キミの支えになりたくて   作:飯即斬

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35話 漏れ広がる邪悪

 

あざみside

 

眉崎さんが箱を開けて倒れてしまった、そう柊木さんがリナさんから聞いて私達は急いで眉崎さんの家に向かうことに。

 

その道中、私は柊木さんの指示で眉崎さんが呪われる理由をSNS調査で探ることにした。

 

眉崎さんについて調べていくと女性問題や顧客トラブル、商品の回収騒動で恋人だけに謝罪させたりと山ほど噂が流れていた。

 

中でも多く見られたのが取引のトラブル、クレームを言ってきたお客さんに逆に切れ散らかしたり、昨日来ていた配達員の伊藤さんや西谷さんにも酷い対応をしていたとか

 

うーん、いろんな人と問題を起こしていて犯人を特定するどころか候補が増える一方だよ

 

「どうしましょう柊木さん、犯人の候補が増える一方ですよぉ」

 

車を運転してくれている柊木さんにアドバイスを求めた

 

「・・・眉崎さんは箱を開けて倒れてんだよね、それが呪いのせいだとしたら、その呪いを込めることの出来る人物は限られてる」

 

「そうか!箱と関わりのある人物ってことですね!」

 

「まだ断定はできないけどね。他にも気になる投稿はなかった?」

 

そう言われてSNS調査に戻ると今までとは毛色の異なる投稿があった

 

「もうすぐビューティーもGRで消されるでしょう!あの方々によって!」

 

え!?じーあーる?あの方々?なんの話?

 

「柊木さん、このGRってどういう意味なんでしょうか?」

 

「じーあーる?うーん、俺もよく分かんないや」

 

「そうですか・・・」

 

柊木さんでも分かんないのかぁ・・・あ!眉崎さんの家が見えてきた!

しょうがない、気になるけど今は眉崎さん達の呪いを解くことに集中しないとね!

 

柊木side

 

「よし!着いた!あざみ行くよ!」

 

「はい!」

 

あざみと車を降りようとするとジャスミンにちょっと待ってと声を掛けられた。

 

「どうした?まだ休んでろよ」

 

「いやアタシも連れてって、どんな奴のせいでこんな目にあったのか直接知りたい!」

 

「いや、しかし・・・歩くのだってまだキツイんじゃない?」

 

「それでもさぁ、頼むよラギッチ、頼む!」

 

頭を下げて両手を前で合わせお願いするジャスミン、ここまで頼みこまれたのは初めてだった

 

「はぁ、分かった、それじぁ・・・よいしょっと!」

 

俺はジャスミンの付けていたシートベルトを外し、背中と膝裏に手を回して抱き上げた。お姫様抱っこってやつだ。

 

「ちょっ!ラギッチ!流石にこれは・・・」

 

「なんだよ、歩けないだからこうするしかないだろ、なんならあざみと変わろうか?」

 

「いやそれは怪我しそうだから・・・って、だからといってこれは流石に恥ずい」

 

「我儘を言った罰だこれは、我慢しろ。できなきゃ置いていく」

 

「わ、分かった。我慢するよ」

 

「よろしい、よし!あざみ、行くぞ!」

 

「・・・」

 

 

「あざみ?どうした?顔を膨らまして」

 

「別に、何でもないです」

 

ぷいっとそっぽを向きそそくさと眉崎さんの部屋に向かうあざみ

 

「あーあ、こりゃあとであざみーに怒られるな」

 

「え?なんで?」

 

「分かんない?マジ?アンタって奴は・・・まぁ、今はいいや、ほら、ここでしょ?ビューティーの部屋」

 

「あ、ああ」

 

ジャスミンを抱え、インターフォンを鳴らすとリナさんが出てきて中に入れてくれた。

 

ジャスミンをソファーに運び、まずはリナさんと話す

 

「リナさん、体調の方はどうですか?」

 

「ええ、柊木君のお陰で少し良くなったわ。ほんとうにありがとう」

 

リナさんにからの感謝を受け取っていると部屋の奥から掠れた眉崎さんの声が聞こえてきた

 

「お、おい!さっさと調査して呪いの原因を解けよ!」

 

「ご、ごめんなさい、潤ってばかなり焦っているみたいで」

 

「気にしないで下さい、一通り調査したらまた話を聞かせてくださいね」

 

「分かったわ」

 

