正直、賭けでしたが何とか人外から戻りました。今までの経験から、一瞬の必殺技の利用ならできるかと思ったのですが…。
珠世さんを救出する際、代わりに無惨を縛り付ける物として思い付いたのが、吸血鬼の真祖の必殺技でした。
『あら、真祖の私を利用するなんて大胆ね。まあ、あの男は気に入らないから、別に良いけど』
あ、はい、申し訳ありません。
吸血鬼の真祖のお姉さん、優しいので助かります。
とりあえず、助けた珠世さんが何やら喚いてますが無視して、恐らく近くにいるであろう愈史郎君に委ねます。燃えてない場所にポイ捨てですね。
言いたい事はあるのでしょうが、正直生き残ってから幾らでも聞きます。砂時計の砂粒は、砂金より貴重なのです。
それより急いで襖に入らねば!十数匹の鎹鴉と共に、襖に飛び込むとバタンと襖は閉じました。
おお〜アニメの映像で見るのと実物は、矢張り違うものですね~。
無数の和風建築物が、上下左右関係無くくっつき複雑に絡まっている様な場所です。こんな物を作った無惨…と言うか鳴女は、どんな頭の構造しているんだか。
場内を高速で飛行し、再び目の前で開いた襖に飛び込むと、そこには数多の遺体と共に、上弦の鬼がいました。
「やあ、よく来たね禰豆子ちゃん。待っていたよ」
無惨本人は出てこないでしょうから上弦、その残りの内、無傷な弐が出てきたと。
他に選択肢がないですから、予想が当たっても嬉しくないですが。
しかし、無惨サイドも人手…鬼手不足が歪めません。味方を潰し過ぎです。
「黒鍵」
私は童磨の話をほとんど聞かず、持っていた残りの黒鍵を、次々と童磨に投げ込みます。
これと話をするなんて、無駄な作業です。その魂、煉獄に送ります!
「うわ!いきなり酷いなぁ…突き技じゃ鬼は殺せない…って、あれ?どうして取れない?さ、再生もしない!?」
「貴方達鬼は、余程回復能力に自信があるのか、躱そうとしないから楽ですね。概念武装だから簡単に解除できませんよ。無惨から教えて貰って…って、そんな事は無惨はしないですよね~。ところで一本どうです?しのぶさん」
私は直ぐ後まで来ていた、蟲柱の胡蝶しのぶさんに声をかけました。
「あらら…バレて仕舞いましたか?」
「すみません、上弦を前に気が張っていましたので回りの気配に、敏感になってました。それより、使って下さいよ、使い方は教えますので」
「…いえ、私にはこの日輪刀があれば充分に…?禰豆子…さん?」
しのぶさんが目を見開いていました。私の衣装は、いつの間にか隊服から巫女装束に変わっていたのですから。
「ラキ…ラキキラキ…!復讐をする姿勢は共感が持てるがのう、手段を気にしてはなりませぬよ、小娘。その刀と身体の武器は、やるべき事を全てやってから使うと良いぞ!」
と、私は黒鍵を渡しながら簡単に使い方をレクチャーします。魔力の込め方が、呼吸を使って刀身の色変わりを試みる事と同じ様な感覚で、助かりました。
「小娘って…。貴女、禰豆子さん、ですよね?」
前に必殺技で変化する事は話した事がありますので、簡単に説明します。
「うむ、必殺技での変身じゃ。修行したからのう、口調や衣装は変わるが意思は本人のままじゃ。それよりも、ほれ。漸く、串刺しから脱出できるようじゃ」
そう指刺した先に、身体中に刺さっていた黒鍵を引き抜こうしている童磨がいました。後、二本かな?
「…一つだけ、教えて下さい。概念武装って、何ですか?」
「概念とは、その物の特質の様なものじゃ。あの鬼なら、不死性、即時回復、氷の術、鉄の様に硬い身体、そういった概念を持っておる。黒鍵は、その概念を無理矢理変える力がある。例えば…女子の力でも切れる柔らかい首にする、とかかのう…。御主の込めた、魔力次第じゃがの」
敵の概念を否定するのは、大変なのです。
「…!!分かりました。ただ!この復讐は私の物です!」
「よいぞ。妾は後方から復讐を援護してやろう。その程度、問題あるまいて」
「禰豆子さんは…復讐を否定しないのですね?」
「…復讐を否定…??…それは、鬼殺隊の大半を否定しろと言う事かえ?」
「…ふふっ、そう言えば、そうですね。それでは、蟲柱胡蝶しのぶ、参ります!!」
しのぶさんと童磨の、因縁の対決が始まりました…!!
禰豆子は気付いていませんが、変身したのは元は人間ですけど、色々あって千年生きる人外さんです。
果たして…無事に済むのか…?