尾張グダグダ戦国記   作:far

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書き溜めに入る宣言忘れてて、一話でっち上げました。
京偏のままかなあ。近畿偏になるかなあ。
続きが溜まるまで、また待ってね。


【織田家】ドッチの家臣でショー【三好家】

 

 はい。なんかお見合いする事になった私です。

 お相手は、菊亭晴季さまの養女です。史実では菊亭さまは子沢山で、男子だけでも3人。女子に至っては『たくさん』いたそうですが、そんな彼もまだ25歳。

 さすがにお見合いできる年齢の娘さんは、まだいないわけです。

 なお残されている史料には女性の記述は少ないので、史実の菊亭さんちの娘さんたちは、名前どころか、人数すらも正確なものは不明です。

 とにかく、菊亭さまの養女になった方と、お見合いしたわけですね。

 

 破談しましたが

 

 いやね? いい感じだったんですよ? いい感じだったんですけども。

 向こうが、私がこのまま三好家に仕えて、ゆくゆくは幹部に。とか勘違いをしていまして。

 尾張に帰って、のんびり田舎武士をやりながら、商売に精を出しつつ、文化芸能と料理の発展に……

 とか将来を語ったら。

 

「話が違う!」

 

 と、菊亭さま含めて、様子が変わって大慌てに。

 

 この縁談を持ってきたのは、三好長慶さま直々ですからねえ。そりゃ、そういう勘違いもしますか。

 天下の執権になろうかという時に、わざわざ動くほどの、覚えのめでたい家臣。

 そう早とちりしちゃったんでしょうか。

 

「いや、菊亭さまは、私が斉藤家と諏訪家、織田家の依頼で動いていると、ご存知でしたよね?」

 

 そのためのご挨拶(友達料の支払い)もしましたし。

 文化カツアゲしてきた中に、あなたもいましたよねえ。

 

 梅酒に漬かっていた梅と、吉野の本葛で作った梅ゼリーを食べつくしてなおお代わりを所望して。

 まだこの時代には未発見なので、集めるのに高く付いた秘蔵の寒天を使って、作るハメになったのは忘れていませんよ。(恨み節)

 

「いやいや、あんだけ三好家のために動いとったら、普通は三好家に仕官したんやなって思うであろ?」

 

普通は、そうですね」

 

「あっ(察し) そうかあ…… 普通やなかったかあ……」

 

 ええ、こちとら現代知識チートの使い手ですからね。

 普通の武士とは違うのですよ、普通の武士とは。

 

 普通の武士は、領地経営や戦をする生き物です。私は…… 最近、自分でも何やってるのかよく分からなくなってきたかなって。

 

 自分の周りの環境を、自分の都合の良いものに変える。

 子供の頃からずっと、そうしてきただけなんですけどねえ。

 トイレがポットンですらなかったり、紙が無かったり、食事が薄味すぎたり、道具があれこれ無かったり、何とかしようにもそもそも誰も話を聞いてくれなかったり。

 そんな障害をひとつひとつ解決して、ある時はまとめて無視して、私自身が生き易いようにしてきたんですよ。

 

 前世の知識と意識がハッキリするまえから、何となくでそうしていたせいで、村に居辛くなって逃げ出したようですが。(他人事)

 そういえばまだ、今世の両親には会っていませんね。今度ヒマが出来たら帰る、とか手紙を出した覚えはありますが。

 

 ヒマって、いつあったっけ…?

 

 結婚できたとしても、結婚生活を送る余裕とか、私にあるんでしょうか。

 尾張に帰っても、またどこかに出張するような未来しか見えないのですが。

 

 いや、もう出張先が無いな? 無いですよね?

 

 強いて言うなら、松平家ですが。そちらは今、丹羽様と仲が悪い林さまが和平交渉中。

 そこに後から乗り込んで行って、主導権を奪うのは、林さまのメンツを潰してしまいます。

 『執権の三好家のもとの新生幕府の側に付けるよ。官位だってもらえるかもよ?』という交渉材料と、藤吉郎くんというパイプがありますからねえ。

 普通に織田家と戦うデメリットとかを示したり、利害調整するよりも、私が出た方がよほど話が早いのは事実ですが。

 

 林さまもまた、国人衆という真の敵と戦う、仲間で同志ですからね。

 それなりの配慮というものをしますよ、私も。

 

 どんだけ国人衆をキライなんだって?

 メタクソ大嫌い です。

 

 だって餓死者が出てたり、貧しい暮らしだったりする理由の何割かは、あいつらのせいですよ?