「ありがとうございます。よし、あざみ、箱を調べるから手伝ってくれる?」

 

「はい!任せて下さい!」

 

 

あざみと一緒に箱の中を開けると中には4枚の違う角度から撮られた眉崎さんの写真が貼ってあり、真っ赤な針がたくさん刺してあった。

 

それだけではなく箱の中にはなんと人間の奥歯が2本入っていた。

 

「ヒィ!なんで人間の歯がぁ!」

 

「分かんない、もしかして犯人が自ら入れたのかも」

 

「え!?どうしてわざわざ自分の歯を!?」

 

「それだけ恨んでいるってことだろうね」

 

「な、なるほど、あ!見て下さい!この写真!これだけ撮り方が変じゃないですか?」

 

「確かに、他の3枚は誰かが正面から撮っていて眉崎さんもカメラ目線だけど、この1枚だけこっちを見てないね・・・よし」

 

写真を全て取り出して違和感のある1枚の写真と部屋を照らし合わせていくとこの写真が玄関から撮られていることが分かった。

 

「ひ、柊木さん!こ、これ!」

 

リナさんに写真のことを聞こうとするとあざみが箱を指刺しながら腕をブンブンさせていた

 

中を見てみると箱の底に、「呪」や「殺」、「不幸」などの文字が一面に書かれていた

 

そうとう恨んでいるなこれは、とりあえず写真を撮っておこう。

 

箱の底の写真を撮り終えるとあざみが玄関にあるぬいぐるみが変だと言ってきたので玄関に向かい、玄関の側にある靴箱の上にある眉崎さんをモチーフにしたクマのぬいぐるみを見てると箱の底と同じ赤い針が何ヶ所も刺されていた

 

部屋の奥の棚にも同じぬいぐるみが置かれていたことを思い出して見てるがここのぬいぐるみには何も刺されてなかった

 

「どういうことでしょう?なんで玄関のぬいぐるみだけあんなに針が・・・何か意味があるんでしょうか?奥のぬいぐるみには手を出さず、玄関のぬいぐるみだけ針を刺す意味が」

 

「もっとシンプルに考えてみようか」

 

「シンプルに?」

 

「うん、犯人は部屋の奥のぬいぐるみに手を出さなかったんじゃなくて、手が出せなかったんじゃないかな?」

 

「手が出せなかった・・・確かに、きっとそうですよ!」

 

この推理が正しいならリナさんは容疑者から外れる、もちろんワザとそうした可能性もなくは無い。

 

 

 

「それと、気のせいかもしれませんがあの箱の底の文字、どっかでみたことがある気がするんです」

 

「実は俺もなんだよね、でもどこで見たか思い出せなくて・・・」

 

そこまで言うと、ふと、部屋にあるダンボールが目に入った

 

それに気がついたのかあざみがダンボールに付いた伝票を見ると、送り先の眉崎の眉の文字にばつ印が書き足され"呪崎"になっていると教えてくれた。

 

「これって西谷さんが書いたんでしょうか?」

 

「そうだと思うけど・・・なーんか違和感があるんだよね」

 

あざみと一緒に首を傾げているとリナさんが何かあったのかと聞いてきた

 

伝票の文字のことを伝えると西谷さんがこんなことをするのは考えづらいとのこと

 

何でも過去に何度も梱包や届いたときの商品の状態で揉めたことが原因で弱みを握られて以来、配送の際に写真を撮ってしっかり配送したと証拠を残すくらい慎重になったからわざわざ伝票に悪口を書かないとリナさんは言った。

 

「なるほど、確かにそんなときにこんな事をするとは考えづらいですね」

 

ん?配送の時に写真を撮る?ということは

 

「リナさん、もしかしてあの箱が配送される時にも写真は送られてきたんですか?」

 

「ええ、もちろん。・・・これよ」

 

そう言ってリナさんはスマホの画面を見せてくれた。

 

画面には西谷さんの玄関で伊藤さんが赤い箱を持っている写真が表示されてた。

 

写真を俺のスマホに送ってもらい、あざみと一緒に見ていると、むむむとあざみが顎に手を当てて何かを考え始めた

 

「どうした?なんか気づいた?」

 

「はい、この時の箱なんですが「封」と書かれたお札がありませんね、眉崎さんと写っている写真にはあるのに」

 

「言われてみればそうだね。でも西谷さんがそんなことをするはずない」

 

