キミの支えになりたくて   作:飯即斬

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52話 秘密結社

 

上野の公園に行ってから数ヶ月後の夜、就寝中にトイレに行きたくなり部屋を静かに出た

 

うぅ、今日は冷えるなぁ

 

季節ハズレの寒さに震えながら用を済ませて部屋に戻ろうとすると通路の1番奥にある部屋から明かりが漏れていた

 

あの部屋は確かパソコン室だよな?こんな時間にいったい誰が・・・

 

恐る恐る近づき、中の様子を覗こうと扉をゆっくり開ける。どうやら1台のパソコンに電源が入ったままのようだ

 

寝ている職員の人を起こして対処してもらべきか悩んでいると急に背後から肩に手を乗せられた

 

「うわっ!・・・って、なんだ歩か、びっくりさせないでよ」

 

「なにしているの?」

 

「い、いやさ、パソコンの電源がつけっぱなしみたいだから職員の人を起こして消してもらおうかと・・・」

 

「ああ、アレ私が点けたの」

 

「え??な、なんでこんな時間に」

 

「説明するより見てもらった方が早い、来て」

 

 

歩の後ろに着いていき電源の付いたパソコンの画面を見ると何やら沢山の数字やら英単語やらが画面いっぱいに表示されている

 

「・・・なに、これ?」

 

「ソースコードって言ってパソコンを動かす為の命令式ってとこかな」

 

「ふーん、ちなみにどんな命令をだしているの?」

 

「聞きたい?」

 

え、なんか急に悪い顔をし始めたんだけど・・・やっぱり聞くの辞めとこうかな

 

 

「や、やっぱり答えなくてい・・「兄さんのパソコンのデータを覗いてたの、早い話がハッキング」

 

・・・・は?今なんて?は、ハッキング?

 

「え、えっと、ハッキング?ハッキングてあの相手のデータとかを乗っ取るアレ?」

 

「他にあるとでも?」

 

・・・聞き間違いじゃなかったか、どうしよう

 

「な、なんでハッキングなんか・・・」

 

「・・・最近頭痛が酷くてさ、どうしたらいいか考えていたら時に兄さんのパソコンが目に付いたの。それでなんとなく触ってみたらこれが面白くてね。思い通りに動くから楽しくてずっと触ってて気づいたら頭痛がしなくなってたんだ」

 

「なるほどね。ストレス発散になったわけだ」

 

「そう、分かってくれた?」

 

「分かったけどさ、バレたらどうするの?怒られるだけで済まないかもよ?嫌だよ歩が怒られてるの見るの」

 

「ああ、それなら大丈夫」

 

「え?なんで?」

 

「だって今、菊も知っちゃったからね。これで共犯も同然」

 

・・・は?

 

「あ、あの歩さん?本気で言ってます?」

 

「うん。いいでしょ?別に」

 

「よくない!」

 

まったく冗談じゃない、このままじゃ犯罪の片棒を背負わされる、その前に逃げないと

 

急いでその場から逃げようとすると腕を掴まれた

 

「離して!共犯なんて勘弁してよ!」

 

「これ、見てよ」

 

「だから何を言われても・・・え?こ、これって」

 

歩が見せてきたのはお菓子をつまみ食いしている自分の姿が写っている写真・・・

 

「い、いつのまに・・・」

 

「このまま逃げたらこの写真を施設の掲示板に貼り出す。そうなったら一生言われるよ?つまみ食いの菊って」

 

う、それは地味に嫌だ・・・はぁ、仕方ない、腹を括るか

 

「はぁ、分かった、今日から歩の共犯になるよ」

 

「うん、良かった。菊ならそう言ってくれると思ってた」

 

「よく言うよ、ったくもう」

 

「・・・ふふ」

 

っ!!

 

まただ、歩が笑うとなぜかドキドキするんだよなぁ・・・なんでだ?そうだ、歩と同じようにすれば治るかも。どうせ共犯になるのなら教えて貰おう

 

 

「ねえ、歩。パソコンの事もっと教えてくれない?」

 

「うん、いいよ。でも私が教えるからには容赦しないから」

 

「分かってる。それでもよろしく頼むよ」

 

「分かった。じゃあまずここだけど・・・」

 

その日からみんなが寝静まった時間に歩のパソコン教室が定期的に開催されることになった。が、ハッキングのことがバレて努さんから2人揃って大目玉を喰らうことになるのに時間は掛からなかった。

 

 

 

 

ハッキングの件で色んな大人から怒られてから歩がハッキングをすることはなかった

 

そう周りの大人たちは思っているが寧ろ以前より活発になっていることを僕は知っている。一応共犯だしね

 

それに最近ではテレビの影響か、秘密結社なるものに興味が出たようでハッキングをする時用にそれっぽいモノを作ってくれと頼まれた

 

 

と、いうわけで今日はその制作にあたっている。まずはデザインから考えることに

 

うーん、秘密結社って言われてもなぁ、イマイチピンとこないんだよなぁ

 

秘密・・・秘密・・・あ、秘密結社といえばこないだ努さんが話してくれたっけ。えっーと、確かその時に貸してもらった本が・・・あったあった、『フリーメイソン』!

