Overlord ――「遅延転移者〈エクシード〉」   作:パレット24

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すみません、改訂版をアップさせて頂きました。
基本は変わっていませんが、導入部分が納得いかず
作り直してます。

シリアスだったりギャグだったり
自由に書いてます。

ただひとつだけ、オーバーロード愛してます。


プロローグ「遅延ロードの賢者」 【改訂版】

 

世界がねじれる。黒衣の裾が揺れ、遅れて再生された空間に一人の影が立った。

 ――その名はエクシード。

 

 骸骨に似た無表情の顔を持ちながら、目の奥にはひときわ鋭い演算光が灯っている。

 彼は至高の四十一人の一人。だが、他の仲間とは異なり転移に遅延が生じ、この異世界に到達したのはアインズよりわずかに後のことだった。

 

「ふむ……処理落ちにも程があるな。開発陣に苦情を入れたいところだが、すでにサービス終了済みか」

 皮肉げに吐き捨てる。だが心の奥底では胸が高鳴っていた。

 ――アインズと再会できるかもしれない。

 

 ◆

 

 ナザリックの玉座の間。荘厳な広間にて玉座に座すアインズ・ウール・ゴウン。

 そこへエクシードは静かに進み出る。

 

「……誰だ?」

「至高の一人にして、あなたの忠実なる犬。エクシード、参上」

 わずかに片膝をつき、深々と頭を垂れる。

 

 守護者たちはざわめいた。アルベドもシャルティアもデミウルゴスも、驚愕の色を隠せない。

 ――至高の御方が、また一人。

 

「エクシード……! 本当に……!」

 アインズの声が震えた。その瞬間、エクシードの内心は歓喜で跳ね上がる。

 だが表情は動かさない。ただ一言、冷静に告げる。

 

「アインズ様。貴方の演算ではおそらく軍略シナリオが四つ浮かんでいるだろうが、結論を申し上げる。――第二案が最適です」

「えっ!? なぜわかる!?」

「〈無限演算(インフィニティ・ロジック)〉。貴方の思考を“補完”するのは私の役目ですから」

 

 守護者たちは再びどよめく。アインズの威光に割り込むような行為――だが、エクシードにとっては自然なことだった。

 

「まったく……! 余計なことを……!」

 アインズは口ではそう叱責するが、その声色には安堵が混じる。

 

「合理は私の信条。しかし――」

 エクシードは玉座を仰ぎ見た。

「――貴方の一言で、私は容易く非合理を選びましょう」

 

 その姿は冷徹な賢者でありながら、どこか忠犬めいた響きを帯びていた。

 

 

 

 

 

 「賢者と晩餐、そして計算地獄」

 

ナザリック地下大墳墓、晩餐の広間。

アインズを囲み、守護者たちが席に着いていた。豪華な食卓に並ぶ料理は、主のためにただ飾られるもの――不死者に食事は不要。しかし、空気を彩る儀式としては欠かせない。

 

その場に、ひときわ場違いな空気を纏った存在がいた。

黒衣をまとい、長身痩躯、凛とした立ち姿。

――至高の一人、エクシード。

 

ただし。

 

「アインズ様」

「なんだ、エクシード」

「こちらのローストビーフ、あなたが仮に一日一枚食べ続けた場合、一年後の財政がどうなるかシミュレーションしました」

「……は?」

 

彼は片手をかざし、空中に数字のホログラムをずらずらと展開する。

 

「肉単価、保存費、運搬コスト、調味料の仕入れ先価格高騰率……計算の結果、1年後――ナザリック破産です」

「えええっ!?」(守護者一同)

「安心してください」

 エクシードは冷ややかに言葉を続ける。

「――野草を中心とした食生活なら、逆に黒字に転じます」

 

玉座の主アインズ、思わずテーブルを叩いた。

「俺は食わんわ!!」

 

 

 

  「宴会ムードの地獄」

 

「では次は私が〈言霊演算(コード・オラクル)〉を実演してみましょう」

 エクシードが立ち上がり、高らかに叫ぶ。

 

「――この場は宴会だ!!」

 

瞬間、広間の空気が弾けた。

テーブルクロスが勝手に跳ね上がり、ワインボトルが自動で栓を抜き、シャルティアが勝手に酔っぱらい、アルベドが「アインズ様ァァァァ♡」と抱きつきに走る。

ついでにデミウルゴスがノリで乾杯を仕切り出し、コキュートスが「カラオケ……開始」と呟いて氷のマイクを握った。

 

「な、何をしている!? やめろエクシード!」

「おや? 宴会禁止と発言すれば解除されますよ」

「じゃあ言う! 宴会禁止だ!」

「……」

「……」

「……解除されないぞ!?」

「宴会禁止の“禁止”が反映されたので二重否定。つまり“宴会続行”です」

「ふざけるなァァァ!」

 

 

  「不要な忠犬」

 

混乱の中、アルベドがアインズを抱きしめ、シャルティアがワイン片手に絡みつく。

守護者たちがわちゃわちゃ暴走する中、エクシードは一人だけ冷静な声を放つ。

 

「……アインズ様。合理的に考えれば、いまが人生最大のモテ期です。存分に堪能を」

「誰がそんな合理を求めた!?」

 

彼の冷静すぎる毒舌と、完璧すぎる能力が、ナザリックを毎度カオスに染めていくのであった。

 

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