「そうなんですよ、となるといったい誰がやったんでしょうか」

 

「誰がやったのか考えるよりも、いつお札が付けられたかを考えるといいかもね」

 

「なるほど!えーと、あ!"西谷さんが発送した後"ですね!」

 

「good!俺もそう思うよ」

 

 

やはり眉崎さんに掛けられた呪いは人の恨みがこもっているとみて間違いなさそうだ。

 

よし、ついでにリナさんに写真のことについて聞こうかな

 

「リナさん、聞きたいことがあるんですけどいいですか?」

 

「ええ、もちろん」

 

「それじゃあまず、この写真なんですが、これはリナさんが撮られたんですか?」

 

「この3枚はそうよ。でもこの写真は撮った覚えはないわ」

 

リナさんが撮った覚えのない写真、それは玄関で撮られたとみられる写真だった。

 

「もしかしてこの写真も玄関から撮ったんじゃなくて、玄関でしか撮れなかったんですかね?」

 

「おそらくね」

 

今までの情報をまとめると犯人は玄関にしか入れない・・・いや、玄関までなら入ることのできる人物ってことになるな・・・なるほど、そういうことか。

 

「あざみ、そろそろジャスミンが居るところで情報をまとめようか」

 

「はい!」

 

 

あざみside

 

眉崎さんの部屋の調査を一旦区切り、ジャスミンさんが休んでいるソファーで情報を整理するとこになった

 

「ジャスミンさん!もう少しの辛抱ですよ!」

 

「う、うん、アタシはなんとかなるかもだけどさ、眉崎の奴、やばくない?」

 

「そうなんですよ、顔色がどんどん悪くなっていって」

 

「これでジャスミンやリナさんの苦しみが分かれば良いんだけど」

 

「ちょ!柊木さん!ダメですよそんなこと言ったら!」

 

「ん?ああ、ごめんごめん、つい」

 

柊木さん急にどうしたのかな?

 

そんなことを考えていると私のスマホが鳴った、センター長さんからだ!

 

「もしもし、福来で・・・」

 

電話を取り、センター長さんと話そうとすると眉崎さんが怒鳴ってきた

 

「おい!遅ぇよ!早く呪い解けよ!」

 

「落ち着いて下さい眉崎さん、これからそのための準備が・・・」

 

「うるせぇよ!てめぇ、柊木っていったか?このまま呪いで死んだらタダじゃ済まさないからな!」

 

「ちょっと潤!柊木君は私達の為に・・・」

 

「リナは黙ってろ!自分だけ元気になりやがって!」

 

ど、どうしよう!このままじゃ解体どころじゃないよ!

 

突然の事であたふたしていると柊木さんが今まで見た事ないくらい冷たい顔で口を開いた

 

「そうですか、分かりました。そういうことなら、あざみ、ジャスミン、俺達は必要ないみたいだから撤収しようか」

 

「え!?ちょ、ちょっと待った!このままでいいのかよ!」

 

「ええ、今回の調査代はいただきませんので、それでは失礼します、帰るよあざみ」

 

柊木さん本気だ!!

 

本気で帰ろうとする柊木さんを見てさすがに焦ったのか眉崎さんの態度が一変した。

 

「待った!いや、待ってください!お、俺が悪かったから、続きをお願いします!」

 

「はぁ、だ、そうですよ、センター長」

 

呆れた声で柊木さんは電話越しのセンター長さんに聞こえるよう大きな声で言った。

 

「やれやれ、最初から素直に聞いていればいいものを。ではあざみさん、いつも通り解体といきましょうか」

 

「はい!」

 

「コトリバコについては柊木さんとあざみさんにより解体されていますので、今回は眉崎さんに掛けられた呪いについて解体していきましょうか、全てを見極めよ!天眼錠(アイ・オープナー)!」

 

「まずは復習です。あざみさん、西谷さんから眉崎さんに渡った赤い箱の正体とは何でしたか?」

 

蛭塚村を調べて分かった事だよね!

 

「箱自体はただの茶葉箱でした!」

 

「great!そう、呪いの効果と思われた蛇のような幻覚や心臓の病気は例のお茶が原因でしたね、蛭塚村で調査した時までは」

 

そう、眉崎さんが箱を開けたことにより状況は一変したんだよね

 

「次の質問です、あざみさん。眉崎さんに掛けられた呪いを調査していくうちに箱の他にも怪しい痕跡がありましたね、それは何でしたか?」

 

これは柊木さんと一緒に調査した時に分かったことであっているはず!

