犬神大学からの帰りの車の中で俺はセンターの調査員になって最大のピンチを迎えていた。
車で何時間も待たされたジャスミンは今まで見たことがないくらいキレている。いや、怒っていらっしゃる。
「ほんとうに申し訳ない!教授の長話に付き合わされて中々抜け出すタイミングがなくてそれで・・・」
「それで?」
ひぃぃぃ、怖い、怖すぎる。
「それで戻る途中で落とし物を拾ったから落とした人に渡したりして遅くなったんです、はい」
「ふーん、多方その落とした人が女の子でその子に鼻の下伸ばしてたんじゃねぇの?」
「ちょっと待て、いや、待ってください。別に鼻の下伸ばしてなんかないですよ!」
「やっぱり落とし物したの女の子か」
や、やられた!これが語るに落ちるってやつか!いや言うてる場合か俺!
「つまりなに?このアタシを待たせておきながら自分は女子大生と仲良くしてたって訳?」
「待たせたことは本当に申し訳ない!でもちゃんと仕事もしてたんだって」
俺は福来さんのことをジャスミンに説明した。別の女の子とも話してたのかとか言われたけど納得は一応してくれたみたい。
「はぁ、もう分かったから。またやったら許さないからそのつもりで」
「は、はい。肝に免じておきます」
はぁ、なんとか危機は脱したみたい。本当に良かった。
「本当にごめん。今度埋め合わせするからさ」
「お!いい心掛けじゃん。それなら明日ちょっと付き合って。買いたい物があるけどちょっと1人じゃ大変そうだし手伝って」
「分かった」
「よし、じゃあ明日10時に駅前に集合で」
そんなやり取りをしているうちに俺の家の近くまで来たので車を停めてもらう。
「いい、明日10時に駅前だから。忘れんなよ」
「分かってるよ。送ってくてありがとう」
そう言ってジャスミンの運転する車が見えなくなるまで手を振って見送った。
・・・車の中でラギッチって呼んでくれなかったなぁ、まだ少し怒ってんのかなぁ。
気のせいであって欲しい。そう思いながら明日の為に早めに寝た。
次の日、ジャスミンを待たせることがないように30分前には集合場所の駅前に着いた。
それからしばらくするとジャスミンが現れた。
「おはよ、今日はちゃんとしてんね」
うっ、やっぱりまだ怒っててるよ。
「おはよ、昨日の今日で遅刻する訳にもいかないしね」
「よろしい、じゃあ行くよ荷物持ちよろしく」
「仰せのままに」
どうにか機嫌を良くなってもらわないと。
ジャスミンに付き添いショッピングモールの中にある服屋やコスメ、食料品など色々な店を回った。
俺の両手にはジャスミンの買った袋でいっぱいになっている。
今はジャスミンが1人で買い物しているのでベンチで休憩中。
「はあ、女の子の買い物って本当に長いんだなぁ。ある意味これも都市伝説だろ」
センター長なら分かってくれる。うん、きっとそう。
それから数十分程でジャスミンは戻ってきた。
「お待たせ、今日はこれで終わり。帰ろ」
やっと終わった。のはいいんだけど・・・
「ねぇ、この荷物でどうやって帰るの?」
「ん?送ってくれっしょ?」
やっぱりそうなるか。車で来て正解だったな。
「分かった。車取ってくるから待ってて」
そう言って取ってきた車に荷物とジャスミンを乗せてショッピングモールを出た。
ジャスミンの案内で車を走らせ彼女の家の近くの道に車を止め荷物を全部俺が運び込んだ。
「これでおしまいっと」
最後の荷物を玄関まで運び終えたので終わったことをジャスミンに伝えた。
「ご苦労ご苦労。いやー楽でいいわ〜次も頼もうか」
「し、しばらくは勘弁してくれ・・・」
「ふっ、冗談だって、助かったよサンキューラギッチ」
「!なんか久々にラギッチって呼んでくれたね」
「あ、やっぱ気づいてた?今回で許してやるからもう女の子をあまり待たせんなよ」
「ああ、しっかり心に刻んだよ」
「忘れんなよ〜」
ふぅ、やっと許してくれたか。
「じゃあ俺は帰るよ。また来週な」
「お疲れ〜」
ジャスミンの家を後にした俺は自分の家に真っ直ぐ帰りベットに直行した。
「なんかいつもより疲れたなあ、ん?電話だ、誰から・・げ!」
「・・・」
「いや、楽しんでないよ!大変だったんだから」
「・・・」
「ほ、ほら計画の為に仕方なく」
「・・・」
「わ、分かった分かった。ちゃんと埋め合わせするから」
「・・・」
「はい、また今度ね、それじゃ、おやすみ」
・・・はぁ、また面倒くなってきたなぁ