カプ厨ユミルに目をつけられた   作:三軒過歩

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この話、ドラクエ2の要素がかなり出てくるんですけど、クロスではない、と思ってます。ドラクエ2全く知らなくてドラクエ2の説明なしに、この話の理解にその要素が障害とならないので


(1-2)恵まれた仲間

「おいローレ、面貸せよ。」

「は?」

 

休息日、訓練兵にとっては一週間に一度訪れる、唯一の安息の日。そんな日に食堂で人の集まる中、オルオはローレに声をかけた。同期の中で孤立していた彼に声をかけるものなどこれまでいなかった。そもそもオルオも同期の中で一目置かれているが、はみ出し者を気遣うような性分ではない。何が始まるのかと注目が集まる。

 

「何の用かな。俺に関わっても甘い汁は吸えないけど。それどころか……」

「ははっ、確かに貴族の特権なんてここじゃ何の意味もない。用事があるのはお前のその腕だ。」

 

被せるように言葉を続けていく。出身地区のためにローレが嫌がらせを同期から受けているがそんなことも気にせずローレに彼が話しかけているのはそれだけここで確かな実力を示せているからだ。

 

「お前は立体起動の成績が良い、……俺ほどじゃないが。立体起動だけを見るなら上位十名に入るだろう。……俺は一番だろうが。」

「何が言いたいんだ、ってか喧嘩売ってる?そんな余力はないんだけど。厩舎の掃除をしなければならない。」

「当番を押し付けられてかわいそうにな。お前の世渡り能力は下位十名に入るだろうぜ。俺は上位十名には入るだろうが。」

「分かっているなら放っておいてくれないか」

 

いい加減付き合ってられないと踵を返す彼の肩をオルオはつかむ。

 

「まあ待て、そのためにわざわざ他の奴、タンベムとリーザに掃除は頼んでおいた。だから俺に付き合え。」

「人のイラつかせる話し方なら間違いなくお前は歴代を含めてもトップだよ。」

「そんなに褒めるな。」

 

振りかぶる先の用意できない拳をローレは握りしめた。

 

 

「それで、結局何の用なんだ。立体機動のコツでも聞きたいのか、君が、俺に?」

 

立体機動の訓練場に向かいながら疑問を投げかける。

 

「んなわけねえだろ。お前より立体機動に優れた俺が何でお前のアドバイスを聞かなきゃならねえ。」

「じゃあなんだよ。わざわざ俺に声をかける意味が全く分からない。」

「統率力、お前はその能力だけは俺より上だ。特にスリーマンセルの時。」

 

苦虫を嚙み潰したような顔でそう言った彼の言葉はその顔から本心だと分かる。

 

「いや部隊訓練の成績でもお前は俺の上だろう。」

「いじめられっ子が部隊訓練の成績で下位にならないなんてありえないだろ。いくらでも成績を下げられる。」

 

部隊訓練は基本的に五人組で組まれる。成績上位者を一名、下位を二名、そして中位から二名だ。ローレの成績は現状中位組だ。嫌がらせをする余裕がない下位二名をローレは的確に使って部隊訓練で成績を残す。戦力として優れてはいない下位二名を中位者と全く遜色ない成果を上げさせる能力。

 

「お前のその能力が俺にあれば、俺はもっと強くなる。なに、タダとは言わねえよ。俺は同期内で一番優・秀、だかッ!!」

 

そういって舌を噛んだオルオにこれまでイラつきの溜飲が下がったところで訓練場についた。

 

 

「まーた舌を噛んだのオルオ?あんたかっこつけると大抵ろくな目に合わないんだから。」

「なんだよペトラ嫉妬か?安心しろ俺はかっこつけてるんじゃなくていつもかっこいいんだ。」

「じゃあ常に舌噛んでるはずよね。おかしいわぁ。」

 

息の合った寸劇を見せたあと思い出したかのようにこちらに言葉を放つ。

 

「おっとごめんなさい。私はペトラ、ってさすがに知ってるよね。こいつとは腐れ縁なの。今日はよろしくローレ。」

「よろしく、ペトラ。今日はよろしくってのは。」

「この部隊訓練メニューを三人でやってあなたの統率力を学び取ろうって、オルオから聞いてない?」

「俺たちは優秀だからな。多少無茶な指示は通してやる。これを…そうだな一時間でこなす。」

 

そういって取り出されたメニューは本来五人でやって一時間かかるものだ。それを三人でやろうという。

 