 

「玄関に置いてあるぬいぐるみと伝票の宛名です!」

 

「excellent!その調子で次の質問も頼みますよ。では、眉崎さんを呪いたい犯人はいつ箱の中に写真や歯を入れたのでしょうか?」

 

えーと、箱は西谷さんから眉崎さんに送られた、そして西谷さんは眉崎さんからの逆クレームに対応する為にちゃんと配送した写真を撮っていて、リナさんによれば西谷さんは勝手に商品に手を加えたりしないそう、にも関わらず眉崎の家に届いた時にはお札が増えている、ということは・・・

 

「眉崎さんの家に届く前に入れたんです!西谷さんが撮ったクレーム対策の写真に「封」のお札も貼ってありませんでした!」

 

「brilliant!お見事です!ではいよいよ大詰めです。この呪いを仕掛けた人物に迫りましょうか。まぁ、柊木さんは気づいているみたいですが」

 

「ええ!そうなんですか!柊木さん!」

 

「うん」

 

「な、なんで言ってくれなかったんですか!」

 

「気づいた時はまだ断定出来る段階じゃなかったからね。でも今の解体中に確信したよ」

 

「い、いったい誰なんですか?」

 

「おっと、あざみさん、柊木さんから答えを教えてもらうのはナシですよ。自分で考えて下さい」

 

・・・落ち着いて考えよう。犯人は西谷さんと眉崎さんと面識があり、眉崎の家に玄関まで入れる、そして箱に触る機会がある人物・・・そうか!分かった!

 

「犯人は初めてこの家に来た時に来ていた配達員さんです!」

 

「fabulous!そう彼こそが眉崎さんに呪いを掛けた張本人です。全てが解き明かされる」

 

  体ー

ー解

 

 

解体により呪いを掛けた犯人が配達員さんだと判明。

 

「こ、これで呪いが解ける!」

 

犯人が分かり眉崎さんは安堵しているとそれを断ち切るように柊木さんが話し始めた

 

「いえ、まだ安心するのは早いです」

 

「なんだと!?どういうことだ!」

 

「呪いを掛けることに失敗した犯人はきっと強行手段にでするはずです。俺ならそうします。・・・ですよね?伊藤さん」

 

柊木さんが玄関の方を見るのでつられて一緒に見ると玄関には配達員さんが無表情で立っていた

 

「は、配達員さん!」

 

「てめぇか!俺に呪いを掛けたのは!!」

 

「本当に配達員さんが眉崎さんに呪いを掛けたんですか!?」

 

そう呼びかけるも配達員さんはずっと無表情で沈黙を続ける

 

そんな配達員さんを見かねた柊木さんがもう一度尋ねた

 

「伊藤さん、なんで眉崎さんに呪いなんか掛けたんですか?」

 

するとさっきまで閉じていた口がゆっくりと開いた

 

「・・・呪いではありませんよ、祝福です。神が、神々がそう仰ったのです」

 

「神!?てめぇ!ふざけんのもいいかげんに・・・っ、ごほごほごほぉ」

 

「ま、眉崎さん!大丈夫ですか!」

 

大変!徐々に咳がひどくなってる!

 

「あはぁ!クレーム野郎が苦しんでる!ああ!神々の言う通りだった!これで殺せる!奥歯全部抜いて良かった!!」

 

「も、もしかしてあのお茶を飲んでいるんですか!なら神なんていません!幻覚です!しっかりして下さい!」

 

「神々はいらっしゃる。俺の話を親身になって聞いてくれた、助けてくれた。そして全てはグレートリセットに繋がると。さぁ、クレーム野郎、あんたの歯も抜いてグレートリセットに使ってやるよ!」

 

「ひぃ!助けて!」

 

ジリジリと配達員さんは眉崎さんに詰め寄った

 

大変!なんとかしないと!でもどうしたら!

