一人で夕餉を頂き、火を消して布団を被る。
懐には無理言って買って貰った短刀。残念ながら日輪刀どころか数打ちの安物だけど。
何時に来るか不明なので、座禅を組んで気を整える。
夏に来るのなら、日焼けして殺意の波動に目覚めるんだが、今の肌は生っ白いのよね。
いや目覚めるか分からないけど。
日が落ち、辺りは暗闇に包まれる。
雪が降ってる為か、風がないせいか、酷く静かな夜だ。
本当なら無惨が襲来してから家族を逃がす計画だったが、先に全員避難して貰った方が良いよねっと説得した。上手くいって良かった。
後は鬼舞辻無惨に会い、目的を聞き、逃げて鬼殺隊に保護を求めると。
鬼舞辻無惨に狙われているとなれば、鬼殺隊も手厚く保護してくれるだろうし。ひとまず家族の安全を担保するのが、今作戦の最終目標だ。
…母ちゃん、変に頑固だから、素直に保護されるかな。そういう意味では直接無惨を見て貰った方が良かったかも…。
いいや!やっぱり生命の安全には変えられない。これで良かったんだと思おう。
そうこうしている内に、時刻は真夜中に差し掛かった。
シンと静まる外に、微かにベベンっと音が響いた。
「…来ましたね…」
私は立ち上がり、静かに時を待つ。
やがて扉から叩く音が聞こえた。
「夜分申し訳ありません。旅の者ですが、道に迷いまして。軒下を貸して貰えませんか?」
うわ、アニメで聞いた無惨の声だ!
頭を垂れて蹲え、平伏せよ!とか言ってたやつだ。
無惨もこんな芝居をするんだ…。
「それはお困りでしょう。少しお待ち下さい」
そう言って扉を閉めている木の棒を外す。
もちろん、直接ではなく竹竿を使って遠くからだ。
外してカタンと音が鳴った途端、扉を破って触手が飛び出した!うわ、タコ辻無惨だ!
私は雨戸を蹴破り、外に飛び出す。扉といい、弁償しろよ無惨!
「ずいぶん、乱暴なお客様ですね…。どちら様で?」
扉の前に居たのは、洋装にハットを被った、鬼舞辻無惨だった。アニメから飛び出したみたいな姿形だ。
くそっ無駄に美形だな!
「ほう…ここには何匹か実験動物がいたと思っていたが…生きの良いやつがいたか」
「…はあ?実験動物??」
無惨はゆっくりこちらに近付いてくる。
「お前らの中に、日の耳飾りをしたやつがいるのだろう?恐らくあやつの子孫に血をふんだんに与えたら、太陽を克服できる鬼ができると期待して来たのだが…」
無惨はまた一歩近付きながら、チラリと家の中を見る。
「どうやら、実験動物は一匹だけのようだ…」
最早、無惨は目の前だ。
「この鬼舞辻無惨の糧になるが良い。簡単に死んでくれるなよ?」
そう言って腕を振り上げ、こちらを刺そうとしてくる。完全に勝ち誇って。
しかし、こっちは何も言ってないのに、ベラベラ目的や名前を喋ってくれたな〜。
油断し過ぎなんだよ、無惨様?そこは既に、私の射程距離内だ!
「超、山嵐!」
瞬時に無惨と密着し、一本背負いしながら空中に高く、回転しながら舞い上がる!そして回転の速度で炎を出しながら、無惨を地面に叩きつけた!!
「ぐはぁあ!」
家を壊すわ実験動物扱いするわ、迷惑千万な無惨様!ゴングはとっくに鳴っているんだぜ!
「超山嵐」
ファイターズヒストリーに登場する嘉納亮子の必殺技。動作は作中の通り。吸い込み範囲が広過ぎる。