尾張グダグダ戦国記   作:far

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【あらすじと】他者視点で振り返ってみる その6の1【裏事情6-1】

 

 <裏事情というかメイキング事情>

 

 華燭(かしょく)編と銘打ったけど、華燭の典という結婚式の別名を分かってもらえていただろうか。

 官位を尾張、美濃、信濃に渡しに行く一行に同行する、というテーマなので、最初は旅情編とかにするつもりだった。

 だが移動途中に、近江で長政を登場させる事にした時に『行く先々でトラブル起こそう』というアイディアを思いついた。

 

 そのせいで美濃に入るなり帰蝶がハッチャケた。

 

 それと近江編あたりで、女性で国主は、実質国主なら今川の寿恵尼がいたけど、官位までは無理だなあ……

 と思っていたところに『いや、でも女官系の官位ならどうだ?』と思いついて。

 他の官位と同じクラスの従五位下の、女官の官位は何かと調べたら、命婦だったんだ。

 

 トラブル+命婦のコンボで、この流れだと結婚させるしかないな! と決定して、章のタイトルが決まった。

 書いている時の筆の勢い次第では「おめでとう」「おめでとう」「おめでとう」と各大名家と織田家の面々に祝われながら「ありがとう」で締める、TV版エヴァエンドがありえた。

 

 主人公が心底結婚式から逃げ出したがったおかげで、それは回避されたけど。

 その代わりに、執筆スピードがかなり落ちた。シンクロ率が下がったんだろうか。

 

 

 <あらすじ>

 

 信濃守、佐衛門大夫、弾正忠の官位の任官の許しが出たので、京から公家らが美濃、尾張、信濃へと下向する事に。

 申請した人だし、顔も見たいし、話さないといけない事もあるし、とそれに同行する主人公。

 

 しかし主人公が忙しすぎて時間が余り取れず、一ヶ月しか時間が取れなかった。

 なお忙しいのは、全部『自分で企画した仕事のせい』という自業自得の、セルフブラック労働。

 

 その一ヶ月以内に、官位全部渡して京まで帰って来ないといけないタイトなスケジュールを組む。

 それに付き合わされる公家のご一行。

 普通ならのんびりゆったり、接待三昧、お土産も期待なオイシイお仕事のはずが、主人公の仕事の都合で大変な強行軍に。

 

 でも三好家の威光と、普段文化カツアゲでタカッている事実から、文句も言いにくかった。

 いや「貸しやからな!」くらいの文句は言った模様。

 

 美濃 → 信濃 → 尾張 の順で回る予定で旅立った。尾張が最後なのは、織田家が一番格下なのと、尾張からなら船で京まで一気に帰れるから。

 

 しかし美濃への移動中に、近江で浅井長政が現れた。

 目的は、勅使の一行の接待。

 勢力下に組み込みつつある坂本の町で、公的な立場で朝廷の使いをお持て成し。

 この事実で、立場を強化して、ちょっとした名声も手に入る。長政にとっていい一手なのだ。公家らも普通にうれしいし。

 

 そのついでに、主人公に接触する長政。

 

 美濃に侵攻した時に、磯野員昌(かずまさ)を討ったのが主人公だとバレていて、その人となりを知りたかったのだ。

 磯野は浅井四翼と呼ばれる有力な武将で、先鋒を任される猛将。

 この世界では起きないだろう、織田対浅井の姉川の戦いでは、員昌の姉川十一段崩しという、織田の本陣近くまで切り込んだ逸話持ち。

 そんな磯野を討ち取った男に、長政が興味を持たないわけがなかった。

 

 結果は、よくわからないものが出てきちゃったんだが。

 

「ああ、肩書きくらいは言いましょうか。従六位下 弾正小忠。織田家家臣で、斉藤家の使者で、諏訪四郎勝頼の盟友で、三好家の与力です」

 

 本当に何者なのか分からなかった。何処の誰なんだ本当に。

 京に官位をもらいに来たはずなのに、なぜか三好に取り入って、立場を手に入れて。

 しかし甘い汁を吸うのではなくて、内政をしてむしろ三好を強くしている。

 

 只者ではないのは確かだが、何を目指しているのか分からない

 直接会ったら、もっとわからなくなったが。

 

 『これはもう、殴って確かめるしかないな』

 

 そう決意して、最近流行の金丁(きんちょう)をしようとしたが、茶室なので刀が無かった。

 なので代わりに拳を突き出すと、主人公も拳を突き出して、打ち合わせることが出来た。

 わかってくれて、通じ合えたのが嬉しかったらしく、長政は勝手に友情を感じていた。

 

 そんな長政のインパクトも、美濃で一気に吹き飛んだ。

 

 そうだね。 結婚 だね。 突然の結婚!

