見落としてるもんだなあ…
え~、この旅から加入の新キャラだったはずの、修験者の円融さん。
美濃にて、いきなりの脱落でございます。
いきなりなんだよ。と思うでしょうが、なにぶんこちらにも急なお話でして。
なんというか、こう。彼の才能が、輝いてしまったといいますか。
彼が、内政官として使える人材であると発覚してしまったのです。
この織田家をも越えるだろう、人手不足の斉藤家で。
……いいヤツだったよ。
まだあまり話してすらいませんでしたが、いいヤツだったという事にします。
なんだか亡くなった様な言い方をしてしまいましたが、地獄のようなブラックさの中へとスカウトされて行ったので、似たようなものかなって。
現在、ほぼ半兵衛どののツテと、不破さんの家の協力だけで美濃の政務を回していますからねえ……
現代で言えば、杉並区と、新宿区の力だけで都政を回す感じですかね?
しかも平行して、西美濃を中心に広がっている、入り込んだ一向宗という名の山賊の群れを駆逐していかないといけないという忙しさ。
やらなかったり、やれなかったら村単位で犠牲者が出ちゃうというペナルティーが発生するので、後回しにも出来ません。
今が初夏なのでまだいいですが、秋が来たら収穫量を調べて、年貢を取る手配をしないといけませんし。
どう考えても、一向宗らが収穫された米を狙って襲ってくるので、それまでに駆逐しておきたいというタイムリミットもあります。
収穫前に青田狩りに来ないといいですね。(他人事)
円融さんがそんな修羅場へスカウトされるきっかけは、ひょんな事でした。
私が貰った寺を再建中、運営スタッフを用意するために、人を集めて面接をしていた時です。
道中と違って、顔を見せて近くで私を護衛する円融さんに、色々と手伝ってもらったんですよ。
それが、なんか妙に手際が良くてですね。
集めた人々を、坊主とそれ以外、坊主は宗派ごとに分けておいてくれたり。
禅寺になるのだから、ナマグサ禁止をあらかじめ通達してくれて、だいたいの一向宗の坊主を事前に退けてくれたり。
それでいて、元ここにいた坊主は確保して、金貸しなど仕事の引継ぎは出来るよう、整えていてくれたり、と。
事前準備を任せられて、仕事の手間も省いておいてくれる、とてもありがたい存在だったのです。
現在で言うなら、有能な秘書。
そりゃ今の半兵衛どのが見たら、泣いて欲しがりますよ。
実際は泣くのではなくて、血走った目をしていましたけどね。
いつも静かな声の半兵衛どのの、あそこまで荒ぶった声は初めて聞きましたよ。
「あなたは、斉藤家に、仕えな、さい」
勢い余って、命令形でした。
あんなスカウト、ある?
円融さんも『あっ、これ断ったら危険なヤツだ』と悟ったのか、スカウトに乗るし。
確かに「私の配下の間は、円融ではなく別の名前を使いませんか?」と聞いたら「いえ、師匠にもらった名前なので」と断られて、ちょっとギクシャクしていましたけども。
人として合う合わないがありますし、仕事内容との相性もあるので、まずは一ヶ月お試しで。という契約で働いてもらっていたので、移籍も問題無いといえば無いんですけども。
それでも、こんないきなり他所に流れるとか、ないでしょう。
それもこれから、六角家と京へ行くという、旅の途中で。
せめてもの抵抗で、円融さんの職場は私の寺という事にしてやりました。
元々斉藤家から私の寺へは、誰か監視の人間を送るという取り決めがありましたからね。
円融さんの所属が斉藤家となりますから、彼がその派遣される人間になっても、問題は無いわけです。
フフフ、半兵衛どの。あなた1人だけを楽にはさせませんよ……
一緒にブラック労働しようやぁ…!
もうね。私、ダメなんですよ。
この世でやっと見つけた『同類』が、1人だけ開放されるだなんて、許せるわけが無いんですよ。
私の方が楽になる立場ならいいんですが。
え? ゲスい?
