クラス代表決定戦から一夜明けた翌日、オルコットは教室で一夏と五飛に顔を合わせても、今までの尊大な振る舞いは鳴りを潜めていた。
それどころか二人に対して爽やか、かつ淑女らしい振る舞いで朝の挨拶を掛けるほどだった。
今までが今までだっただけに二人とも不可解に思ったが、一夏が新たな決意を示したように、きっとオルコットも何か変わるものがあったのだろう。
二人はそう結論付けた。実際に手合わせをして変化を読み取っていた五飛は特にであるが。
しかし朝のSHR、山田真耶の一言でそれが確信へと変わった。
「では、一年一組の代表は織斑一夏くんに決定です。 あ、一繋がりでいい感じですね」
何がいい感じなのかは分からないが、教室から歓声と拍手が上がる。
「あのー先生、質問です」
「はい、織斑くん」
「俺、昨日の試合に負けたんですが……なんでクラス代表になってるんでしょうか?」
当然の疑問を一夏が口にする。勝ち星だけなら一夏に勝ったセシリア、そのセシリアに勝った五飛、そのどちらかの筈である。
「それはわたくしが辞退したからですわ!」
朝の淑やかな態度とは違い、呼ばれてもいないのに勢いよく立つその姿は確かに昨日までのオルコットだった。
「まあ勝負はあなたの負けでしたが、それは考えてみれば当然の事、何せわたくしが相手だったのですから。それでは、大人げなく怒ったことを反省しまして『一夏さん』にクラス代表を譲ることにしましたの」
照れ隠しも多分に含まれているのだろうが、こういった物言いはあまり変らないのか。一夏と五飛が少しばかり眉をひそめたが、ここで噛みついても仕方がない。
しかし今確かに織斑の事を『一夏さん』と呼んでいた。オルコットの中で何がそこまで変わったのだろうか。
そこには一夏も気が付いたのか、オルコットに変化の理由を尋ねたら、逆に自分の事もセシリアで構わないとまで言っていた。本当になんなのだこの変り様は。
「じゃあ五飛はどうなんだ? その俺に勝ったセシリアに勝ったんだから」
「俺も辞退した。元より俺は団体を率いる立場に向いていない。それに強くなりたいのだったら、矢面に立って経験を積む事も必要だからな」
「『五飛さん』の言うとおりですわ。やはりIS操縦には実戦が何よりの糧、クラス代表ともなれば戦いには事欠きませんもの」
話を振ってきた一夏に、昨日の一夏の言を使って答える五飛。そこにセシリアまで加わってきた所で、五飛は何故か自分まで下の名前で呼ばれている事に気付いた。
うっ、と自分の発言を逆手に取られて言葉に詰まる一夏。確かに昨日の決意は決して偽りではないが、まさかここで引き合いに出されるとは一夏も思っていなかった。
「そ、それでですわね。わたくしのように優秀かつエレガントな人間がIS操縦を、五飛さんのような武術の達人が戦闘を教えて差し上げれば、それはもうみるみるうちに成長を遂げて……」
「生憎だが、一夏の教官は足りている。張はもとより、私も直接頼まれているからな」
クラス代表を譲るのは分かったが、何故かそこでセシリアまで一夏に師事しようとまで言い出した所で、やはり篠ノ之が牽制を入れて来た。
「あら、あなたはISランクCの篠ノ之さん。Aのわたくしに何かご用かしら?」
「ら、ランクは関係ない! 頼まれたのは私だ! い、一夏がどうしてもと懇願してきたからな!」
今彼女達が口にしているISランクというのは、ISを操縦するための肉体的素質の段階を指す。値が高い程ISを上手く扱える可能性が出てくるというものなのだが、五飛はこのランク付けを全く信用していなかった。
訓練や経験次第で簡単に値が変動する上、五飛自身ランクがそこまで高いわけではない。だが自分はこうして戦えている、それだけでランク付けなどは単なる目安でしかない事は明らかだった。
火花を散らさんばかりに睨み合っていた篠ノ之とオルコットだったが、とうとう二人同時に千冬からの制裁を受けることになった。
