キミの支えになりたくて   作:飯即斬

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36話 ユーテックプライオリティ

 

柊木side

 

センター長に呼び出された俺とあざみは一緒に薄暗いセンターの室内へと向かった。

 

エレベーターの扉が開くと暗闇の中でパソコンをじっと見つめているセンター長が待っていた

 

「お疲れ様です。柊木さん、あざみさん」

 

「お疲れ様です。今日はどうしたんですか?新しい依頼でもきたんですか?」

 

「それもありますが・・・今日はイルミナカードについて話をと思いまして」

 

そう言うとセンター長はパソコンの画面をこちらに向ける。画面には7枚のイルミナカードが映し出されている。

 

それを見て俺は手帳を開き1枚ずつ振り返る。

 

1枚目「闇から覗く目」

ベットの下の男の時の犯人、栄子さんが持っていたカード。

 

2枚目「鏡像から迫る死」

ブラッディメアリーの時の依頼者きのこさんが持っていた。

 

3枚目「辺獄への階段」

上野オカルト&ダークのツアーの舞台である雑居ビルのエレベーターにガスマスクと一緒に置かれていた。おそらく山田ガスマスクさんが持っていたのだろう。

 

4枚目「漏れ広がる邪悪」

眉崎さんが持っていた赤い箱の中に入っていたカード。

 

「皆さん見事になんらかの事件に巻き込まれていますね」

 

これまで入手したカードとの関連性にセンター長はとても嬉しそうにしている。

 

「それに4人とも行方不明みたいですよ」

 

「え!そうなんですか!心配ですね・・・あれ?」

 

「どうした?あざみ」

 

「このカードの絵柄の周りの模様なんですけど繋がってませんか?」

 

あざみが指摘したのはカードに描かれている赤い煙のような模様のことだった。

 

よく見てみると確かに全て繋がっている

 

「あざみさんもそこに気づきましたか。実は今日お呼びしたのはその件でもあるんです」

 

「と、いいますと?」

 

「このカードの意味と関連性を考えるときが来たようですよ」

 

「意味と関連性・・・うーん、柊木さんどう思います?」

 

「そうだなぁ、これは一種の犯行予告のカードなのかもね。もしくはこのカードを持つ者達に対する警告文・・・とも考えられる」

 

「警告文!?じゃあカードを持っている私も危ないんじゃあ・・・」

 

不穏なワードを聞いてあざみは体を震えさせる

 

「分かんない。でも崩壊と審判のカードは他のカードの比べて特別な意味を持っているんだろうね」

 

「え?どうしてですか?」

 

「他のカードと比べてみてよ、崩壊と審判のカードには他のカードのモチーフが全て描かれているよ」

 

「あ!確かに書かれていますね!」

 

「全てのカードか揃ったとき、いったい何が起こるのか、楽しみですね」

 

「全然楽しみじゃないですよー!」

 

 

 

 

 

 

ジャスミンside

 

あざみーとラギッチが廻屋と話をしている間、アタシは電話で上司に任務の活動報告をしていた

 

「報告が遅くなりました」

 

「何か分かったの?」

 

「クローゼットで得た情報はまだ整理しきれていないのですが、イルミナカードは全て一つの計画に繋がっているのかもしれません」

 

「では、6枚目の崩壊と審判のカードを待つあの子もその繋がりの1つだと?」

 

「ええ、そう考えてます。それと気になることが」

 

「何かしら?」

 

「まだ完全に調べきれていないのですが、7枚目のカードに関する情報が今のところ殆ど存在しないのです」

 

「7枚目、"停止した世界"のカードね」

 

7枚目「停止した世界」

中央に頭を両手で苦しそうに抱えている上半身姿の人間とその心臓部に鍵とカラクリ鍵、周りには他のカードと同じ赤い煙が描かれている。

 

「はい。そのカードだけはSAMEZIMAのサイトでもイラストと名前のみ掲載されていて何か特別な意味があると踏んでいます」

 

