格闘ゲームの必殺技で鬼退治【完結済】   作:アールエー

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ここで素直に1人にしてくれるのか、ご都合主義ですが…。
こうでもしないと、家族が助けられないです。


その七 気合いを入れて

「母ちゃん、お話があります!」

 

炭治郎を待たせて、母ちゃんに話し掛ける。

 

「今から皆で街に行くべきだと思うの!」

 

「…え?何を、言ってるの?禰豆子」

 

流石に私からの突然の申し出に、戸惑う母ちゃん。根回しするべきだったかも知れないけど、急な変更にしないと何処で鬼が聞いているか分からないし。

いきなり、無惨が此処に来たって考えもあるかと思うけど、念の為前もって偵察がある可能性は捨てきれなかった。

…頭無惨に、そこまでの考えがあるとは思えんが。

 

「お金なら、ここに貯めておきました!私以外の皆なら、旅籠屋に一泊するくらいあります!」

 

私は懐からお金を取り出す。

山で猪やら熊やら狩り取って、バラしてから肉や毛皮を売ったのだ。

日の呼吸常中と格ゲー必殺技があれば、容易い仕事です。

 

「お…おい、禰豆子、何を言ってるんだ!?」

 

「本当!お姉ちゃん!」

 

炭治郎は驚き、花子は喜んでいた。

炭治郎はまあ、臭いで私が本気で真剣に言ってる事は分かるだろうしね。

他の兄弟もびっくりしてこっちを見てる。

 

ちなみに、私の言葉使いが女の子っぽいのは、母ちゃんの強力な淑女教育の賜物である。

 

「…禰豆子、理由を話して貰える?どうして今頃、そんな話をしたの?それに今の話だと、あなただけ残るみたいだけど…」

 

「うん、私だけ残るよ。この家を守るため!」

 

落ち着いた母ちゃんが、理由を聞いてくるけど。実際、言えないよね。無惨が来襲するなんて。なんの根拠もない。

 

「理由は言えない。だけど今日の、日の明るい今しか言えなかったの。お願い母ちゃん!私を信じて、皆を連れて街に行って下さい!」

 

ザッとその場で土下座する。

おんぶした六太が背中でウニャウニャ言ってるけど、ここが正念場、何としても皆を救いたい!

 

「おい、禰豆子!母ちゃん困っているだろう!そんな我儘は許しません!」

 

「…待って、炭治郎…」

 

母ちゃんはいきり立つ炭治郎を抑え、私の頭を上げさせた。

 

「…禰豆子、何か危険な事があるの?それなら、母さんも残るわ」

 

「ううん!私一人なら何とかする自信あるけど、母ちゃんや炭治郎、花子達がいると危ないの…」

 

「それなら、禰豆子も一緒に…」

 

「駄目なの。誰かが此処に居ないと、花子達が危ないの」

 

じっと母ちゃんと目を合わせる。花子達はハラハラこっちを見守っているし、炭治郎は戸惑いながら母ちゃんを見ていた。

ふうっとため息を一つ付くと、母ちゃんは私の頬を両手で包んだ。

 

「母さん、禰豆子が武道の訓練をしているのは知ってます。父さんからも生前、禰豆子が熊を撃退したって聞いているわ…。

きっと、そういう禰豆子が危ないと言うのなら、本当に危ないのでしょうね」

 

「母ちゃん…」

 

「分かりました。今日は皆で街に行きます」

 

「母ちゃん…ありがとう」

 

「ただし!」

 

母ちゃんは私の頬をぷにっと押して、タコ唇にする。

 

「必ず無事でいなさい。逃げても構いません。この家も、壊れても良いのです。禰豆子、あなたが居なくなる方が、母さん何倍も辛いのよ」

 

母ちゃんは、こんな荒唐無稽な話を信じてくれた。炭治郎も、母ちゃんが言うならと信じてくれた。

 

そして、私を除く家族は街へと降りて行った。

向こうが狙われる可能性も考えたが、耳飾りをした炭治郎が街で難を逃れていると思えば、恐らく大丈夫だ。

 

私はさっきまで母ちゃんが包んでくれた両頬を、バチンと叩いた。

 

「いよっし!後顧に憂いなしよ!気合い充分だわ!」

 

ここを超えても困難はあるが、先ずはこの難局を乗り切るぞ!

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