あざみside
クローゼットを後にして富入さんに運転してもらい犬神大学の如月努さんの研究室へと向かっているとカーナビの画面がSAMEZIMAの管理人の放送に切り替わった。
放送の内容からしてSAMEZIMの管理人は謎かけに正解した私を待っているようだった。5人の人質と一緒に
「と、富入さん!どうしましょう!人質が!」
「その件は警察に任せて。今捜査班を結成して居場所を特定している最中よ。その間、私達は私達なりの方法で管理人に迫りましょう」
「はい!」
「それよりごめんなさいね」
「?なにがですか?」
「この事件は警察が引き起こしたようなもの。黒沢局長が事件を隠蔽しなければ起こらなかったかもしれない。あなたを巻き込むこともなかった」
「富入さん・・・」
富入さんは申し訳なさと、自分の不甲斐なさを痛感しているのか浮かない顔をしていた
富入さんは私を巻き込んだって言ってたけど私はそうは思わない!
「富入さん、私は巻き込まれたなんて思ってませんよ!まぁ、クローゼットがあったことには驚きましたけど・・・それに」
「それに?」
「ジャスミンさんや富入さん、そして柊木さんも頑張って真相を明らかにしようと頑張ってます。色んな所に色んな人はいます。一括りにはしたくないです!」
「・・・ふ、私、貴女のそういう所好きよ」
「え!あ、ああ、ど、どうも・・・」
す、すごく不気味な表情だけど褒められているんだよね??
「そういえば、彼は今なにをしているのかしら?何か聞いていない?」
「柊木さんのことですか?それがさっき連絡を取ってみたんですが携帯の電源を切っているみたいで・・・」
「・・・そうなの」
「ま、まさかまだ疑っているんですか!?」
「誤解させてごめんなさい。彼から何か新しい情報が手に入らないかと思っただけよ。止木さんから彼の調査力について聞いていたから何か掴んでいるかも・・・と」
「・・・もう疑ってはいないんですね?」
「ええ、ごめんなさいね、あなたの大事な人を疑ったりして」
「だ、だだだ、大事な人!?もう!富入さん!!」
「ふふ、冗談よぉ。さて、そろそろ着くから準備しといてね。特にその真っ赤な顔は抑えておいてね」
「は、はい」
大学に着くと富入さんが大学の事務室と当時如月さんと同僚だった教授達に話をつけてくれて、今はもう使われていない如月努さんの研究室へと向かった。
・・・自分の通っている大学のはずなのになんか久しぶりに来た気がするなぁ
そうだ、柊木さんと出会ったのもこの大学だったよね、えへへ、なんか遠い昔の話みたい。
あの時は・・・そう、美桜が落とした学生証を探している時だったよね。その後は私の悩みに真剣に向き合ってくれたっけ。
そういえばあの日、柊木さんはなんでここに来ていたっんだっけ?・・・いや、今はいいか、後で柊木さんに直接聞こう。
気を取り直して長い間閉ざされたドアに手をかけると突然めまいが襲ってきた
【さぁ、着いたよ。ここが僕の研究室だ。】
【ねぇねぇ、早く開けて下さいよぉ】
【菊、うるさい】
【だってぇ〜、歩も見たいくせに】
子供の目線だろうかドアの半分ほどの視界には1人のベレー帽を被った青年が映っていて、目線の主に優しく微笑んでいる。そんな光景が頭の中に過ってきた。
「あざみさん?どうかした?」
「・・・は!な、なんでもないです」
「・・・そう、無理しちゃだめよ?」
ドアの前で立ち尽くす私に、後ろから富入さんが声をかけてくれたおかげで正気に戻ることができた
・・・今の、なんだったんだろう?映っていたのは・・・如月努さん、かな?
視えた光景に戸惑いつつも私はドアを開いた
ドアを開けて中に入ると沢山の資料や本が机などに散乱していた。教授によれば当時の状況をできるだけそのままにしているそうだ。
すごい、まるでここだけ時間が止まっているみたい。それになんかセンターの内装にそっくりなような・・・
「7年も経っているのに研究室がそのまま残っているなんて、如月努は愛されていたのね」
「そう・・・みたいですね」
「あと、ここにあなたが居ることは内密にしてもらっているから気にせず調査してちょうだいね」
「ありがとうございます。富入さん」
よし、さっそく管理人に繋がる証拠を見つけよう!!
