あざみside
サーバー室の調査を終えた次の日の朝、黒沢さんから一本の電話が入った。
なんでも今度は黒沢さんの実家にドッペルゲンガーが出たとのこと。しかも昨日会った中田さんと井上さんが行方不明になったそうだ。
そんな訳で私とジャスミンさんの2人で今は現場へと向かっている。
「今度は黒沢さんの実家にドッペルゲンガーが出るなんて・・・」
「黒沢のお父さん、黒沢征二さんから連絡があったらしいよ」
「あの、ジャスミンさん、柊木さんは?」
「ラギッチはひと足先に現場に向かってる」
「あ、そうなんですね」
「それにしても黒沢征二かぁ、とんでもないお人だねぇ」
「そんなに凄い人なんですかぁ?」
「まぁね。SNSで調べてみたら?詳しく分かるかもよ」
「ですね!SNS調査開始します!」
まず調べたのは黒沢征二さんについて
黒沢征二さん、黒沢優弥さんのお父さんで現在は警察庁警備局長という役職に付いているらしい。
「ジャスミンさん、警備局長ってそんなに偉いんですか?」
「警備課のトップ。つまり超偉い人」
うぅ、なんかジャスミンさんが言うと妙に説得力あるなぁ。
そんなことを思っていると、ある投稿が目に付いた。
「もしまたジマーが爆破テロを起こしたら全ての責任は黒沢局長に行くのか」
「確かに、そういう意味では黒沢局長はジマーにとって最高のターゲットになるな」
「でも、今までのジマーの動き的に黒沢局長本人を狙うとは思えないでしょ?まあ、要人警護の情報とかは欲しいだろうけど」
「我々の悲願を達成するには必要な事なのですよGR」
こ、これって!!
「ジャスミンさん!警備課ってことは要人警護とかにも携わっているんですかね?」
「そりゃそうでしょ!なんなら1番重要な業務じゃない?」
やっぱり!!だとしたら大変かも!
「あの!投稿にもあったんですけどジマーは黒沢局長がターゲットなんじゃないかって!」
「なるほどな。だからジマーは黒沢の会社から要人警護の情報を盗んだと。もしそれでテロが実行されれば黒沢局長にとってもとんでもない不祥事になるな」
「ですよね・・・」
早くなんとかしないと!!ってあれ!?
「どうした!?あざみー?」
「み、見て下さい!何故か私達が非難されてます!読み上げますね」
「私は都市伝説解体センターが怪しいと思う。絶対何かあるって」
「分かる。そもそもジマーってオカルト関連が発端なんでしょ?如月なんとかって、前にも如月って話題になってだけどどんなのか忘れちゃった、てへ」
「最近、オカルトといえば都市伝説解体センターだもんな。間違いない。」
「だな、絶対やってる。特にきのこが上げた画像に写ってた男とか怪しい」
「今こそ俺達が声を上げて都市伝説解体センターを潰すべきか?正義の名の下に」
「いいね、特に例の画像に写った女連れな男とか気に食わんし」
・・・どんどんキツい投稿が続いていくのが耐えられず、私は読み上げるのをやめた。
「大丈夫か?あざみー?あんま気にすんなよ」
「は、はい、大丈夫です。でもどうしてセンターにアンチが・・・」
「みんな不安なんだよ。ジマーだとかグレートリセットだとか、だから身近な物にケチつけたがってる」
「だからセンターに攻撃を?」
「そ、センターが悪だって決め付けて安心したいんだよ」
「あ・・・」
ジャスミンさんの言葉を聞いて、いつか柊木さんが言っていた事を思い出した。
ーー7年前、必要とされたのは如月努が犯人だっていう真実だってことだよーー
「必要とされた真実・・・」
「ん?なんか言った?」
「あ!いえいえ!なんでもないです」
「そう?・・・お!見えてきたよ、黒沢氏の自宅。ラギッチは・・・いたいた!」
「本当ですかぁ!」
外を見ると柊木さんがこちらに手を振っていたので窓を開けて手を振り返した。
柊木side