 

 というか関所ですね。あれ、マジで流通の妨げなんですよ。

 なんでお隣の国に荷物運ぶだけで、荷物が半分消えるか、お値段が倍になるんですか。

 関所で取られるお金は、全部時価です。その関所を支配してるヤツや、関所にいる役人的なナニカの気分次第でもあります。

 だって統一された法律が無いんだもん。皆さん、勝手に関所作って、勝手に取り立ててるだけです。

 

 伊勢なんかすごいですよ。伊勢神宮に行きたい旅人を狙って、12kmの間に、60箇所の関所が作られてしまったそうです。

 殺したりしないだけの、マイルドな山賊ですね。

 

 で、そんな流通状況で。飢饉が起きたりした時に。

 それでもまだ食糧に余裕がある場所から、無い場所へと、食糧を移送する事ができるでしょうか?

 ヒント。飢饉の時は、食糧の価値は当然高くなります。

 

 ええ、まあ、はい。

 あいつら、本当に自分の事しか考えてないのです。

 だから世のため人のために、消してもいいよね。

 幕府のシステムをいじったり、大きくアレコレ動いたのは、そのために戦国時代を終わらせようという意図もありました。

 太平の世になって、デカい権力で国を支配しないと、ムダな関所の根絶など出来はしないのです。

 

「では、前提条件に齟齬があった、という事で。このお話は無かった事に」

 

「うん、すまんな。三好の殿さんにも、あんじょうゆったってや」

 

 話を私の縁談に戻しまして。

 いや、戻った途端に終わったんですが。まあ、戻しまして。

 

 なぜ私に縁談が? という所まで戻りますと。

 

「お前は、主の丹羽五郎佐とやらとは、連絡を取っているのか?」

 

 という長慶さまからの質問に、私が「はい、たまに」と見栄を張ってしまったせいですかねえ。

 はい。見栄です。

 はい。お察しの通り、全く取っていません

 

 それで何を思ったのかは分かりませんが、長慶さまが丹羽様と手紙のやり取りを行ったらしいのです。

 なにやら、私の移籍も話し合われたとか。

 

 押し付けあう方向で。

 

 誰が切り札にもなるババやねん。

 

 まあ、それで京では正式な所属が無かった、私の立場が定まりまして。

 織田家所属のままですが、三好家へ与力として貸し出されました。ついでに官位も上がりました。従六位下、弾正小忠です。

 

 これで何が変わるのかというと、まず三好家から給料が出ます。オッケー、三好家のために働くよ! 給料以上にね!

 それと独断専行にリミッターが掛かりますね。勤め人ですからね。

 なら今までもやれよって? 出張先だったから、連絡手段が、ね?   あと面倒だったし。

 

 まあ逆に考えましょう。

 これからは、好きに策だけ考えて、松永サンや長慶さまに投げるだけで、あとは京で文化生活してればいいんだって考えましょう。

 

 そんな所信表明をしたら、長慶さまの顔色がサーッと青く変わりまして。

 即行で松永サンを呼び出して、なにやら相談を始めまして。

 

「もう嫁でも取らせたら、少しは落ち着くのでは?」

 

「それだ」

 

 という結論に、達したらしくてですね。

 

 破談しましたが。だって、与力とはいえ、三好の家臣ではありますが、与力だけに仮のものですからねえ。

 そりゃ将来はって聞かれたら、尾張に帰りますって答えますよ。

 先日の松永サンの茶会でも、抱え込むつもりはないって、長慶さまも暗に言ってましたし。

 

 じゃあなんで尾張にリリースせず、与力として京に残したのかって?

 

 細川藤孝です。

 

 史実通りに、将来の足利義昭、覚慶を興福寺から連れ去って、いずこかへと消えたんですよ。その対策要員として確保されたわけです。

 史実通りだからこそ、そうならないように松永サンに警戒レヴェルを上げてもらっていたのですが。

 

 大和の寺院の、松永サンへの好感度の低さから、藤孝に協力した坊主が出ちゃったらしくてね…?

 

 いや、まあ、いいんですけどね。

 どうせ行く先は朝倉家でしょうし。そして朝倉家なら動かないでしょうし。

 一向宗がお隣の国を丸ごと占拠していて、事あるごとに襲ってくる。

 今年の収穫が終わったー、じゃ襲撃するか。そろそろ農閑期だな、じゃあ襲撃するか。台風で被害が出たなあ、じゃあ襲撃するか。

 そんな国がお隣にあるのに、出征したいですか? 私はイヤです。

 史実でも、一向宗との講和が無かったら、動けなかったんじゃないですかねえ。

 

 それと他にも義輝の弟はいますからね。

 政務も出来ず政治感覚も無かった、史実の義昭になっちゃう可能性が高い覚慶は元々候補から外すよう、働きかけてましたからね。

 散々信長の世話になりながら、手の平返したり、各地にお手紙を送りまくって乱世を更に乱世にした実績もありますからねえ。

 

