できらぁっ というか、いつの間にか出来てる。(未投稿分含む)
何これ怖い。
さて志願者を集めて、良さげな場所に伏せて、準備万端。
帰り道の浅井長政を隠れて待ちうけて、その首を…………
……取れませんでしたっ!
懐かしいですね、このパターン。前回失敗したのは、桶狭間阻止でしたっけ。
『阻止するまでも無く、織田家が勝手に降伏した』という、私にはどうしようもない理由でした。
長政の討伐は、普通に失敗しましたね。
というか、返り討ちになりそうでした。あそこまでピンチになったのは、初めてかもしれません、
浅井長政、鬼強ぇ!
いやマジで。
なんで矢を篭手で弾けるんですかね…? 回し受けですら無かったんですが。
馬上で片手をこちらへ突き出して、パンッと横に払うだけ。
それだけで、飛んでいった矢が横に逸れるんですよ。なにあれ怖い。
じゃあ、手の届かない下半身ならどうだ? と足を狙ったら、家臣が横から切り払いましたよ。
イラッと来たので、そいつに特製の
打根は、短い矢の先端に尖った錘のついた、それで殴ったり、手で投げて使う武器です。日置流弓術にもある武器ですね。
人によってはヒモをつけて使ったりもする、この時代に来てから知ったマイナーな武器のひとつです。多分日本オリジナル。
で、思ったんですよ。『矢なら射るものでは…?』と。
それで実際に撃ってみたら、すごいバランスが悪くて、飛ばないわ当たらないわで、使えなかったんですが。
「弓術の武器と違うんかい!」
当時、関西弁気味に、裏手で思いっきりツッコみましたっけ。
でも使えないなら、使えるようにすれば良いわけで。短かったのを逆に通常よりも長くして、錘の重さも調節して。前だけでなく後ろにも軽く錘をつけて。
当たり所が悪いと、鎧の上からでも内臓破裂や骨折を起こす、殺傷力が高い矢が出来上がりました。
飛ばしにくいのと、当てにくいという欠点は、割と残りましたが。間違いなく一般ウケはしませんね。
あと完成してから気付きましたが、これ昔、なんかのマンガで見たな……
名前、なんだっけかなあ。
おそらく永遠に思い出せないだろう、名前のわからない矢を、名前のわからない浅井家の家臣に撃ちこみました。
たまたまそれは頭へと飛んでいって、防ごうとした刀ごと家臣の頭へと激しくぶつかって大きくのけぞらせます。慣性の法則は偉大ですね。
そこへ私が続けて射た普通の矢がノドへと突き刺さり、家臣は馬上から崩れ落ちました。
「磯野っ!」
長政が叫びました。なんというか、男らしい声をしていますね。
磯野。磯野
いや、普通の矢では倒せないってなんだよ。(真顔)
明治の武道の達人も、一部は拳銃をよけられたとか言いますし、討ち死にした武将で、火縄銃や斬り死には多いけど、矢傷では少ないらしいのは……
もしかして強い武将って、普通の矢じゃ死なないから!?
…よし、色々考えるのはあとにしましょう。とりあえず、武功ゲットです。
全然関係ない磯野さんの可能性もありますが。カツオとか。いや、カツオはないか。
しかしついカッとなって、取って置きを使っちゃいましたよ。あれ重いから一本しか持ってきてないのに。
仮に長政に撃ち込んでも、なぜか防がれる気がしますが。そうすると磯野(仮)に使って正解だったのか。
そうすると、どうやって長政を仕留めますかね?
取りあえずは長政の馬を射て、足を止める! と『将を射んと欲すれば、まず馬を射よ』ということわざを実行したのですが。
これが成功したら成功したで、長政がこちらへ「よくもやったな。皆、カカレェ!」と叫んで、向かって来たわけですよ。
なんで撤退の途中に反撃に出てるんだ。
しかも今までは、撤退中に奇襲されて逃げ出していたはずの浅井の兵が、急に全員立ち止まって、こっちに来るんですが。
「射よ! こちらが怯んでいる間にこそ、敵は足を進めるぞぉ! いいから手を動かせぇぇ!!」
一緒に奇襲した、他の斉藤家の兵らにも声をかけて、必死に射撃しました。
事前に『これは長政狙いだ』と状況は説明してあります。それだけではなく、戦い始めるだけで軍を統率するようなバケモノは『ここで討たねば』という想いは、きっとみんな同じでした。
しかし浅井軍も同じく、この人だけは『討たせない』という想いで一致団結。
次々と長政の周り、前へと集まって、ひと塊になってこちらへと押し寄せてきたのです。
「まさか、これが野良田の戦いの…!」
これが半数以下の兵で六角家の大軍を破った、浅井長政の戦い方か!