「それが終われば振り返りに一時間、それをリーダー役を変えて三セット。途中の昼飯くらいおごってやる。タダとは言わねえつったからな。」

「せっかくの休息日をすべて奪って昼飯だけか。まあいいさ。この俺の舌を満足させられる飯屋に連れてってもらうからな。」

「安心しろ、お貴族様は知らない素晴らしい飯をおごってやる。」

 

そういってにやりと笑い、立体機動装置を取り付けた。

 

 

最初にリーダー役をローレが引き受け、立体機動訓練が始まる。訓練内容は指定されたポイントを経由しつつ、その間に指定された巨人を撃破すること。巨人の弱点はうなじにあるが、動かない模型だからといきなりうなじを切り付けてはならない。まずは腱もしくは脊椎、そうでなければどこでもよいので二か所以上を削いでからうなじを切り付けるというルールだ。ゆえに巨人模型の攻撃する順番を調節することにこそ、ローレの腕の見せ所だとどんな指示を出してくるのかと期待していた。

 

「一時の方向足、次いで十時の方向脊椎!」

「ッ!了解!」

 

難しい動きはほとんどさせず、よどみない動きのみを要求されているだけなのに、ものすごいハイペースで訓練がこなされていく。まるで一つの生物のように。巨人模型を5体撃破したところで一度集合した。

 

「多少の無理は通すっつったんだが、まったく要求してないな。それでも三人で五人の時と遜色ないペースなのはさすがだよ」

「いやこっちは無理を要求している最中だろう。一分のミス無い動きを求めてる。これを一時間ずっとさせ続けるのは昨日の二人には出来なかったことだ。」

「はあ?ただすれ違いざまに斬りつけるだけだ。こんなの一日中やってたってミスらねえよ。」

 

あきれたように言うオルオを諫めようとペトラが口を開くがその内容はオルオに寄り添ったものだ。

 

「これを簡単なことのように言えるオルオの頭は簡単だけど、無理だというローレの頭は難しすぎない?」

「どれほど疲れても全くパフォーマンスを落とさないってのは誰もが持つ能力じゃないんだ。ついでに学び取れ。」

 

そういって訓練を再開した。

 

 

訓練終盤残る巨人模型は二体、同方向にまとまっているから同時に処理する必要がある。巨人模型は基本三撃ないし二撃必要だ。態勢を立て直さなければ同時に二体相手するには手数が足りない。それを、このハイペースで疲れが見えている状態で、強行する。

 

「十時の方向うなじ!」

「ッ!了解!」

「十一時の方向脊椎、間に合わせろ!」

「応!」

 

ワイヤーを巻き取り、それと同時にアンカーを巨人模型に突き刺す。ローレの行動よりワンテンポ早く脊椎を斬ってうなじを狙えるように。

 

ザシュッ!

 

模型を斬る鈍い音が響いて巨人模型の全掃討が完了した。

 

「言ったろ、一日中やったってミスらねえってな。」

「…やるね。」

「まだ一セット目で調子乗らない。振り返りしましょ。指揮の意図理解できなかったタイミングがあったのよね。」

 

そういって訓練場に併設されている休舎に戻った。

 

 

訓練地域の地図を見合わせ訓練の振り返りをする。基本はどんな意図があって指示を出したか。立体機動の実力がどれくらい違ったらどんな指示をだすのか。

 

「このタイミング、私は脊椎を狙えたからローレが斬り付ける必要なかったと思うんだけど、どうして斬りつけていったの?」

「軌道がずれるだろう。前を行く俺との距離が空くし、オルオとの距離は縮まる。もちろん、ガスの量を調節すればすぐに定位置に戻れるが、急に巨人が現れた時にフォローしにくくなる。それを避けたかった。」

 

少し過剰な心配ではないかと怪訝な顔をする二人にローレは続ける。

 

「訓練想定は壁外、しかも森の中。先頭をいくものが巨人の発見を見落としたっておかしくない。たとえば俺があの瞬間木の影にいた巨人に掴まれたら、ペトラはどうする?」

 

そう言われ考える。あの瞬間、脊椎をきらずに腰を切るに留め、次の場所にアンカーを刺していた。そこからガスを多めにふかせばアンカーを差し替えずとも直接ローレをつかんだ巨人を狙える。

 

「すぐに救出に向かうわね。その状況なら腕を斬りさきにいくわ。幸いあの状況なら最短でローレの元までいけるもの。」

「そうだ。この訓練で俺は先行する者に、ペトラなら俺に、オルオならペトラにもしもの時最短で辿り着けるようなルートを指示した。そうすれば別に巨人の急襲でなくとも前ゆく二人がミスをした時にカバーが容易いからな。逆にそのルートを逸れざるを得ないなら、絶対にミスしない確信がある状況を整えるか、そうでなければ進軍を遅らす。」