 

 もう人生、楽しければいいじゃない! という感じに吹っ切れてしまっている帰蝶に、命婦(みょうぶ)なんて渡すからいけないんだ!

 

「よ… 良かれと思って~」

 

 主人公としては、封建時代の男社会で頑張っている帰蝶への、力添えにもなるプレゼントのつもりだった。

 特に裏も下心も無かった。ちょっとしたエールのつもりだったのだ。

 

 でも今の帰蝶はノリと思い込みと勢いで動く生き物だった。

 そんな生き物に、恋愛脳にモードチェンジするキッカケを投げてしまったら?

 

 そうだね。 結婚 だね。

 

 しかも止める理由が、美濃のみんなには無かった。

 竹中半兵衛は、自分が帰蝶の婿になるのは嫌だった。だってもう嫁もいるし。帰蝶は9歳年上だし。

 官位をもらう不破光治も帰蝶の婿は嫌だった。半兵衛と違い、嫌だと言動には出さなかったが、乗り気も見せずにずっとスルーを決めていた。

 自分が企図したわけでもないのに『婿入りで下克上して国主の立場になる』とか、嫌な意味で歴史に残りたくなかったのだ。

 

 そしてその2人以外では、婿に迎えても大人しくお飾りをやってくれるとは思えず。

 しかし、美濃を統合できる力を発揮してくれるとも、到底思えず。

 下手に動いて、ただ混乱を助長するだけという可能性が、濃厚だった。

 

 だから官位が手に入るこのタイミングでパージできるなら、それはそれでアリか。という算段だったのだ。

 あと主人公が困ってるのが楽しかった。

 

 しかし『結婚式、どうするよ』という問題が立ちふさがってきて、美濃勢はピンチに。

 

 張本人にやらせようにも、結婚自体を嫌がって、逃げ出そうとすらしている。

 結果。

 織田家との連絡・交渉に始まり、会場の押さえに、関係各所へ式の連絡に、招待客の選定に、宿泊施設の用意に。

 しかも勅使のスケジュールがもともとカッツカツだったので、その中にこの結婚式を入れると、絶対に破綻する。

 

 もう破綻させちゃってもいいか。と開き直ろうとしたら、それだと毛利家に迷惑がかかるらしいと公家らから物言いが。

 じゃあ、あらかじめこっちから事情を説明してワビ入れとくか。と連絡したら、なんか式への出席のお返事が。

 

「もうこうなったら、諏訪家への官位も、尾張でええやろ。ワシらも、もうこれ以上山歩きはカンニンやし」

 

 という勅使筆頭の観修寺の鶴の一声で、式の開催の目処は付いた。

 それでも忙しなく動き回る城内には、なぜかお好み焼きが流行して、具やソース、焼き方で論争を起こしていた。

 軟禁されてヒマだったので、キャベツのない室町時代にお好み焼きを開発しようとする、主人公の仕業である。

 

「部屋から一歩も出ないで、城内を混乱させるのはやめてくれませんか」

 

 という半兵衛だったが、彼も『山芋をすりおろして生地に混ぜると美味い』と発見するくらいには、流行に染まっていた。

 あと海苔とか刻み生姜を乗せるのもいいのでは、とトッピングの可能性にも気付いている。

 

 そんな半兵衛たち美濃勢は、お好み焼きの開発をしつつ、別の事にも気付いてしまった。

 

「開催地を尾張にすれば、あっちの奴らにかなり仕事を投げられるのでは?」

 

、巻き込まれた尾張勢の怨嗟の声を犠牲に、何とか尾張での結婚式の目処が立った。

 主人公も駕籠で尾張へと護送されて行き、国境を越えて、現在で言う一宮市へ。

 

 そこには、主人公が呼んでもいないのに、家族が待ち受けていた。いや、母親と、その親族はいい。普通に農民だ。

 主人公が残したアレコレをちゃっかり利用して、農村にしては懐があったかいので、血色や肌つやがいいけども、まあ、農民だ。

 