 それに坊主の修行しかしてなくて、武家のノウハウも、将軍の仕事も、逆にやったら駄目な事も全部知らないんですよねえ。

 教えておけよ、史実の藤孝。朝倉家での生活は、ヒマだっただろ。

 

 そんな義昭よりはマシだろう(と信じたい)史実では義輝と一緒に永禄の変で殺された、周暠(しゅうこう)という、もう1人の弟が今世では生き残っています。

 義輝だけを暗殺した結果です。

 誉めろとも、良かったとも言い難いですが、まあ、結果オーライではあります。

 周暠も坊主という不安な点はありますが、信じましょう。

 

 それに将軍のお仕事はもう、近江でのんびりして、新年に挨拶に来た方々の相手をするくらい?

 あとは重要な事項の書類に、承認のサイン入れるのと、子作りくらい?

 

 羨ましい生活しやがりますね。

 

 これでなにか余計な動きを見せるようなら、どうしてくれようか

 

 そんな将軍も藤孝も、すぐに打つべき手は……

 いや、朝倉家ならいいけど、頑張って越後まで行かれると困るな。

 頼られたら取り敢えず懐に入れてしまう、上杉謙信という敗れた者たちの駆け込み寺に入られたら、後を引いてしまいますねえ。

 

 先に手紙を出して、説明しておきましょうか。長慶さまにも出してもらうとしましょう。

 

『覚慶さまをさらったのは、細川藤孝の独断専行です。天下の行く末を、たった一人の意思で大きく動かしてしまうのは、傲慢とは思いませんか?』

 

 っと。まずはこんなものでしょうかね。

 え? この世の誰より、お前が言うな? 私はいいんですよ。でも細川藤孝はダメです。

 

 独断専行した後に、藤孝は誰に報告して、誰に叱ってもらうんですか?

 それに結果として、何処の誰が幸せになるんですか。

 自分だけのための独断専行は、ただの国人衆(ワガママ)です。

 

 ではもう一度、私の縁談の話に戻りまして。

 

 破談になったのは少し残念ですけれども、助かった面もあります。

 お相手が菊亭晴季さまの養女でしたが、その菊亭さまの妻は、武田信虎の養女なんですよねえ。

 

 信虎は息子の信玄に追放された後、まずは今川家の世話になっています。当主の義元の嫁が、信虎の娘だったので一族扱いだったとか。

 義元が信虎の生活費を信玄に請求したり、今川家からも予算と領地を手当てしたりと、わりと気を使っていたようです。

 その予算を使ってか、1度目の上京。この時は奈良や高野山も巡る、物見遊山。

 その頃には武田当主へと返り咲くのを諦めたのか、出家して無人斎道有と名乗っています。

 

 そしてちゃっかり甲斐から連れてきていた側室に産ませた息子が大きくなると『武田家の家督』を譲るという、意地だか皮肉を残して、また京都へ。

 なお側室と違い、正室は甲斐に置き去りだったとか。

 正室のほうが追放される夫ではなく、残った息子に付いたのかもしれませんが。

 

 そして京では、幕府に仕えていたらしいんですよね。名門甲斐源氏の元大名として、結構いい暮らしをしていたっぽいです。

 義輝の後に義昭にも仕えて、信長と敵対しようとした事もあったとか。

 なにげに信玄よりも長生きして、武田が滅ぶ前に勝頼に会って、それから亡くなったようです。

 

 出家後は、人情味のあるお爺ちゃんという印象で、個人的にはキライではないのですが。

 幕府を乗っ取っちゃった三好家の世話になっている人間として、幕臣が親族になるのはちょっと。

 

 ねえ、長慶さま。そこんとこ、どうお考えですか?

 




【書籍化決定✨】水魔法ぐらいしか取り柄がないけど現代知識があれば充分だよね?
カクヨム より mono-zo 氏の作を推してみる。

女性主人公のファンタジー世界転生ものだが、あまり女性っぽい思考はしてないかな。だから読みやすいんだけど。
地水火風光闇など精霊由来の魔法の国で、孤児スタート。保護者はマフィア。
ボスはまともだったけど、その子供がクソガキすぎた…
前世覚醒、魔法に目覚めてからは色々するよ。水なら水素と酸素も操れるな!ヨシ!とか、過冷却水で即凍らせられるな、ヨシ!高圧洗浄ヨシ!
余裕ができたら料理もするよ。ロールアイスとか知らなかったや。
扱い間違えたら学園ごと吹っ飛ぶ炎の魔石を、いくらでも湯が沸かせるぞ!と作って運用してた教授が好き。敵に頭おかしいのか?と直球で言われてた。
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