そんな戦慄を覚えましたよ。
戦術としては単純です。将棋や、シミュレーションゲームなら、これはありふれた戦術でしょう。
しかし現実に実行するのは、まず不可能です。
味方を使い捨ての盾にしながら、敵大将まで強引に前進して、首を取る。
『勝利のために、使い捨てられる兵になってくれ』とか、誰が了承するというのですか。
普通は、ありえません。 (注意:島津は除きます)
それがどいつもこいつも、迷い無く一つの集団になって、こちらへと斬り込んで来る。
兵ら全員に、そんな覚悟を決めさせる。どんなカリスマだ、浅井長政は!
こいつら、ハーブでもキメてらっしゃる…?
そんな現実逃避気味な思考を走らせながら、ひとつでも多くの盾を長政からはがすべく、矢を射ていましたが。
「氏家卜全、討ち取ったり~!」
ダメでしたか。
奇襲部隊の大将だった氏家さんが討ち取られて、こちらの兵は総崩れで、勝手に逃げ出すのを見届けて。
勝ち鬨まで上げてから、浅井軍は倒れた味方の遺体を馬に載せて、追撃もせずに悠々と帰り道へと向かっていきました。
磯野(仮)の遺体も持ち帰られてしまいましたね。あれが磯野の誰だったのかは、しばらくの間謎のままのようです。
私は身を潜めたまま、ワンチャン長政暗殺チャンス無いかな、と狙ってみましたが、最後まで隙はなかったですね。
あれは強いわ。
地政学上とか外交上の理由だけで、史実の織田信長が妹のお市の方を嫁に出したわけでは無かったようです。
同盟の家康の所へ嫁に出した長女以外では、蒲生氏郷という武将に、次女を嫁に出していますが、彼もかなり有能な人物でしたからねえ。
浅井長政。信長さんの御眼鏡にかなった、というのは伊達ではなかったようです。
信長さんの娘は、あとは前田利家の息子と、丹羽様の息子と、筒井順慶の跡継ぎと、家康の配下の水野の所と、公家に嫁に行ったのとと、全て戦国を生き残っています。
娘は信長さんの死後も大事にされたようですね。
徳川の嫡男に嫁ぐも、仲違いして『あいつ武田とつながってます』と密告したら、すったもんだの挙句に、信長さんの命令で嫡男が切腹。
そんな事件を起こしちゃった長女も、信雄の世話になって、信雄改易の後は母方の実家の世話になって、天寿を全うしています。
水野さんの所に嫁に行った人だけは、夫が『部下が三河武士だった』という不幸のせいで、切腹させられて未亡人になりましたが、後に再婚していますのでセーフで。
なお切腹の理由は『茶会を開いたら、お隣の藩主の部下と、そっちに出向してる自分の部下がモメて、藩主が刺されて死んだ』という謎な事件です。
刺したヤツが逃げる時に馬を渡したヤツとか、現場で止めなかったヤツ。この際素行が悪いヤツ全部粛清するか、いっそ藩ごと。という大事にまでなったようです。
殺された藩主が、浜松藩主の松平氏だったり、水野はそもそも家康の母の生家で、その弟の子なので親族と言えば親族だったりするので、陰謀のニオイもしますが……
『行動:三河武士』を陰謀のネタに組み込むのは、無理があるかなって。
信長の娘さんたちは、そういう風に上手く生きられましたが、息子らは信長さんの死後はわりと雑だったようです。
前に述べた、秀勝以降の…… えーっと、六男以降? 七男から下? ともかく、下の方の弟達はロクに記録も残っていません。
秀吉が面倒を見て、近江辺りに領土を貰って、関ヶ原の戦いの時に東軍に付いたら生き残り、西軍に付いたら改易。そんなくらいです。
一部の家系図にしか存在しない、この信正って誰? というあたりぐらいしか、面白みがありません。お前らそれでも信長の息子か。
『祖父と同じ名前を貰った、織田信秀』とか、もうそれだけで面白そうな人材までいるのに、そいつも手持ちのエピソードが一個だけとか。
それも『フロイスに洗礼を受け、キリシタンに。美しい象牙細工のロザリオを持っていた』とか、話の持って行きようが無いんですよ!
