(仮題)ヴィークル・メアを求めて/(旧)母父の名で帰ってきた 作:MenoMash
どうも、外厩から帰って以来、テキの目が怖いリュウールドレです。
毎日のようにプールに行かされ、おやつも全然もらえません。ご飯の量も減りました。それとなくサトリに求めてみても、自業自得で済まされます。あんまりだと思いませんか。
それはそうと、プールは楽しいので別にいいかなとも思い始めている自分がいるのは事実だ。私、泳ぐの得意かも。ずっと泳いでいられそう。
うーん。でも、どうせなら温泉とか入りたいな。どっかに馬が入れる温泉とかないかな。こないだのワインおいしかったから、温泉に浸かりながら飲みたいなあ。
「まぁた、ろくでもないこと考えてへんか」
あ、やべ。サトリだ。お客さんの対応してたんじゃないのかよ。いつの間に直助と代わったの。プールサイドで手綱を引く糸目眼鏡の胡散臭い男は、最近やたらと厳しいのだ。もう少し食べさせてくれてもいいのに。
「はぁ」
うぐ。なんか悪いような気がしてきたような。
「わかっとんなら、次行くで次。プールも使える時間決まっとるんやから」
はーい。しゃーなし、次いったげる。しっかし、最近本当にプールばっかだなあ。
そんなプールから離れる一行を見つめる視線があった。
「あれがリュウールドレか」
一世を風靡したアイドルホース、オグリキャップ。その人気は今なお根強く、引退から18年経った現在でも煌々と輝き続ける「葦毛の怪物」。
そんな馬の娘が、リュウールドレだ。主流からは程遠い血統のサラ系でありながら、白毛初の重賞馬となった「走る白毛」。往年の競馬ファンをはじめ、単なる白毛好きからも熱烈な支持を獲得している。今年のクラシック世代では、既に頭ひとつ抜けた未来のアイドルホース。少しばかり甘いものの、しっかりと鍛えられた大きな牝馬は、その白い馬体も相まって目を引いた。
あれは走る。走る馬だ。下手をすれば、あのウオッカ並みに走るのではないだろうか。
それにしても、
「父親と違って泳ぐの上手いな」
馬体重564kgか…10kgちょいは減ったな。全く、この大福は外厩に行く度に肥るのだから、少しは節制を覚えろやと言いたくもなる。
その白饅頭が、ダムダムと前掻きをしとるわ。ああ、この場合は
「オヤツか。まぁ、頑張っとるしな」
テキもそろそろ与えて良いと言っとったしな。今日のオヤツは、いちごのケーキや。ほんま手のかかるモンが好きなやっちゃ。最近は、他の馬まで舌が肥えてきよった。そんなんでも、こいつの場合は、言うこと聞かんくなった方がアカンし、アホな割に飴と鞭の効かんやつやしな。おまけに妙なところで図太いもんやから、あのドリームジャーニー相手に喧嘩売られても、なんやこのチビと言わんばかりにガン無視決めよった。外厩行く前なら、蹴り殺しにかかっとったかもしれへんわ。そう思うと外厩効果凄まじいわ。
よぉわからん謎な馬や。レースのこと考える頭はあらへんけど、日常の悪知恵は働きよる。ホンマに気性悪いんか、ホンマはええんかすらもわからん。テキの考えとしては基本穏やかなゴーイングマイウェイ、ただしストレス発散に暴れる、みたいな感じらしいわ。多分、なんも考えんとその場その場で生きとるだけのアホやと思うけどな。
それでも。妙な愛嬌と抜群のビジュアル、主流やあらへんけど人気はある血統しよるもんやから、アイドルの素質だけはピカイチや。同世代でリュウ相手にレースで勝てる馬はおるかもしれんけど、アイドルとして勝てる馬は出てこぉへんやろな。
ああ、肥える才能もピカイチやったわ。
思ったより地獄じゃなかった。
多分、地獄のシャワーくらいの地獄感。
最近の子供は暑すぎて、天国のシャワーとか呼んでるらしい。
知らんけど。
4歳・秋の遠征先アンケート(本編の結末は大きく変わりませんが、ウマ娘編の展開には影響あります)
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アメリカ・BC(オールウェザー)
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オーストラリア・メルボルンカップ(芝)