思春期を殺しきれない少年少女達の翼   作:ブローデン

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第二十話 燃え尽きない流星

 

 

 気が付けば、懐かしい場所に立っていた。

 

 一夏の搬送を確認した事ははっきりと覚えている。だがその後の記憶が途絶えている事から五飛は、これが自分が見ている夢であること、そして此処が何処であるかを察した。

 見紛う筈が無い。一面白い花が咲き広がっており、その中心には慰霊碑らしき物が立っている。その場所は、思い出の地であるあの花畑だった。

 

 護るべき者を満足に護れなかった事が、無意識の内に過去を思い起こさせたのだろうか。

 あの日から、幾度負け続けた事だろう。一度は戦いを拒否しながらも再起し、負け続けながらも戦う事を止めなかった。そして今、再び己より強い者に敗北を喫しようとしていた。

 

「俺は……未だに自分より弱い者しか相手に出来ないのか……叱ってくれ、ナタク……」

 

 その場に座し、目の前に咲いている白い花の揺らぎを見つめていた。

 

 

----------------

 

 

「ここは……?」

 

 同じ頃、一夏もまた不可思議な夢を見ていた。

 遠くから聞こえる波の音、何処ともつかぬ砂浜、漂う潮の香りと心地良い涼風。此処は海なのだろうか、だが身形は何故か学園の制服を着ている。

 

 ふと、歌声が聞こえてきた。

 

 とても澄んだ声、それでいて活力に満ちた歌声。

 気になって歌の聞こえる方へ歩みを進めて行くと、歌声の主は確かにそこに居た。

 

 光を受けて煌めく白い長髪を靡かせ、時折風に撫でられ、ふわりと膨らむ白いワンピースに身を包んだ少女が、波打ち際僅かに爪先を濡らしながら、歌声を響かせて踊っていた。

 何故だか声を掛けようとは思わなかった。その近くには随分前に打ち上げられたのか、樹皮はとうに剥げ落ち色素も真っ白に褪せた、腰を下ろすには丁度良い流木が横たわっている。

 

 

 

 だがそれでも、この場に留まろうとは考えなかった。理由は思い出せないが、心がざわめいている。此処では無い何処かへ行かなければならないと。

 

 透き通った美しい歌声は少し名残惜しかったが、少女に背を向けその場を後にしようとした、その時。

 

「力を欲しますか……?」

「え?」

 

 振り返った一夏の眼の前に、一人の女性が立っていた。白銀の甲冑を身に纏った、中世の騎士さながらの様相だった。

 大きな両手剣を自らの前に立て、両手を預けて立っているその騎士の表情はフェイスガードが下りていて読み取れない。

 

「力を欲しますか……? 何の為に……?」

「……退いてくれ、今は問答をしている暇は無いんだ」

 

 だが一夏はその問いを一蹴した。今はそんな事よりもやらねばならない事がある、その一念が一夏を妙に焦らせていた。

 

「力を欲さないのですか……?」

 

 それでもなお女性は退こうとはせず、再び質問を投げかけてくる。これだけのやり取りながらも埒が明かない事を察した一夏は相手を黙らせ、早急にこの場を立ち去る目的を含めてこの問いに答える事にした。

 

「……確かに世の中ってのはそんなに甘くない、道理の無い暴力も結構ある、腕っぷしで戦わなくちゃいけない時もあるかも知れない。でもな、そういう時に戦う為に必要な物は力じゃあ無いと思うんだ」

「力が無ければ何も出来ないのでは……?」

「俺も最初はそう思ってた、力さえあれば自分の意志を貫いて行けるってな。でも力を持つようになって、力を持つ人と接する様になって、色んな力の有り様を見てきて分かったんだ。力が意志を貫くんじゃない、人の意志が力を生むんだ。ただ力だけを与えられた所で、想いの伴わない力なんて只の暴力でしかないってな」

 

 自分でも妙に思うほどの饒舌であった。どこか漠然と思い描いていた理想を口にした事で、不定形であった思想が形を成したのだろうか。

 

「じゃあ、力は要らないの?」

 

