<主人公:メインストーリー>
将軍暗殺後に杉谷善住坊の裏切りにあうも、返り討ちに。その後、京への移動中に熊と遭遇する。
一か八かの、杉谷から奪った火縄銃での討伐に成功。せっかくなので腱と胆のうだけ採取。
熊は3~4歳の若い固体だった。だから人をあまり恐れず向かってきたのだが。
もう少し育っていたら、首への銃撃でも止まらずに、主人公が死亡していた可能性が高い。
京の五山で寺格の購入中の冷泉に合流。胆のうを干して
売り先として当代の
たぶん二代目の半井さん。代々名乗るようになった一族なのです。
そしてこの熊の胆が、三好長慶の嫡男、義興を救ってしまった。
そんなつもりはなかった主人公、どうするか悩みながら、お見舞いと称して日々経過観察する。
そしてなんか義興と仲良くなった。
息子の恩人ではあるが、尾張、美濃、信濃の別々の国の官位を、ひとりで申請に来た不審人物なので、調査に乗り出す長慶。そらそうよ。
近江経由で来ているし、何かあったようなので六角の回し者かと思えば、逆に六角家の親子が追放されている。
義興に近付いてはいるが、本当に見舞いしかしていない。
よくわからなかったので、千利休と今井宗久と津田宗及の三宗匠の茶会に呼んだ。つまり圧迫面接な茶会はわざとだった。
本音を引き出そうとしたが、出て来たのは、聞いたこともない美味な茶菓子だったので、まあいいかと許した。
するとついでとばかりに、官位をオマケでくれと言い出した。
それも女官の
「しがらみや、しきたり。思うように、自由には生きられない。地位のある皆さんには、身にしみておられるでしょう。
ですが女の身の不自由は、それ以上。ひとりでは屋敷から出る事も出来ない。そんな方もおられます。
そこから立ち上がり、国ひとつに『ワタシに従え』と吠えてみせた方がいましてね。その方へのお土産に欲しいのです」
なお、ちょっとした応援のつもりでしかなかったりする。
命婦が、今回もらう他の官位と同じ、従五位下相当なのも、深い考えはない。
だが受け取る側がどう感じて、何を思うかは別問題である。
長慶は、なんかニヤニヤして「よかろう」と承諾したらしい。
そして官位申請の手続きが終わって、ヒマになった主人公を襲う、公家らと義興。
ワシらの知らん文化があるとな? ちょっと出してみい。という公家らと。
病人食飽きた。いい料理知ってるんでしょう? 出して下さい。という義興。
音楽に、料理にと忙しくも楽しい日々を送る主人公に、松永久秀より茶会の招待状が届く。
それはそうと、実は近江で将軍暗殺後に、名刀など武具と茶器を盗み出して売りさばき、和田是政の仕業に見せつつ名刀と大金を得る算段をつけていた主人公。
三雲家を脅して実行犯にしたから、アリバイも完璧だ。
しかし蒲生と後藤と進藤、あと平井も組んで、六角家を追い出して近江を手に入れるという意思で統一されていたので、実はここで仲間に入れないと、のちのち三雲は詰んでいた。
だからむしろ有情だったりする。三雲家には。和田さんは、うん。
会った事もない和田是政を陥れたのは、義輝の弟を担いで幕府再興を目指しそうな、有能な文官だから。
だから彼の名誉を落とし、幕臣らからの好感度を下げて対策した。
なお和田本人をどうするかは、主人公は何も指示しなかったが、甲賀衆が気を利かせて闇に葬っている。
表向きは、将軍の遺産を売りさばいた大金をつかんで、どこかに消えた扱い。和田さんかわいそう。
幕府再興に動く幕臣としては、細川藤孝もツブしたかったが、傍流とはいえ名門細川家。
しかも一流の文化人で公家とも付き合いが深く、本人の器量もありそうなので、ツブしきれないと断念した。
和田是政は幕臣として同僚だったので、違和感を持った松永久秀は調べて、主人公に目をつけた。
三好親子の近くで動いているようだし、直接見定めてやろう。そう思って、茶会へと招待したわけだが。
これに歴史知識で松永弾正久秀を知っていた主人公、かなり動揺して、怯える。
そして全力で保身に走った。
具体的には、時代を300年近く先取りして、倒幕運動を開始したのだ。
ひとりだけで。
松永の力の源泉は、三好家と、幕府での出世。幕府の力を削れば、三好家の力が増して、松永を家臣に押し込められるだろう、と読んだ。
そしてまずは、公家たちに『足利一族不要論』を吹き込んだ。
初代尊氏からして、弟と日本全土を巻き込んだ内乱やらかしたし、三代義満で持ち直したのを、四代目が全部リセットして早死に。
五代目が酒に溺れてリカバーせずに、六代目が支配力を取り戻すためか、恐怖政治始めちゃって、最後は自分が暗殺される。
急きょ七代目になった9歳児も、1年持たずにヒトケタ年齢で病死。八代目義政に至っては、応仁の乱を引き起こしたのに、銀閣を建設など文化にだけ全力。
九代目は頑張ったけど、もう幕府に力が、ね…? それ以降も都を追放されたり復帰したりよ。
で、ここまで代々やらかしたけど、何なら今も生き残った義輝の弟同士で争いそうだけど、まだ足利で行く?