「お前たちのランクなどゴミだ。私からしたらどれも平等にひよっこだ。まだ殻も被れていない段階で優劣を付けようとするな。くだらん揉め事は十代の特権だが、あいにく今は私の管轄時間だ。自重しろ」
流石に人類最強のIS使いと目される織斑千冬にこう言われてしまっては、ぐうの音も出ない。
SHRを終わらせ授業を始めるために、千冬は有無を言わさぬ目つきで一夏を睨んだ。
「クラス代表は織斑一夏に決定した。異存はないな?」
----------------
今日は実際にISを使う初めての授業となる。グラウンドには一組の面々がISスーツに着替えて整列している。
「では、これよりISの基本的な飛行操縦を実践してもらう。織斑、張、オルコット、試しに飛んでみろ」
「わかりましたわ!」
いの一番に返事をしたセシリアは、素早くブルーティアーズを展開させる。次いで五飛も無言のまま素早くアルトロンを展開させている。
だが一夏は展開イメージが上手くいかないのか、千冬に催促されていた。ISを待機状態から展開させるのは今回が初めてなのだろう、無理もない。
白式を呼びかける掛け声とともにやっと白式を展開させる事が出来た一夏。何やら気合を入れる為なのか、意味のない変なポージングをしたりもしていたが、それは慣れてくれば追々無くなるだろう。
「よし、飛べ」
これまた返事と共に素早く上昇を始めるセシリア。それとほぼ同時に離陸する五飛。
そしてやはり一夏はここでも遅れていた。地面から離れたもののあっちへふらり、こっちへふらりを繰り返し、やっと上昇を始めた。それも五飛やオルコットのような機動ではなく、どこか風船が浮いていくようにふわふわと上昇していく。
平行して飛行する五飛とオルコットに遅れて付いていくように一夏が飛んでくる。
『遅い、スペック上の出力は他の二機より白式の方が上だぞ』
「そう言われても……自分の前方に角錐をイメージだっけ、よくわかんねぇ……」
千冬から飛んできた檄に一人ごちる一夏。だが実際一夏に今すぐ、それも白式ほどの高い基本スペックを持った機体を自由に扱うようになれというのも難しい話だ。
「イメージは所詮イメージだ、感覚に慣れるしかない」
「そうですわ、自分がやりやすい方法を模索する方が建設的でしてよ」
「空を飛ぶ感覚自体がまだあやふやだからなぁ、そもそも何で浮いてるんだこれ?」
遅れる一夏に合わせるように編隊を組んでアドバイスを送る五飛とセシリア。どうやら朝言っていた事は本気らしい。
「その……やはりここはわたくしが放課後に指導して差し上げますわよ? その時はぜひ……」
『一夏っ!いつまでそんなところにいる!早く降りてこい!』
一夏と五飛は同時にセシリアの方を向いた。純粋な疑問と、何かを発見したような顔をそれぞれ別に浮かべて。
ああ、これは。今までの一夏に対する態度とこの誘い、そこから導き出される結論が五飛の中のセシリアに対する疑念を払拭させた。
それと同時に割り込んできたのは、地上の篠ノ之だった。見れば副担任の山田真耶からインカムを奪い取ってがなり立てている。山田はその隣で涙目でおろおろしている。
まさか一夏とオルコットが話しているのを見ただけであそこまでするのか。女の執念とは恐ろしいものであるとどこかずれた事を五飛が考えていると、そのインカムから盛大に破裂音が響いて来た。
当然の事ながら、篠ノ之が千冬から出席簿による制裁を喰らった音だった。
≪3人とも、急降下と完全停止をやってみせろ≫
授業を再開した地上の千冬から指示が入る。
一旦話を切り上げ、すぐ急降下に移るオルコットと五飛。共に完全停止も難なくこなし終えた。
それを見た一夏は自分も続かんとばかりに急降下を始めるが、結局減速すらままならず、急降下速度を維持したまま盛大に地面に激突、グラウンドにちょっとしたクレーターが出来た。