 騎士の風貌をした女性と会話をしていると、背中から声を掛けられた。先程まで波打ち際で踊っていた少女がいつの間にか、一夏の後ろに立っている。

 何時の間に此方へ来たのかという疑問は、不思議と感じなかった。

 

「そりゃあ力があればそれに越した事は無いさ、現に白式には何度も助けられてる。でも力が有るとか無いとかで、今自分が出来る事をしない言い訳にしたくないんだ」

「じゃあ、今は何の為に、何をしようとしているの?」

「友達を、仲間を、守るべき人を守る……いや、一緒に戦う為かな?」

 

 だが急に現れた少女を前にしても、一夏の思考はひどく冷静でいられた。そして言葉を紡いでいると、だんだんと思い出してきた。

 何故これほどまでに戦わなければならないと思っているのか、何故今自分が行かなければならないと感じているのか。

 

「一緒に?」

「俺は今までずっと守られっ放しだったから、恩を返す意味でもいつかは守る側になりたいんだ。でもやっぱりそう簡単には行かなくてさ……。いきなり守る側に立つなんてまだ出来ないけど、一緒に戦う事は出来る様にはなったつもりだ。だから、俺は行かなきゃならない」

「そう……」

 

 騎士の風貌をした女性の方は、一夏の言を聞いて静かに頷いた。

 それを見て、これで納得してくれたと判断し今度こそ立ち去ろうとした一夏を、今度は少女の方が駆け寄って来た。

 

「それじゃあ、私も一緒に行く」

 

 そう告げるなり、一夏の手を引っ張って走り出す少女。

 少女の言動に混乱し引っ張られるまま走りながら、一夏は少女を止めようとする。これから臨むのは戦いの場、とてもではないが年端も行かぬ少女を連れて行く事は出来ない。

 

「ちょっ……遊びに行くんじゃないんだぞ!?」

「大丈夫、私も貴方と同じ。一緒に戦えるから」

「えっ……?」

 

 その瞬間、一夏の世界は光に包まれた。

 

 

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 暫し花に囲まれて瞑目していた五飛であったが、不意に風が吹き始めた。

 その風を感じて見開いた五飛の瞳には、弱気は既に無く新たな決意の炎が宿っていた。

 

「……そうだなナタク、それでも俺は止まる事は出来ない。この世界にはまだまだ馬鹿が多過ぎる」

 

 思い出に浸るのは此処までだ、望外の休息は得ることが出来た。

 過去を蔑ろにする気は更々無い。だが過去を振り返る余り、今目の前で起こっている事から目を逸らしてはいけない。

 

 碑に背を向け、何処へともなく歩みを進める五飛。

 方角など今は気に掛ける必要は無い。重要なのは、今動かなければならないと言う事だ。

 

 先程から吹いている風は、五飛の進む方角からすれば追い風であった。何故だかそれが嬉しかった。

 

 

 

 

 

 現実の世界でも、五飛の目が見開かれた。

 

 傷は痛むが、今はそのような事を言っていられる状況ではない事は理解している。それよりも、隣のベッドで横たわっていたであろう一夏の姿が消えている方が五飛にとっては重大であった。

 ベッドに体温が残っていた事から、姿を消したのは今しがたである事が察せられる。しかも周囲が妙に静か過ぎる、そして同時に秘匿回線の呼び出しが掛かっている事にも気付いた。

 

『おっやっと繋がったか、どうだー調子は?』

「デュオか……お前が銀の福音に当たったのか」

 

 これは五飛にも予想が付いていた。これ程の日本近海では、デスサイズヘルのステルス性能でなければ発見されてしまう恐れがある。

 

『そうなんだけどよ、IS学園の御嬢さん達が来ちまったもんで離脱せざるを得なかったんだが……大丈夫なのかい彼女達』

「……分かった、すぐに向かう」

『すぐにって……一応落とされたんだろ、怪我はいいのか?』

「この程度ならば支障は無い、戦いを女に任せて寝ている事など出来るか」

『はいはいお前さんはそういう奴でしたね……』

 

