信長は情報を重視したと言われますが、そのわりに有名な忍者の集団とかは、抱えていなかったらしいですね。
実はこっそり抱えていたかもしれませんが。
家臣の1人、滝川一益が甲賀の出身だったらしいので、強いて言えば、そのつながり程度でしょうか。
では、どうやって情報を集めていたのかというと。
嫁のひとりの実家が商家だったので、そこからと。
あとは、家臣にやらせていました。お前、あれ調べて来い。という丸投げですね。
大変にブラック企業なニオイがします。
まあ、達成できたら、すごく褒美を貰えたりしたようですが。
義元の本陣の位置を突き止めた篠田という人を、義元の首を取った人より上の手柄として城主に出世させた。という説があるほどです。
道理で丹羽様も、かなりの情報網を持っていたわけです。
あの人はおそらく、信長さんに無茶振りされたランキングでトップを狙えますからね。
何にでも使えて、欠かすことが出来ない“米”五郎佐と呼ばれたのは伊達ではないのです。
ライバルは、汚れ仕事もできる、雑に使い倒しても大丈夫“木綿”藤吉こと、のちの豊臣秀吉、木下藤吉郎。
“掛かれ”柴田に“退き”佐久間、“行くも”滝川“退くも”滝川と謳われた、武人系とはだいぶん趣きが違いますね。なんだか方向性の違いで解散しそう。
そういえば史実では丹羽様だけ、秀吉政権でも生き残っていますね。
まさか本当に、音楽性の違いで解散するバンドみたいに、労働性の違いで仲が悪かった…?
いや、まあ。史実の話は置いておいて。
そんなわけで、織田家は。というか、元信長の家臣は、それぞれが情報網を持っています。
まだ織田信長の勢力圏が尾張一国どころか、半国くらいだったので、それは所々で交差したり共通だったりと、一部が重なっています。
だから時折そういうつながった所から、織田家を出て行った、元家臣のウワサが流れてきたりします。
鉄砲撃ちとして信長に仕えていた滝川一益。
その従兄弟で、信長の乳兄弟だった池田恒興。
他、元馬廻り衆とか、小姓とかの、信長の近臣。
佐久間やら伴やらの、稲生の戦いで戦死したのと、前田慶次郎や森可成などの領地安堵された面々を除いて。
なぜか皆がみんな、そのほとんどが三河松平家に仕えているとか。
あれ? 祖父の代から。なんならその前から、わりとバチバチにやり合ってきた家だったと思うのですが。
「どういうわけですかね。丹羽様」
わからなかったら、検索すればよかった前世とは違って、ネットという文明の利器はありません。
なので、大抵の事は答えてくれる、便利な上司に聞いてみました。
いつもの居酒屋ではなくて仕事場ですが、この程度の雑談はいいでしょう。完全な私語ってわけではないですし。
「やり合っていたとは言え、ずっとではなく何度も和睦を挟んでおるし、交渉もしておる。個人的なツテを持っておる者もいただろう」
「何もない所へ飛び込むよりは良かった、と」
さすがは”米”五郎佐。相談役に、参謀に、築城に、徴税に、城代、説得役、交渉人、武将と何にでも使える男。
そりゃ労働環境がブラックにもなります。便利に使えすぎる。
今回もこちらの期待通りに教えてくれて、しかも見解を付け足してくれました。
「そういう事だ。その辺は美濃も同じだが、あちらはまだ戦が終わってすぐだからな」
なるほど、まだピリピリしてるわけですね。
斉藤道三やら土岐の誰かやらの、美濃のいくつかの内乱時に負けた方に付いちゃったんで、尾張へと流れてきた、元あっちの土豪さんたちが、なんで三河へと思ったら。
「美濃出身がそこそこいるので、そんな時に行って、かつての領地を奪還に来たかと思われたら面倒くさい、と」
「それな」
この当時だと、如何様。いかにも。などと返すところで。
戯れに教えてみた、令和言葉で丹羽様が返してくれました。気に入ってくれたらしいです。
あっ、話がひと段落したところで、今度は完全に仕事で聞きたいことが。
「ねえ、丹羽様。これ、この文字。なんて読むと思います?」
「ああ。それは生駒殿の独自の文字でな。つまり。を意味するらしいぞ」
つまりは、ぼくのかんがえた かっこいいオリジナル文字ですね。わかりたくありません。
こんなものを使ってしまう人もいるほど、この頃は文字や言葉遊びが風流や粋とされていました。
この言葉遊びは『余計に書類が面倒になる』という重い副作用があるのですが。何とかならないものでしょうか。割と切実に。
風流とか、仕事に持ち込まなくていいじゃない。
だから対抗して、少しばかり令和言葉を流行らせる程度は、許されます。きっと。
聞いた方がイラッとする。という理由で流行りかけて年寄り衆にツブされた、メイビー☆とか。
微妙になまって定着した、さあびす、スンマイル(スマイル)とか。
逆に発音がいい、レヴェルとか、ファッキュー。
元からあった? と錯覚するほど定着した、ウザい、チャラい。マジで。ヤバい。などがあります。
マジとヤバいは、実は江戸時代からあるらしいので、定着しやすかったのかもしれません。
ストレスとか、それまでに無かった概念ごと広まったものもあります。
ついでに流行らせようとした、なんでやねん。は流行らなかったな… ツッコミという概念は、まだ室町の尾張には早すぎたようです。
なお令和言葉は、歌会でも使われてしまったらしくて。それを聞いた時は、さすがに少し罪悪感を覚えましたよ。
具体的には丹羽様が、歌会で『夜風吹く 風のレヴェルが変わる頃 ふと虫の音を 聞きたくなる夜』と戯れに詠んだところ。
たまたま来ていた、尾張在住の貴族が「雅ですな」と気に入っていたそうです。
まさか京までとか、届かないでしょうね…?