ひと足先に黒沢さんの実家の門の前で待っているとセンターの車がやって来たので手を振るとあざみが窓を開けて振り返してくれた。
「お疲れ、ラギッチ」
「お疲れ様です!柊木さん!」
「ああ、お疲れ。あぁ、ジャスミンさ、車は裏に回してほしいそうだよ。俺の車も止まってるからすぐ分かると思う」
「そうなん?わかった、ちょっと行ってくる。あざみーは先降りてラギッチと中に入ってて」
「分かりました!」
あざみが車から降りてジャスミンは裏に車を動かした後、チャイムを鳴らす。
少しして黒沢優弥さんが出てくれだが、今少し手が離せないができるだけすぐ向かうとのことなのでしばらく待つことになった。
チャイム越しに会話を終えるとあざみが不安そうに話しかけてきた。
「柊木さん、聞きました?中田さんと井上さんも行方不明だって」
「うん、黒沢さんから聞いたよ。黒沢さんはただの無断欠勤だって言ってたけど」
「これで4人目ですよ、私不安です。ドッペルゲンガーに会った人達みんな居なくなって」
「そうだね。だから今まで以上に気をつけて調査しよう。不安なら解決するまで一緒にいるからさ」
「柊木さん!ありがとうございます!心強いです!へへへ!」
少しは不安を取り除けたかな?
そう思っていると正面の門が開き、黒沢優弥さんが出迎えてくれて、そのまま家の中に案内してくれた。
靴を脱ぎ、居間に入ると黒いスーツに身を包んだ男達とその真ん中に和服姿の黒沢征二さんが居た。
「失礼します。私都市伝説解体センターから参りました、柊木と申します。こちらは後輩の福来です」
「ああ、よろしく。私は黒沢征二。警視庁警備局長をやらせてもらっている」
「存じております。こないだの会見、拝見しました。最近物騒になってきてお忙しそうで」
「あぁ、その事もあってプライベートではこのようにSPに付いてもらっている。悪いが君たち、隣室に待機していてくれ」
SPの人達が隣室へと移動して行った後、まずは黒沢親子に今回の件について尋ねた。
優弥さんによれば父の征二さんが心配になり電話をしてみると、昨日も来ただろう、と言われたそう。
当然、優弥さんに覚えはなくその時来たのはドッペルゲンガーであると優弥さんは言った。
それに対して征二さんはとても信じられないようだ
「信じられんな。そのドッペルゲンガーというのはジマーとは何か関係があるのか?」
「ええ、それなんですが・・・」
征二さんとの質問に答えようとすると後ろからジャスミンがやってきた
「さすが察しがいいですね。現在我々はドッペルゲンガーとジマーの双方の可能性を見て調査しています、ね?2人とも?」
「ん?君はどこかで見たことが・・・まぁ、いい、柊木君と言ったかな?本当なのかね?」
「ええ、まぁ、そうです」
「なるほど・・・優弥、そういう事ならばやはり警察にお願いするべきではないか?」
征二さんの意見はごもっとも、でも優弥さんはそうはいかないようだ。
「それがちょっと考えがあってさ、警察に連絡するのは調査の後でも遅くないと思うんだよ」
「ふむ、何か考えがあると、お前がそう言うなら仕方がない。調査をお願いしよう」
「・・・分かりました」
とりあえず、ドッペルゲンガーはこの家で何をしていたのか、何か盗まれていないか、この2つを調べよう。
まずは、あざみを連れて征二さんに話を聞くことにした。
「黒沢局長、お話よろしいですか?」
「あぁ、なんですかな?」
征二さんによれば昨日の夜11時頃に優弥さんが突然帰ってきて壁に飾ってある絵を見ていたらしい。
「壁の絵、ああ、あれですね」
「ええ、あの絵は一昨日買ったばかりで昨日ちょうど飾ったところなんです」
「はぁ、相当高そうですね」
「とんでもない、5万円くらいですよ。そういえばそれを聞いたドッペルゲンガーも驚いてましたね。他人ならもっと見栄を張っても良かったな」