 

巨人との闘いを考慮した時、一番安全なのは最後方の人間だ。巨人は人間を前に隠れて不意を打つなどといった知能を持たない。後ろから追っかけてくる場合もあるだろうが、どたどたと走ればさすがに気づく。

 

「なるほどな。簡単にフォローができるような行軍だったわけだ。それなら誰かがミスしてもフォローはたやすい。フォローするやつの実力が低くても何とかなるだろう。」

 

納得顔でうなずく二人だが、それでもオルオはだがと続ける。

 

「俺たちなら多少難しい状態でも完璧にリカバリーできる。」

「それはそうかもしれないな。この訓練が終わった後にも同じセリフが吐けるなら、お前らの実力を見誤った俺に責任がある。次回は方針を変えて訓練に付き合ってやろう。」

 

 

「一手遅れたな。ここまでもつとは思わなかったけど。」

「半日前と全く変わらない動きに疲れ一つ見せねえお前が異常なんだよ。」

 

得意げにいうローレに肩で息をしながらオルオが悪態をついて肩で小突く、その瞬間。

 

「それはそうだな。まだ普通の同期程度には動けるお前は間違いなく優秀だよ。俺も少し無茶をした。少し小突かれる程度で限界が来てしまうくらいには。」

 

それまで涼しい顔をしていたローレが倒れこむ。

 

「どんな状態でも全力を出せるってのは、裏を返せば限界に到達したとき、糸が切れたかのように倒れるってことだ。今の俺のように。」

「えっと、大丈夫?動けるの?」

「無理、もう動けない。オルオ、おんぶしてくれ。休舎まででいいから。」

「…おまえ、なんでそんな偉そうなんだよ。そのざまで。」

「限界ギリギリまで指導して、その欠点までも実演する献身したんだ。偉そうにするのも当然だろう?」

 

二人は顔を見合わせ、オルオはあきらめたように溜息をついた。

 

「指示の意図を読み取った動きができていたな。陣形を変えても即座に対応していた。特にお前ら二人は俺が何か言うよりずっと良い連携ができてる。」

「腐れ縁だからね。どうしてかこいつとは一緒になることが多いのよ。フォローばっかりしてて嫌になるんだけどね。」

 

休舎についてすぐ、今回の訓練場の地図を机に置いて振り返りが始まった。

 

「だからこそだろうが、お互いに依存した指示が多い。指示の行間を読み取ってくれる相手はなかなかいない。習慣にはするな。」

「まあ、確かにペトラがいつも同じ部隊にいるわけじゃないからな。俺は、相手に合わせた指示くらいは余裕だがな。」

 

そもそも一年後には所属する兵団も分かれる、いやこいつらは間違いなく成績上位十名に入る。憲兵になれば立体機動だってすることはなくなるだろう。皮肉なものだ。巨人から逃げるために巨人を殺す訓練をするのだから。

 

「まあ、うまく指示できるようになってる。俺の総評も難癖みたいなものだ。お前らは既に十分な実力者だよ。」

 

そういってその日は解散した。おごられた昼飯はまずかった。

 

 

「ローレ!助けてくれ!」

 

次の休息日、倉庫で次に使う訓練用の道具を用意していたところで声をかけられる。

 

「ストーレか。先週は助かった。お前とマーチが当番を代わってくれたと聞いたぞ。まさか、オルオから何もお礼をもらってないとか言わないよな?」

「お礼というには、しんどすぎる!というか、もはやお礼参りだ、下手すりゃ死ぬ!」

 

その絶叫染みた声の後ろから、なぜか木刀を肩に担ぎイラつきを隠しもしない声が響く。

 

「てめえらが開拓地に行きたくないって言ったから協力してやってんだろが。半日の掃除の手伝いでここまで親身に教えてやってるんだから、ぼろもうけだろ。」

「すでに足腰がっくがくどころか全身バッキバキなんですけど!大体、リーザと俺とで待遇が違い過ぎる!親身ってのはペトラみたいなやり方のことを言うんだよ」

 

ゆるんだ顔でそんなことを言うタンベム・ストーレにオルオは青筋を立てた。

 

「知らん、時間は有限、そんなに元気に喚けるなら死ぬようなことはねえよ……多分な。」

「多分!?多分って言いやがったこいつ!」

「……甘やかすつもりはないけど、ストーレは既に割と限界だ。元気に喚けてるのが不思議なくらいにはな。」

 

どんな訓練をしていたのかを続けて問うとオルオはめんどくさそうに答える。

 

