Overlord ――「遅延転移者〈エクシード〉」   作:パレット24

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第5話「未来予測は残念なる狂宴」

 

玉座の間。

アインズが威厳を保ちながら玉座に座り、守護者たちが整列していた。

そこに黒衣の賢者――エクシードが歩み出る。

 

「アインズ様、本日の議題は特にございません。ですが……合理的に考え、いくつか未来予測を提示しましょう」

 

「……嫌な予感しかしない」(アインズ)

「やめたほうがよろしいのでは……?」(アルベド)

 

しかし止める間もなく、彼は杖を掲げて無機質に告げる。

 

「予測開始」

 

エクシードが最初に見たのはシャルティア。

 

「シャルティア。あなたのワイン消費量、三日後に“限界点”に達します」

「げ、限界点って……どういうことですの?」

「合理的に考えれば、血液がワインに置き換わります」

 

「そ、それは嫌ですわ!!」

「でも、吐息から葡萄の香りが漂うので、ある意味で高級感は増すでしょう」

「誰がそんな未来を望みますのっ!!」

 

次はコキュートスへ。

 

「あなたは七日後、廊下で転びます」

「……転ブ?」

「氷で出来たあなたの足裏が、磨きすぎた床に滑るのです。合理的に考えて、磨き担当のメイドを責める未来が」

 

「……ソレハ……気ヲツケル」

「ちなみに転ぶ姿は“カブトムシがひっくり返った”ように記録されるでしょう」

 

「余計な未来描写をするな!」(アインズ)

 

 

次にデミウルゴス。

 

「あなたは十日後、“アインズ様のために”と三日徹夜で研究に没頭します」

「それは光栄ですな」

「結果、目の下にクマが発生。合理的に考えれば“黒縁メガネ姿”が誕生」

「……それは……少し恥ずかしいですな」

 

「なお、村人から“優秀そうな小役人”と誤解される確率72%」

「やめろぉおおお!!」

 

 

そしてアルベドへ。

 

「あなたは五日後、アインズ様の執務室に突撃し、抱きつこうとして机に激突します」

「な、なぜわかりますの!?///」

「合理的に考えれば、今日から五日間我慢できるはずがない」

 

「くっ……! 否定できませんわ!」

「その際、机が真っ二つになり、書類の再整理に八時間かかります」

「誰がそんな迷惑未来を!!」

 

「マーレ」

「ひゃいっ!?」

「三日後、あなたの靴紐が切れます」

「ま、またですか!? もう不安で眠れません!」

 

「アウラ」

「なによ?」

「あなたのペットの狼。来週“寝相であなたの顔にお尻を乗せる”未来」

「やめてよっ!! そんな未来いらない!!」

 

 

守護者たちが口々に叫び、場は大混乱に陥る。

しかしエクシードは淡々と続ける。

 

「これは全て合理的未来予測。回避したければ、私に相談を」

「未来を押し売りするな!!」(アインズ)

 

「合理的に考えれば、私が残念である可能性は100%。しかし――」

エクシードは玉座を仰ぎ見る。

 

「――その残念さすら、アインズ様の威光を照らす舞台。ならば私は最狂の未来予測者として在り続けましょう」

 

「だからやめろって言ってるんだ!!」

 

 

ー伝説の拡散

 

その後――。

なぜか村や冒険者の間で噂が流れる。

 

「黒衣の賢者は“未来を見通す”」

「彼に見られると、転んだり、机に激突したりする」

「運命をからかわれる恐ろしい存在だ」

 

こうしてまた一つ、珍妙な伝説が刻まれた。

 

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