問題はそういった、微笑ましいレヴェルのものだけではありません。
松平家に流入した、旧信長派の面々のおかげか、それとものちの天下人は伊達ではないのか。
松平に降った鳴海城。なんか武田相手に、持ちこたえちゃってます。
そのせいもあって、あの辺の領地がかなり荒らされてるという……
ちゃんと補給物資は届けているのに、武田の兵が勝手に村々を恐喝して回ったりして、ね……
正直、鳴海城が持ちこたえなくても、武田が鳴海城に入ったらやるだろうな。そう私は予想していました。だから
「念のためです。補給物資の蓄積場を兼ねて、少し離れた所に、監視もできる砦を築きましょう」
そう提案していたのです。
どこかの誰かに、却下されましたけどね。
丹羽様の後押しもあったのに、却下されたからなあ。ほんと誰でしょうね、却下したの。信行さま本人じゃなくて、配下の誰かだろうけど。
だって信行さまは、念のためというワードに弱いですからね。
このワードさえ付けておけば、たいていの提案は通っていました。
あれ? ひょっとしてそのせいで、今回却下された? パスワード使いすぎて、配下の人が止めに動いちゃった可能性が…?
いや、でも、実際に砦を作っておけば、被害は出なかったわけで。
ちゃんと提案の内容について、考えてくれなかったって点では一緒です。
被害が出ちゃってから、慌てて砦を作れって命令が来ましたが。
却下した人は、責任取ってくれるのかなあ。たぶん、取らないんだろうけど。
信長派と信行派は、元々仲は悪かったんですが。森さんが反乱起こして、治めて帰参した件で、ますます悪くなったんですが。
そういう事するから、さらに仲が悪くなるんですよねえ。
武田は鳴海城を攻め落とせていないけれども、焦ってはいない様子。
まあ、4千人の規模ですし、別働隊なんでしょうね。本体は甲斐で待機中かな。
奥平家など奥三河の、服属していないといえばいない。そんな国境あたりの国人衆を従属させて、今川と松平に圧をかけていますから。
それに耐え切れずに、戦だ!と氏真がキレた瞬間。もしくはその少し前に、甲府から駿府へと、武田本隊が動き出すのでしょう。
じゃあどの道、今川から援軍来ない。逆に言えば、攻めて来れない。なら俺、独立します!
ってやったのが、松平元康です。
その勢いのままに、鳴海城の山口親子を取り込みました。
あとは始末されるだけと知って逆上、謀反。今川義元の首を取ってしまって、孤立。そのまま無敵の人になって暴れていた彼らを、よく説得できたものです。
そして取り込んだ鳴海城に、即座に援軍を送り込みました。しかも自家の兵ではありません。
銭で傭兵を集めて送り込んだのです。ですが、それだけではありません。
武田と仲が悪い、三河一向宗と組んだのです。
おそらく傭兵に払う銭も、一向宗からでしょう。
そうして集めた兵を鳴海城へと入れさせて。やってきた織田家からの離脱者らに指揮を取らせて。
とうとう、武田相手に城を守りきったのです。
では肝心の、松平本隊はどうしたのでしょう?
ちょっと、鳴海と三河を挟んだ向こう側のことなので、正確な情報はないのですが。
なんか、今川相手に殴り込みをかけた、とか……
ちょっと勢いに乗りすぎじゃないですかねえ。
今川館が焼けたとか、松平の人質が始末されたとか、立てこもったとか。
松平に続けと、どこぞの重臣が独立を宣言して、城に篭ったとか。
未確認の情報が多くて、何とも言えないんですよね。何もしようがないですし。
できる事といったら……
織田家の金ヅルその2(その1は熱田)の津島。その南にいる服部党。
あそこ独立気取ってて、年貢も織田じゃなくて伊勢の北畠と、たぶんそこ経由で本願寺に納めてるんだよなあ。
史実の滝川さんが蟹江に城を造らせた上に、出かけた所を襲撃して始末。城は接収してたけど。
私もやってみようかな?
派閥の間のヒビが大きくなってきた以上、再びの内乱の危機があるわけです。
となると自前の領地、できれば城がないと安心できないんですよね。
そんな物があったら、いざという時に身一つで身軽に逃げ出せない、という面もありますが。
とりあえず選択肢を増やしに動きましょうかね。
さて。勝手にやるのもまずいから、一応許可は取らないと。
服部党がこの機にちょっかいをかけてこないように、計略を仕掛けます。と言っておけば、さすがに許可が出るでしょう。
なんせ動きを封じるだけ。一見、手柄には見えませんからね。それを評価してくれる、素敵な職場ではありませんからね。
念のためって書くのを、今回はやめておけば完璧です。
いいですね。楽しくなってきました。
どうせ歴史の教科書に書かれるまでも無い、細かいパートではありますが。
それでも、地方史の史書の上にぐらいは、載ってみましょう。
では。戦国、始めちゃいますか。
天都ダム∈(・ω・)∋ 氏の 《急成長》スキルから始まる異世界人の《技能樹(スキルツリー)》が何かおかしいんじゃが!?
を、君も見守らないかい? 最初に生えたスキルが焼肉食べ放題な主人公と、ダンまちっぽくスキルを伸ばしてくれるのじゃロリ神官の掛け合いがメインだよ。