 周囲が妙に静かなのはその所為であった。大方、自分と一夏が落とされた事で躍起になった代表候補生達が示し合わせて無断出撃を決行したのだろう。

 代表候補生レベルならば、数の利を生かせばなんとか落とせるかも知れない。だが自分が出撃した際の一夏と篠ノ之を執拗に狙った行動といい、どうも嫌な予感がする。

 

「委員会の判断はどうなっている、学園の生徒に負傷者が出た以上継続して当たらせるわけにも行くまい」

『それなんだが……今回の暴走事件、どうも臭いぜ』

「……どういう事だ」

『学園に最初期の対応を要請して以降、委員会の方から連絡が取れなくなってる。通信手段だけをピンポイントで妨害、しかも今の今まで誰も気付かなかった位のとんでもねえハッキング能力だ。そっちの指揮官も妨害に気付いてないんじゃないか?』

 

 このデュオの報告を聞いた時、五飛の中でIS学園に入学して以降得てきた情報に感じた違和感の謎が解けた。

 繋がった糸の先には一人の人物が居たが、今優先すべきは姿の見えないその者を追及する事ではない。

 

 もし一夏が、事態が未だ解決しておらず代表候補生達がこの場に居ないと知った時、彼が取り得るであろう行動は大方予想が付く。

 それを確かめるべく、五飛は痛む身体を引き摺ってある場所へと向かった。

 

 

 

 旅館の廊下を歩いて程なく、真耶に遭遇した。真耶は五飛の姿を見た瞬間、表情から途端に色が失せた。

 当然である。本来ならば五飛の容態は動く事もままならない状態である筈なのだ。

 

「ち、張君!? 何をしているんですか! まだ動けるような傷では……!?」

 

 真耶は口を開けたまま、それ以上言葉を紡ぐ事が叶わなかった。五飛が真耶の口を塞いだわけではない。真耶自身、不可解な事に自然と体が五飛の行く道を遮る事を良しとせず、脚が自然と五飛の進路から退いていた。

 五飛は真耶を一瞥し軽く頭を下げると、そのまま一言も発することなく、ゆっくりとした歩みで外へと向かっていった。

 

 美しい。

 そのような感情を抱く事は場違いであると頭で理解していながらも、真耶は五飛のその傷だらけの後ろ姿を見て、何故かとても美しい物の様に感じた。

 

 生きる事を決意した者の姿は、ただ生きる者を圧倒する。

 

 

 

 やはりそこに一夏の姿が在った。

 銀の福音と代表候補生達が戦っているであろう方角の砂浜、彼は決意の炎をその目に宿して今にも飛び立たんとしている所であった。

 

 五飛の傷は普通であれば戦闘に耐えうる状態では無い。だが五飛の精神力による覚悟と使命感がモルヒネの様に痛みを抑えている。

 むしろ不可解なのは一夏の傷であった。あれほど重傷だったにも関わらず、僅か数時間で既に傷が塞がりかけている。様子だけ見れば健常者とほぼ変わらない程に傷が癒えていた。

 

 加えて、白式もアルトロンも決して軽くない損傷を受けた筈だがものの数時間で戦闘可能なまでに修復していたのだ。

 

「一夏、傷の方は大丈夫なのか」

「五飛……それが俺にも良く分からなくて、変な夢を見て目が覚めたら殆ど治ってたんだ。というか五飛の方こそ大丈夫かよ? 俺と箒を助けるために怪我したんじゃ……」

「気にするな。それにこんな状況で大人しく寝ていられる程、俺は無神経では無い」

「悪い……でも寝てられないってのは俺も同じだ」

 

 それを聞いた一夏も、この状況を理解しているのか五飛を止めようとはせず、再び海の方へ振り向いた。

 両者不可解な部分は多々あったが、今すべきなのはその謎を解く事ではない。むしろそうして動ける様になっている事に感謝すべきである。

 

「うーん、傷は塞がってるけど全身筋肉痛になったみたいだ……良くて七割ってところか、満足に動けるか不安だなあ」

 

 肩を回して身体の調子を確認しながらそうぼやく一夏に、五飛が冗談交じりの苦言を呈した。

 