とは言いつつも資料や本で埋め尽くされた机や床を見て唖然としていると部屋の奥の机に目に付いた。
うぅ、めまいが・・・
【ここが僕の自慢の仕事机さ!】
【・・・これが?】
【あ、今汚いって思ったね!】
【え!い、いやそんなことは・・・】
【汚いよ】
【ちょっ、歩!】
【いやー、歩には敵わないなぁ】
今のは?ってあ、あれ?いつの間に移動したんだろう?
気がつくと先程の机の前に立っていた。
不思議に思いながら目の前の机を見ると写真立てが2つ置いてあった。
1つを手にとって見てみると学ラン姿の如月努さんとその隣に白シャツに白のズボンを着た小さな子供が写っていた。
ふふ、2人とも可愛いなぁ。
微笑ましい写真に思わず口元が緩みながらもう1つの写真立てを手にとった。
えっとー、この写真は・・・うぅ、また
めまいが・・・
【ほら、努さん、はやくはやく】
【な、なにもここまでしなくても・・・ちょっと恥ずかしいよ】
【なに言っているんですか、せっかく賞を獲得したんだから記念に撮りましょうよ】
【菊の言う通りだよ、早く来て】
【歩まで・・・分かったよ・・・ぐすっ」
【恥ずかしがるのか泣くのかどっちかにしてよ】
【あっははは!ほら、並んで並んで!】
・・・い、今のは・・・誰かの記憶?これも念視のせいなの?
めまいが治り、改めて写真見ると3人の人間が写っていた。
花束を持った如月さんと、さっきの写真にも写っていた子かな?ちょっと大きくなってる、それに右端に居るのはこの子の友達かな?短髪の男の子が写ってる。この子も可愛いなぁ。
写真立てを元の場所に戻し、別の机を調べていると見覚えのあるタイトルの資料が置いてあった
『異界調査』・・・もしかして上野の異界のことだったりしないかな。なになに・・・
『何かおかしい。野村君の事件を調査した資料を警察が返してくれない。アイツらの助言をもとに犯人に目星はついた。でももし間違っていたら?兎に角、野村君たちの為にも事件を明らかにしないと』
これって、上野天誅事件に関することだよね。あれ?まだ続きがある・・・
『今回の件は恐らく、5ソサエティという世直し系配信者の5人組の学生集団で間違いないだろう。彼らの配信自体が何よりの証拠だ。現在は配信データは消されてしまったがSNSなどに残されたコメントは十分な証拠になりそうだ』
5ソサエティ、どこかで聞いたような・・・うーん・・・
どこで聞いたのか思いだそうと室内をウロウロしていると一冊のボロボロのノートを見つけた
これは日記かな?最後のページが他のよりボロボロになっているけど・・・これって多分時間が経ってこうなったんじゃなくて如月さんが自分でこうしてしまったんだよね。きっと犯人だと疑われてしまったから・・・心苦しいけど読んでみよう。
『10月10日、なぜだ、どうして僕が犯人って事になっているんだ。そのせいで家族にまで迷惑をかけてしまった。兎に角、今は部屋の中で大人しくしているしかない』
日記を読み進めていくとついにボロボロになっている箇所に行き着いた。
・・・この辺りは見てるだけで分かる。涙で滲んでいてそれにシワだらけで・・・見ているだけで苦しい。
『10月20日、ついに警察から何の返事も来なくなった。警察は事件を解決する気はないのか』
『11月5日、最近、思うように体が動かない。自宅に居ても突然外から怒鳴り声を浴びせられる。それだけならよかった。怒鳴り声を浴びせてくる人達を止めようとしてくれたあの子がその人達にボロボロになるまで殴られた。それを聞いたとき、抑えきれない怒りが湧いてきた。暴行を加えた彼らだけではない、部屋に居たのに何もできなかった自分が許せなかった』
『11月7日、彼が僕を心配して家に来てくれた。その体には痛々しい傷が残っていた。僕は必死に謝った、あの時助けてやらなかったことを。でも彼は怒るどころか僕の心情を心配してくれた。優しい子だ、僕とは大違いだ。でもその優しさが今の僕にはとても苦しい』
1枚1枚ページをめくっていき、ついに最後のページに辿り着いた。
『12月1日、僕は都市伝説が好きだ。噂が都市伝説になっていく過程も、その噂が生まれた現地の文化や風習の話を聞くのも好きだ。でも今となっては噂を聞くのも目にするのも耐えられない。1番楽しかったあの子達と都市伝説の話をするのも嫌になってしまった。僕を元気付けようと都市伝説の話をしてくるあの子達に申し訳ない。楽しく話をしてやれないのが本当に辛い』
『12月10日、もう限界だ。生きるのが辛い。これが最後の日記になる。最後の最後まで彼には申し訳ないことをしてしまった。心配して訪ねて来てくれたというのについ、側にあった本を彼の顔に投げつけてしまった。もう直接言うことはないからここに謝罪の言葉を残しておく』
『本当に申し訳ないことをした。許してくれとは言わない、あんなことをしておいて厚かましいがキミにはあの子のことを頼みたい。2人には幸せになってほしい。宜しくお願いする。それとこの日記の裏表紙に手紙を残しておくから見てほしい。最後に、今までありがとう。勝手に逝くこと、どうか許して欲しい』
如月さん・・・
日記はここで終わっていた。私はそっと日記を閉じて中に書かれていた裏表紙を調べた
・・・あれ?何もない。誰が持ち去ったのかな?
