、みそ汁は沁みた。

 1週間ほど似たような毎日を続けていたら、そんなに必死ならということで日雇いだが働き口が見つかった。内容は焦点の雑用係、時給は1,000円もしないが、日給500円の身からすれば大躍進である。とにかくやれることをやったら明日も来て欲しいと言われた。

 

 やったぜ。

 

 早速バイト代を適当な食料と、ご褒美のカップ酒に替えて、うさぎ公園に戻った。みんな喜んでくれた。もし続けられれば、寝床と食料の交換条件が成り立つから何とか対等でいられる。いい年した男が女学生と五分なんて悲しくなってくるが、これでも一歩前進だ。

 

 しばらくは店番や倉庫整理をしていたが、ある日配達業務のために原付の免許を取ってくれないかと言われた。

「お金はともかく、住所不定ですし難しいですね」と答えたら店長が保証人になって色々手続きを進めてくれることになった。マジかよぉ!  

 これ幸いと免許を取得、ついでにボロとは言えアパートを借りることに成功。ギヴォトスではまぁまぁ発生する事案らしく、戸籍に関しても役所も柔軟に対応してくれた。

 公園を離れる際はウサギ小隊がささやかながら祝宴を開いてくれた。なんかあったら声をかけてくれとは伝えたが、自分よりしっかりした子達だ。あっちから頼ることはあるまい。

 

 三日後4人が訪ねてきた。暑さと湿気で限界だったようだ。

 ボロだがエアコンは付いているし、トイレと風呂は別だ。とりあえず4人を上げ、シャワーと部屋を貸して、適当なタオル類と共にコインランドリーとお使い分の小金を渡した。

 しばらく米に納豆が続くだろうが、彼女たちに世話になったことを考えればこれくらい安いものだ。

 申し訳なさそうにする彼女たちに部屋の掃除を依頼する。来月から週2で昼間来てもらって、その間は備品と設備は使ってもらって構わないと言ったら承諾してくれた。流石に衣食住を提供してくれた相手を見捨てることは出来ない。こっちから提供できるリソースは大してないが。おかげでバイトに専念できたし、お互いに差し入れを置き合う関係がしばらく続いた。

 いつの間にか私物が持ち込まれ3分の1が埋まったり、洗濯機が設置され自分の洗い物と一緒に軒下で干され始めたが、甘んじて受け止めるしかあるまい。挙句の果てに夕飯まで準備され始めたし。でもサキの下着が軒下に干されていた時は流石に心臓が止まるかと思ったぞ。最初は一番頑なだったのにね。

 今では私がリサイクルショップで購入したドラマやアニメを寝転がって観る位のなじみっぷりである。見つかった時は姿勢を正していたが。

 

 そんな感じでウサギ小隊と交流を深めていたある日、ミヤコから相談があった。

 

「そういえば最近、球技大会の参加受付が始まったのですが、どれに参加すべきでしょう」

「どれどれ……、野球にサッカー、バレー、バスケット。色々あるな。人数だけみたらバスケットやバレーが良いだろうが、運動量を考えると実は罠説があるな。かといって大人数は揃えるのが難しいだろう?」

「人数の方は元SRTの子に声をかけてみますので、一旦思考の外にしてもらって問題ありません」

「ん-。個人的に経験があるのは野球だが。別に上手かったわけじゃないんだよ」

「そうですか。では野球にしましょう」

 

 いやいや。人の話聞いてました? ミヤコさん? いつも仏頂面だから分からないけど、真面目に授業聞いてる振りして、別な事考えてるタイプ?

 

「人の話聞いてた? 宣伝兼ねてるだろうからもうちょい真面目に考えろで」

「真面目かはともかく、冷静ではあるつもりです。あいにく我々は寡兵。人数が集まっても、恐らく量、質共に他校に劣ることは目に見えています。ならば別な要素で優位に立つしかないでしょう」

「その要素が今の会話にあるか?」

「ええ。野球でしたら多少指揮は出来るんですよね?」

「いやいやいや。監督経験は皆無だぞ。プレーヤーとしても万年補欠がいい所だ。素人よかマシだが、生兵法は大怪我の基とも言うしな……」

「それでも貴方が我々の唯一のアドバンテージです」

 

 何時もの無表情なのに真剣さが分かるってすごいな。アメジストみたいな虹彩から放たれる視線を真正面にぶつけてくる。

 

「今回の催しは基本的に生徒しか登録出来ませんが、監督だけは外部の大人を任命出来ます。本来の意図はシャーレの先生のためでしょうが、我々はそれをあなたに適用します。先生は引っ張りだこでしょうから」

「オレに先生の代わりは無理だぞ? なんならお前が監督までやった方が収まりが良いだろう」

「総司令と現場指揮は別物です。責任を押し付け合う関係なら足の引っ張り合いとなりますが、目的が同じなら、同じ人員でもより効果的な運用を可能にします。目的地と実際に辿るルートがズレることも、不測の霧に迷い込むことも多々ありますが、そういった時に羅針盤の有無は致命的なんです」

「ちょいと責任が重すぎないか?」

「そうですね。ですが信用できる大人が他にいないので。隊のメンバーも貴方の言葉なら耳を傾けるでしょう」

「……あんまり期待するなよ」

「承知の上です。よろしくお願いします。監督」

 

 握手をした時ふと思った。そういやこうやって誰かから求められたのは前世、今世通して初めてかもしれない。

 

 そうして迎えた大会の日。

 

「うん。戦力的にはこっちの負け。プレーヤーもそうだけど、監督としての能力も君の方が上だと思うよ。先生」

 

 最終回オモテ。2アウトでランナー1・2塁。スコアが2‐3でこっちが負けている状態の最後の攻撃。バッターは調子の悪い4番のミユ。

 

「でも、ここは教室でもましてや洗浄でもない、ただの野球場でね」

 

 カウント2ボール2ストライク、追い込まれた。ベンチの横ではヘルメット団の中島がウラの守備に備えてキャッチボールをしている。ボールの状態は悪くない。バネで投げるタイプだから突然リズムが狂うこともあるが、あの顔を見る限り何とかなりそうだ。結局サキやラブより投げたな。サキは球が速くてもコントロールが怪しいし、ラブは特異なサイドスローのせいで審判との相性が露骨に出るからだが。

 ピッチャーが動く。投げ込まれるのは十中八九、散々こっちが打ちあぐねてきたスライダーだろう。

 

「勝負事ってのは強い弱い、出来る出来ないじゃ決まらないんだよね。これが」

 

 ミユがひたすら待ち続けていたそれを振り抜くと、打球はライト線を転がっていった。

 

 

 




 まかり間違って野球系が求められれば書くかもしれません。

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