「そ、そうですね」
こういう所は親子そっくりだな。
「ちなみにドッペルゲンガーの顔は見ました?」
「ええ、ハッキリと。黒沢家の息子として可愛がってきた大事な息子ですから見間違う事はあり得ません」
キッパリと答える征二さん、SNSで親バカとか言われてたけど案外間違ってないのかも
その後は盗まれた物はないか尋ねるも特に心辺りがないとのことなので、話を一旦切り上げて部屋を調べることにした。
あざみside
「柊木さん、どこから調べましょう?」
「どこって、アレしかないでしょ」
そう言って柊木さんが指差したのは部屋に堂々と置かれた金庫。
柊木さんと一緒に影を見ると金庫の近くにいつもの影がでていた。
「柊木さん!やっぱりドッペルゲンガーの狙いはこの金庫の中身ですよ!」
「そうだね・・・」
「でもダイヤル式の鍵が掛かってます。どうしましょう」
「あそこの棚の近くの影を見てみてよ、なんか手に持って何かを確認しているみたいだよね」
「本当ですね、調べて見ましょう」
棚の近くの影が持っていたのは征二さんに送られたトロフィーでトロフィーの底を確認しているようだった。
同じように底を見てみると小さい紙何貼ってあり"9630"と書いてあった。
「9630、これって金庫の番号ですかね?いや、そんなわけないですよね」
「ちょっと待ってよ・・・あ、開いた」
「え!嘘ですよね!な、中はどうなってますか?」
小走りで柊木さんの元に駆け寄ると柊木さんは小さな空っぽの箱を手にしていた。
どうして空っぽの箱をわざわざ金庫の中に・・・そうか!この中身が今回盗まれたんだ!急いで征二さんに報告しないと!
急いで征二さんを呼んで中を確認してもらうとやはり盗まれていることが分かった。
「あの、箱の中はなにが・・・」
「詳細は言えないが・・・警視庁内部の情報システムだ」
「え?それって優弥さんの会社のサーバーにアクセスするのに必要なヤツですよね?」
「そ、そこまで知っているのか。そう、君たちの言う通り、入っていたのはそこにアクセスするためのパスワードデバイスだ。ちなみにこのことは警察上層部のごく一部しか知らない。もちろん私の家族には知らせてない、それが盗まれた、大変だぞこれは」
どうしよう、ジャスミンさん達と相談した方がよさそうだよね
そう柊木さんにも伝えるとまだ聞きたいことがあると言って征二さんに話しかけた
「黒沢局長、そのデバイスは最後いつ使われたか分かりますか?」
「ん?使うも何も機械に疎くてね、5年くらい前に渡されたが一度も使っていない」
え!一度も!?
「君たち、申し訳がないがもし見つけたらすぐ報告してくれ」
「それは構いませんが、そのデバイスの色や形を教えてくれますか?」
「赤いカード型のデバイスだ」
赤いカード型のデバイス!?それって!!
やっぱりジャスミンさんにも報告した方がいいよね!
「柊木さん!一度ジャスミンさんと情報を共有しましょう!」
「そうだね。黒沢局長、一旦、調査の件をまとめますので失礼します」
「あぁ、引き続きよろしく頼むよ」
柊木side
あざみの提案で一度ジャスミン達と情報を共有するため部屋の隅っこに移動した。
「で、何か分かった?」
「ああ、盗まれたのは警視庁の情報システムに入るためのパスワードデバイスだった」
「なるほどぉ、サーバー室に侵入したけどデバイスがなくてアクセスできなかったからここに侵入したのか・・・ん?」
「どうした?」
「ねぇ、黒沢局長にさそのデバイスをいつ使ったか聞いたりした?」
「もちろん、5年くらい前にもらって以来、一度も使ってないそうだよ」
「え!そんなはずないっしょ?!黒沢局長のデバイスは何年も前から継続的に使われている記録があるんだけど!」
「さらになんだけど、そのデバイス、赤いカード型らしいよ」
