「ぶえっくしょん!ちくしょう!」
うう…乙女らしからぬデカいくしゃみをして、地上に降り立つ。既に地平線に朝日が見えていた。
寒い!無惨が怖くてギリッギリまで上空待機してた。母ちゃん達の所へは、尾行されると困るから行けないしなぁ。
吹きっ晒しな上空での待機は、サイキックパワーでバリアーを張りながらも辛かったです。
家に着くと、腹いせなのか何なのか、我が家がバラバラになってた。竈も丁寧に壊され、食料は泥まみれに。
…いやあ…何コレ…オノレ無惨んん!!
何と言う、みみっちい嫌がらせ!
大物ぶった小物めぇ!
とりあえず飯も食えず、暖を取ることもできず、すごすご山を降りる事にした。
炭治郎兄ちゃんは何時くらいに着いたんだろ?もうこっちに向かってきてるかなぁ?
時間的に流石にもう、あの二鬼は居ないだろうけど、まだ森の中は暗いから嫌がらせの鬼がいるかも。
無惨ならやりそうです…。寒い。
雪に足を取られながら、周囲に注意して山を降っていく。足が重い。疲労が激しい、鼻水が止まりません。
それより何より、身体の芯から冷え切ってガタガタ震えている。さ〜ぶ〜い〜!!
歯がガチガチ鳴り響いています。
何とか無惨から生き延びる事ができた…。本当、これは奇跡に近いよね…。
初陣がラスボスって、やっぱり難易度的にかなり無茶苦茶過ぎるわ…鬼モードだわ…そういや鬼だった…。
パキっと下から音が聞こえる。
見ると太ももの所が出血して、血が着物に滲んでいた。その着物の血が付いた部分が凍り、音を立てたみたい。あれ?無惨にやられたかな?
それにしては痛くない…苦しいけど。
………違った…月のもの…え?今のタイミングで始まった!?
初陣の次は初潮かよ…あかん、精神的ダメージが…。
私は無惨からの極度の緊張感の解放と、肉体的疲労と低体温症のおかげで、気力がポッキリ折れようとしていた…。
「母ちゃん…助けて…」
いかん、理性的には対応しろってやるべき方法が思い浮かぶけど、精神的にグロッキーだ。肉体年齢に引っ張られる…。
ひもじい、寒い、もう死にたい…。不幸が向こうからやってくる…。
いや死ぬな!気力を振り絞れ!次女だったら無理だけど、長女だから耐えられる!
しかし目の前が暗くなり、ふらっと倒れそうになる。
「どうした!大丈夫か!?」
その時、誰かが抱きかかえてくれた。誰…って、義勇っち!
アニメ通りの容貌と声に、安心感が募る。本当はまだだけど、助かったと安堵する。
だけど、無惨の話をしないと…!
「鬼舞辻無惨と、上弦の弐童磨に襲われました!家族が狙われています!家族、竈門家は街にいます!」
残った気力を振り絞り、震える歯を抑え、頭で整理していた事をぶちまけた。よし、言えた!これで家族は保護される筈…。
「分かった、よく耐えた!名は何と言う?」
「竈門…禰豆子…」
気力が保ったのはここまでだった。
凍死寸前、疲労困憊な12歳の身体は限界を迎えたのだった。
ここからドンドン、肉体に引っ張られます。
ご了承下さい。