大丈夫。きっと、いや間違いなく半兵衛どのもそう考えていますから。
今も頭の中では『円融は寺にやりますが、こちらの仕事を投げるのはかまわないでしょう』とか考えているに違いありません。
顔を見ればわかります。あれは紛れもなく、そういう顔です。
とりあえず円融さんには、寺の再建の指揮を取りつつ、寺社のネットワークを使って、一向宗がどの辺りにどれだけいるのか調べてもらいます。
寺同士に情報を回す、回覧板というか連絡網みたいなルートが出来ているので、何とでもなるでしょう。
落ち着いたら、名前どおりに円を融通するお仕事にも手を出してもらいましょうか。
寺格を買えたら、その権威で『過所』という許可証が出せます。これは持っていると、関所でゼニを取られないという素敵なアイテムです。
これを使って、物資や手紙の輸送もやらせるとしましょう。
それにこの時代。寺院は宿坊といって宿泊施設を兼ねる場合が多いので、ホテル業もやってもらいます。
寺はもらえましたが、さすがに領地はついてこなかったので、そうやって稼がないと人件費や食費などの維持費がまかなえないのですよ。
寺の看板のおかげで、守護不入の治外法権の金融、物流ハブという、どこぞの
寺格があれば、独自に手形や為替が発行できるので、マジで金融機関の真似事が出来るのです。
顧客もイチから集めなくても、この寺の顧客だった人々をそっくりいただけばいいですし。
ノウハウを知っている坊主があまり残ってくれなかったのが不安材料ですが、そこはまあ、残った人たちにもブラック労働で頑張ってもらうとして。
熱田商人の加藤さんが、尾張で京風セレクトショップを開いたら、その仕入れた品をこちらにも流してもらって、美濃で売りさばくのもいいですね。
美濃からは特産の和紙を。尾張で作るヤツは量産品なので、ちょっといいヤツを。
その流通には、関所を関銭なしで行き来できる『過所』が効力を発揮するでしょう。
と、そうそう、忘れてた。半兵衛どのにお願いして、美濃焼き作ってもらわなきゃ。
史実では、たぶん信長さんの統治下になって、尾張の瀬戸から職人が来て、安土桃山時代に全盛期になるんですよね。
来るの早いな全盛期。そして終わるのも早いな全盛期。
確か、千利休の跡を継いだ、古田織部の織部焼きが時代的にウケたのが盛り上がった理由でしたっけ。
しかし古田織部も利休同様切腹させられて、茶道の流行が落ち着いた方向へ行って廃れた、のかな?
『登り窯でたくさん焼けるし、芸術品をたくさん作っても売りさばくのが大変だから、日用品を量産するか』
そんな経営方針でやっていたら『日用品だろ?』と芸術方向の価値が落ちちゃった、というのもあった、はず。
この辺は、さすがに知識が怪しいですね。ちょっと自信がありません。
ですが江戸時代に入ってからは、単純に京焼きに負けたのは確かです。
野々村仁清や尾形乾山というビッグネームが向こうに出ちゃいましたからね。仕方ないね。
なら今世はもう最初から、日用品方向でええか……
ボーンチャイナとか研究させるのも面倒ですし。長石砕いて釉薬にするくらいで妥協しましょう。
丹羽様にも頼んで、職人をよこしてもらわないといけませんね。代金は半兵衛どのが、美濃焼きの貿易でコツコツ返すという事で。
一向宗らの一揆の再発防止という金看板も、実にいいですよね。
地域トップの諸山という寺格で、美濃の禅宗のトップになる予定のこの寺が、それを持っている。
つまり。美濃に残る一向宗の寺を圧倒して、美濃の宗教界を牛耳る、まではいかずともかなり強い立場に立てるわけです。
美濃の新しい秩序の象徴というわけです。オマケに織田家と斉藤家の和睦の象徴でもあります。
表向きの看板は綺麗に越した事はないので、本当に素晴らしいですね。
場所も長良川水系や、尾張に伊勢に近江に北陸へとつながる、主要街道沿い。
人も情報も集まる、いい立地です。
そこを移動する人たち向けの宿泊施設として寺を開放すれば、自然と最新の情報が集まってくるでしょう。
円融さんがここの住職になれば、善光寺みたいに修験者の情報も集まって、本当に美濃の情報ハブになれるかもしれません。
一向宗の所在の可視化など、楽勝でこなしてくれそうです。良かったですね半兵衛どの。情報方面で仕事が少し楽になりますよ。
織田家の私も、その情報ハブにアクセスできますが。まあ、そこは気にしないでもらって。
よく考えたら、それだけ色々やるのに代官的な存在は必須でしたね。
円融さんがここに残る事になったのは、そういう部分でも逆に助かったのかもしれません。
そうすれば彼も、ブラック労働仲間になりますし。
ブラックがブラックを呼び、お互いに仕事を投げあい、作り出しては同じ所へと引きずり込む。
そうして我らは、ついに同じモノになる。夢のようじゃないですか、黒い兄弟たち。
と、まあ。そんな冗談はさて置き。
寺の名前は、前世のとある地図会社から名前を貰って、禅林寺にしました。
旅の連れの冷泉さまに少々つつんで、看板だけ先に書いてもらいましたので、これで決定です。
和歌を家伝とする家の人だけあって、この人、字も上手いんですよ。
「そうかあ、こういう方向で稼ぐんも出来るんやなあ」
などと言っていたので『字で稼ぐ』という方法に代々気付いていなかった可能性がありますが。
まあ、そこは公家の人なので、うん。
あんまり看板とか書く機会は無いかもしれませんし、たぶん写本では稼いでいたと思うので、まあ、セーフで。
そんな感じで私事…… いや、私事ですかね、これ?