「こいつは座学は人並みだが、立体機動が下手、対人格闘訓練もダメ、なんでかって言ったらまず体力がないからだ。体力をつけさせるために、立体起動で鬼ごっこをした。俺が木刀でたたくのが捕まった合図。」

「それは…すごいな。」

 

ストーレの体を見ればところどころ打ち付けられた跡があるが、明日からも続く訓練に支障が出ないようにたたいている。実力差があるからで片づけられることではない。オルオは相当ストーレを気遣っている。

 

「意外だな、そこまでする義理はないと思うけど。」

「俺もそう思うが、ペトラはそう思わねえんだよ。投げ出したらあいつがこいつも面倒見ないといけなくなる。」

 

素直じゃないなあと溜息一つ、作業を止めて立ち上がった。

 

「分かった、俺がこいつの面倒を見てやるよ。俺の作業と変われ。」

「はあ?なんで俺がこんな雑用しなきゃなんねえんだよ。」

「立体起動装置のことは知りすぎるということはない。きっと役に立つ。」

 

じゃあ頼むぞとまだ文句を言いたそうなオルオを無視してストーレを連れ出した。

 

 

ストーレを連れて厩舎に向かいながらストーレと話す。

 

「助かったよローレ。あのままだと本当にやばかった。」

「やばかったというが、オルオは相当お前のためを思ってやってたぞ。あとでちゃんとお礼を言っておいたほうがいい。」

「日頃の鬱憤を俺で晴らしてたって側面が多かったと思うけどね。それで、俺たちはこれからどんな訓練をするんだ?」

「掃除だ」

 

厩舎について道具を取り出す。

 

「……お前も俺のことをいいように使おうってつもりなんじゃないだろうな。」

 

まあオルオの訓練よりは楽だけどよぅ~と文句を垂れる

 

「まあいいように使うってのは当たってるかもしれないが、それだけじゃない。オルオの訓練の意味を咀嚼する時間にしてやるから俺に付き合え。」

 

そういって鍬を投げた。

 

「最初にオルオに捕まった時の状況を説明してみろ。」

「アンカーを打ち付けたところに先回りされて、それで叩かれた。」

「使っている立体起動装置に性能差はないのに、先回りされた理由は説明できるか?」

 

ローレは掃除の手を止めずにストーレに問いを投げかける。

 

「そりゃあ、オルオのほうが立体起動装置の扱いが上手いからだろ。」

「それはそうだが、どう上手いかを考えて説明してみろ。」

 

少しばかり思案するように視線を宙にさまよわせる。

 

「アンカーを俺より遠くの標的に当てているから、か?」

「一つはそうだな。まだあるぞ。」

 

手を止めて考え込むストーレを手がお留守だと小突く。

 

「おっと、悪い悪い。……ガスのふかし方に無駄がないってのもあると思う。俺なんかふかし過ぎてそれを調節するのに逆噴射することが多いし。あとは……」

 

再び手が止まるストーレに溜息をつきながら相槌を打った。

 

「動きが読まれていたのかもしれない。最初はとにかくオルオから離れようって直線的な動きをしていたから、ゴールが分かっていればそこまでの俺の動きを気にせずにオルオのできる最短で先回りできる。」

 

こんなところじゃないか?と言ってくるストーレにうなずく。

 

「あと一個、アンカーを刺してから次のアンカーを刺す場所を探しているだろ。オルオはアンカーを刺した瞬間には次のアンカーを刺す場所が決まっていてそのための体の動きができている。オルオは常に二手先を予測して動いている。」

 

まあオルオの場合はそれに加えて勢いが乗り過ぎないようにストーレをたたくために工夫してストーレに近づいているのだろうから、二手先を予想する以上のことをやっているのだが。

 

「よし、じゃあ今出た四つの弱点をどうやってオルオと同じ水準に近づける?」

「一個目はアンカーの射出訓練をやればいいだろ。」

 

的かなんか用意して指定された箇所に当てる訓練とかすればガスをたくさん使って遠くの標的を狙わなくても少しのガスで精度を高められるし、通常の訓練の後にでもできる練習だろう。

 

「二個目は多分遠くにアンカーをつけられれば細かい調整がいらなくなるから無駄が減るだろ。一個目の練習をすれば改善されるだろうぜ。三個目は……あれ?細かい動きをしなけりゃならないってことは、ガスの調節を完璧にできるようになってないと、つまり二個目の弱点を克服しないといけないってことにならないか?」

「そうだが、アンカーを巻き取るときにどのタイミングでガスを噴射するのが効果的かっていうのが遠くのワイヤーを巻き取るときのほうが分かりやすい、一個目の訓練が上手くいけば自然とガス調節はうまくなる。そんなに心配はいらない。」