「はぁ!?それって黒沢がドッペルゲンガーから盗まれた社長室にあったあの?!」
ジャスミンのヤツ今まで以上に焦ってるな、それにしても・・・
「ジャスミン」
「なに!?」
「黒沢局長のデバイスがずっと使われているってよく分かったね」
「っ!ほ、ほら、アレだよ、アタシ独自のルートだよ、いつものやつ」
「へぇ、ジャスミンさんってすごいルートを持っているんですね!」
「で、でしょ!?ジャスミンさんすごいんだから」
「そっか、変なこと聞いてごめんな」
「いいって、気にすんなって!にしてもどんなヤツが金庫から盗んだんだ?」
「それなんだけどさ、分かったかも」
「え?マジ?」
「本当ですか?柊木さん」
「マジマジ、盗んだのは黒沢優弥さんだと思うんだよね」
「その心は?」
「簡単だよ、金庫から盗まれたのは赤いカード型のデバイス、さらに黒沢さんの社長室から盗まれたのも赤いカード型のデバイス。しかも黒沢さんの会社には警視庁の情報にアクセスできるサーバーがある」
「なるほどな、黒沢なら簡単にこの家にも入れるしね」
「そ、さぁ、黒沢さんに確認しよう」
「だな」
「ですね!」
あざみside
「優弥!どういう事なんだ!ここから盗まれたはずのデバイスが何故お前の会社にある!?」
黒沢親子を一か所に集めて調査で分かった事を報告すると征二さんが優弥さんを問い詰め始めた。
「ご、ごめん。父さん。父さんの仕事への興味でつい・・・」
「いったい、いつからだ!」
「い、1週間前だよ」
あれ?1週間前??
「悪用する気は無かったんだ!でもドッペルゲンガーに盗まれてしまって、物が物だから警察にも知らせる訳にはいかなかったんだ!だって世間に知られたらマズいでしょ?」
「う、そ、それは・・・」
どうしよう、親子喧嘩なら後でやってほしいんだけどほっとくわけにもいかないしなぁ・・・
どうしようかと考えていると私のスマホに電話が掛かってきた
「あ!センター長さんからです!」
「やっと掛かってきたか」
「もしもし、福来です!」
「どうも、お疲れ様です」
「センター長さん!連絡遅いですよ!心配してたんですよ!」
「そんなことよりもまずは解体に入りましょう、と、言いたいところですがあざみさん、今回の解体、天眼錠は柊木さんに出すようお願いして下さい」
「え!柊木さんに?!」
「天眼錠は熟練の視えるチカラを持つ者なら可能です。あざみさんにはまだ早いですが、さぁ、柊木さんに伝えて下さい。電話はこの前でお願いしますね」
「わ、わかりました」
柊木さんにセンター長さんから言われた事をそのまま伝えると柊木さんは渋々了承した。
実を言うとワクワクしている、柊木さんの天眼錠を見れることに
「さて、準備はいい?あざみ」
「はい!お願いします!」
「よし、いくよ!全てを見極めよ!天眼錠!」
柊木さんが両手で合唱のポーズをとりながらそう言うといつものダイヤル錠が頭の中に現れた!
ほ、本当に出た!凄い!!
「まずはおさらいから、今回の案件がドッペルゲンガーだと判明したのは秘書の清元さんの証言が決め手だったよね?」
「はい、黒沢さんと全く同じ見た目をしていて、さらに会話をしないと言う証言から特定できました!」
「うん、じゃああざみ、現在は他にもドッペルゲンガーだと思える事が起きているよね?それはなに?」
まだ確定したわけではないけど、アレしかないよね
「清元さん、本田さん、中田さん、井上さん、ドッペルゲンガーを目撃した人たちがみんな音信不通になっていることです」
「great!いいですねぇ!あざみさん!」
「ちょ、ちょっと!センター長さん!耳元で叫ばないで下さいよ!」
「おや、これは失礼」
もう、せっかくの柊木さんの解体なのに・・・あ、だからセンター長さんもいつもより興奮しているんだ!
