黒龍の転生者、白兎になる   作:馬です

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決断

黒龍(ミラボレアス)から白兎(ベル・クラネル)へと憑依と転生をしていた俺は事態を受け止めきれずにいた。

しかもだ、黒龍(ミラボレアス)の力を手に取るように感じ取れる。

つまり、【神々の恩恵(ファルナ)】を授からずとも力を行使できるという事だ。

だが、そんなことより最大の疑問が俺の頭の中を巡っていた。

「なんで俺はまた憑依と転生を繰り返している、なにか意味があるっていうのか?」

そんなことを考えていると、さっきの爺さんもとい神ゼウスが話しかけてくる。

「どうしたんじゃベル、腹でも痛いのか?」

「おじいちゃんいや、神ゼウスアンタに話がある」

そう声をかけてくるゼウスに俺は誤魔化すことを一切せずにそう言った。

「⁉ ベルいやお主は何者だ?」

ベル()の纏う空気が変わり、自身の真名を言い当てる目の前の存在に眼を鋭く細めながら問いかけてくる。

「何の因果かは解らない上に信じられないだろうが、俺はベル・クラネルという少年の身体に憑依と転生させられた別世界の黒龍だ」

「⁉」

俺の言葉に神ゼウスは絶句するも冷静に問うてくる。

「別世界と言ったか、その世界では儂とヘラの眷族(こども)達は黒竜(おまえ)に勝てたのか?」

「残念だが、俺のいた世界はこの世界を基準とした世界とは違う世界だ。それ故にアンタの問いには否定と返しておく」

「………そうか」

俺の返答を聞き、神ゼウスは肩を落とし気落ちした表情を浮かべる。

「すまないな、神ゼウス。アンタの満足する結果(こたえ)を持ってなくて」

「気にせんでくれ、こればかりは受け入れねばならん」

その会話の後、日暮れが訪れた空を見て俺達は家にへと帰っていく。

 

夕食後、俺と神ゼウスが向かい合う。

「さて、話をもっと聞かせてくれんか。お主がどういう存在だったのかを」

「あぁ、俺もこの世界のベル・クラネルの事を知りたい」

そうして、俺と神ゼウスは夜通し話をした。

元々俺が人間であったこと。

神の部下である天使の仕事のミスで黒龍に転生したこと。

幾万年もの間、狩人(ハンター)と戦い勝利してきたこと。

そして、ついに一人の英雄(ハンター)と戦い死力を尽くしたがその命を散らしたこと。

目覚めると、ベル・クラネルに憑依転生したこと。

全てを話した。

それらの話全てを神ゼウスは静かに聞いていた。

次に、神ゼウスがベル・クラネルについて語ってくれた。

戦いの才能、冒険者としての才能がないこと。

泣き虫なこと。

気弱で臆病なこと。

英雄譚が好きなこと。

長髪金髪エルフが好みなこと。

神ゼウスの洗脳(英才教育)を受けていること。

俺もまた神ゼウスと同じように静かに聞いていた。

そうして、朝を迎えたら神ゼウスがこう言ってきた。

「いくら孫とはいえ“朝チュン”してしまうとは…」

「ぶち殺すぞ、万年発情クソ爺」

思わず本音が出てしまった。

「いや、すまんすまん冗談じゃ」

「あぁ、それなら本当に良かった。またふざけた事抜かす様ならヘラとアルフィアにチクる」

「マジですんませんでしたぁああああああああああああああああああああああああああああっ!!」

それは何とも無駄にきれいな土下座だったとだけ伝えておく。

 

「しかし、儂の事だけでなくヘラやアルフィアのことまで知っとるなんてお主どこでそんな情報を手に入れたんじゃ?」

「黒龍になる前、つまり人間時代(前々世)に知って覚えていた」

神ゼウスの問いに俺はそう答えた。

「なんじゃい、その曖昧な返答は?もっと詳細を言え、ハリーハリー‼」

「こればっかりは言えねぇな」

せっつく神ゼウスに俺は断固として口を紡ぐ。

「チェッ、なんじゃ儂の孫の身体に入っとる癖にけち臭いのう」

「やかましい!!」

神ゼウスの言い草に叫ぶ俺はあることに気づく。

「神ゼウス、ベルの歳はいくつだ?」

「なんじゃ、藪から棒に?」

「いいから早く答えてくれ」

「今年で四歳じゃが…なにかあるのか?」

「あぁ、三年後のオラリオでな」

それを聞けて俺はひとまず安心したが、エレボスがいつの時期にアルフィアとザルドを「次代の踏み台」として勧誘しに行くのかがわかっていない。

それならば・・・。

「神ゼウス」

「なんじゃ、そんな覚悟を決めた顔をしおって?」

「俺に神の恩恵(ファルナ)を寄越せ」

「!?」

俺の言葉に神ゼウスが絶句し目を見開くのだった。

 

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