幸い一夏に怪我をした様子はなく、グラウンドに大穴を開けた事を千冬に叱られ、情けなく頭を下げる姿があった。
するとそこに、いつの間にかISを解除していたオルコットが駆け寄っていく。
「大丈夫ですか一夏さん!? お怪我はなくって?」
「あ、ああ、大丈夫だけど……」
どこか既視感のある、昨日までの態度とは百八十度違う接し方である。
篠ノ之といいセシリアといい、ここまであからさまで分かりやすいもので良いのだろうか。それとも最近の女子はこれぐらいのアピールが普通なのだろうか。
そこで第三者であると思っていた五飛にまで声が掛かった。
「それは何よりですわ、ああでも一応保健室で診て貰った方が良いですわね。よければ五飛さんにもお手伝いを……」
「無用だ! ISを装備していて怪我などするわけがないだろう」
こちらまで巻き込むなと声を張り上げたい五飛だったが、そこに篠ノ之が一夏とオルコットの間に割って入った。実際、篠ノ之の言うようにISを装着しているからとて全く怪我をしないというわけではないのだが。
「あら篠ノ之さん、他人を気遣うのは当然の事でしてよ」
「お前が言うか、この猫かぶりめ」
「鬼の皮をかぶっているよりはマシですわ」
二人ともあからさまに敵意を孕んだ物言いの応酬が続き、遂には一夏の事はなど放っておいて朝の様に睨み合いを始めてしまった。
そんな二人を尻目に一夏に手を貸す五飛。
「大丈夫か、一夏」
「ああ、サンキュー五飛……でもなんであの二人あんなに仲が悪いんだ? 何かあったのか?」
「……」
五飛は言葉を失った。
----------------
「では次に武装展開の実演に移る。オルコット、やってみろ」
セシリアは腕を肩の高さまで上げて真横に突き出す。
次の瞬間、光を放ったと思えばその手には全長2メートルを越えるレーザーライフル、スターライトmkⅢが握られていた。
「流石は代表候補生だな。だがそのポーズはやめろ、横に向かって銃を展開させて誰を撃つ気だ。出来るだけ自然に、正面に展開出来るようにしろ」
「ですがこれはわたくしのイメージを纏める為に……」
「直せ、いいな」
「……はい」
成程、抜き撃ちだけ妙に早かったのはあの為かと内心納得する一夏と五飛。
だが千冬に癖を直すよう指摘されて不満げなセシリアには悪いが、流石に戦闘中にいちいちポージングを決める余裕など実際には無い筈なので千冬の言が正しいとも理解していた。
「よし、次は近接武装を展開してみろ」
「えっ、あっ、はい」
ライフルを再量子化し、近接武装を展開しようとするセシリア。しかし手の周囲に光は集まるものの、中々形にならずに漂うばかりである。
専用ISが射撃特化機なだけに、近接戦闘に関する訓練は射撃戦のそれと違って不得手だったのだろうか。
「まだか? 何時までかかっている」
「も、もうすぐ……ああっもう! インターセプター!」
武器の名称を叫び、漸くショートブレードが展開された。
セシリアが使った音声認識展開は初心者用の機能であり、やはり接近戦は不得手である事が証明されてしまった。もしくは今まで接近戦が必要となる状況に陥らなかったかのどちらか。
「遅い。お前は実戦でも敵に待ってもらうつもりか」
「うぅ……努力いたします」
「分かればいい。次は織斑、張、やってみせろ」
共に近接戦闘重視のISである一夏と五飛に敗けた経験もあってか、この叱責には意義を唱える事もなくしっかり受け止めていた。
次は一夏と五飛の番である。
これは飛行よりも簡単だったのか、一夏は難なくこなせた。刀を鞘から素早く引き抜くイメージ、丁度剣道の帯刀から正段の構えに移行する動作を想像する。
幼少の頃に学び、対セシリア戦に向けて篠ノ之から鍛えられていた成果もあって特に問題はないようだった。
五飛に至っては、もはや構えもイメージも必要ない。既にISは自身の一部であり、その武装も然り。