もっと! ネタに! なれよ!
失礼。つい本音が。
え~っと、なんでしたっけ。長政を逃がした結果でしたっけ。
はい。また出張です。
というのも、当たり前ですが、このまま浅井家を放っておくわけにはいかないのです。
攻められた落とし前をつけなければ、舐められる。というのもありますし、叩いておかねば、またすぐ攻められてしまう。というのもあります。
しかし領内にばら撒かれた一向宗を掃除しないと、荒らされ放題なわけで。
これから斉藤家の面々は、美濃中とその国境周辺まで含めて、隅々までローラー作戦で大掃除しないといけない、デスマーチが待っています。
ですが先程も言った通り。浅井家を放っておくわけにはいきません。でも自分達では手が足りない。
そんな時には、外注です。英語で言うとアウトソーシング。
ひとことで言うと『六角さん、あとヨロシク』ですね。
そして私が、六角家への使者に選ばれてしまったわけです。
なんでやねん。
半兵衛どのは…… 美濃大掃除の総指揮を取らないといけませんし。
討ち取られちゃった氏家さんの、美濃の土豪では最大クラスの領土を、このドサクサにまぎれて斉藤家の直轄地にしてしまおうと企んでいました。
出張している暇がありません。
不破さんは…… なんか美濃の丹羽様っぽいポジになりそうですね。外交も出来るし、六角家へ送るのはこの人でいいんでしょうが……
現状ものすごい人材不足なので、この過労死枠は出来れば美濃で使いたい。
帰蝶さま? 姫を外交に行かせるって、ダイナミック縁談かな? それを、あの歳で?
…というのは冗談ですが、万が一帰蝶さまがそのまま囚われてしまったら、美濃制圧の大義名分に出来ちゃいますからねえ。
史実の信長さんが、そうしたみたいに。
だから浮いていたコマの私に、話が回ってきたわけですね。
いや、私、余所者ぉ!
そんな感じに嫌がる私を、半兵衛どのが宥めてきました。
「まぁまぁまぁまぁ、ここはひとつ、私とあなたの仲じゃないですか」
どんな仲だと言いたいですが、否定もしたくない。なにこの感情。
「せめて織田家に了承とって下さいよ。和平の条件を少し… そうですね。木曽川を使った商売と、川並衆の討伐に目を瞑るとかで、許可が出ると思いますので」
「では、それで。すぐ使者を織田へ出しますので、準備しながらお待ち下さい」
いや、私もなんで行く方向で助言してるんですか。
また出張かもとは思っていましたが、まさか出張に出すのが丹羽様じゃなくって半兵衛どのとか、予想していませんでしたよ。
ああ、もう報酬を! 個人的な報酬を要求する!
勝手に何貰ってるんだって、丹羽様に怒られないようなヤツで!
500話越えの大作も推してみる。魯鈍の人(ロドンノヒト) ~信長の弟、信秀の十男と言われて~ 作者:牛一(ドン) 氏 小説家になろう 完結済
信長の弟のひとり、十男坊の信照に転生。幼少時から転生者的好き勝手をやらかす。
軽く読み返してみると、うちの主人公より好き勝手してるな…
グライダー飛ばしたり、親の信秀巻き込んで、花押使用許可もらって朝廷、幕府の伊勢氏、六角、三好、北条、斉藤、斯波、将軍、天皇に信長の名前で贈り物してる
色々振り回されて叫ぶノッブが楽しい。
お市がなぜかニンジャの修行してるし。
うちは登場キャラを搾りまくってるけど、普通に色々な人が描写されています、加藤さんとか、藤原の末裔だったのか…
知らない間に書籍化してた。2巻までだけど。