「上弦の鬼が見つかったのですか?」
原作では柱合会議が始まる筈ですが、今回の私達には何も関係なく、蝶屋敷で治療の手伝い(爆血による蜘蛛毒の除去)をしている所に鎹鴉がやって来ました。
鎹鴉が知らせてきた指示は、上弦の鬼らしき存在が確認できたので、他の柱と協力して退治しろ、でした。
先日、浅草で鬼舞辻無惨と遭遇し、隠が尾行調査をしました。
無惨本人は直ぐに見失い、また危険だと言う事で調査は打切りましたが、一緒にいた家族はそのまま調査を続行、誰なのかを突き止めました。
そして家庭環境、職業等を調べ、貿易商としての活動を確認。それからお館様の指示で貿易相手、又は品物の取引相手を調査し…正体不明の陶芸家が浮かんできたのです。
そして過去の資料を調べると、今までに何度か現れた正体不明の鬼の中に、陶芸家と似たような特徴を持つ鬼、恐らく上弦がいたとか。
陶芸家…あいつかぁ…。
私は少々ゲンナリしました。鬼の中には異形の者も多くいますが、その中でも一際おかしな奴ですよね。異形を通り越して、むしろひょうきんとさえ言えそうな、痰壺男です。
できれば会いたくないのですが、今回はそう言うわけにもいきません。
陶芸家が鬼であるとの決定的な証拠が無いので、下手に突入する訳にもいかず。誰かが潜入調査をやらないといけない事になりました。
で、日輪刀無しでも必殺技である程度対応できる私に、白羽の矢が立ったのです。
と言っても1人ではなく、もう1人対応できる岩柱の悲鳴嶼行冥さんと組む事になりました。
悲鳴嶼さんの武器は鉄球鎖鎌なので、鉄球部分を分銅に付け替えケースに入れて運べば、そこまで違和感は無さそうです。
本人的には軽過ぎるそうですが。
と言うわけで悲鳴嶼さんと私とで、父娘として潜入捜査を行う事になりました。
あ、槇寿郎師匠が父親役を取られた事、悔しがっていました。
しかしながら槇寿郎師匠、刀が無いと戦力半減だし、最後まで髪を染めるの嫌がっていましたよね?
私と悲鳴嶼さんは髪型を変え化粧もして、良家の父娘として陶芸家が来そうな日の検討を付けて、貿易商に行く事にしました。
残念ながら、日が暮れてからの時間です。
「悲鳴嶼さん、名前も偽名にした方が良いと思います。私はお父様と呼びますので、私の事は…そう、沙代と呼んで下さい」
そう言うと悲鳴嶼さんが驚いた顔をしたのと、色々手伝いをしてくれていた隠達の中の、小柄な方の肩がビクッとしたのが目に入りました。
鬼滅の刃の考察で、隠に沙代さんがいたと言う話がありましたが、どうやら…。
「この名前、何かありましたか?」
「いや、昔酷く傷付け、怖がらせた娘の名前と、同じだったのでな…」
悲鳴嶼さんは昔、育てた子供に鬼と間違われた話を簡単にしてくれました。
「悲鳴嶼さんは、その娘の事、怒ってらっしゃいますか?」
「まさか…可哀想に、小さかったのでな…見間違いをしたのだろう…」
「その娘も、今は後悔しているかも知れませんよ?いつか、また会えると良いですね…。案外、近くにいるのかも」
この話はこれくらいで良いでしょう。後は本人達に任せましょうか。
…人違いだったら、ちょっと恥ずかしいですし。
「それでは名前は私の妹と同じ花子として、行きましょうか、お父様。村田、荷物を持って。行きますよ」
「え?あ、はい!お嬢様!」
更にもう1人、村田さんが付き人として付いて来ます。いざと言う時の連絡役ですね。
金持ちのお嬢様と付き人、そう言う演技をして貰います。
因みに村田さん、大好きです。前世の鬼滅の刃ゲームの持ちキャラとして。
村田さんを使って、柱も上弦もお兄ちゃんも対戦で撃破しました。密かに村田柱と呼んでおります。
貿易商の商店に入り、目の見えぬお父様の代わりに壺を吟味する役をしました。
悲鳴嶼さん…お父様は、目が見えないけど手触りの良い壺を探している体で、商店内を動いております。
「まあ、これがお勧めの壺ですか?お父様、如何でしょう?大変素晴らしい壺と感じるのですが…」
「うむ…そうだな。これは素晴らしい…。この壺の陶芸家に、是非会いたいものだ…」
私は店員に相談し、店員は奥に入って何やら話をしてくれました。
その奥から、厳つい大男がぬっと顔を出しました。
「先生様が…お会いしてくれるそうだ…。但し、顔はお見せできない…そうだ」
ビンゴです。この男、鬼です。人の姿なのは擬態しているのか元々か分かりませんが、この鬼独特の臭いは鬼殺隊相手には誤魔化し切れません。悲鳴嶼さんも気付いた様です。
「それは良かった。お父様はどの道、目が見えませんし。村田、私達は陶芸家にお会いします。その間、迎えの黒い車の用意をしなさい」
黒い車、これは外で待機している柱に、鬼がいた、突撃準備との符合となります。
さあ、いよいよ御対面となります。