 

それを聞いて安心したような顔で四つ目の克服法を考え始めて顔が曇る。

 

「四個目は、どうすんだ?並列処理を鍛え上げればいいのだろうけど。」

「その訓練は今やっている。」

 

要領を得ない顔のストーレに得意げに話す。

 

「オルオがやっていることは一手先の動きをしながら二手先を考えるってことだ。体で掃除をしながら、オルオの訓練の反省を頭でやる。並列処理だ。」

 

もっともまだまだこれからって感じだけどなと付け加える。ローレが担当していた部分は八割がた終わっていたが、ストーレに任せた部分は八割がた残っている。

 

「日常に潜むいろんなことのほかに常に考え続けろ。それが四つ目の訓練になる。」

 

「……なあ、よく考えてみたんだが、普段から二手先を読む立体機動をしていて、俺の怪我が明日に影響ないようにたたいてたオルオにも相当な負荷がかかってたんじゃねえか?」

「だから後でお礼を言っておけと言っただろう。」

 

自力で気づいたことに顔をほころばせて自分の担当範囲を終わらせた。

 

「ローレ、悪いけど俺の範囲も手伝ってくれ。すぐ終わらせてオルオのとこ行きたい。」

「ストーレはいいやつだな。」

 

掃除を速攻で終わらせて、オルオのところに向かうストーレに言葉が漏れ出す。

 

「さっきから言おうと思ってたがタンベムでいいぞ。今日はありがとう。また明日な!」

 

その日から、タンベムやオルオと一緒にいることが増えて、俺を取り巻く嫌がらせは緩やかになくなっていった。

 

 

「それではこれより成績上位者十名を発表する。」

 

訓練兵団を卒業できたのは入団できた人間の三分の一。そこに、タンベムやリーザがいることが嬉し()()()

 

「一位、オルオ・ボサド、二位、ペトラ・ラル、三位ーー」

 

当然のようにオルオは不敵に微笑み、それを呆れたような、嬉しそうな複雑な顔でペトラが隣に並ぶ。

 

「これにて訓練兵団解散式を終える。」

 

十名を呼び、解散式が終わる。宿舎にいつもより具の多いスープといつもより柔らかいパンが配られて、訓練兵として最後の夕食になった。

 

「お前らには感謝してもしきれない。ほんとに、お前らのおかげで俺は兵士になれた。」

 

タンベムがオルオとペトラ、そしてローレに頭を下げる。それにリーザも深くうなずいて続いた。

 

「今までのお礼よ。ウチとタンベムでパン一つと、肉一個あげる。本当にありがとう。」

「ハン!二年以上も世話してやって、パンと肉たあ、ずいぶん安く見積もられたもんだな。」

「いや、十分だろ。お前がおごってくれた昼飯に比べれば百倍上等。」

「てめえ、いつまで最初のこと根にもってやがんだよ。」

「はいはい、二人とも憎まれ口たたかない。私も、いいえ、私たちもあなたたちと一緒に訓練兵団を卒業できて嬉しいよ。」

 

オルオが憎まれ口をたたき、ローレが突っかかり、ペトラが諫める。そんないつもの形。こんな日常はもう今日で終わる。

 

「これからはお前らの助けなしで頑張んないとだからな。お前らは当然憲兵で、ローレは調査兵団だろ?俺たちは駐屯兵団だ。」

「ふっ、まあ俺たちは今期の主席と次席だからな。ローレも俺ほどではないが十名は固いと思ってたんだが……」

 

不思議そうに頭をひねる。なぜ十名に選ばれなかったか、ではないが。

 

「調査兵団さえ避ければ長生きできんのに、もったいないよな。俺たちと一緒に駐屯兵団にしとこうぜ。三人になっちまうけどさぁ。」

「悪いな。もう決めたことだ。冒険したいんだよ。俺はローレ・サマルブルクだからな。」

 

あと一週間、解散式が早ければ、所属兵団が確定していれば、この五人の運命は大きく変わっていただろう。

 

次の日、ウォールマリアは壊された。




Qなぜスリーマンセルが優れてるの?
A名前がローレ・サマルブルクだから
Qなぜギリギリまでベストパフォーマンスができるの?
A名前がローレ・サマルブルクだから
Qなぜタンベム・ストーレが割と限界だって分かったの?
A名前がローレ・サマルブルクだから
ドラクエ2全く知らなくてドラクエ2の説明なしに、この話の理解にその要素が障害とならない……ほんとか?

タンベム・ストーレ:ムーンペタの町より
リーザ・マーチ:リリザの町より
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