 

どうしようかと必死に考えているとソファーからジャスミンさんが飛び出してきた

 

「くっ、どっせい!」

 

「ぐふぅ!」

 

「ジャスミンさん!ナイスパンチです!」

 

「はぁはあ、こういう輩はこうでもしないと・・・」

 

「ひ、ひひひ、俺が成すんだ、グレートリセットを!グレートリセットグレートリセットグレートリセットグレートリセット」

 

「はぁはぁ、くそ!やっぱこの調子じゃ力が出せない・・・ちょ、ラギッチ!?何してんの?危ないぞ!」

 

「ひ、柊木さん!」

 

眉崎に迫る興奮状態の配達員さんの前に柊木さんが立ち塞がる。そして柊木さんを退かすようにいつの間にか持っていたペンチを持って柊木さんに襲いかかった

 

「グレートリセットぉぉぉぉ!」

 

その光景を見て、思わず目をつむってしまった。そしてドサッと音がして静寂が訪れた

 

恐る恐る目を開けると柊木さんが配達員さんを床に押し倒し押さえ込んでいた

 

「残念ですが、あなたはここまでです」

 

そう柊木さんが呟くと配達員さんは大人しくなった

 

「リナさん、警察を呼んでくれますか?」

 

「わ、分かったわ!」

 

 

リナさんが呼んでくれた警察はほんの数分で来て、配達員さんを連行していった

 

ジャスミンさんや眉崎さん達は呪いの因果が断たれたのか私達が帰る頃には元気になっていた

 

帰り際、柊木さんとリナさんが何かを話していた。きっと今回の件を報告していたんだろう。

 

例の箱は眉崎さんの希望でセンターが回収することになった。

 

柊木side

 

調査を終えて箱を届けるためにセンターへと戻っている道中、あざみがスマホで何やら調べ物をしていた。

 

運転は久しぶりのジャスミンが担当。今回何も出来なかったのでせめて帰りの運転はさせてと言っていたのでお願いした。

 

「ねぇ、あざみ、さっきから何を調べているの?」

 

「あ、はい!如月努の本を調べてました!何かと縁があるみたいなので読んでみようかと」

 

「へぇ、そうなんだ」

 

「でもさ、如月努の本って結構プレミアのもあったんじゃなかったっけ?」

 

「え!?そうなんですか!!」

 

「ジャスミンの言う通り何冊かは発行部数が少なくて高いんだよ」

 

「そ、そんなぁ〜。ってあれ?」

 

「ど、どうした?」

 

「あの、完全呪いマニュアルの下巻はでてないんですか?」

 

「ん?ああ、下巻はないよ」

 

「そうなんですか?上巻があるのに?」

 

「・・・下巻を出す前に亡くなったからね」

 

「あ!・・・そうなんですか、残念です」

 

「うん、・・・そうだね」

 

少し気まずくなった空気をジャスミンの声が断ち切った

 

「そろそろセンターに着くから準備して」

 

「ああ」「はい!」

 

 

センターの前にジャスミンが車を停めて、俺とあざみはセンター長に調査の報告と箱を渡すために車を降りた。

 

エレベーターを降りるとセンター長が今か今かと待ち構えていた。

 

「お疲れ様です。柊木さん、あざみさん。例の箱は無事回収できたようですね」

 

「ええ、これです」

 

センター長に箱を渡すと箱を開けると急に大きな声を出した

 

「excellent!素晴らしい働きですよお二人とも」

 

「せ、センター長さん!扱いには注意して下さい!」

 

「大丈夫ですよ、ほらこれを見て下さい」

 

そう言ってセンター長がコトリバコの中から1枚のカードを取り出す

 

「そ、それってもしかして・・・」 

 

「ええ、イルミナカード、"漏れ広がる邪悪"。どうやら今回の案件も予言されていたようですね」

 

それから俺とあざみは興奮したセンター長の長話に付き合わされることになった

 

 

 

 

 

ジャスミンside

 

眉崎邸での調査を終えてラギッチとあざみーと分かれた後、湾岸沿を愛車であるバイクを飛ばしてとある埠頭に向かった。

 

「例の大使館の爆破予告ですが、取り調べにより何者かの指示で動いていることが分かりました」

 

「SAMEZIMAの管理人・・・ですね」

 

「止木警視正、あなたの推測通りということになりますね」

 

「はい、それで、"クローゼット"に入る申請許可をお願いできますか?」

 

「それは構いませんが・・・なぜあそこに入る必要が?」

 

「イルミナカードは何らかの意図で配れているのではないかと思うのです」

 

「・・・都市伝説解体センターはそれに巻き込まれていると?」

 