「んんっ!まだ死亡したと決まってはいないけどドッペルゲンガーの特定と一致しているよね。このまま次の質問にいくよ」
「はい!」
「今回現れたドッペルゲンガーはどんな見た目をしていたっけ?」
それはもちろん・・・
「黒沢さんと瓜二つでした。いなくなった人達や親である征二さんも見間違うほどに」
「excellent!」
「・・・そう、サーバー室の監視カメラにも映っていたよね」
柊木さん、センター長さんを無視し始めちゃったよ・・・
「3つ目の質問、そのサーバー室に現れたドッペルゲンガーだけど結局情報は盗まなかったよね?それはなぜ?」
ジャスミンさんも気にしていたヤツだよね
「警察の上層部の人しか持っていない赤いカード型のデバイスが無かったからです」
「brilliant!!」
「でもその赤いカード型のデバイスは優弥さんが1週間前に出来心で盗んだと言っていたけど本当にそうかな?」
「いえ、さっきジャスミンさんが言ってました、デバイスは数年前から定期的に使われているそうです」
「そうだね。まぁ、これは黒沢さん達の問題だから俺達にはどうする事もできないけどね。さて、最後の質問だけどいける?」
「はい!大丈夫です!」
「ふっ、逞しくなったね。最後の質問、今回サーバー室に現れたドッペルゲンガーはジマーである、昨日はそう言ってたけど誰がジマーであれば今回の事件を起こせると思う?」
「え、えっと・・・・」
「よーく思い出してみて、ドッペルゲンガーが現れたときの状況を」
ドッペルゲンガーが現れたとき?・・・も、もしかして!!
「ま、まさか、行方不明になった4人全員ですかぁ!!ドッペルゲンガーが現れた現場には4人共居て、それぞれが目撃してました!」
「「fabulous!」」
「そう、彼らこそが今回のテロの企てようとしているジマー集団!」
「そ、そんなことって!」
「さぁ、柊木さん、締めをお願いします」
「ええ、全てが解き明かされる」
体ー
ー解
柊木side
ふぅ、久しぶりにやると疲れるなぁ
解体を終えて両手を下ろし、あざみの方を見ると何やら腑に落ちなさそうな顔をしていた
「どうした?あざみ、今の解体に何か腑に落ちないところがあった?」
「はい・・・柊木さんも見ましたよね?念視で見たドッペルゲンガーがこちら私達を見つめていたり、赤いデバイスだけではなくHDDを盗んだ理由も分かってません」
「確かにね、それについては俺も思うことがあるけど今はそれどころじゃないみたい」
「え?どうしてですか?」
「ほら、あそこ」
玄関の方を指差す、そこには居なくなったとされていた4人が並んで立っていた
「あ!皆さん!無事だったんですね!」
「あざみー、忘れた?ドッペルゲンガーを仕込んでテロを起こそうとしていたこの人達の正体は?」
「じ、じじ、ジマー!!」
「どうなっている!SPはどうした!」
「お、おい!お前ら!俺はお前らの雇い主だぞ!どういうつもりだ!!」
黒沢親子も突然の出来事に驚いているようだ
「あんなクソ会社なんて無くなった方がいいですよ?僕らには神々からのお告げがあるので」
「私はお前みたいに親の七光りで生きているヤツが嫌いなんだよ」
「どうせ今回のことも揉み消すつもりなんだろ?だから今度はまず私達が消す番さ」
「テロは何処でも起こるって事を今から教えてやるよ」
「みみみ、皆さん!落ち着いてください!」
「あざみー、下がって!黒沢さん達も!ラギッチ!」
「ああ!分かってる!あざみ、俺の後ろに」
「は、はい!」
ジャスミンと一緒にみんなを守るように前に立つ。
それでもジマー達はジリジリと距離を詰めてくる。
「お前ら、ソイツらを庇う必要ないだろ?"あの方"の計画では間近に迫った"崩壊と審判"によってグレートリセットされるんだ」
「あの方?まさか、SAMEZIMAの管理人か!」
負けじとジャスミンも対抗する
「あの人は弱者である私達を導いてくれる先導者なのよ!」
「答えろ!その先駆者とはSAMEZIMAの管理人なのか!?」
そう言ったジャスミンと一瞬目が合う、なるほど時間稼ぎのつもりか
「そこを退きなさい、退かないのらあんたらはあっち側ってことね?仕方がない」
「我々はここで指名を果たす、崩壊と審判そして停止した世界を実現させるために」
「「「「グレートリセットグレートリセットグレートリセットグレートリセットグレートリセットグレートリセットグレートリセット」」」」
じわじわと詰められついに壁際まで追い詰められてしまった
ジャスミンに顔を近づけ小さく話しかける
「ジャスミン、俺達2人でなら抑えられると思うか?」
「待って、もう少しだけ、アタシを信じて」
「・・・分かった」
「グレートリセット!!!」
くっ!
