元教皇BBAの体当たり式たいむだいばぁず 〜どんと来い終焉の銀河〜 作:久保サカナ
続きました
気がつくと私は階段を駆け上がっていた。
私が駆け上がるのは神話時代より存在するこの地上の愛と正義を護る最後の砦にして智慧と戦いの女神アテナを祀る神域、聖域の黄道十二宮である。
白羊宮、金牛宮、双児宮、巨蟹宮、獅子宮、処女宮、天秤宮、天蠍宮、人馬宮、磨羯宮、宝瓶宮、双魚宮…と駆け抜けて行き、最後の教皇の間の扉を開けるとそこにはありし日の光景が広がっていた。
左右に別れて並ぶ我が魂の同胞…黄金聖闘士達、誰よりも厳しかったが誰よりも優しく誇り高かった教皇様、そして極め付けは………
「よくやってくれましたね、◾️◾️◾️。貴女の働きによって地上は救われました」
美しいすみれ色の神と瞳を持ち片手には勝利の女神ニケの神杖を携える我が女神アテナ、彼女は私が側に来るのを待っているようだ、教皇の間には拍手が響き渡った。
「おめでとう」
「おめでとう」
「おめでとう」
「おめでとう」
「おめでとう」
「おめでとう」
「おめでとう」
「おめでとう」
「おめでとう」
「おめでとう」
「おめでとう」
「おめでとう」
「おめでとう」
私は導かれるままに女神の元に赴き頭を垂れ
「ありがとう、とんだくだらん三文芝居だ、消え失せろ」
ずに指を立てた、同時に周囲の悪霊と負念を掌握し魂葬破で爆破した。
すると悪霊と負念達の断末魔の悲鳴と共に周囲の光景が一変する………一気に無限奈落(タルタロス)を思わせる漆黒の闇に覆われた、アテナや同胞達に見えていた者は闇の中に溶けた。
もっとも、私の「第九感」は最初からよく似せた悪霊と負念だとしか伝えて来なかったがな!
「手間暇をかけてくれたところすまないが良い加減顔を見せてもらおうか!我が忠誠と友情を穢してくれた礼をたっぷりとしたいのでな!!」
そう私が声を張り上げると目の前に法衣を纏い威厳のある豊かな髭をたくわえた老人が現れた、その瞬間、水瓶座の黄金聖闘士の奥義オーロラエクスキューションですら暖かく感じるほどの寒気が背筋を走り抜け指一本動かせなくなる………
私の「第九感」は目の前に存在する者がたとえ冥王ハーデスを100体、いや1000体連れて来たところでとても叶わぬ程の全宇宙的な悪霊と負念の支配者だという事を理解してしまったのだ、
あまりにも遠大
あまりにも強大
我々の必死に護って来た地球すら目の前の存在から見たら芥子粒程でしかないだろう。
敢えて本性を現すならば漆黒の見上げるほどの巨人で、頭部に2本の角、3つの目を持ち、腕が6本生えている、という負念の支配者にふさわしい異形の姿に見える。
自分よりも強大な存在と戦い「第九感」に目覚めた私だから理解出来たのだろう、並の者では相対するだけで魂をすり減らしてしまう。
『我は、まつろわぬ霊の王にして、あまねく世界の楔を解き放つ者なり
我が名は霊帝ケイサル・エフェス…心を尽くし、力を尽くし、魂を尽くして我を受け入れよ』
老人…本人の名乗った通りならば霊帝ケイサル・エフェスはそう述べた、ようやく声を出せるようになった私は「霊帝とは随分とご大層なものだな、死んだ私をこうして呼び出した用件はなんだ?」と震えをおくびにも出さずに尋ねるのだった。
『たかだか一惑星すら護れぬ矮小なる神に仕える者でありながら我と相対出来るとは………やはりその力は素晴らしい、我の剣になるにふさわしい存在である』
「アテナを愚弄するな…!私が仕えるのは金輪際あのお方だけだ………!」
その瞬間、こちらに手を伸ばして来た霊帝ケイサル・エフェスの重圧が増した、肉体無き魂が無理矢理干渉されるのが解る…!