日記を元の場所に戻し、手紙の存在を手帳にメモした後、さらに手掛かりを探す為に影を追うことにした。
メガネを掛けると3体の影が姿を現した。そのうちの2体はいつもの影とは比べて薄く、ぼやけていた。
これってずっと前の如月努さんの影かな?
とりあえずまずは写真立てがあった机の前でしゃがみ込んでいる影の方から調べよう。
近寄ってみると何やら机の下に手を入れていた。同じようにしゃがみ込んで手を入れてみると1冊の手帳を見つけた。
こんなところに手帳が・・・うぅ、まためまいが・・・ふう、落ち着いた。さっきからなんなの?あ、そうそう、手帳の中身は・・・
『事故に遭ってから僕たちの生活は変わってしまった。でも悪いことばかりではない。施設の人は皆優しい。突然両親がいなくなってしまってアイツの心は新しい環境についてこれてないようだ。なら、僕が支えになってやらないと』
僕たち?もしかしてこの2人で写っている写真の小さい子供は弟さんかな?富入さんなら何か知っているかも、この手帳を全部読んだら聞いてみよう。
『驚いた、雪かきをする為に外に出ると小さな男の子が門の前で倒れていた。急いで暖炉のある部屋に運び込み布団で寝かせた。施設の人によると命に別状はないそうだ、よかった』
『次の日の朝、運び込んだ男の子が目を覚ました。お腹が空いているだろうと思い軽い朝食を用意すると泣きながら食べ始めた。余程辛い目に遭ったんだろう。朝食を食べ終える頃には泣き止んでいたので事情を聞くとなんと彼には両親がいないことが分かった。このまま放っては置けずにここで暮らそうと提案すると嬉しそうに受けてくれた』
『彼が施設の一員になって数日が経った。彼の明るい性格もあってか施設の皆とはすっかり仲良くなっている。彼はアイツとも仲良くしてくれていてアイツ自身も少しずつだが話すようになっている。最近では勉強を教えているそうでその時のアイツはどこか楽しそうだった。仲のいい友達が出来たようで僕は嬉しい』
彼?もしかしてもう1枚の写真に写っている男の子かな?やっぱり如月兄弟と仲が良かっんだ。今どこで何をしているんだろう?ん?あ!裏にナイフが貼り付けてある!どうしてこんなところにナイフが?危ないなぁ。
手帳はこれで終わりかな?よし、次の如月さんの影を調べてみよう。
メガネを掛け直し、2体目の如月努さんの影を見るとなぜがさっきよりもハッキリと視えていた。
その影は両手を広げていてまるでこちらにおいでと言っているように感じた。
なんだろうこの影、他の影とは違って触れられそう。それになんだか不思議と安心するような気も・・・
ゆっくりと手を伸ばし、触れてみると頭の中に見たことのない光景が入ってきた。
【うぅ、痛いよ兄さん】
【大丈夫、ほら、おいで、おまじないを掛けてあげる】
【うん、ありがとう】
い、今のは?もしかして念視の使いすぎ?ちょっと念視は中断して机の日記に目を通してみようかな。
『僕の右腕は凄腕のハッカーだ。厳重に管理していたはずのオカルトデータをいとも簡単に消されてしまった。彼も共犯らしくこの間も2人してPCルームで職員の人から怒られていた』
ハッカー!?って、なんだ子供イタズラ話か。
『よく頭の中がうるさいと言っているがその発散でやっているなら考えものだ。僕の代わりに彼に止まるよう言ってくれとお願いしても恐らく意味ないだろう。アイツの好奇心には時々頭を悩まされる。ギフテッド?よく分からないけどほっぺを抑えて落ち着くおまじないを掛けてやろう。そうだ彼にも教えておこう』
ほっぺを抑えるおまじないかぁ、わかるなぁ、こうすると落ち着くよね!あ!そうだ如月兄弟について富入さんに聞かなきゃだった!
