キミの支えになりたくて   作:飯即斬

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43話 口に出しても存在しないモノ

 

柊木side

 

ある日渋谷で買い物を終えてカフェでスマホをいじっていると急に画面が砂嵐に包まれ、砂嵐が消えると覆面を被った人間が姿を現した。

 

「え、ちょっと何これ!!」

「お、俺のスマホにも!」

「見て!外の街頭ビジョンにも映ってる!!」

 

どうやら周りの個人のスマホから公共のモニターまでもがSAMEZIMAの管理人に染まっているようだ

 

「ワタシハSAMEZIMAノ管理人。カウントダウンガゼロニナルトキ、崩壊ト審判ガ訪レマス。ソレマデノ余興トシテ、簡単ナ謎カケヲ用意シマシタ」

 

ボイスチェンジャーを使っているのだろう、機械的な声でSAMEZIMAの管理人は話始める

 

「何これ?何かのイベントかなんか?」

「おい!ふざけんなよ!」

「ねぇ、私のスマホ大丈夫だよね?」

 

「皆サンに問イマス。"口に出シテモ存在シナイ物"トハ?サァ、思イ出シナサイ、貴方達ニハソノ義務ガアル。思イ出シタラ答エヲ入力シテ。ソレカラ警察の皆サン、貴方達ガ探シテイル"デバイス"はワタシガ持ッテマス。手ニ入レタケレバ必死ニ探シナサイ。・・・グレートリセット」

 

グレートリセット、その言葉を最後に放送は終了した。

 

放送が終わり、コーヒーをひと口飲むと知らない番号から電話が入った。

 

「はい、もしもし」

 

「急な電話、ごめんなさいね」

 

「その声、富入さん、ですね」

 

「その反応、私からの電話がくることが分かっていたようね」

 

「そんな事ありませんよ。それで何の用ですか?デートのお誘い、って訳ではないですよね」

 

「こんな状況で無ければそれも良いかもしれないけど・・・一つ、頼まれて欲しいの」

 

富入さんの頼み、それは先程の電波ジャックやジマーの影響で思うように動けない自分の代わりにあざみを指定の場所に連れて来て欲しいとの事だった

 

「・・・なるほど、分かりました。引き受けます」

 

「感謝するわ。彼女のチカラが必要なの」

 

 

「そうですか、分かりました。では、後で」

 

「ああ、その前に1つだけ」

 

「なんでしょう?」

 

「アナタ、7枚目について何か知ってるかしら?」

 

「7枚目・・・イルミナカード停止した世界のカードですね。生憎SAMEZIMAのサイトに書かれている事以外知りません。俺が知りたいくらいですよ」

 

「・・・そう、分かったわ」

 

「では、後程」

 

 

電話を切り会計を済ませてから車に乗り込むとセンター長からやたらと長いメッセージが送られてきた

 

送られてきたメッセージを確認し、あざみの待つセンターへと出発した。

 

 

 

あざみside

 

SAMEZIMAの管理人の崩壊と審判の予告放送が終わりセンターへと向かうとセンターがあるビルの入り口の前で沢山のデモ隊が集まっていた。

 

「都市伝説解体センターの責任者出てこい!犯罪者め!」

「警察の重要データを盗んだテロ集団め!」

 

な、なにこれ!!どうなっているの!?センター長さんに伝えないと!でもこれじゃあ入れないし・・・

 

どうやって入ろうか考えているとセンター長さんから電話が掛かってきた!

 

「もしもし、福来です!センター長さん!外が大変な事に!」

 

「やれやれ、不自然なくらい急に我々へのデモ活動が始まりましたね」

 

「え!それってどういう・・・」

 

「恐らく、何者がこうなるように誘導しているのでしょう。彼らに見つかると危険ですのであざみさんはセンターに近づかないように」

 

「わ、分かりました!」

 

「私はここで少々調べ物がありますので」

 

「分かりました!気をつけて下さいね!」

 

 

センターに近づくなって言われたけどこれからどうしよう・・・とりあえず柊木さんに連絡しようかな

 

そう思い、柊木さんに電話を掛けようとするとデモ隊の人達に見つかりあっという間に囲まれてしまった

 

「おい!お前センターの人間だな!SNSで見たぞ!」

「お前らのせいで世間は今大変なんだそ!」

「そのスマホで何かテロを起こす気だな!こっちに寄越せ!!」

 

「嫌!や、やめて下さい!!きゃ!」

 

腕を掴まれ、必死で抵抗しようとすると勢い余って尻餅をついてしまった

 

っ!!