かなりの公家が、三好への権力のスライドに同意。執権への就任を考えた。
しかしそうもいかない理由もあった。明日はわが身という危機感だ。
公家らも、わりと代々やらかしたり、何も出来ていない家が、結構あった。
お前らも要らないだろ。そう言われたら困るのだ。
その中心的存在の、二条晴良に毒を盛る主人公。
「タタリじゃあ!」と繰り返し叫び、屋敷中を暴れ回って心停止で死亡した二条晴良の死に様は、公家たちに恐れを抱かせた。
『三好長慶、ここまでするか』と。
濡れ衣である。
しかし朝廷はこれで、三好家の執権就任の流れに乗った。
そうなると困るのが、将軍家の始末だが、主人公はこれも手を打っていた。
蒲生賢秀に『次期将軍を手中に収め、その権威で近江をその手に』と吹き込んだのを、主人公は覚えている。
あの場を切り抜けるための、アドリブでの口からでまかせではあったが、合意した以上は約束だ。できるだけ守ろうとしないといけない。
ロクな法の無い世の中で、仁義は大切なのだ。
法を守らない者は、法に守ってもらえないと言うが、仁義を守らない者は、情すらかけてもらえない。
そう考えて『次期将軍の預かり先に、近江はどう?』と、官位申請でツテの出来ていた菊亭らに打診したのだ。
近江は六角の支配下だった頃は、将軍義輝を担いで三好とバチバチに戦っていたが、その六角を放り出した蒲生らには、その戦いを継ぐ気はない。
というか、そんな余裕はない。浅井長政と戦わないといけないし、これまでの戦いの負債も返さないといけないし。
実権を取り上げられた将軍でも、将軍という肩書きがあれば、権威はある。
史実で信長に追放された義昭ですら、それはあった。
それさえあれば、六角家を除いても、近江統治の名分になる。蒲生らはそれで満足だった。それ以上は過分だ。
そして知らない間に、室町幕府の執権の地位と、近江の国との和平がほぼ確定したのを、主人公から知らされる三好長慶。
いや、確かに家臣ではないけども。三好家の命運をいじるわけだし、こう、報告とか。事前の打診とか。いや、おめでとうございますじゃないんだわ。
しかし今更拒否するには、話が進みすぎている上に、結果がオイシすぎる。
他にも色々と考えや悩みやトラウマや、死んだ弟達が思い浮かんで、また精神が病みそうになる長慶。
そこに『一時、全部忘れられるような、一風変わった能を一緒に作りませんか?』とそそのかす、張本人。
いっそ笑えてしまった長慶、これに乗る。
なお場所は大和、多聞山城。松永久秀が建設中の城。
主人公は、松永の茶会に三好長慶を同席させる気まんまんだった。
そして開かれる、歌舞伎をアレンジして当てはめられた、能の五番立て。そのトリの勧進帳の弁慶は、長慶が演じていた。
傍目からはノリノリでやっていたように見えたが、ただの全力の現実逃避なのだ。だから気付けなかった。
最高権力者が、自ら『忠実な英雄』を演じるという意味深な事になっている事に。
たった一人の力と行動で、三好家すべての力でやってきた事をアッサリと達成されて、長慶もさすがにショックだったらしい。ですよね。
翌日の茶会で、その事実を告げられて、同じくショックを受ける松永に、長慶はこれまでにない熱い共感と仲間意識を感じた。
半ば心が折れて、隠居しようかと言い出した松永に『逃がさん、お前だけは』と強く言い放ってしまったほどに。