織田家からの仕事ではないので、公の事ではない、んですかね? じゃあ私事でいいのかな。
ともあれ、こちらの仕事が一段楽したので、半兵衛どのとの打ち合わせに入ったわけなのですが。
「あなた信濃で、何やってきたんですか」
非常に胡散臭いモノを見る表情で、こちらを見ながら、いきなりそう言われてしまいました。
あいさつより先に、それってどうなの。
「信濃で何かありましたか?」
政策やら商売の種やら、色々と残してきましたし、何なら修験者の覚円さんの配下にひとりヤベーのがいたので、全力でやれって焚き付けちゃったという心当たりが。
『ウワサを流して世間を混乱させるの楽しい!』
信玄の領地に色々とウワサを流させた結果。そんなダメなマスコミみたいな性癖に目覚めてしまったオバカさんがひとり出ちゃったんですよ。
なので、いくつかレクチャーしました。
『丸っきりのウソは信じられ難い。ウソの中に真実を混ぜろ』
『もしくは逆に、万に一つしかないだろう。まさか、無いだろう。という塩梅にしろ』
『一度に多くを流すな。印象がボヤける』
『<ここだけの話>という言葉は、実に有効だ』
など、思い付いたあれこれを吹き込みましたっけ。
今は『人間50年。信玄の寿命はあと10年も無い』というのを広めているはず。
史実通りに病気になるのかはわかりませんが、そう外れはしないでしょうし『大事なのは事実であるかよりも、それらしいかどうか』ですからね。
先が見えてしまった人に、それがいかに今まで成功してきた人であっても、迷いなく付いていけるものなのか。
しかも現状、かなり追い込まれているとしたら。
武田家の家臣らが、それぞれどう動くのか。実に興味深いですね。(他人事)
それでそんなマスゴミくんが、まさかガマンできなくなって諏訪方面でも流言を流し始めましたか?
と、心配しましたが、杞憂でした。
単に私に、官位の交渉を全面的に任せるという委任状と、予算として手形が届いただけです。
「ウチもそうなので、何とも言えないのですが…… ここまで信頼されるって、オカしくないですか?」
「なんででしょうね」
困った顔で、そんな事を言う半兵衛どの。
しかし官位の交渉を私に丸投げするのは、斉藤家もそうなので、本当に何も言えた立場ではありません。
さあて。
諏訪家も人材不足で、現在絶賛ブラック労働中の、黒い兄弟の仲間だと、教えていいものかどうか。
一応は他家の内情になるので、勝手に言ってはいけないのですが……
教えたら、絶対に半兵衛どのの共感を呼んで、諏訪家と勝頼さまへの好感度が上がるんですよね。
どうしようかなあ…… と、わりとどうでもいいのに、未来を少し左右しそうな問題に悩んでいたのですが、それは半兵衛どのの次の言葉で吹っ飛んでいきました。
「それと武田信玄が、数年前に将軍から 信濃の守護職を既にもらっていて、朝廷からも信濃守を貰おうとしている から急いでくれ。との事です」
えっ。なにそれ聞いてない。
たまには自薦。このサイトにある、ヨーローアカデミアと、我輩は○○である もよろしくね!
どちらも僕のヒーローアカデミア二次創作。
ヨーローアカデミアは、個性が発現するのは、全員60歳だったらどうなるかな?と想像してみた結果を書いたもの。地元の信金マンから定年退職後にオールマイトに見つけられて、トレーニングするデクさんとか、歳をとって丸くなったのと、他の理由もあって暴れなかったオーバーホールとか、個性関係ないので普通にJKやってる発目とか。とりあえずほぼ全員、原作からズレるなって。16話完結。
我輩は○○である は、ネコの異形系で、生まれて即捨てられるも、転生者だったので即行動開始… したら、弔に即見つかって拾われる所からスタート
しかし性格が、ここの主人公とかなり似てた上に、まだ原作でAFOが活躍前だったのもあって、人生エンジョイ方向に舵を切っちゃって、ヴィラン連合も“ユカイな”って頭につく感じのナマモノたちに…!
なお主人公は気付けば、政財界をかなり牛耳っていました。そして個性やヒーロー関係の法律を整備して、警察も個性使用可能に、とかやってます。ヴィランなのに。
あと脳無が全部ゴリラがベースになったり、ステインさんが心操くんの師匠になったり、ヴィラン連合の一部で筋トレが流行ったりします。100話完結。