父ちゃんが死んだ。
私が12歳になった秋口だった。
病弱なのは原作でも分かっていたから、必死に小銭貯めて町のお医者さんに診て貰ったけど、どうする事も出来なかった。
耳飾りは炭治郎が受け継いだけど、ヒノカミ神楽は私もしっかりと受け継いだ。
父ちゃんは最後まで、炭治郎や私、竹雄、花子、茂、六太、皆の事を心配していた。
大丈夫、私が必ず守るから。
それに縁壱さんとの約束は、私が無理でも炭治郎が果たしてくれるよ。
ゆっくり休んでね、父ちゃん。
いよいよ原作が始まる。
日の呼吸は、ほぼ常中まで高めた。
寝ている時は分からないけど、起きている時は必ず呼吸をしている。
炭治郎もしっかり受け継いでいると思う。
自分の状態から、原作炭治郎の無限列車編辺りの実力か…?いや、あの時はまだ常中までいってなかったかな?
透き通る世界は未経験だし、痣も出てない。
あるのはヒノカミ神楽と格闘ゲームの技だけ。
せめて日輪刀があればなぁ…。
ううん、短刀かレイピアタイプの特殊な日輪刀でない限り、私には扱えなかっただろう。
普通に振ったら、切り筋が乱れて圧し折られるだけだ。きちんと剣術を学んだわけではない…。
まあ、ここまでくれば後はやるしかない。
無惨の野郎に一泡吹かせてやろう!
やがて年末が近付き、雪が舞い降りてきた。
炭焼き小屋を見ると、炭治郎が炭を丁寧に包んでいた。
「お兄ちゃん、今日も街に行くの?もうすぐ雪が積もりそうだけど…」
「ああ、正月に少しでも貯めておきたいからな」
炭治郎兄ちゃん、父ちゃんが亡くなって長男というより一家の大黒柱として、大きくなろうとしている。
うん、スムーズに街に行ける様に、騒がしく着いて行きたがる六太を寝かせておこうかな?
そう思い六太をおんぶしようとして気付いた。
あ、これ原作開始のシーンじゃないか?
そうか、今晩か。無惨が来るのは。
今日まで、できる事はやった積もりだ。
身体を鍛え、呼吸を調え、技を研いた。
無惨の実力は原作で確認済、間違っても勝てる相手ではない。
兎に角、先ずは家族が逃げる時間を稼ぐ。ついで生き延びる。朝まで待つ必要はない、逃げ回る道もある。
「ねえちゃ、どうしたの?」
ふと下を見ると、六太が心配そうな顔で見上げてた。
いかん、顔が怖くなってたみたいだ。
「ううん、何でもないよ、六太」
そう言って、六太をおんぶ紐を使っておんぶする。
子守歌を歌いながら寝かしつけていると、外が騒がしくなった。
炭治郎が街に行くって気付いて、花子達が騒いでいる様だ。流石に竹雄は成長したのか、騒いでないけど。
「禰豆子、それじゃ行ってくるよ」
「待って!お兄ちゃん」
これが今生の別れにならない様、気合いを入れないとね。
先ずは、母ちゃんを説得しないとなぁ…。