千冬の指示があれば、気付けば既にツインビームトライデントが握られていたといった様にしか見えなかったレベルである。
「ほう、張は早いな。織斑もまあ及第点だ、だが熟練者は展開に1秒とかからん。まずは0.5秒で展開可能になるよう目指せ」
若干無茶を言っている気がしなくもないが、どうせならば分かりやすい目標はあった方がいい。
「さて、時間だな。今日の授業はここまでだ、織斑は自分で穴を開けた分はグラウンドを整備しておくように」
げっ、と声を上げる一夏。確かにあれを一人で整地しなおすのは骨が折れるであろう。
だがこういう時に、先程のやり取りからして真っ先に『どちらが一夏を手伝うか』で揉めていそうな篠ノ之とセシリアの声が聞こえない。
見れば既に他のクラスメイトと共に姿が無い。こういう時は現金なものである。
「仕方ない、手伝ってやるから素早く終わらせるぞ」
「うう、やっぱり男友達っていいよなう~ふぇ~い」
「ええい情けない声を上げるな!」
こういった弱り目に手を差し伸べてやれば良いものを、やはり女と言うものはよく分からんとつくづく思う五飛だった。
----------------
「織斑君、クラス代表決定おめでとう!」
『おめでとー!!!』
夕食後の自由時間、食堂の一角を借りてちょっとしたパーティーをやることになった。主賓である一夏の背後には『織斑一夏クラス代表就任パーティー」と書かれた画用紙が貼ってある。
何処から手に入れたのか、クラッカーまで持ち出して用意のいい事である。
一夏は即席のパーティー会場の中心で、クラスメイトたちから口々に祝いの言葉を贈られている。
終始困惑顔の一夏だが、女子に囲まれているその姿が箒には気に入らないようだ。先ほどから少し離れた場所で仏頂面のままジュースを啜っている。
「どうした篠ノ之、あの輪に混ざらんのか」
「ふん! あんな鼻の下を伸ばしている一夏など見たくもない!」
当の一夏はどう見ても困っているというか戸惑っている様にしか見えないのだが、恋は盲目とでも言うべきか。
だがそんな形で盲目になってどうするのか。この一週間で篠ノ之が自身の気持ちをストレートに伝えられない性格であることは理解できたが、これでは堂々巡りもいいところだ。
そこで突然フラッシュがたかれた。何事かと思えば、十代の女性が持つには珍しい一眼レフカメラを構えた生徒が居た。
一人だけリボンの色が違う、髪を後ろに纏め上げ、眼鏡を掛けた二年生であった。
「はいはーい新聞部でーす。話題の新入生、織斑一夏君と張五飛君に特別インタビューをしに来ましたー! あ、これ名刺、よろしくねー」
何故学生が名刺を持ち歩いているのかは置いといて、名刺をみればしっかりと新聞部副部長二年、黛薫子と名前が記してあった。
盛り上がる一同。女三人寄ればかしましいとは言うが、三人どころか三十人近くいるとかしましいどころではない。
「ではでは早速織斑君! クラス代表になった感想をどうぞ!」
「えーと……まあ、頑張ります」
「え~もっとインパクトのあるコメントが欲しいな~、まあ捏造しやすくていいか!」
今不謹慎な言葉が聞こえたが、所詮は学内限定、しかも女生徒がメイン読層の新聞である。多少のそういった要素は日常茶飯事なのだろう。
「次は代表候補生相手に見事な戦いを見せた張君! ビシッと一言!」
「俺は逃げも隠れもしない、それだけだ」
「くぅ~っいいねいいね! そーいうのが欲しかったのよ!」
嬉々としてメモ帳に書き込む黛。五飛としては至極投げやりに答えたつもりだったのだが、何故かツボだったらしく相手を喜ばせてしまった。
「ああ、あと代表候補生のセシリアちゃんからも何か欲しいなー」
「わたくし、こういったコメントはあまり好きではありませんが、仕方ないですわね。ではまず、どうしてわたくしがクラス代表を辞退したかという事について……」