 

フリーメイソン、ロンドンで設立され慈善団体でありながら世界の支配などの陰謀論もで出ている団体。シンボルとして三角形の中に人の目が描かれている。努さんが曰くプロビデンスの目と言うらしい

 

よし、このシンボルを参考にさせて貰おう!

 

本に描かれたシンボルを見ながら画用紙に秘密結社の衣装を描き始める

 

流石にそのままだと面白くないのでフードには目を、胸元には三角マークを取り入れた

 

うん、我ながら上出来!!

 

デザインができたら次はいよいよ衣装作り。裁縫の心得はなかったので孤児院の先生に教わりながら作る

 

材料は選択部屋から頂戴した白いタオルやベットシートを使用。何度も針が指に刺さりながらもなんとか2人分を完成させた。早速歩の元に行こう!

 

 

歩は・・・あ、いたいた!

 

「おーい!歩!出来たよ」

 

「思ったより早かったね、どれどれ・・・」

 

あ、しまった、ちょっと大きすぎたかも

 

「・・・菊、ちょっと、いや、だいぶ大きいよコレ」

 

「ご、ごめん」

 

「でもデザインは良いね。気に入ったよ」

 

「本当!?」

 

「うん、だけどなんで2着もあるの?」

 

「え、だって僕も着たいし、秘密結社のボスが2人居るって設定で作ったし」

 

「なに言ってんの?ボスはこの私。菊は私の部下だよ。同然でしょ」

 

「言うと思ったよ・・・ボスが2人じゃダメ?」

 

コレだけは譲れなかったので何度も頭を下げたり、思いつく限り褒め称えたりすること10分程掛かりようやく折れてくれた

 

「・・・・はぁ、分かった。しょうがないなぁ」

 

「あ、ありがとう」

 

ゴネてみるもんだな・・・

 

「よし!じゃあ早速着てみよう!」

 

まずは服から、大きくて1人では着れないのでまずは歩が着るのを手伝う。なんとか着せて次はフードを被せる。うん、良い感じじゃん

 

「・・・どう?」

 

「うん、良いね!雰囲気で出る。よし、じゃあ次は俺の番。手伝って」

 

「分かった」

 

歩に手伝ってもらいまずは服を着る。やっぱり大きい。

 

よし、次はフードを・・・

 

床に置いたフードを取ろうとしていると一台のトラック運転手が教会の敷地内にバックで入ってきた。どうやら孤児院で使う備品を配達にきたらしい。

 

運転席から中年の男性が降りてきて、荷下ろしをしている様子を見ていると真っ白な格好の何かが配達員さんに話しかけていた

 

何あれ?・・・あれ!歩?どこ行った?ってまさか!

 

予感は的中、配達員さんに話しかけていたのは白い格好に身を包んだ歩だった。

 

それから間も無く努さんが伝票にサインをしにやってきた。歩の姿を見て最初はビックリしていたがすぐに落ち着き配達の対応をこなしていた。

 

トラックが帰ると努さんと歩が話していた。どうやら今の恰好について聞かれているようでその様子を見ていると歩がこちらに指を刺してきて努さんと目が合う。

 

あ、やべ!

 

つい、外から見えないように窓の下にしゃがみ込んでいると後ろかや肩を叩かれる

 

恐る恐る振り返ると不気味に笑う努さんとフードを被って顔が見えないようにしている歩がいた。

 

「あ、つ、努さん、こんにちは・・・」

 

「うん、こんにちは。ちょっと部屋でお話ししようか。秘密結社について」

 

「え、いや、その、あ!用事を思い出し「いいから来なさい」

 

逃げようとすると努さんに腕を掴まれ努さんの部屋に強制的に連れ込まれた。

 

部屋に連れ込まれた俺たちは努さんからみっちり叱られる羽目になった。

 

ただ、作った衣装に関してはfabulous!と太鼓判を貰った。

 

 

こうして秘密結社騒動は呆気なく終わった。表向きには、ね。

 

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