 

顔を上げると沢山の人が私を敵意のこもった目で私を見下ろしていた。

 

「おい、どうするよコイツ」

「どうするって、決まってんだろ、"正義"を執行するんだよ」

「ああ、そうだな、"正義"の為だ」

 

正義と口にした1人が何処からかバットを取り出して私に向かって突き出した

 

「悪く思うなよ、これも正義の為だからな」

 

バットを持った男の人息を大きく荒らしながらはバットを大きく振りかざした。

 

振りかざされたバットを見て私は思わず目を瞑った。

 

柊木さん、センター長さん、ジャスミンさん、助けて!!

 

もうダメだ、そう思った次の瞬間、クラクションを大きく鳴らしながら一台の車がデモ隊に突っ込んできて私の前で止まり、助手席のドアが開いた。

 

「あざみ!早く乗って!!」

 

「ひ、柊木さーーん!!」

 

「泣くのは後!はやく!」

 

「は、はい!!」

 

急いで車内に飛び乗むと柊木さんは車を勢いよく飛ばしてくれてその場を離れることが出来た。

 

 

デモ隊が完全に見えなくなると柊木さんは路肩に車を止めるとこれまでのこととこれからの事について話そうと言ってきたのでまずは私とセンター長さんの電話でのやり取りを柊木さんに話した

 

「なるほど、センター長はまだセンターに居るんだね」

 

「はい・・・」

 

「それで今は調べ物をしている、と」

 

「はい、センター長さん大丈夫でしょうか?」

 

「センター長がそう言うなら大丈夫さ」

 

「そうだと良いんですけど・・・ところでこれからどうしましょうか」

 

「そのことなんだけどさ、今から富入さんと合流する」

 

「え!?富入さんってあのジャスミンさんの上司みたいな人ですか?」

 

「そう、その富入さん」

 

「いったいどうして・・・」

 

「俺にもよくわからない。詳しいことは合流してから話すって」

 

「そうですか・・・」

 

「とりあえず今から出るから着くまでの間あざみはSNS調査を頼む」

 

「はい!任せて下さい!」

 

まずはなんでセンターに対するデモ隊が急に現れたのかを調べてみよう!!

 

「都市伝説解体センター デモ」と検索すると1番上にとあるネットニュース記事が出てきた

 

ー「速報」ユーテックプライオリティ社長黒沢優弥氏強盗の被害に遭う。犯人は都市伝説解体センターの職員らのもようー

 

「そ、そんな!なんで私達が強盗犯に!」

 

「これは・・・してやられたな」

 

「え?どういうことです?」

 

「恐らくその情報を流したのは黒沢優弥さん自身だよ」

 

「な、なんでそんな事を!」

 

「確証は無いけど、デバイスを盗んだことを俺達に押し付けるつもりなんだろうね。そして事実を知る俺達を社会的に抹殺しようともしているんだろうね」

 

「そんな!酷いです!」

 

「アイツのやりそうなことだな。世間の反応はどう?」

 

柊木さんに言われ世間の人達がこの記事を見てどう思っているのかを見てみる

 

「ほら、俺の言った通りだろ!センターは危険な思考を持った犯罪者集団だって」

「私、あの配信好きだったのに・・・普通にショックなんですけど」

「あの上級国民相手によくやったと褒めてやりたいところだぁ!GR

 

 

「どうしましょう、皆んな好き勝手に言ってますよ」

 

「言わせておけばいいさ、どうせ何言っても変わり無いんだから。それよりまた出てきたねGR、って」

 

「そうなんですよ!もしかしてこのGRて語尾に付けている人達ってジマーなんですかね?」

 

「その可能性はある。それに念視にGRの文字が反応してるね、調べてみようか」

 

「はい!」

 

念視に反応した「GR」の文字を検索するとジマーやSAMEZIMAのサイトを過去に見ていた人と思われる投稿がヒットした

 

 

「神の配信を見た周りの反応が気になる!いよいよGRの時が!!」

「神?なんのことかよくわからんが配信を見てからSAMEZIMAのサイトを久しぶりに見たけど随分雰囲気が変わってんな。前に盛り上がった例の事件の過去スレも無くなってるし」

「あー、もしかして"ハッピー777億円流出事件"のこと?まぁ、世界中に被害が出たって噂だし消されてもしょうがないGR」

「それ以上はいけない!!それはともかく例の事件だけは口に出してはいけない!公安に消されるぞ!」

 

