Overlord ――「遅延転移者〈エクシード〉」   作:パレット24

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第3話「守護者会議と残念なる至高」

 

玉座の間ではなく、今回は会議室。

アインズは不在――代わりに守護者たちだけが集められていた。議題はただ一つ。

 

「エクシード様について」

 

アルベドが議長席に立つ。

「皆。至高の御方が新たにお戻りになられたこと、心からの歓喜に相違ありませんわ」

「イエス!」(デミウルゴスが立ち上がって拳を握る)

「当然ですわ!」(シャルティアがワイン片手に頷く)

「ウム……強者……認メル」(コキュートスが厳かに)

 

アルベドは満足げに頷く。

「しかし……」

全員の視線が集まる。

「……エクシード様、少々“残念”ではありませんか?」

 

「残念ですの!? 少し言いすぎではなくて?」(シャルティア)

「いいえ、事実ですわ」アルベドが冷静に返す。

「たとえば〈言霊演算〉で“宴会だ”と叫んだ結果……私のアインズ様タイムが酒臭く邪魔されましたの」

 

「ワタシモ困リマシタ……氷ノマイク……勝手ニ持タサレタ……」(コキュートス)

 

「ふむ。合理を追い求めながら、非合理を連発する。まるで哲学ですな」デミウルゴスが顎に手を当てる。

「哲学って……それ、褒めてますの?」(シャルティア)

「もちろん! 残念であることさえ戦略的意義を持つのです!」

 

マーレがおずおずと手を挙げた。

「あ、あの……でも……昨日、僕に“あなたの靴紐は必ず明日切れる”って言われて……すごく不安で眠れませんでした……」

「ひぃっ……!」(シャルティア、思わず吹き出す)

「それは……酷いですわね……」(アルベド顔をしかめる)

 

 

「でも! 戦闘力は本物ですわ! 人間を一瞬で蹴散らしたのは確かですもの!」(シャルティア)

「そこは否定しません」アルベドは頷く。

「ただし……忠犬すぎるのも問題ですわ。アインズ様が“座れ”と仰れば本当に犬のように座りますもの」

 

「……犬?」(デミウルゴスがニヤリと笑う)

「フフ……つまりエクシード様は“アインズ様専用の狂犬”……! それならむしろ使い勝手が良いのでは?」

 

「言い方が悪すぎますわ!」(シャルティアが机を叩く)

 

そこへパンドラズ・アクターがドアを蹴破って登場。

「エクセレント! Mein Bruder(マイ・ブラザー)! 至高の御方がまた一人! Ich liebe dich!」

「お前は黙ってなさい!」(全員の総ツッコミ)

 

ちょうどそのとき、会議室の扉が静かに開いた。

黒衣の賢者、エクシード本人。

 

「――皆さん、私の話をしていましたね?」

 

守護者たち、凍りつく。

アルベドは慌てて立ち上がる。

「い、いえ! 決して悪口などではなく……!」

 

エクシードは無表情のまま頷く。

「大丈夫。合理的に考えて、私は“残念”である可能性が高い」

「じ、自覚があったんですの!?」(シャルティア)

 

彼はすっと椅子に腰を下ろし、さらりと続ける。

「ちなみに今の会話、記録して解析しました。シャルティアが私を三回“残念”と発言、アルベドは二回。デミウルゴスは一度も否定せず、むしろ肯定寄り」

 

「やめてほしいですわ! 統計を取らないで!」(シャルティア真っ赤)

 

しばらく混乱が続いた後、エクシードはふと表情を和らげた……ように見えた。

「ですが……それで良いのです。私は残念で構わない。合理も非合理も、最終的にはアインズ様の御言葉ひとつで変わる」

「……」

 

「私が“残念”であるなら、その残念さえアインズ様の輝きを引き立てる舞台装置。

――だから私は、最高で、最強で、最狂の“残念”であり続けましょう」

 

守護者たちは顔を見合わせ……一斉に深く頷いた。

 

「……やっぱり変ですわ」

「ですが……確かに、至高の御方ですわね」

 

黒衣の賢者は静かに立ち上がり、会議室を後にした。

その背に、守護者たちは言いようのない安心感と、ほんの少しの胃痛を覚えるのだった。

 

 

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