(仮題)ヴィークル・メアを求めて/(旧)母父の名で帰ってきた 作:MenoMash
みなさーん、ここ、ここでーす。私は今、滋賀県にある栗東トレーニングセンターに来ています。なんちゃって。
どうも、リュウールドレです。初めて千葉の外に出て、関西に来ました。これからは、この菅井彦三郎厩舎というのが、私の家になるらしいです。
ここのテキ?なる菅井彦三郎氏は、以前にも会ったことがある母父や兄姉の調教師。母と船橋組は違う人にお世話になっていたそうだけど、私は母父と同じ人のところに預けられた。
「なんや。初めての長距離輸送でガレるかと思たけど、意外と平気そうやんけ。聞いとったよりも図太いんかな、ジブン。」
この胡散臭い関西弁メガネはサトリだ。身長はコタローと同じくらいだけど、コタローよりも髪が暗い。私につくらしい厩務員で、とにかく胡散臭い。あまりに胡散臭くて思わずライオットのアドバイスを忘れて蹴ろうとしたら、予備動作の段階で見抜かれた。只者じゃない。それに、本当に私の考えていることがわかるのではないかというレベルで話しかけてくる。だから、サトリ。本当は人間じゃなくて、妖怪なんじゃ…
「何、失礼なこと考えとるん?」
やっぱ、コイツ人間じゃないだろ。ライオットは人間は馬の気持ちなんてわからないと言っていたけれど、その通りだ。だって、コイツ妖怪だもん。
そんな風に思ったのは少し前の話。
ここの厩舎にはたくさんの馬がいるけれど、現状私より強そうな同期はみかけない。
というか、大半の馬は北海道出身で、道外出身馬はリュウールドレ(千葉)、カシノヨウスケ(鹿児島)、グローバルアイ(熊本)の三頭くらいだ。
私が比較的親しくしているのは鹿毛の牝馬グローバルアイ。ライオットが馬付き合いは大切だと言っていたから仲良くやっている。
グローバルアイは、私と同い年なのにずっと小さくてカワイイ馬だ。今の私は540キロ、グローバルアイは438キロ。100キロも差がある。あんなに小さくて平気なのかと自分を棚に上げて思っていたけれど、サトリ曰く
「逆や、逆。グローバルアイがちまいんやない、ジブンが大きすぎるだけや」
とのこと。
失礼な。ナノハナ姉さんよりは小さいぞ。……ショショジ兄さんよりは大きいけど。
それにしても、ここの馬たちは大人しくて優しい子が多い。一緒にご飯を食べたり、私の後をついて回ったり。私は大人しくしているのに、なぜか突っかかってくる先輩のタニノマティーニさんもいるけど、概ね平和にやってます。本当、ショショジ兄さんと同い年なのに、どうしてあんなに大人げないんだろう。
ヨウスケもグローバルアイも、新馬戦は勝てなかったようだけど、私は中々良いデビューだったかもしれない。
7月の阪神競馬場、2歳新馬戦で1番人気の1着。上に乗る人間、もとい騎手は石端葵。テキの息子・直助の同期で、割とベテラン。私の人気ではなくて、ほとんど父の人気だけど、それでも1番は気持ちよかった。誰もいない先頭を、スタートの勢い其のままに駆け抜けて。
でも、良かったのは最初だけ。勝てない!!!次走の函館2歳Sも、その次の新潟2歳Sも、2着。人気はいつも1番なのに、勝てない。言い訳にしか聞こえないだろうけど、何だか走りにくい。これから!と、いうところで終ってしまうような感じがする。私は親の人気に甘える駄馬です……!
サトリの野郎は
「連対率は100%やし、そない落ち込まんでええで」
なんて、言ってるけどさぁ~。テキも「ようやっとる」とか、励ましてくれるけど、さ。親の七光りだろうと、祖父の七光りだろうと、あんなに応援してくれる人がいるなら勝ちたいじゃん。
だけど、勝てない。競馬はブラッドスポーツというけれど、本当だ。これまで、父オグリキャップの人気があるから、なんだかんだ大丈夫だと思ってた。でも、期待してくれる人があんなにいるのに勝てないって、想像していたよりもずっとつらい。誰かの期待に応えられないことが、こんなにきついなんて…。
主人公にとって、ある意味初めての挫折。
元人間だからこその苦しみ。
贅沢な悩みですよね。
今回、実在する馬の名前を出していますが、ハーメルンって実在人物が登場するのNGですよね?
実在馬はどうなのでしょうか。
ちょっとわからくて、その辺り詳しい方いらっしゃいませんか?
4歳・秋の遠征先アンケート(本編の結末は大きく変わりませんが、ウマ娘編の展開には影響あります)
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アメリカ・BC(オールウェザー)
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オーストラリア・メルボルンカップ(芝)