 

うーん、いろんな情報が飛び交ってよく分からないなぁ

 

「柊木さん、どう思います?」

 

「SAMEZIMAの管理人は配信で思い出して、っと言っていた。その投稿にあるように消されてしまった過去の事件が謎解きの答えに繋がりそうじゃない?」

 

「あ!それあると思います!」

 

「それと管理人が言っていた"口に出しても存在しないモノ"ってなんだと思う?」

 

「それがまだ分かってなくて、柊木さんは分かりました?」

 

「そーだなぁ、"嘘"とか"正義"とか?いや、なんか具体的な何かな気がするな」

 

「なるほど・・・」

 

「まあ、今考えたって分からないだろうね。にしてもセンターはすっかり悪者扱いだね」

 

「ですね・・・なぜかジマーを誘導しているのが私達って言っている人もいますし。私がセンターを知らなかったら同じことを言ったんでしょうか」

 

そうだ私はセンターを知っているから何もしていないって言える、でももし知らなかったら?いや!違うよね!今なら自信を持って言える!!

 

「その顔、今はそう思ってないようだね」

 

「はい!嘘も本当も求めません!一旦情報として取らえる!私がセンターで学んだ事です!」

 

「フッ、本当に立派になったな」

 

「えへへへ〜ありがとうございます!」

 

「うん、あ、そうだ!センター長から資料を貰ったからあざみのスマホにも送っておくね」

 

「え?ああ、はい」

 

柊木から送られてきたのはセンター長さんがセンターにある情報をまとめたイルミナカードに関する資料だった。その資料を最後まで読み終えるとセンター長さんから電話が掛かってきた。相変わらず千里眼で見ているみたいだ

 

「もしもし!福来です!センター長さん無事ですかぁ!!」

 

「どうも、こちらは無事ですよ。あざみさんこそ無事柊木さんと合流出来たみたいですね」

 

「はい!もうダメかと思った時に颯爽と現れて・・・へへ」

 

「惚気るのは後にして下さい」

 

「の、惚気てませんよぉ!」

 

「送られた資料はしっかり読んでいただけましたか?」

 

む、無視された・・・

 

「は、はい。読みましたけど・・・」

 

「よろしい。ではこれから特定に入ります」

 

「え!依頼も受けていなくて、怪異的な現象もまだ何も起こってませんよ?」

 

「前にお伝えしましたよね?都市伝説は噂から生まれると」

 

「確かにSAMEZIMAの管理人の配信について色んな噂が出てましたね」

 

「その通り、では特定に移りましょうか」

 

「はい!」

 

「では、早速一つ目の問いです。先程のSAMEZIMAの管理人の配信によりジマー達はより影響を受けているようですが・・・ジマー以外にも影響を受けて動き始めた何者かがいるようですがそれはどんな人物でしょうか」

 

「公安だと思います。SNSに噂が広まっていましたし、実際ジャスミンさんみたいな人達が動いてます」

 

「great!SAMEZIMAの管理人が持つデバイス、警察はそれを回収するのに必死なようですね」

 

そういえばジャスミンさんは無事なのかな?連絡がないから心配だよ

 

「次の質問です。柊木さんも言ってましたが管理人が呼びかけていた"思い出して"。これを受けて過去の事件を思い出そうとしている者がいましたね」

 

「"ハッピー777億流出事件"と"口に出してはいけない例の事件"ですね」

 

「そうです。ですがジマーの中にその話題を制止しようとしていた者がいましたね。何故止めようとしたのでしょう?」

 

「事件の事を語ろうとすると消されるからです。SNSでも前にあった事件のスレが無くなったとありました。もしかして意図的にそのスレは削除されたのではないかと思います」

 

「excellent!では最後に今回の噂の発端となる部分についてお聞きします。あざみさん、この都市伝説における噂の発生の仕方はどのようなものでしょうか?」

 

「無かったことにされているのを存在したと言うことです。秘密を隠したい公安がこの噂によって動き出し、話している人を消すことで今回の都市伝説が生まれています!」

 

「brilliant!そう!無いはずのモノを話そうとすると公安に消される、この状況から考えられる都市伝説それは・・・」

 

 

 

ー特定ー

 

「鮫島事件です」

 

 

 

「今回の都市伝説は鮫島事件か」

 

「鮫島事件の対策ってなにかあるんですか?」

 

「何かを明かしたり、共有したりしない。そもそも口にしなければ問題ないよ」

 

「・・・口にしたし、共有しちゃいましたね」

 

「だね、これで俺達も公安に消されるってわけだ」

 

「や、やめて下さいよぉ〜」

 

「あはは!大丈夫だって、この程度で消されたら日本は行方不明者だらけだよ」

 

柊木さんは笑ってるけど・・・ほ、ほんとに大丈夫なのかな??