「怪しいのはやはり彼ね」

 

「ええ、私もそう思います」

 

「もしそうであれば何故持っていることを未だ明かさないのか分からないわ。やはり計画に関わっていてあえて言わないでいるのか・・・」

 

そうであってほしくない。そう思っているとセンターの方から話し声が聞こえてきた。あざみーとラギッチが戻ってきたらしい。

 

「すいません。2人が戻って来ているのでこれで」

 

「分かったわ。引き続きよろしくね」

 

「了解しました。富入警視監」

 

電話を切ったタイミングであざみーとラギッチが外に出て来た

 

「お待たせジャスミン。さぁ、今日も現場まで運転頼むよ」

 

「お願いします!ジャスミンさん!」

 

笑顔の2人を見てこちらも思わず口が緩む

 

「うっし!ジャスミンさんに任せな!」

 

願わくばこの関係がずっと続いて欲しい、そう強く思った。

 

 

あざみside

 

「柊木さん、今回はどんな案件なんですか?」

 

センターの車に乗り込み、助手席の柊木さんに今回の案件について訊ねると柊木さんはスマホを見ながら今回の案件について説明してくれた。

 

「えっーと、今回の依頼は"ユーテックプライオリティ"ってIT企業のCEOである黒沢優弥(くろさわゆうや)って人から来てて、内容は・・・大事な物を盗まれたから可能なら取り返して欲しい、だって」

 

「え?それってセンターの仕事じゃあなくて警察の仕事では?そっちの方が見つかりやすいと思うんですけど」

 

「警察には言えない何かがあるんだろうね、ジャスミンはどう思う?」

 

「まぁ、何かあるのは間違いないよね。現場に着く前にヤバい噂がないかを調べた方が良さそうだな。SNS調査よろしく頼むわ、あざみー」

 

「はい!任せて下さい!」

 

まず調べたのはこれから向かうユーテックプライオリティについて

 

虎ノ門の高層ビル街に本社があり官公庁や大手企業との取引がメインらしい

 

設立して僅か3年で上場し、その資産はなんと700億円。

 

ジャスミンさん曰くとにかくとんでもなく凄いらしい

 

次に調べたのは今回の依頼者でCEOの黒沢優弥さんについて

 

黒沢さんは元人気配信者グループのリーダーとし活躍していたそうで、その時の経験や人脈を駆使して今の会社を設立したらしい。

 

黒沢さんに対する世間のイメージは、ボンボンの上級国民という投稿が多かったが腰が低くて好感度高かったとか、声をかけられたら睨まれたとかいろんな印象を受けた。

 

他にも噂がないか調べているとある投稿が目についた

 

「世襲上級国民ねぇ。こんな奴が支配する側に居たら世の中どんどん悪くなる一方だぞ。やはりGRは達成されなければならない」

 

ま、またGRだ!

 

「どうした?大丈夫かあざみ?」

 

見覚えのある文字に動揺しているのを察したのか柊木さんが心配してくれた

 

「だ、大丈夫です。この投稿を見てびっくりしちゃって」

 

そう言ってスマホの画面を信号で止まっているタイミングで前の2人に見せた

 

「え?何これ?グレートレア?とか?」

 

「相変わらず意味分からんよね」

 

「ですよね・・・」

 

「まあ、それは追々考えるとして調査はもう十分そうだね」

 

「ですね!でも悪い噂はそこまでありませんでしたね。眉崎さんと違ってちゃんと会社も本人も評価されてましたし」

 

「なら今回は安心して調査できそう・・・お!見えてきた、あのビルだな」

 

ジャスミンさんの言葉につられてフロントガラスを覗くと天高くそびえ立つビルがそこにはあった

 

「ほ、ほんとに超高層ビルじゃないですか!なんか緊張してきましたぁ」

 

「緊張しすぎて依頼者に迷惑かけんなよあざみー」

 

「が、がんばりましゅ」

 

 

 

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