 

「それを調べる為にも許可を」

 

「・・・分かりました、司書には話を通しておきましょう」

 

「ありがとうございます。それと・・・」

 

「まだ何か?」

 

「ラギッ・・・柊木の件ですが・・・彼は本当に監視する必要があるのでしょうか?」

 

「どういうことかしら?」

 

「今回、彼には命を救われました。大事な同僚だからと、嘘を言っているとは思えませんでした。そんな奴が例の件に関わってるとは思えず・・・」

 

異性としての特別な感情はなく、ただ友人としてそう思った、そう伝えた。

 

「気持ちは分かるけど、私達は疑うのが仕事よ、もし無実だったらその時目一杯謝ればいいわ。まぁ、言われずともあなたなら分かってるわよね」

 

「・・・はい。もちろんです」

 

もし無実ならその時は特上の焼肉を奢ってやろう、そう心に決めた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

???side

 

インターフォンを鳴らすと新しく入った信者が出迎えてくれた

 

「ああ!待っていました!さぁどうぞ」

 

「ありがとうございます。例の件、首尾はどうですか?」

 

「ええ、ご指示通りに」

 

「よろしい、早速取りかかりましょう」

 

部屋の中に入れてもらうと奥の方から苦しそうだか傲慢な声が聞こえてきた

 

「ゴホッ、おい!リナ!いったい誰が・・・ってなんでお前がここに!」

 

「ずいぶん苦しそうですね眉崎さん」

 

「ゴホッ、こ、これはお前の仕業か!?」

 

「・・・聞いたことありませんか?呪いの元が人から生み出された恨みであった場合は元を断つことはできない、と」

 

「そ、そのセリフは・・・」

 

「おや?覚えていたんですね?てっきり忘れているのかと」

 

「ゴホッ、いい加減にしろよ、お、おい、リナ!警察を呼べ!」

 

「・・・・・」

 

「お、おい、リナ?」

 

「潤、これもあなたの為なのよ。このお方に従ってれば私達は幸せになれるの」

 

「な、なにいってんだよ」

 

「リナさんは私の計画に力を貸してくれるそうですよ。さぁリナさん、眉崎さんを例の薬で眠らせなさい」

 

「はい、仰せのままに」

 

「お、おい。冗談だろ?もがっ」

 

薬を染み込ませたハンカチを当てられターゲットは眠りについた。

 

ターゲット眠ったのを確認して外で待機させてた信者にあの場所に運ばせた

 

「リナさん、よくやってくれました」

 

「あ、ありがとうございます!あの、これでグレートリセットは・・・」

 

「ええ、達成へと一歩近づく事が出来ました」

 

「よかった!」

 

「では、私はこれで」

 

「は、はい!」

 

深々と頭を下げる彼女を背に部屋を後にした

 

 

 

・・・あと3枚、あと3枚で全てが終わる

 

 

 

 

 

柊木side

 

家に帰るといつもパソコンと向き合っている彼女が珍しく本を読んでいた。

 

その本は俺達にとってとても大切な物でこの世に1冊しか存在せず、決して完結することのない本だ。

 

ソファーで体育座りで片手で本を読んでいる彼女の隣に座ると顔を肩に乗せてきた。

 

可愛い、そう思ったのは一瞬で、長い付き合いから怒っていることに気づいた。

 

なんで怒っているのか恐る恐る聞くと、頬を膨らませる

 

「あの抱っこはずるくない?」

 

「あー、もしかして見てた?」

 

「うん」

 

「でもあれは、ああするしかなかったし」

 

「はぁ、今度やったらキミのスマホの検索履歴を世界中にばら撒いてやるから」

 

「げ!それは勘弁してくれ」

 

「フフ、ならもう無闇にしないことだね」

 

「わ、分かったよ。ほら、そろそろ寝よ」

 

逃げるようにベットに向かうと服の後ろを彼女が引っ張ってきた

 

どうしたのか聞くと、ソファーに寝っ転がって両手を上にあげて、ん!と言ってきた

 

あぁ、そういうことね

 

彼女の要望通りに背中と膝裏に手を回して抱き上げた。

 

「〜〜〜フフ」

 

どうやら正解だったようでさっきまでの怒りが嘘みたいにご機嫌になった

 

 

 

その後も1時間程させられて次の日手が痛かったのは彼女には内緒だ。

 

 

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