 

「そんなことよりさ、あざみ」

 

「はい?なんですか?」

 

「センター長から貰った資料の中で特定で触れなかった項目があるよね」

 

「は、はい!7枚目のイルミナカード、停止する世界ですね。このカードだけが未だ行方が分かってませんし、気になりますよね」

 

「だよね、ってかそもそもさ、イルミナカードってなんの為に作られたのかな?」

 

・・・確かにそうだよね、落ち着いて考えてみよう・・・あ!もしかして!

 

「"カードを手にした者の不幸を予言したかった"のではないでしょうか」

 

「great!俺もそう思うよ」

 

「今までカードを持っていた人達は皆行方不明になってます。だ、だとすると崩壊と審判のカードを待つ私にも不幸が!?ど、どうしましょう!」

 

「落ち着けって、そうならないようにこれから動くんだろ?」

 

「そ、そうでした。でもどうしたらいいんでしょうか」

 

「そりゃ、SAMEZIMAの管理人を止めることだろ」

 

「ど、どんな風に?」

 

「分からない。でも7枚目が何か鍵を握っているのは間違いない」

 

「でも7枚目については殆ど分かってません」

 

「うん、何処かに詳しく調べれるところがあればいいんだけど・・・」

 

そんな都合のいい場所なんてあるのかな?

 

そう思っていると柊木さんの運転する車は裏路地に入っていきとある空き地にたどり着いた。そこには1台の黒いベンツが止まっていた。

 

「着いたよ、降りて」

 

「はい」

 

言われた通り車から降りて先に止まっていた車に近づくと運転席の窓が開いた

 

「こんにちは、福来さん」

 

「と、富入さん、こんにちは」

 

「約束通り連れてきてくれたみたいね」

 

「ええ、さぁ、あざみ、富入さんの車に乗って」

 

「え?え?え?どういうことですか!」

 

「あざみのチカラが必要なんだと」

 

「え?富入さん、どういうことです?」

 

「これからあなたには私とある場所に行ってもらいます。そこであなたのチカラが必要になりそうなの」

 

「あなたって・・・柊木さんは?」

 

「あざみ、どうやら俺は富入さんにまだ信用されていないみたいなんだ」

 

「そんな!富入さん!柊木さんは悪い人なんかじゃ!」

 

「いいんだ、あざみ。さぁ、早く乗った乗った」

 

「は、はい・・・」

 

柊木さんに促されて富入さんの車の助手席に乗り込んで窓を開けた。

 

「柊木さん、これからどうするんですか?」

 

「俺は俺なりに調べてみるよ」

 

「そう、ですか・・・」

 

どうせなら一緒に調査したかったなぁ

 

「そんな悲しそうな顔するなって!あざみならもう1人でも大丈夫さ、それはそうと富入さん」

 

「なにかしら?」

 

「あざみのこと宜しくお願いしますよ。もしあざみに何かあったら俺はアンタを許さない」

 

ひ、柊木さん・・・

 

「・・・ええ、安心してちょうだい。彼女の安全は保証するわ」

 

「お願いします。じゃあ、俺はそろそろ行くから、頑張ってあざみ!」

 

そう笑顔で言って自分の車に乗り込もうとする柊木さんに思わず声を掛けた

 

「あ、あの!柊木さん!」

 

「ん?どうした?」

 

「あ、えっとその、この事件が終わったら時間を貰えませんか?大事な話しがあるんです」

 

「大事な話?・・・うん、分かった!」

 

そう言って柊木さんは車に乗り込み何処かへと車を走らせた。

 

絶対ですよ!柊木さん!

 

柊木さんの車が見えなくなったのを確認し窓を閉めると不気味な笑みを浮かべている富入さんと目が合った。

 

「あ、あのどうしたんですか?」

 

「・・・若いっていいわね」

 

「と、富入さん!」

 

 

心を見透かされ恥ずかしくなり、それからしばらく顔を上げることができなかった。

 

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