「やっぱり長そうだからいいや、最後に三人揃って写真を貰おうかな」
最後まで聞けと抗議するセシリアだったが、三人そろっての写真と聞くなり喜色満面の笑みを浮かべた。着替えてくるとまで言い出す始末である、勿論時間が掛かるので止められていたが。
「注目の男子に専用機持ちだからねー、あっ三人で手を合わせたりなんかしてくれるといいかも」
「そ、そうですか! あの、撮った写真は、当然後で頂けますわよね?」
「そりゃ勿論! はいじゃあ立って立って!」
喜色満面のセシリアに比べて、やれやれと言った感じで重そうに腰を上げる一夏と五飛。
「それじゃあ手を合わせてくれるかなー、ああんもうちょい笑顔で寄って寄って! 緊張しないのー」
どこのグラビアカメラマンだと思いたくなるほど、やたらと撮りなれているような口調でカメラ移りの指示を飛ばす黛。
セシリアを中心に、右に五飛、左に一夏という並びで、セシリアが出した手の甲に二人の手を重ねる。よく試合前に団結を示すような構図だ。
「それじゃあ撮るよー。45×28÷36は~?」
「え、ええ!?……2?」
「35だ」
写真を撮る時の定石を咄嗟に答える一夏と、何故か正しく即答する五飛。
だがシャッターが切られるその直前、フレームに収まるべくクラスメイト達がなだれ込んでいた。篠ノ之までもがその一員に混ざっている。
先程まで思い思いにかしましく騒いでいたとは思えない程の、素早く息の合ったチームワークだった。
「なんで全員入ってますのー!!」
「まあまあセシリア、抜け駆けは駄目だよ」
「クラスの思い出になっていいじゃない」
再び騒がしくなるクラスメイト達。そのバイタリティは一体どこから湧いて出てくるのか。流石の五飛も疲れ始めていた。
これは後で聞いた話なのだが、クラス対抗戦優勝者のクラスには、学食のデザート商品半年フリーパス権が与えられるという事だ。
成程、一夏当人よりもクラスの女子達が躍起になるわけだと一人納得するのだった。
----------------
その夜、疲れ果てた一夏はベッドに身を投げ出していた。五飛は日課である筋トレをやっている、今日はアームバーを使っていた。
「今日は、大分、疲れた、ようだ、な」
「女ってのは何であんなに元気なんだろうな……でも、なんだか悪い気はしないんだよなあ」
「……ほう」
「ちやほやされるのが嬉しいってんじゃない、なんていうかこう……応援してくれてるんだなあ、っていう、誰かが後ろにいてくれる安心感とでも言えばいいのかな?」
これも良い傾向であった。女子達は軽い気持ちであるかも知れないが、こういった感覚の積み重ねが自身に求められている事や責任感というものの理解となっていく。
ISの技術に関してもそうだが、一夏はとにかく飲み込みが早い。誰かに言い聞かされるよりも、こうして自分の身で経験し、感覚を得た際に関しては特にである。
やはり一夏が代表となって良かった、この経験は彼を劇的に変えるであろう。
だが一つ気になる事も発見した。一夏は女性から向けられる好意に呆れるほど鈍感である。
五飛すらも感づく事が出来るレベルのアピールを繰り返している篠ノ之やセシリアからの好意に微塵も気付いていない。
何も想いに応えてやれと言うつもりはない。だが、時として無知はそれだけで罪となる。これが行く行く大きな歪みにならなければいいが、それだけが五飛の心に引っかかっていた。
しかしこの日、少なくとも一組の面々は気付いていない事があった。
夕刻、IS学園に一人の転入生が到着していた事を。
「ふーん……ここがIS学園ね」
(脳ry
遂にIS学園に転入して来た鈴
旧友の一夏も交えて、再び五飛と共に邁進の道を突き進もうとする
しかし彼女にとって新たな学園生活の始まりは
同時に過去との決別を意味する物だった
思春期を殺しきれない少年少女達の翼、第六話『鈴音再び』