「今こうして立っている事が不思議な位だ、贅沢は言うな」

「ははっ、違いねぇ……もう一回聞くけど、五飛の方こそ大丈夫なんだな?」

「俺は受けた借りは必ず返す」

「……おっし、じゃあその借りを返しに行くか!」

 

 一夏がそう言うと、五飛と共に不敵な笑みを浮かべつつ全身が光に包まれた。

 

 

 

 

 

 

 同時刻、旅館の一室に設けた作戦室は恐慌に陥っていた。

 先程から代表候補生達との通信の一切が途絶えてしまっている。千冬も冷静を装いながらも焦燥を隠しきれていない。

 

 当然ながら、教師陣も既に代表候補生達が無断出撃した事は確認していた。

 銀の福音を捉えているレーダーが回復したと思ったら、そこには代表候補生達が揃って交戦を開始していたのだからたまったものではない。

 

 流石に今回ばかりは自身の迂闊さを恥じる千冬であった。

 どんなに訓練を受けている代表候補生とはいえ十代の女子、若気の至りを甘くみていた。しかも今までの学園生活の暴れっぷりを鑑みればこのような行動に出る事は不思議ではなかった筈だった。

 

「織斑先生!!」

 

 そこに女生徒三人が作戦室の扉を乱暴に開け放ち入ってきた。入ってきたのは一組の例の三天狗だったが、その三人までもが尋常ではない焦燥ぶりを見せていた。

 本音に至っては今にも泣きだしそうな顔をしている。

 

「生徒は入るな! 作戦中だぞ!」

「わかってます、だけど!」

「織斑君と……張君が……!」

 

 その言葉を聞いた時、普段は他人に感情を悟らせない様努めている千冬目を大きく目を見開き、誰から見ても分かるほど驚愕の表情を浮かべていた。

 

「お、織斑先生! 張君が! それに織斑君の姿も!」

 

 三天狗に少々遅れて作戦室に飛び込み戻ってきた真耶も、同じような言を発している。

 結局あれから五飛を抑える事が出来なかった真耶は、せめて千冬にはと縋る様に伝えようとしたのだが、その道中に開き放しの襖から一夏の姿までもが失せている事を確認、焦燥に焦燥を募らせる形で半泣きのままの現状報告をする羽目になってしまった。

 

 誰もが言葉を失い静寂に包まれた作戦室に、無機質な電子音と布仏本音の泣き声だけが虚しく響いていた。

 

 

----------------

 

 

「ええいチョコマカと……!」

「早まるな鈴! チームワークで!」

 

 鈴は少ないエネルギー残量から搾り取った拡散衝撃砲を連射するも、密度の下がった弾幕に加えて更に機動性を上げた福音には、防御はおろか全て躱されてしまっている。

 

 紅椿が翼状の背部スラスターを展開させると同時に、そこから飛び立った二基の自動攻撃型ビットが甲龍の弾幕を盾に福音へ襲い掛かった。

 セシリアのBT兵器と違い、エネルギー刃を発生させてビット本体が敵へ突進していくと、それに並び篠ノ之も福音へと斬り掛かって行く。

 

 第四世代機ならば性能差はある程度埋められる、それも三方からの攻撃では福音も迎え撃つしかなかったのか、一方のビットを躱しつつもう一方の打ち払い動きを止めた所で、突進してきた篠ノ之と再び鍔迫り合いの様相を呈した。

 

「甘いっ!」

 

 だが篠ノ之は、今度は空裂と雨月が福音に掴まれるのを確認すると即座に柄を手放し、素早く背後に回り福音を羽交い絞めにした。

 

「こう密着していては攻撃も回避もままなるまい! 鈴! やれぇ!」

「銀の福音覚悟ぉ!!」

 

 動きを封じられた福音に、真正面から鈴が連結させた双天牙月を回転させながら斬り掛かる。

 

 だが鈴が福音を間合いに捕える直前、福音は一切の動きを見せなかったにも関わらず組み付いた篠ノ之を大きく弾き飛ばした。

 

「がっ……!? まだ増えるというのかっ……!」

 