「富入さん、如月さんは事故で両親を亡くして兄弟で施設にはいったみたいです。奥の机の写真の1つは兄弟の写真みたいです」
「その施設はどこか分かる?」
「あ、いえ、そういえば書かれてませんでした」
「前に如月努について調べてみたことがあったの。でも情報は暗号化されていて見ることが出来なかった。クローゼット行きになるような事でもないはずなのにね」
「それってもしかして警察以外の誰かが如月兄弟の情報。暗号化したってことですか?」
「恐らくね」
それが本当だとすると管理人の正体ってもしかして・・・と、とりあえず最後の影を調べよう
メガネを掛け、最後の影を見る。ドアに1番近いその影は目の前の机を指差しているようだった。
この影・・・さっきの如月さんの影とは別人だよね?なんかこの影を見ていると胸がドキドキする。
不思議な影に思わず手を触れる、するとどこからか声が聞こえてきた
【ほら、歩、こっちこっち】
【ちょ、ちょっと菊!引っ張らないで】
【モタモタしているとせっかくのプレゼントが売れ切れちゃうよ!?】
【わ、分かってる!どうせならもう少しゆっくり・・・】
【?なんか言った?】
【う、うっさい!なんでもない!】
今のは?2人分の声が聞こえたけど・・・なんだか楽しそうだったなぁ。そうだ、机を調べるんだったね
メガネを外し影が指差しているところをよく調べてみると1枚の画用紙と手帳を見つけた。画用紙の方を手に取ってみるとまためまいが襲ってきた。
【ジャーン!どう?秘密結社のボス!なかなかいい出来じゃない?】
【へぇ、菊にしてはやるじゃん】
【でしょ?はいこれ、歩の分ね】
【え?着なきゃダメ?】
【もちろん!ボスが実は2人ってのも良くない?】
【・・・まあ、確かに】
【よし!それじゃあ、秘密結社計画ここに始動!】
ま、また、変なのが視えた・・・秘密結社計画?って!この絵!
画用紙にはSAMEZIMAの管理人のような姿の人の絵が2人描かれていた。よく見てみると右下に小さく文字が書かれている。
なになに、『バスタオルにマジックで目を描いたことがバレて怒られてお小遣いをその分減らされてしまった笑』
・・・あはは、まったく反省してないや。よし、続けて手帳を調べてみよう。
画用紙と一緒に置いてあった手帳を手に取ってみるとあることに気づいた。
あれ?さっきは気が付かなかったけどこの手帳だけ他のより明らかに新しい。でもこの部屋はほとんど人の出入りがないはず、最近誰かが置いたってこと?でも一体誰が?
そう思っていると頭の中にある声がよぎった。
【今日はその手研究資料を大学に返しに来ただけだよ】
この声って・・・ううん、気のせいだよね、と、とにかく手帳の中を見てみよう!って、あれ?裏表紙に何か入っている?
恐る恐る取り出すと見覚えのある物が中から出てきた。
こ、これっ!イルミナカード!!しかも7枚目の!!どうしてこんなところに!!
確か7枚目は管理人が持っているんだよね?それがここにあるってことは・・・この手帳は管理人の物!?な、中は!なんで書いてあるの!?
突然のことに驚きながらも中を見てみるもなにも書かれてはいなかった。
うーん、何かあると思ったんだけどなぁ。あ、そうだ富入さんにイルミナカードについて言わなきゃ!
