あざみside
昨日、黒沢さんの社長室の調査を終えた後、柊木さんのスマホに1本の電話が掛かってきた。
電話の主は黒沢さんで、なんと自宅にドッペルゲンガーが出たとのこと。
そして今朝、柊木さんが黒沢さんに電話を掛けると、黒沢さんの自宅を調査する事になったので今は現場へと向かっていた。
「とりあえず、黒沢は無事なんだよね」
「うん、ドッペルゲンガーに出会ってショックは受けてそうだけど体調が悪くなったりとかは今のところ無いみたい」
車内では柊木さんが電話で話した事をジャスミンさんが改めて確認している。
黒沢さん無事みたいで良かったぁ!
「そういえばさぁ、あれからセンター長から連絡あった?」
「俺には無かったよ」
「私もです。まさか解体までしろって言わないですよね?私出来ませんよ!天眼錠!!って」
とは言ったものちょっとやってみたくもあるんだよね。いつか出来るようになるかな?
「大丈夫でしょ、そん時はラギッチがやればいいし」
「え!?柊木さんが!?」
「ん?まぁね。止まれ!天眼錠!って」
「と、止めちゃったら意味ないですよぉ!」
「うそうそ、そん時はちゃんとやるよ」
もう!柊木さんってば!
「冗談はここまでにして、そろそろSNS調査を始めようか」
「調査するのはドッペルゲンガーの噂について、ですね!頑張ります!」
カバンからスマホを取り出し、調査を開始しようとするとジャスミンさんがついでに調べて欲しい事があると言ってきた。
「え?ジマーについて、ですか?」
「そ、実は黒沢ってジマー達からめちゃくちゃ嫌われているの。ちょっとやり過ぎなんじゃないかってくらいに」
「なるほど!分かりました!一緒に調べてみますね!」
「頼んだ」
ドッペルゲンガーについての噂を調べると、他人とは口がきけない、見たら死ぬ、本人にゆかりのある場所のみ現れるなど色んな説が飛び交っていた。
「やっぱり見たら死ぬってのがメジャーみたいですね」
「それが本当なら黒沢はマズい状況だね。他には何かない?」
「えっとですねぇ・・・あ!"ドッペル幻覚説"ってのがあります!」
ドッペル幻覚説、その名の通り、ドッペルゲンガーは死期が近い人の自分の脳が見せている幻覚だと言うもので、"如月努"が広めた説と投稿に書いてあった
って、如月努!?また出てきた!
「ジャスミンさん!また如月努の名前が出てきました!」
「あー、そういえばそんな事を書いている本があった気がするなぁ。ラギッチ、なんか知ってる?」
「うん、確かにドッペルゲンガーについて書いている本があったね。でさ、その如月努に関することだけど見てよこれ」
柊木さんが見せたのはある投稿だった。
「"予言者如月努"は未来を見通す神。神によって社会が変革するのはもうすぐである!GR」
また、GRだ。ん?如月努にGR?もしかしてGRの意味って!!
「あの!GRって"グレートリセット"の事なんじゃないでしょうか!」
「なるほどねぇ、そういう事か。ラギッチはどう思う?」
「うん、それで間違いないと思う。でもそれよりも予言者如月努ってのが気になるかな」
柊木さんの言う通り、予言者如月努の文字が念視に反応していた。検索してみるとGRと書かれた投稿が沢山でてきた。
「神々が望むGRはもうすぐ訪れる!予言者如月努が言っていた通りに!」
「GR!GR!GR!GR!GR!GR!GR!GR!GR!GR!GR!GR!GR!GR!GR!GR!GR!GR!GR!GR!GR!GR!」
「自分はGRの為に色んな活動をしているのですがついにそれが認められ神々に褒めていただきましたよ!そんな自分とミーハーと一緒にしないでほしいですね」
「な、なにこれ・・・・」
「ずいぶん過激な投稿が多いな。そもそもグレートリセットってこんな過激な事を書いた本ではなかったよね?ラギッチ」
「うん、元々は価値観のアップデートって感じの本だよ。世界は広いから色んな考えがあるし、その方が面白いってね」
「あー、そんな感じだったね」
「でも、柊木さん。そんな素敵な考えの本がここまで過激な考えを生み出すんでしょうか?」
「まぁ、読み手によってはそうなってもおかしくないかもね」
「確かに、アタシが読んだ時も妙な説得力を感じたよ」
「なるほど・・・それにしてもGRって言っている人達はその本を読んで如月努さんの代わりに何かを成し遂げようとしているんでしょうか?」
「アタシには如月努の威を借りて叫んでいるようにしか見えないわ、もっと悪く言えば好き勝手に崇拝しているような感じもする」
「なるほどぉ、柊木さんはどう思いますか?」
「俺には希望を見出しているようにも見えるかな」
「希望・・・ですか?」
いつかセンター長さんもそんな事を言っていたような・・・
「ま、まあ、あらかた調べ終わったみたいだしSNS調査はここまでにしようか」
「ですね!それにしても、如月努とGR、そしてジマーは何か関係がありそうです」
「だね、アタシもそう思うよ。っと、見えてきたよ、あれが黒沢の自宅だね。2人とも降りる準備しといて」
「了解」です!」
ドッペルゲンガーが現れたとされる黒沢さんの家かぁ、どうかドッペルゲンガーと遭遇しませんように!!