 福音の背中からさらにエネルギー状の翼が生え、発生した余波で篠ノ之を振り払ったのだ。

 

「箒!? ええい、ここまで来たら刺し違えてでも!!」

「鈴無茶だ! お前のISは損傷もして……何!? ここまで来て……!」

 

 体勢を立て直し再び福音に向かおうとした篠ノ之の言葉を遮ったのは、エネルギー残量0を示す警告だった。

 

 篠ノ之の危惧した通り、福音は向かってきた鈴の刃を光の翼で難なく打ち払うと、その衝撃で双天牙月は鈴の手から吹き飛んでしまった。

 間髪入れず左手で鈴の首根っこを掴んだ福音は、右腕を肩の高さまで上げて弓を引き絞る様な構えを見せた。

 

「が……はっ……この……ぉ!」

 

 手刀の指先を真っ直ぐ鈴の眉間に定めたその構えから、貫手が繰り出されると咄嗟に判断した鈴はどうにかして捕縛を振り払うべく足掻くが、どれだけ腕を叩いても横腹を足蹴にしても福音は微塵もたじろぐ様子を見せない。

 その間にも福音は殊更ゆっくりと右腕を上げている。

 

「あー……何でこうなっちゃうかなあ……あたし達……多分……良い事してる筈なのに……」

 

 福音の腕が上がり切った瞬間、放たれる貫手。身動きも取れず武装も全て失った今、刺し違える事はおろかまともな抵抗も出来ない。

 篠ノ之の叫びが聞こえるが、あの距離では最早間に合わない。ここまでと悟った鈴は、目を閉じて止めを受け入れるしか無かった。

 

 

 

 だが、その貫手は鈴に届く事は無かった。代わりに届いたのは、鈍い金属音。

 目を開くと、眼前には巨大な龍の頭が、鋏状の牙を以て福音の腕に食らいつき万力の如き力で締め上げていた。

 

「そうだ、俺達は正しいのだ。正しい者が強くなくてどうする」

「!!」

 

 五飛がそう応えた所で、ドラゴンハングに捕らわれ押すも引くも出来なくなっていた福音が荷電粒子砲の狙撃を受けて吹き飛ぶ。

 粒子砲が放たれた方向を見ると、左腕に新たに装備された『雪羅』を突き出している一夏の姿が在った。

 

「お前達がここまでというのならそれも仕方の無い事、後は俺達に任せて貰おう」

「あ……ぅ……後は任せろですって!? 今まで寝てたくせに良く言うわよ!」

 

 ドラゴンハングを戻しつつ隣に参じた五飛の言葉に、鈴は感極まって涙を滲ませるが、すぐさま拭って強がってみせる。

 

「ふっ、その意気だ」

「それだけ元気があれば大丈夫だな、いやあ間に合ってよかったぜ」

「一夏! 張! 無事なのか!? 怪我はどうしたのだ!?」

 

 遅れて五飛の隣に並ぶ一夏と篠ノ之。こちらは涙を拭う素振りも無く既に半泣きである。

 五飛のアルトロンはその武装の一部を除いて殆ど外見に変化は見られないが、一夏の白式の方は装甲も背部ウイングも増え、より厚みも増して全体的に重量感を感じさせている。

 

「ちょっちょっと待てよ!? 先ずは目の前の敵を倒してから、な?」

「あ、ああ、すまない……だが二人とも、本当に良かった……!」

「だから言ったでしょ、あの二人がそう簡単に参るわけないって」

「よーし! それじゃあ改めて……!」

「この戦い、今度こそケリを着ける!」

 

 銀の福音に対するは背部ウイングが一対増え、さらに左腕には新装備を携えた白式第二形態『雪羅』を纏った一夏と、両腕のドラゴンハングが肥大化したアルトロンを纏った五飛。

 

 龍と騎士は、新たな力を得て今一度歪んだ福音に対峙した。

 

 




「ヒーローってのはスーパーパワーがあるとか、コスチュームを着てるって事じゃない。自らの意思でもって世界を良くしようと戦う人々の事を言うんだ」
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