「と、富入さん!大変です!」
「落ち着いて、一体どうしたというの?」
「こ、これ!見て下さい!イルミナカード!7枚目です!」
「!!どこにあったの!」
「この手帳です!中は何も書かれてないんですけどこの裏表紙に挟まってました!」
「と、いうことはその手帳は管理人の物?」
「はい、私もそう思います」
「どうしてそんなところに・・・」
「と、とにかく!他に手掛かりがないか調てみます!」
とは言っても、あらかた調べ尽くしたんだよね・・・よし!今まで集めた情報を元にSAMEZIMAの管理人について一度考えてみよう!
両手でほっぺを包み込み考える
管理人に直接繋がる情報はここには無かった。その代わり日記や手帳には施設にいた頃の思い出が色々書き記されていた。
だとすると今起きていることって・・・
"如月努の弟が計画した復讐"なのかもしれない。そう・・・だよね。ハッカーという特徴も管理人と合うし。でも・・・そんなことって・・・とりあえず富入さんに報告しないと
「富入さん、SAMEZIMAの管理人の正体は如月努さんの弟さんではないでしょうか」
「なるほど。兄を自殺に追いやった5ソサエティと事件の隠蔽を図った警察、そして当時、浅い倫理と正義感で非難し続けた世間への復讐計画」
「・・・助けたかったですよね。お兄さんが追い詰められている姿を1番近くで見てたってことですもんね。具体的な目的は分かってないけど全てはお兄さんの為にこんなことを」
「福来さん、協力してくれてありがとう。さて、ここからは私達、警察の仕事ね」
「え?」
「申し訳ないけど私は一旦署に戻る。急いで管理人の居場所を特定しなきゃ。あなたは家に帰るか、ここに残るか、柊木君と合流するものいいかもね。なんにせよ、信用できる人間に警護させるから安心して」
「そんな!私も最後まで付き合います!私が、私が止めないと!」
「・・・あなた、今管理人に同情しているでしょ?お兄さんの為の計画を私達はこれから破壊しにいくの。これから先、優しすぎる貴女には辛いことになるだろうから」
「で、でも」
「そうだ、止木さんのお見舞いにでも行ってあげて。それじゃあね」
「あ、ま、待って下さい!・・・行っちゃった」
ど、どうしよう!確かにジャスミンさんにはすごく会いたい。
・・・いや、やっぱり違うよ!今ちょっとだけ会えてもしょうがない!全部解決してからジャスミンさんと話したい!それに柊木さんとも約束したもん!全部解決したら・・・って!
見つけないと!管理人を見つけてこの計画を止めなきゃ!!
あ、そういえばあの写真立ての裏にナイフが貼り付けてあったよね。捕まっている人たちのロープ、あれなら切れるかも!一応持っていこう!
でもこれからどうしたらいいのかな?・・・柊木さんに電話で相談したみようかな?出てくれるかな?
スマホを取り出し柊木さんに電話を掛けるとすぐに出てくれた
「あ!柊木さん!無事ですか!大丈夫ですか!」
「ああ、大丈夫だよ。それよりごめんね、中々電話出れなくて」
「本当ですよぉ!心配したんですからね!」
「悪かったって!それで?何かあったんじゃないの?」
「はい、実は・・・」
私は研究室で調べた事を柊木さんに話した
「なるほど、兄の為の復讐計画、か」
「はい、それでこれからどうすればいいか何かアドバイスでももらえればと思いまして」
「そうだなぁ、管理人はイルミナカードの予言に沿って事件を起こしていたんだよね?だったらその事件現場に何か残されているのかも」
「え?で、でもそれは私達が調べたじゃあないですか!」
「今までなら、ね」
「え?どういう事ですか?」
「そこの研究室であざみはこれまでとは違う影を念視で見たんだよね?なら、いまの念視の状態で見れるモノもあるんじゃないかな?」
「なるほど!ありがとうございます!そうします!」
「うん、頼んだよ。俺はまだ調べる事があるからそろそろ切るね」
「あ!ひ、柊木さん!」
「ん?どうした?」
「あの、覚えてますか?ここ、犬神大学で初めて会った時のこと」
「もちろん覚えているよ、それがどうかした?」
「その時に、あの、その、い、いえ!やっぱりなんでもないです!」
「そう?ならいいけど。まあ、また何かあったら連絡してよ、それじゃあ」
「はい!ありがとうございました!」
電話を切り、スマホで地図を見ながら、手帳に次の行動を書き込むことにした。
柊木さんはイルミナカードに関する事件現場を見たらって言ってたよね。ここから1番近いのは・・・梅木コーポだ!よし!早速向かおう!