このままではやられる!と思った瞬間、闇を裂いて一条の光が差した、私の目の前には光と共に神杖ニケが浮かんでいる。
『愚かな…この程度で我が防げるとでも?』
「いいや違うぞ霊帝!」
その瞬間、唐突に聞いた覚えの無い声がしたかと思うと神杖ニケは砕け散り空間に裂け目が生まれてそこから声がして腕が伸ばされた。
「霊帝に利用されたくなくば俺の手を取るんだ!!」
『これは…因果律の番人か、あの小娘と組むとは小癪な!』
私は躊躇い無く伸ばされた手を取った、すると私の魂がぐんと闇の中から引きずり出されるのが解る。
そして気がついたら周囲は一面の星空に変わっていた、霊帝の圧は消えて代わりに清澄な小宇宙に満たされている。
「危なかったな、俺だけではお前を助けられなかったぞ」
私の目の前に立つのは濃紺のウェーブのかかった髪と瞳を持つ鋭利な美貌を持つ青年であった、身体にフィットする見た事のない服?に身を包んでいる。
彼が私を助けてくれたんだろう、礼を言おうと口を開く前に青年が口を開いた。
「おめでとう、君は並行世界を守る戦士に選ばれた!!」
そうして私の手を取るとその瞬間!私の脳内…いやもう肉体が無いから魂に直接とでも言おうか、私の死後地球と人類が歩んだ数千年の歴史が一気に流れ込んで来たのだ。
蟹座の黄金聖闘士が普段から数兆にも及ぶ魂のパズルを解き慣れていなければ発狂していただろう情報量だ、人類は地上で最も栄えた種族になり自ら生み出したあらゆるモノを発展させてやがて神々の領域である宇宙にもその手は及んで行ったらしい。
しかし、それは同時に人類の悪癖…すなわち戦争の歴史でもある。
人類は己が叡智を「殺す」ために進化させて行きあらゆる「兵器」が生み出された、戦争の犠牲者は爆発的に増加し最近では宇宙に浮かぶ住居をまとめて地上に落として大量殺戮を行うという「頭ネメシスかよ」みたいな戦法が人間の手で行われる戦争が起きたそうだ、ババアついてけない(弱音)
その中でも目の前の男がピックアップして来たのは「人型機動兵器」である、どうやら今の世界ではこの兵器に搭乗して戦争を行うようだ…操縦方法も流れ込んで来た。
そして、それらを正しく運用して地球を守る戦士達が存在するという事も………彼らロンド・ベル隊…あるいはαナンバーズがこの世界における聖闘士的な役割を果たしているようだ。
「SRXチーム隊長イングラム・プリスケンとは仮の姿!!俺の正体は因果律の番人タイムダイバーのイングラム・プリスケン!!」
クルクルシュピィン…!!と効果音がつきそうなポージングと名乗りを挙げた目の前の男…イングラムは「ついてきてるかね?」と一旦置いた。
私はその問いに首を横に振った、何が何やらわからないぞ!!
「俺が今追っている全宇宙を滅ぼさんとする霊帝ケイサル・エフェス、奴の力は全盛期の俺すら返り討ちにするほどだ…」
「しかし、お前は奴の力である悪霊と負念を自由自在に操り己が力に出来る!霊帝ケイサル・エフェスにとっては天敵たり得るのだ!!」
「霊帝もお前に目をつけて己がモノにしようとしたが俺はお前の仕える女神アテナと組んで奴の手からお前を救い出した!!」
「お前には肉体を失った俺の後継者…タイムダイバーとしてこの『終焉の銀河』で戦ってもらいたい!!」
私はどうしたものかと思案する、イングラムからはこうして魂同士で向き合っているから嘘をついていないことは理解出来る、それにこれが女神アテナの思召しならばそれを全うするまでだ。
「もちろんOKだな?」
そう言いながらイングラムは何処から取り出したのか子犬に銃を突きつけている、残念だったが私にはそういうのは効かんぞ?
「アテナの思召しならば全力で臨もう、タイムダイバーとやらになってやろうではないか!!」
それを聞いたイングラムは満足だという顔で「契約成立だな」と答えた、だが、一つ気になることがある。
「先程貴様は『肉体を失った』と言っていたが私も魂の状態だぞ、終焉の銀河で戦うにしてもまずは入る器が必要ではないか?」
「フッフッフ…シンパイスルコトハナイ…」
そう言うとイングラムは私の頰に手を添えるとそのまま私の唇に口づけして来たのだ!
咄嗟に拳を入れてやろうとしたが奴の姿をすり抜けて空振りになった…「何をする!!」と声を上げると「少々魂に細工と修復をさせてもらった」としれっと答えられる。
そういえば魂の調子が良くなった気がする、だが素直に礼は言いたくはない…事前に言え!ファーストキスだったんだぞ!!
「幸い、俺たちの入る器はバルマーが用意してくれているのでな。さぁ!覚悟は良いか?◾️◾️◾️、いや…」
「「クォヴレー・ゴードン」」
「これが私の新しい名前だな!ああ、いざ行かん終焉の銀河へ!!」
そうして私達の魂は終焉の銀河のとある人形(バルシェム)の中に入るのであった。
イングラム先生っぽさをあまり出せなかったなぁ…と反省。
「TS巨乳ヒロインは好きかい?」
「ああ、大好きSA!」