中田さんの振り上げた拳が俺に向かってくる
「柊木さん!!!」
もうダメか、そう思った次の瞬間、玄関が勢いよく開き何かが転がってきて大量の煙を放出し、煙の中から武装した集団が突入してきた
「確保!!」
突然のことで4人のジマー達も煙の方を一斉に見た
「ラギッチ!いまだ!!」
「ああ!!」
ジャスミンの合図で中田さんと本田さんをそれぞれ取り押さえる、残りの2人はそれに気づきこちらに向かってこようとするも突入してきた数名に取り押さえられた。
「富入警視監!全員取り押さえました!」
富入警視監と呼ばれた男は隊員を労った後、黒沢局長に近づいた
「黒沢局長、ご無事で?」
「おお!富入君じゃないか!助かったよ」
「ご無事なようで安心しました、・・・止木警視正、黒沢局長に説明を」
「え?ジャスミンさん?」
名前を呼ばれたジャスミンは黒沢局長の前で敬礼をしながら自身の素性を明かした
「警視庁公安部C.U.T.U所属、止木休美警視正であります。この度は失礼しました」
ジマーの4人が連行されていった後、俺とあざみはジャスミンから訳を聞かせてもらうことにした
「ジャスミンさんが公安?潜入調査!?」
「ごめんね、あざみー」
「C.U.T.U.って何なんですかぁ!?」
「未確認テロ対策ユニット。今回の予言みたいなよく分からない災害に対処するチーム。センターにはその情報収集で潜入していたの」
「災害って!センターは怪しいけど危険な組織じゃないですよ!ですよね?柊木さん!」
「まぁね」
「・・・ラギッチ、気付いてた?」
「只者じゃないってことはね、まさか公安だとはね」
「そっか、でも安心して、センターは最初は調査対象だっけど今は情報収集の場所でしかないから。嘘ついててごめんね2人とも」
ジャスミンが頭を深く下げると奥から警視監と呼ばれていた男が近づいて来た
「お久しぶりね?お二人さん」
「公園に居た人ですよね?」
「覚えてくれたのね?嬉しいわぁ」
「どうも、ところで黒沢さんはどうなるんですか?」
「黒沢優弥は先程帰しました、恐らくお咎めなしという事になるでしょうね」
「そんな!黒沢さんが勝手にデバイスを持ち出したからこんなことに!」
これにはあざみも納得がいかないようだ。
あざみの抗議も虚しく、富入さんは話を続ける
「これは黒沢局長の不手際として処理される、これは局長自身の希望よ」
局長の不手際、ねぇ
「その不手際も無かったことになんてならないですよね?」
「・・・貴方が知る必要はないわ」
「・・・そうですね、忘れてください」
「まぁ、いいわ。ところで止木さん」
「なんですか?」
「局長のデバイスはここ数日も使われていることが分かったわ」
「という事はアクセスしてきているIPを終えば!!」
「確保の可能性が見えてきました。次アクセスしてきた時が勝負ね、止木さん、行きましょうか」
「はい、あざみー達はここで帰って。崩壊と審判の予言についてはアタシらに任せてよ」
「アタシらって、そこには私と柊木さんは含まれないんですか?」
「ここから先はテロリストの親玉が相手だ、2人に何ができる?」
「待ってください!ジャスミンさん!柊木さんも何か言ってください!このままじゃあ」
「ラギッチ!あざみーのこと頼んだ」
「ああ、分かった」
「それと・・・」
「それと?」
「・・・いや、何でもない。近いうちに連絡するから」
「分かった。・・・気をつけてな」
俺がそう言うとジャスミンは微笑み、部隊の特殊車両に乗り込み、車両は何処かへと消えていった
ジャスミンside
ラギッチ達と別れた数時間後、部隊の隊員数名と車内で待機していると警視監から無線が入った
「止木警視正、ターゲットがアクセスを開始したわ」
来た!ついに!!