この主人公の上司ってどんなだ。という好奇心と、確認しておかねば。という使命感で使者と手紙を丹羽へと送る長慶たち。
「京からの、手紙だと…?」
受け取った丹羽は、とりあえずしっかりと心の準備をして、覚悟を決めてから、手紙を読み始めた。
「??????」
文字は読んでいるのに、内容が頭に入ってこない。理解を拒む内容がそこにはあった。
しっかりしろ。まだ三好長慶視点だから、将軍暗殺実行犯だとか、三雲家を脅迫したとか、タカリに来た公家が末端で単独犯だったんでコッソリ消したとか、そこには書いてない厄ネタもいっぱいあるぞ。
甲賀衆も杉谷の一件と、将軍暗殺と遺産盗難に加担させたり、自分たちの手を一切借りずに二条晴良を(たぶん)毒殺している主人公にビビッて、一部が傘下に入ろうとしているぞ。
将軍家の京からの排除と、三好家の執権就任への助力の感謝程度で、うろたえるんじゃない。それはまだ氷山の一角だ。
まあ今までの経験から、丹羽は氷山の一角を見て、水面下にある氷の大きさが想像できてしまうんだけども。
丹羽は手紙を持ってきた使者に、助けを求める顔を向けたが、使者の松永久秀の息子の久通は、それを涼しい顔でスルーした。
関わったらヤバい事へは人一倍敏感になる人生を送ってきたので、スルー力も高いのだ。
仕方なしに腹をくくり、根性を悪くして、陰謀力を高めた丹羽は、考えた。そして気付く。
「おや? これはアイツを、遠くへ追いやる好機では?」
いそいそと返事を書き始める、先程とは打って変わって機嫌の良さそうな丹羽を見て『やはりアレの上司か。いや、尾張が魔境なのか?』といぶかしむ久通だった。
とんでもない内容のはずなのに、即座に飲み込んで利に動く丹羽の姿は、久秀の息子の彼にも異質に思えたのだ。なお彼はこの後、何度も京と尾張を往復するハメになるのをまだ知らない。
「いやいやどうぞうどうぞ」「そちらこそどうぞ」と、いつ勝手に火がつくかわからない爆弾の管理を投げ合う長慶と丹羽の決着が付くまで、なん往復だっただろう。
ともあれ久通の往復は、細川藤孝が覚慶をさらっていった事で、主人公を活用する必要が出来た長慶が折れるまで続いた。
船での往復だったので、さほど辛くは無かったのが救いか。
そして主人公の所属は織田家のまま。当面は与力として三好家に長期出張。
ついでに色々ありすぎたので、官位をひとつ上げて正七位上から、従六位下の弾正小忠へ。
あと結婚したら少し落ち着かないかな、という祈りを込めて、長慶と松永久秀は見合いをセッティングした。
しかし相手が幕臣になってた、今川家とも関わりが深い、甲斐武田の元当主の武田信虎の養女の娘(養女)だったので、主人公が正直に「三好で出世する気は無いよ」と語って破談に。
幕府も甲斐武田も今川も、全部敵側だから、それはそうなる。
父親は公家の今出川(菊亭)晴季で、そちらしか見ていなかった長慶たちは、主人公に少し怒られた。
小説家になろう より 三田一族の意地を見よ を推してみる。作者は色々書いてる三田弾正さん。
最初は国人の三田家に生まれ、北条といずれ来る謙信の争いの中で実家を生かそうとか色々考えていたが、北条に使える人材見っけ。されて、採用されてしまう。
実家の動きがあまりに国人なので、北条全振りでええか… と方針転換。
かまぼこにほうとう、佃煮、鉱山の位置に、ひまし油に、縁日の屋台に、銅銭作りにと色々自重していない。
個人じゃなくて北条パワーで現代知識チートすると、色々出来るんやなって。