 だが父親は違った。実は会った覚えも無かった父親は、武士だった。

 

 というか、林秀貞だった。現在、尾張五家老のひとりとして、実質トップのひとり。

 そしてそんなお偉いさんが、初手土下座からの、マゲを落として出家する宣言。見事なまでの先制攻撃。

 形としてはワビ入れだけど、これは間違いなく先制攻撃。

 

「愛人の子とは言え、放置してすまなかった。信長に似てたから、つい」(意訳)

 

 そこまでされては、許さないと逆に自分が責められてしまう。

 空気を読んだ主人公は、林と和解を選んだ。

 

 そして結婚式本番。集まりまくる周辺諸国のトップたち。

 諏訪家に斉藤家は当たり前だが、三好も頑張ってやってきた。とある理由で尾張に通い慣れている松永久通だ。

 近江からも、多羅尾光俊や蒲生賢秀が。浅井長政もなぜかやって来た。織田家との和平・同盟を求めて松平家康も。

 そして毛利家から、小早川隆景が。

 

 実は主人公、毛利元就の長男の暗殺を、手紙で知らせて防いでいたのです。

 

 中国地方のほとんどは毛利に統治してもらって、四国は三好で統治して、瀬戸内海を平和かつ安価に使えるようになれば、物流でウハウハ。

 そんな計画の第一歩でした。

 

 その毛利が乗ってきた、安宅船というデカい軍船を見て、伊勢や知多の海賊衆が「ええもん持ってるな! よこせよ!」と襲い掛かったせいで、ちょっとした戦になっていましたが。

 

 その伊勢からも、結婚式へ駆けつけてしまった人々がいました。

 丹羽長秀への、刺客でしたが。

 この各地の大物と、京からの勅使すらいる、めでたい式の開催中に、その媒酌人を暗殺に来てしまったのだ。

 

 しかも返り討ちになった上に、持ち物と方言で、何処の人間かが割れた。

 

 大義名分ゲットだぜ! と喜んだ丹羽は、その優れた文官の力を使って、驚きの早さで軍を組織。毛利の船で伊勢へと攻め込む準備を整えて見せた。

 

 そこに「こんな物を用意しました!」と500m~700mの飛距離と、3~6回撃てて、土塀くらいは貫通する木砲を1ダースほど持ってくる主人公。

 

「バカモン!!!」

 

 そんなとんでもない物を唐突にお出しされた丹羽は、当然強く叱りつけ、そして。

 

(これを一斉に撃ったら、気持ち良さそうだな)

 

 内心では、そんな確信を得ていたらしく。

 ワシが出る! と押し切って、安濃津城への砲撃の指揮を直接執ったそうな。

 

 清洲城の包囲から脱出する時に、手投げ弾で爆破しまくった経験が、彼の脳を焼いていたらしい。

 溜まりに溜まったストレスが、爆発とともに吹き飛ぶような気がするのだと、後に主人公や堀久太郎に語っている。

 

 しかし丹羽は現場に出張ってしまったせいで、北と中伊勢と桑名などを領土化する戦後処理も任されてしまった。

 主人公への論功行賞も一任されてしまって、むしろそれをどうしようか悩む事に。

 

 なお主人公は京での仕事が気になるので、お先に失礼しますね。と、何かもらう前に立ち去った模様。

 丹羽は、静かにキレた。

 




カクヨム より 克全 氏の 転生・織田信忠 を推してみる。
うちの主人公よりも、国人衆を嫌ってる転生信忠。
柴田勝家とか、家臣たちまでその枠で見てる。まったく信用も信頼もしてなくて、隙を見せたら寝首をかきに来る。利益や利権を奪いに来る。勝手に動いて、褒美をむしりに来る。と警戒して、常に対策を心がけている。
数少ない信頼できる者を直臣にしつつ、だいたいの事を「熱田明神のお告げです」で乗り切る豪腕を、元服前から発揮し続けているw
序盤の収入源を海と麦に絞って、製塩と追い込み漁、麦踏みなど農法で資金を作った後に、おもむろに米価の全国的な吊り上げに走るあたりナチュラルに外道。
だがそこがいい、と思ったら読んでみて。
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