「了解、現場に向かいます」
待っていろよ!SAMEZIMAの管理人!!
アクセスしてきているIPを元に向かうと、もう使われていない古びた工場に辿り着いた。
「アタシは3階、他は一階の出入り口をそれぞれ固めろ」
「了解」
他の隊員に指示を出し、アタシは鉄骨の階段を一歩ずつ登り、明かりのついた部屋がある3階へと辿り着いた。
「人影を確認、これより突入します」
腰の拳銃を取り出し、勢いよく扉を蹴り飛ばす
「動くな!警察だ!SAMEZIMAの管理人だな?お前を逮捕する!」
拳銃を構えた先には、白装束に身を包んだ人間が両手を上に広げて待ち構えていた
どうやらここに来ることは分かっていたらしい
「よし、そのまま手を挙げたままこっち来い!ゆっくりとな!」
「・・・・」
SAMEZIMAの管理人は指示通りゆっくりとこちらに向かってくる。
ある程度距離が縮まってきたので手錠を取り出そうとした瞬間、SAMEZIMAの管理人が襲いかかってきて拳銃を持った手首を掴まれ、蹴り飛ばされた
「っ!!」
蹴り飛ばされる一瞬、管理人の左腕に微かに傷があるのが見えた
「くっ!そ、その傷はまさか!・・・うわぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
蹴り飛ばされ、再び立ちあがろうとすると足元が急に崩れ落ち3階から1階へと落下し地面に叩きつかれた。
意識が朦朧とする中、3階からこちらを見下ろしている管理人が見えた。
「な、7枚目・・・全ての・・・」
???side
「くくく、これでアイツらも終わりだな」
暗い部屋で笑う今回のターゲット、それから起こす企みに夢中で背後にいるこちらには気付いていないようだ
そんなターゲットにゆっくりと近づき、力いっぱい首に腕を回した
「うぐっ!な、なんだ・・・」
「私利私欲の為に他者の犠牲は考えない。やはり7年前と変わっていませんね、黒沢さん?」
「そ、その声は・・・・」
「安心してください。本当は今すぐ殺してやりたいところですが計画がありますから気絶してもらうだけです」
「くぅぅ!・・・・」
気を失わせたターゲットを抱え、車に詰め込み、あの場所へと向かった。
いよいよだ、ようやくグレートリセットは達成される!!
柊木side
ジャスミンと別れた後、あざみを家と送り自宅へと帰ってきた。
「ただいま」
「おかえり、お疲れ様」
「ああ、ありがとう、って、どうした?」
出迎えてくれた彼女が急に抱きついてきた
「キミには辛い事をさせてしまったね、ごめん」
「いいんだ、確かに心苦しかったけど、キミのためなら」
「うん、ありがと」
それからしばらく抱きしめ合った後、ご飯や風呂を済ませてベッドに並んで入った。
ベットの中でスマホをいじっていると彼女が馬乗りになってきた
「どうした?急に」
「計画も大詰めのところまできた、だから今日はいつも以上に特別な夜にしたい」
「それって・・・」
彼女の言葉につい熱くなる。
「久しぶりにもっと近くでキミを感じたい。計画が終われば最後になるかもしれないから」
「え?最後?それはどういう・・・っ!!」
彼女の言葉の意味を聞こうとするといきなり唇を奪われる。
「ふぅ、こういうことだよ?」
「フッ、そっちがその気なら・・・・」
「うん、きて・・・」
次の朝、目が覚めると隣で寝たはずの彼女の姿がなかった。
急いで飛び起き、家の中を探すと彼女はパソコンで作業をしていた
「おはよう、珍しいね、俺より早く起きるなんて」
「・・・おはよう、計画の最終段階の準備をしていたんだ」
「そっか、腹減ったろ?何食べたい?」
「・・・ポテトサラダのサンドイッチ」
「分かった、待っててね」
「ありがとう、それより・・・」
「うん?なに?」
「料理するなら下着は履いた方がいい」
「・・・あ、これは失礼しました」