キミの支えになりたくて   作:飯即斬

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50話 出会い

 

お腹すいたよ、寒いよ、死んじゃうよ、ここはどこなの?誰か助けて!あ・・・

 

空腹のあまり地面に倒れ込んでしまう。助けを呼ぶ体力も残されていない。しかも今日は今年1番の大雪らしく周りに人もいない。

 

もう、ダメ、意識が・・・

 

意識が朦朧とする中1人の男の人が近づいてきた

 

「キミ!大丈夫かい?・・・これは大変だ!中に運ばないと!」

 

近づいてきた人のその言葉を最後に意識を失った。

 

目が覚めると見覚えの無い天井が視界に入ってきた。

それに暖かい布団に暖房、ここは天国なのかな?と思うくらい居心地が良かった。

 

それから少しして男の人が部屋に入ってきた。

 

「あ、起きたようだね。怖がらなくて大丈夫、僕はキミの味方さ、覚えているかい?キミは門の前で倒れていたんだよ」

 

この人がここに運んでくれたのか・・・あ、お礼言わないと

 

「あの、助けてくれてありがとうございます」

 

「いいさ、それよりキミの名前は?ご両親は?何処から来たのか分かるかな?」

 

「僕に名前は無いし、親はいません。帰る場所も先日孤児院を追い出されてありません」

 

「そうだったのか、辛い事を聞いて悪かったね。そうだ!キミさえ良ければここに住まないかい?」

 

「いいんですか?ぜひ、お願いします」

 

「うん、よろしくね。そうだ、お腹空いているだろう?これを食べなさい」

 

そう言って目玉焼きの乗ったトーストを食べさせてくれた。口にした瞬間、今までの辛さと、久しぶりに優しくして貰った嬉しさで大泣きしてしまった。

 

あ、あれ?涙が止まらない・・・

 

泣き声こそ上げなかったものの、涙は止まることはなかった。

 

それを見た男の人は持っていたタオルで涙を拭い、右手を顔の左頬に当ててきた。

 

ああ、人の温もりとはこんなにも心地良いのかと初めて実感した。不思議と勇気も湧いてくる。

 

「もう遅いから、今日は休みなさい。明日、孤児院の皆に紹介するよ」

 

分かりました、そう返事をしてその日は眠りについた。

 

次の日の朝、子供達の声で目が覚めた。久しぶりにお腹いっぱい食べ、暖かい布団で寝たおかげかすっかり元気になっていた。

 

辺りを見渡していると昨日の人が入ってきた。

 

「おはよう!ぐっすり眠れたみたいだね。あそこで顔を洗ってきなさい、もうすぐ朝食だからその時皆にキミの事を紹介するからね」

 

言われた通りに顔を洗い、男の人の後ろを付いていくと10人くらいの子供と孤児院の先生らしき人が集まっていて僕が入った瞬間、子供達がザワザワし始めた。

 

「はい、今日は新しい家族を紹介します。みんな、仲良くしてあげてね。ほら、キミからも一言」

 

「は、はい。よろしくお願いします」

 

軽く挨拶をし、みんなで朝ご飯を食べた後、他の子供達から質問攻めにあっていた。いきなりの事だったので何も答えられずにいると飽きたのかみんなは散って行ってしまった。

 

やってしまった、せっかく向こうから話しかけてきてくれたというのに台無しにしていまったことに落ち込んでいるとさっきは居なかった子が話しかけてきた。

 

「キミが兄さんが運び込んできた子?」

 

顔を上げるショートヘアで上下真っ白な服装をした子が居た。最初は男の子かと思ったがそれを察して、自分は女の子だと教えてくれた。

 

「あ、うん」

 

「ふーん」

 

その言葉を最後に何も言わなくなってしまい、ただこっちをじっと見つめているだけだった。

 

う、どうしよう・・・この状況、何か話しかけた方がいいかな?

 

話す話題を必死に考えていると助けてくれた男の人がやって来た。

 

「こらこら、彼、困っているじゃないか」

 

「兄さん、別に何もしていないよ、ただ観察していただけ、どんな奴だろうって」

 

「十分困らせているじゃないか・・・キミ、ごめんね」

 

「い、いえ、別に気にしてないです」

 

「ありがとう、キミは優しいね」

 

「いえ、そんな大したことでは・・・」

 

優しい、か、初めて言われたな。

 

「そうそう、自己紹介がまだだったね、僕は如月努、この子は妹の歩、歩とは是非、仲良くしてやってほしい」

 

「よ、よろしくお願いします・・・」

 

「それと、昨日キミの名前を考えてたんだ、ここで過ごすのに名前がないんじゃ何かと不便だろ?でも僕だけじゃなかなか思い付かなくてね、そしたら歩が"柊木菊"なんていいんじゃないかって、僕はそれに大賛成なんだけどキミはどうかな?」

 

昨日僕が寝ているとき彼女が僕を見て提案したらしい。

 

「柊木菊、僕の名前!嬉しいです!ありがとうございます!努さん!歩さん!」

 

「気に入ってくれて良かった!ほら、歩からも何か言ってあげなさい」

 

「別に、見て感じたことを言っただけ、それとさん付けじゃなくていい、あと、タメでいいから」

 

「は、はい・・・」

 

「それから、兄さんは私の兄さんだから」

 

「え?う、うん、分かった」

 

「分かったならいい、まあ、その・・・よろしく」

 

「うん!よろしく!」

 

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